沿面レーシングプラグの消耗
プラグの消耗状態についてです。
●沿面レーシングプラグ、R2349-9の約6000km走行しての電極の状態です。

↑左から1番、2番、3番シリンダーのものです。
気筒間のバラツキはほとんどなく、電極の角の消耗もほとんど認められません。
ただ、熱価のマッチングについては、高速メインであればこれでちょうどいい感じですが、街乗り
メインの燃焼温度が低めの使用が多い使用状態では、正直なところもう1番手低いほうがマッチング
は良さそうな気がします。
くり返しになりますが、プラグの焼け具合というのは燃調を見るものではありません。 あくまで
現在のそのエンジンの燃焼温度に対して、電極の冷却(放熱具合)が適正かどうかを見るものです。
これは一例ですが、現在の電子制御インジェクションのエンジンは、いわゆるフィードバック領域
ではO2センサーによって理想空燃比とされる14.7:1程度に自動的に補正されています。
街乗りではよほどバカみたいにアクセルを踏み込んでいない限り(ECUがフィードバック領域外
のマップに移行する要素は、アクセル開度、エンジン回転数、ブースト圧のいずれか、あるいは複数
の要素によっておこなわれます。 また、暖機運転時などの水温、吸気温でも補正されます)は
ほとんどはこの領域で使用しているわけですので、空燃比が云々ではなく、エンジンの燃焼によって
発生する熱量に対してプラグの放熱具合が合っているかどうかということが大切なのです。
極端な言い方をすると、同程度のパワー、即ち熱量を発生する異なるエンジンで比較した場合、
ヘッドまわりの冷却の設計が良いエンジンほど、それだけプラグからの熱を奪いやすいので、より
熱価の低いプラグを使えるということになります。
よく「薄いキツネ色」が良いと言われることがありますが、このキツネ色というのは有鉛ガソリン
時代の名残りであり、現在の無鉛ガソリンの場合はだいたい電極自体は白っぽくなるのが普通です。
もし、電極に妙な色がつくような場合は、不純物の多いガソリンの使用か、あるいはオイル下がりや
オイル上がりによって燃焼室内でオイルが一緒に燃えている可能性があります。
以前に使用していたDENSOのプラグでは24番(NGK8番相当)で、この時はもうちょっと高い
くらいがちょうどマッチするかと感じていたので、この中間くらいがあればオールマイティなの
かも知れません。 ですがこのプラグは9番がもっとも低いので選択肢がないのが残念ですが。
●写真でもわかりますが、電極部のカーボンのつき方には規則性があり、流れが一方に偏っている
ことがわかります。
このことは即ち、圧縮および燃焼行程において混合気に縦方向の渦、いわゆるタンブル流が発生して
いることの証しでもあります。 これはペントルーフ型燃焼室にとっては重要なことで、これが
しっかりできていないと燃焼速度が低下してしまうので、ノッキングなどの原因になります。
2バルブエンジンではバルブ位置の関係で入ってきた吸気が燃焼室の外周にそって横方向の渦、
いわゆるスワール流が起きやすいのでそれを利用することになりますが、4バルブエンジンは2つ
の吸気バルブから同時に吸入することからこの横方向の渦は発生しにくいので、縦方向の渦、
タンブル流をうまく発生させることが必要になります。
これはバルブ挟み角やポートの角度などで大きく変わるので、そのエンジンの基本設計によって
決まってしまう重要な要素でもあります。
最近のエンジンはこのへんの要素もかなり詰められて設計されているため、下手にポート研磨など
で形状や径を変更すると、こうした燃焼室内でおきるタンブル流の形成に悪影響を与えることに
なり、そうすると急速燃焼できなくなることもあり、ノッキングの発生原因になることがあるので
加工をするときには慎重に検討しておこなう必要があります。