HKSスーパーパワーフローリローデッドの乾式3層フィルターのテスト

湿式2層フィルターと比べて「実際、吸入抵抗がどの程度大きくなるのか?」を実走テストしてみました


↑HKS純正「乾式3層フィルター」にしてみた私のパワーフロー。

 

●私のジムニーは今年に入ってからエアクリーナーをHKSパワーフローリローデッド改にして、

フィルター材は基本はHKS純正の湿式2層フィルターを使用、たまに「勝負フィルター」として

デイトナのターボフィルターを改造した目の粗い「超低抵抗フィルター」を使用してきました。

<参考> →スペシャルハイブリッドHKSスーパーパワーフローリローデッドの製作

<参考> →HKSスーパーパワーフロー超低抵抗「勝負フィルター」の製作

 

これらは「吸気抵抗(サクション抵抗)低減最優先」を目的としていろいろテストしてきたわけです

が、今回は逆に現在の主流となって販売されている乾式3層フィルターに替えてみたらエンジン特性や

最高速、パワーなどがどう変化するのかを試してみようと思いました。


吸気抵抗低減優先なら「湿式2層フィルター」、集塵能力優先なら「乾式3層フィルター」

↑これはHKSのデータですが、見てのように新品時は湿式2層フィルターのほうが乾式3層フィルター

よりも吸気抵抗は少ないです。 逆に、集塵を重ねてフィルターが汚れてくると逆転して乾式3層

フィルターのほうが吸気抵抗が少なくなります。これはつまり、湿式2層よりも乾式3層のほうが

フィルターのライフサイクルが長いことを示しています。 と、同時に目が粗くてザルだと言われて

いる湿式2層フィルターもそれなりに集塵性能はあることも証明しています。

 

↑次に、集塵能力という点では湿式2層フィルターが71.1%なのに対して、乾式3層フィルターは

それを50%も上回る96.3%もの集塵能力があり、この数値は自動車メーカー純正エアフィルターの

99.5%に迫る高い数値で、オフロードでも安心して使えるほどのレベルとなっています。 つまり、

湿式2層より乾式3層のほうが「クリーンでエンジンに優しい」と言えるわけですが、集塵性能が

高いぶん吸気抵抗が若干増加するのは物理的に避けられないので、厳密に言えば乾式3層は湿式2層

に比べて最高出力では絶対にパワーダウンするはずです。 そこで今回は実際にそれがどの程度

「体感できるものなのか」に興味があり、試してみようと考えたわけです。


用意したHKS純正乾式3層フィルター

↑現在はほとんどのカー用品店では乾式3層フィルターをメインに置いてあり、入手は容易です。 逆に

湿式2層フィルターを探すほうが難儀します。 私の近所でもオートバックスやイエローハットでは乾式

3層フィルターしか置いてません。 唯一ジェームスだけが湿式2層を置いていました。

↑上が湿式2層、下が乾式3層。 乾式3層フィルターは表面の粗いスポンジ(HR13相当)と内側の

やや細かいスポンジ(HR20相当)の間にさらに細かい目のスポンジをサンドイッチしてあり、そこで

非常に微細なダストを捕らえて濾過するような構造になっています。しかし、逆にこの目の細かい層が

吸気抵抗を大きくしてしまっていることも事実です。 ちなみに、現在はこのグリーンカラーは乾式

3層フィルターのみで、湿式2層にはグリーン色はなくなりました。

 

乾式3層スーパーフィルターの組み込みと車への装着

↑シワの出ないよう丁寧に乾式3層フィルタースポンジを装着します。

↑あとは元通りに組み込み、これで乾式3層フィルター仕様になりました。


実走行でのインプレッション

SFC-MULTIでのセッティングは一切変えずにまずは街乗りの通常走行と、3速あたりまでレッドゾーン

まで引っぱった全開加速を何度か試しましたが、通常走行では湿式2層フィルターとの違いはほとんど

感じませんが、フルブーストをかけた全開加速では5000rpm以上で「若干、吹けが鈍いかな…」という

気がしないでもありません。とは言え、ほぼプラシーボの範囲ですけどね。 ブーストの立ち上がりや

インターセプトポイントもとくに変化はありません。 エアクリーナーを通して聞こえてくる吸気音も

あまり変化はありませんが、バックタービン音は少し静かになった気がします。総じて街乗り領域程度

では思っていたほど湿式2層に対してのマイナスのイメージは感じませんでした。

 

高速での全開アタックでのインプレッションとデータ

高速の4速、5速での全開フルスロットル加速では、やはりトップエンド付近になると「ごく僅かながら

伸びの悪さを感じるかな…」という印象があります。ですが、それは8000rpm以上での領域の話で、

きちんとレッドゾーンまで回りますし、4速でも踏み切れば9000rpmのレブリミッターに当たるまで

きっちりと回ってくれますので、大きな不満はありません。 設定ブースト圧にも変化はありませんし、

排気温度のピーク値も860度で今までと変わりません。 ですが、5速全開の最高速に近い限界領域に

なると乾式3層フィルターではやはり湿式2層より抵抗が大きいのか、やや体感的な不満が出てきます。

 

↑パワーメーターiDの馬力のピークホールド。 今までの250PSオーバーからはちょっと下がりました

が、これをそのままパワーダウンと捉えていいのか、ホイールスピンの誤差程度の範囲と捉えていいのか

は微妙だと言えますが、数値が下がることは予想していたことなので、まぁ、妥当な線でしょう。

 

↑こちらは同じくトップスピードのピークホールド。 なんとかギリギリ200km/hまで届きましたが、

これはたまたま好条件のおかげですね。 確認のために何度か同じ場所でアタックしましたが、200km/h

に達したのはこの1度だけで、平均すると195km/hから197km/hあたりが精一杯かなぁ、というところ

でした。 やはり乾式3層フィルターは湿式2層フィルターに比べて若干ですが吸気抵抗は大きくなるよう

で、湿式2層タイプのフィルターや、ましてや「超低抵抗勝負フィルター」に比べれば最高速は5km/h以上

は確実に低下したという感じですね。これは馬力に換算すると約13PSのダウンに相当します。そう考える

とエアフィルターの吸気抵抗だけでかなり馬力に差が出るものだなとあらためて考えさせられます。

やはり「乾式3層フィルターは確実に湿式2層フィルターよりもパワーダウンする」と結論付けて

間違いないと思います。


HKSスーパーフィルターまとめ

たしかに乾式3層フィルターは集塵濾過性能が高いためエンジンには優しいので、一般に使うぶんには

こちらのほうがオススメはできます。 ですが、少しでもパワーが欲しい!と考えるならばやはり

湿式2層フィルターのほうに分があります。私としては、やはり「湿式2層フィルター派」ですかね。

なお、注意していただきたいのは、チューニングショップで「現車合わせセッティング」をおこなって

いる車の場合、そのセッティング時に使ったフィルターと同じフィルターを使わないと、最悪はエンジン

にダメージを与えてエンジンブローに繋がる恐れがあるので注意してください。たとえば、セッティング

時に乾式3層フィルターを使ったのに、その後、湿式2層フィルターに変えたりすると、吸気抵抗が少なく

なって空燃比(A/F比)が薄くなってしまい、とくにハイブーストのターボエンジンでは燃焼温度の上昇、

排気温度の上昇などでエンジントラブルの元になりかねませんので。交換するフィルターはセッティング

時と同じものを使うようにしてください。 逆に、現車合わせじゃない吊るしのチューニングECUの場合

は一般にはこの程度の吸気抵抗の差によるマージンは充分見込んでいるはずですので、どちらのフィルター

を使っても問題なく対応できると考えて良いでしょう(むき出しエアフィルター対応のECUの場合)。

 

エアフロメーターのセンサーの汚れにも注意

とくに湿式2層フィルターは目が粗いため、微細なダストを通してしまうので、これがアクセルオフ時に

吹き返したブローバイガスのオイルミストなどと混ざり、エアフロメーターのホットワイヤーセンサーを

汚損する原因になりますので、定期的なセンサーの洗浄が欠かせません。 ですので、エアフロメーター

装着車は乾式3層フィルターのほうが適しているかもしれませんね。 もっとも、これはF6Aエンジンや

K6Aエンジンは圧力センサー式なので関係ありませんが。 なお、以前にも書きましたが、湿式パワー

フローに含浸されているクリーナーオイルが原因でエアフロセンサーがトラブルを起こすことはありま

せん。 エアフロセンサーを汚す主原因はあくまでも吹き返しによるブローバイガスに含まれるオイル

によるものです。 ましてや、現在のオイル含浸量(塗布量)が減らされた湿式パワーフローフィルター

ではありえない話です。 ただ、フィルターを通過した微細なゴミがエアフロのセンサーを汚す一因に

なっていることは否定できませんが。

 

↑HKS純正乾式3層フィルターと湿式2層フィルター。 どっちにも優劣があるのでどちらを選択すべきか

悩むところですよね。だからこそHKSも両方をラインナップしているのでしょう。

 

なお、ヤフオク等ではあいかわらず「偽物のパワーフロー本体および交換用フィルター」が出回っています

ので、購入は実店舗で「本物」を購入されるか、インターネットで購入する場合でもオークションではなく

ヤフーストアなどで「HKS純正品であることを確認して」購入することをオススメします。

<参考> →HKSスーパーパワーフローリローデッドの偽物と本物の比較

 

エアクリーナーのフィルターひとつでもけっこう違いがわかると言うのも、エンジンパワーを使い切る

ことができる軽自動車ならではという感じで、なかなか良い実験台になるとともに勉強になりますね。


結論としては

「パワー優先なら湿式2層フィルターを。エンジン保護優先なら乾式3層フィルターを」となると

思います。 私も今回両者の違いを試して実感しましたが、この違いを例の最高速度と馬力の関係の計算

から具体的な馬力の数値にして比較すると「超低抵抗フィルター→HKS純正湿式2層フィルターで約5.3PS

のダウン、さらにHKS純正湿式2層フィルター→HKS純正乾式3層フィルターで約7.7PSのダウン」という

結果になります。 この違いを大きいと取るか僅かな違いと取るかは微妙なところですが、最高速度にさえ

こだわらなければよりエンジンに優しい乾式3層フィルターのほうが一般的には安心して長く使えるので

良いかと思います。 実際、HKSの湿式2層フィルターはけっこう細かい砂塵を通してしまうんですよね。

これが5万キロ、10万キロと走ったときにエンジンの摩耗などに影響が出てくるのではないかという気が

しないでもありませんので。 私も今後、湿式2層フィルターを使い続けるか、乾式3層フィルターにする

か正直、迷っています。

<参考> →私のJA22ジムニーの最高速度と必要馬力の関係を机上計算してみた

 

↑2万kmや3万kmごとにエンジンをオーバーホールするような人ならともかく、そのエンジンの一生を

オーバーホールなしで末長く使いたい人には純正並に集塵性能に優れた「乾式3層フィルター」のほうを

オススメいたします。 ただし、多少吸入抵抗(圧力損失)によるパワーロスが湿式2層フィルターに

比べて大きいのには目を瞑る必要があります。 とくに、ジムニーなどでオフロードを走る人は絶対に

乾式3層フィルターを使ってください。蛇足ですが、トラストのエアインクスBタイプもかなりフィルター

の目が粗い「ザル」ですので、オフロードやダート走行での使用は絶対に避けるべきでしょう。

 

結局、また湿式2層フィルターに戻しました

↑乾式3層フィルターにして2週間ほど乗りましたが、やはり高速域での不満に我慢できず、結局また

湿式2層フィルターに戻しました。私には…というか私のワークスRカムとスペシャルHT-07-A/R12

タービンによって、とくに5000rpmから上の高回転パワー重視にチューニングしたK6Aエンジンには

こっちのフィルターのほうがエンジンの性能、持ち味を引き出せるので合っているようですので。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~