Tryforce Company社製ターボアウトレットパイプ
これで排気系チューニングは一段落した感じになります
●私のJA22ジムニーの排気系は現在まで純正ターボアウトレットを使用してきましたが
以前から機会があれば社外品のターボアウトレットにしたいなと考えていました。
そこでよくヤフオクとかチェックしていたのですが、このJA22(あるいはジムニーに
カプチーノ用F6Aを載せた通称「ジムニーノ」)用の社外アウトレットパイプはタマ数
が少ないこともあり出品されるとけっこう値段が上がってしまい、これならもうちょっと
出して新品買ったほうがマシということが多く、結局今まで入手できないままでいました。
しかし今回、思いきってもっとも安いお店を探してついに新品購入に踏み切りました。
●購入した製品 トライフォースカンパニー製ターボアウトレットパイプ。

↑トライフォース社製ステンレスターボアウトレットパイプ。 JA22/JB23-1型およびジムニーノ用。
製品のクオリティは「非常に優秀」と言えます。 とにかく綺麗でスムーズな形状にできており溶接も
きれいで、価格以上の品質は充分にあります。 とても素晴らしく美しい出来映えです。
受注生産なので納期が3〜4週間かかりましたが、それだけ待った甲斐があったと言える逸品です。

↑ターボエキゾーストハウジングとの接合面から内部を見たところ。 ちゃんとリューターでバリ
取りもしてあり、まったく手を加える必要がないくらいにきちんとできています。
O2センサー取り付けボスの部分も内部への出っ張りはありません。 ちなみにO2センサーのネジは
M18xP1.5です。
●純正との比較

↑書くまでもありませんが、左が純正、右がトライフォース社製。
純正アウトレットが直角に折れたまさに「絶壁」であるのに対して、トライフォースのものは限られた
スペースで可能なかぎり滑らかなS字ラインを描くようにスムーズな形状になっています。
この形状の違いだけ見ても「いかにも排気ガスが綺麗に流れそう」な気がして効果に期待がもてます。
ちなみに純正アウトレットの重量は1.7kg、対してトライフォースのは980gしかなく、大幅な軽量化
もできるというのもメリットになるでしょう。

↑さらに大きな違いはフロントパイプとの接合部にもあり、純正アウトレットは鋳鉄製のため肉厚が
厚く、そのため内径がφ35mmしかないのです。
それに対してトライフォースのものはステンレスパイプ製で肉厚が薄いため、内径がφ42.5mmも
あります。 これは断面積比で言うとおよそ1.5倍にもなっています。
実のところ、このアウトレットパイプの効率の向上はそのスムーズな形状もさることながらこの
最細部径の拡大の効果が大きいのではないかという気がします。 純正のアウトレットパイプでは
仮にフロントパイプやリアマフラーを50φなどの大径にしてもこのアウトレット首部の径が細く
ここでボトルネックになってしまっているのはもったいない話ですので。
●装着…ですが

↑装着はスムーズにはいかず、よくあるボルト折れをおこして結局ターボチャージャーごと外して
おこなうという大ごとになってしまいました。 ボルトさえ折れなければほんと1時間もあれば
終わる作業なのでしょうけど、仕方ありませんね。 このボルトはそのうち抜いてハウジングは
なんとか再使用できるようにします。

↑今回は時間の関係もあり予備で持っていた同じA/R12の新品エグゾーストハウジングを使用しました。
スペアタービンを持っていてよかったです。 使用にあたり写真のように入口部をリューターで
拡大テーパー加工しガスケット穴と合わせて多少なりとも効率よくなるよう加工しました。

↑エグゾーストハウジングと仮組みしたところ。
ひとつ注意点としては、このトライフォースアウトレットにはこのハウジングとの接合用ボルトが4本
付属しているのですが、4本が同じ長さではなく2本が短いボルトになっています。 トライフォース社
にこれについて電話で聞いてみたところ「4本のうち2本は取り付け時に非常に手が入り辛いため、その
箇所だけ短いボルトを使ってください」とのことでした。 しかし、実際に組んでみるとこの短いボルト
では実際に噛むネジ山が2〜3山しかなく非常に不安なので、今回のようにタービンごと外しておこなう
場合は別途長いボルトを用意しておこなったほうが安心かと思います。 今回はそうしました。
●こうした排気系パーツの組み込み時にボルトに塗る「焼きつき防止用グリス」について。
エキマニやこうしたターボ周りのとくに高温になる箇所のボルトには次回の取り外しのときに焼きついて
取れなくなり、今回のようにボルトを折ってしまうということが多々あります。 そこでプロはいわゆる
焼きつき防止剤として「アンチシーズ、スレッドコンパウンド」などのグリスをネジ部に塗って使用する
ようですが、これにも2種類があります。
通常よく使用されるスレッドコンパウンドは銅粉末をベースにしたものですが、これは耐熱温度が800度
程度までしかなく、NAエンジンならまだしも排気温度の高いターボエンジンでは能力不足となります。
そこでターボエンジンの排気系にはより耐熱性の高い「モリブデン系」のアンチ・シーズ剤が使われる
ことが多いです。

↑私が普段使用しているのはこのジュラン製のスクリューグリスです。 モリブデン系のもので、1000度
以上の耐熱性があるとのことです。 ターボにはこの種類の焼きつき防止剤を使用したほうがいいでしょう。
よく使われるワコーズの「スレッドコンパウンド」ではターボエンジンの排気系にはやや耐熱性が不足です。
●装着完成状態

↑今回はせっかくなのでヒートバンテージ(サーモバンテージ)を巻いて熱害対策と、保温による流速
向上効果を狙ってみました。 エキマニにバンテージを巻くとその排気温度の高さからかえってクラック
の原因になったりすることもありますが、アウトレットパイプはせいぜい800度弱くらいまでしか温度が
上がりませんので、割れるとかの問題はまず発生する心配はあまりありません。
●走行インプレッション
<まずは街乗り>
暖機運転を終えてしばらく走行し、充分にエンジンが暖まったところでさっそくアクセル全開で加速して
みたところ、やはり2次排圧が下がった(つまりは排気抵抗が減った)効果でしょう、EVCセットが今まで
と同じだと今まで1.3kで設定していた最大ブースト圧が一気に1.5kを超えてしまうくらいになりました。
これは予想していたことなので何度かフル加速しながらEVCで調整して1.3kに収まるよう再セッティング
しました。 ブーストも安定しており、オーバーシュートやハンチングの発生も一切ありません。
それで実際の走行感ですが、他の人のインプレでは「タービンの回りが早くなった」とか「低速からトルク
が上がった」などの声も聞かれるのですが、私の場合は普段街乗りで使っている回転域での大きな変化は
感じられません。 たしかに一定の過給圧に達するまでの回転数は今までより300rpm〜500rpm弱ほど
早くなった印象はありますし、ターボのインターセプトポイント(フルブーストに達する回転数)も若干
早くなった感じはします。 ですが、体感的トルクにはそれほど大きな変化はなく、非過給域から明らかに
変わったとか、以前よりずっと下からターボが効くようになったとか、低回転でのトルクが太ったとかの
劇的な変化はありませんでした。 これについてはちょっぴり期待外れという感じでしょうかね。 ただ
トルクの立ち上がりやアクセルレスポンスは以前よりスムーズになって乗りやすくなった感はあります。
また、2速、3速、4速でのフルブーストかかってからの加速や回転の速さ、伸び感というのは今までより
確実に速くなったような感じはしますので、排気効率は間違いなく良くなっていると思います。
<高速での連続全開セッティングとインプレッション>
やはりこのターボアウトレットがその真価を発揮するのは高速での高いギアでひっぱったときの高回転での
伸びのよさにありますね。 これは明らかに今までと違います。
高速に乗って3速全開→4速全開→5速全開と繋いでいくとき、8000rpmを超えてレッドゾーンギリギリまで
しっかりとパワーがついてくるような感じですごく気持ちよくパワーと回転、そしてフィーリングがいいです。
「ただ回っている」というのではなく「力強く一気に回る」という感じでパワー感がトップエンド近くまで
持続していく感じで加速していきます。 なんというか、今までは7200rpmあたりでパワーカーブのピークを
感じていたものが、そこからもうひと山ピークが続くというかそんな感じでパワーが高回転までしっかり持続
していくという感じです。 このアウトレット装着によりワークスRカムとHT07-A/R12ハイフロータービン
の性能がよりいっそう活かせるという感じですね。このあたりの相性はバッチリです。
●BLITZパワーメーターiDによる馬力のピークホールド

↑どうですか、見事に過去最高のパワー数値を記録しました! しかもこの日は向い風が強く5速では
7000rpm程度までしか引っ張れなかったのにもかかわらずです。 もちろん、この数字の絶対値そのもの
はオーバーすぎるので信用できませんので、あくまでも今までとの相対比較という意味で見てください。
前回の12ホールインジェクター交換時に記録した「175PS」から比べても一気に12PS!もアップして
います。 そのときと同じブースト圧(1.3kgf/cm^2)で、気温もとくに低いという日でもなく(だいたい
10度くらいはあった)セッティングもとくに大きな変更なしでこれだけ大幅に数値がアップしたわけです
から、今回のこのトライフォースのアウトレットパイプのパワーアップ効果は認めざるをえないでしょう。
非常に素晴らしいパフォーマンスアップパーツと言えます。
●排気温度

↑排気温度も今までと変わらずMAX860度で安定しています。 パワーだけを追求すればもう少し上げて
もいいのですが、高速での連続全開走行を考えるとK6Aエンジンでは安全マージンの意味でこのくらいに
抑えておくのがエンジンに過度な負担をかけずにストリートで長く乗るためにはちょうどいいあたりだと
思いますので。 ほんの5馬力、10馬力程度のパワーばかり追求してエンジンブローさせたら意味ありま
せんからね。 長く乗りたいならほどほどで抑えておくのが賢明だと思います。
ちなみにスパークプラグですが、今回はこのアウトレットでのはじめての全開走行ということもあり、より
信頼性を重視してスズキスポーツのGTiスパークではなく、DENSOのイリジウムレーシングIXU01-27を
使用しました。 なんか私のエンジンにはNGKよりデンソーのプラグのほうが全体に相性がいい感じです。
●総評

今回のこのトライフォース社製ターボアウトレットパイプの実売価格はだいたい25000円から27000円
となっていますが、今回の私の感じた印象では充分にコストパフォーマンスの高い製品であると言えます。
もちろん、組み合わせるエンジンの仕様、タービンの種類、吸排気系のパーツの組み合わせによってその
効果は千差万別だと思いますのでその「満足度のお約束」はできないのですが、買って損の少ないパーツだ
とは思います。 ひとつアドバイスとしては、上記でも書きましたようにこのパーツの真価は高回転での
パワーの伸びにありますので、たとえばより低回転トルクが増えるとか、タービンがより低回転から過給
がかかって街乗りやオフロードでの扱いやすさが劇的によくなるとかの過度な期待はしないほうがいいです。
もちろん、低回転からのトルクの向上も若干は体感できますが、それはあまり期待しているほどではない
と思ってください。 どちらかというと中〜高回転域でのパワーアップ効果のほうが主たるメリットです。
私のように高速で飛ばす人は別として、ノーマルタービンで低速競技のクロスカントリー走行がメインで
あればむしろノーマルのアウトレットのほうがマイルドで扱いやすいかもしれません。
●装着についてのアドバイス
これは取り付けがスムーズにできるかどうかがDIYでやるうえでの難関ですね。 ボルトが折れずに素直に
外れてくれればほんと楽な作業ですが、今回のケースのようにボルトが折れると一気に厄介な作業になって
しまいます。 自信のない方は信頼できるプロショップに任せたほうが安心かもしれません。 あるいは
タービン交換作業時にいっしょにやってしまったほうがいいかと思います。
サーモバンデージを巻くかどうかについては、理屈の上では巻いて保温したほうがより低回転から排気の
流速が上がりますから低中速域でのトルクの向上に繋がるはずです。 ただそれが体感できるレベルほど
のものかどうかは別ですが。 あとはもちろんエンジンルームの熱害の防止にもなります。
●おまけ <ターボアウトレットパイプは「分離集合型」と「一体型」どちらが優れているのか>
市販のターボアウトレットパイプには大きくわけて3種類あります。 ひとつは今回のトライフォース
のものや純正と同じタービンホイールからの通路とウェイストゲートからの通路が一体になったタイプ。
もうひとつは、タービンホイールからの通路とウエイストゲートからの通路を分離して導き、途中で
合流集合させているタイプ。 そしてもうひとつがウェイストゲートからの排気を合流させることなく
そのまま大気開放する、いわゆるウェイストゲーターと呼ばれる下の図のタイプです。

↑性能的にはこのように完全分離して大気開放というのが一番効率は高いのですが、この大気開放は騒音
および排ガス規制をクリアーできませんのでストリート限定で言えば「違法」ですので今回は省略します。
●そうなると現実的には「一体型」と「分離集合型」の2種類になります。
パッと見ると分離集合タイプのほうが高級そうで、性能も良さそうに見えます。 たしかに今から
10年〜15年ほど前はこの分離集合のほうが良いと考えられていた時期もありましたが、現在では
一体型のほうが高性能であるという考えが主流です。 私も一体型のほうを支持します。
今回のトライフォースカンパニー製のターボアウトレットパイプもこの一体型です。
↑一体タイプと分離集合タイプの特徴です。
昔は分離して集合したほうがエキマニ(タコアシ)などと同じ理屈で排気の流れが引っ張られる効果
(イジェクター効果やアスピレーター効果)によって効率が良いと考えていた人もいましたが、エキマニ
の場合は各シリンダーからの排気が「時間差をおいて流れる」からこそその効果が発揮できるのであって
アウトレットパイプの場合はタービンホイールからの排気ガスとウェイストゲート(スイングバルブ)
からの排気が「同時にぶつかる」ため、かえって排気干渉を生み、それが抵抗となってとくにウェイスト
ゲートからの排気が邪魔をされてしまい、オーバーシュートなどブーストが上がりすぎてしまったり、
ハンチングなどとくにハイブースト時の安定性に欠けるという欠点があるのです。

↑(例)ビルワークス製ターボアウトレットパイプ。 これは分離集合型ですが、見るからにメインパイプ
に対してバイパスパイプの接合角度が悪く、明らかに排気干渉を起こし効率は最悪です。
私としてはこの分離集合型は製作に手間がかかるわりにははっきり言って性能的に意味はまったくない
と考えています。 ターボアウトレットパイプはもっともシンプルな一体タイプのほうが無難です。