スパークプラグ交換の続きとインデクシングについて

リベンジというわけでもありませんがまた新たなIXU01-27に交換


●またスパークプラグの交換をしました。

前回の交換では購入したイリジウム-レーシングIXU01-27が「ハズレ」品で泣きをみましたが

今回は大丈夫であってほしいという願いも込めて懲りずに同じ点火プラグを再度購入です。

本当ならハズレの1本だけを買い直せばいいのでしょうが、どうも前セットは「縁起が悪い」と

いう気がして結局、3本すべてを新たに買い直しました。

◆詳しくは前回のプラグ交換の記事を見てください →スパークプラグ交換(トラブル編)

 

↑DENSOイリジウム-レーシングプラグIXU01-27。(画像は前回の使い回しです)

ネジ部φ12mm×19mm。

0.4φイリジウム中心電極、0.8mm角プラチナ側方電極、点火ギャップ0.6mm。

VXU24がギャップ0.9mm、R2349-9がギャップ約1.3mmなのに対してこのレーシング

は0.6mmと狭めです。 通常は点火エネルギーが充分であればギャップは広いほうが

有利なのですが、レーシングプラグがあえて狭いギャップなのは、その使用用途から

考えて、濃い空燃比、高圧縮、さらにハイブーストと点火にとって厳しい条件で使用され

ることを想定し、そうした悪条件下でもミスファイア(失火)しないようにギリギリの

ギャップに設定しているものと思います。

ちなみに最近の純正プラグではギャップ1.1mmというのが主流になっているようです。

それに比べると0.6mmというのはずいぶん狭いなぁ、と感じますね。


●交換しました。

↑JA22はインタークーラーはそのままでもインテークパイプだけちょっとずらせばプラグ交換は

可能です。 プラグ交換だけなら5分もあればできます。

なお、このIXU01レーシングプラグは先端のターミナルのネジがはじめはしっかり締まってない

ので(おそらくオートバイで使用することを想定して外せるようになっているのだと思います)

つける前にターミナルをしっかりと締めておくことを忘れずに。


●交換後のインプレッション

今回は前回のようなハズレでないことを願いながらエンジンをかけ、しばらく走って充分温度が

上がったところでアイドリングを観察しましたが、今度はきちんと負圧が-450mmHg前後を指し、

また、回転がバラつくようなこともなくちゃんと安定しています。 今回は何も問題ないようで

大成功です(というかこれが当然なのですが)。

そして走りはじめてすぐに実感できたのは、低回転域からのトルクの立ち上がりの良さです。

アクセルを軽く踏んだだけで今までよりもより車が軽くなったように感じられます。 本来は

レーシングプラグはこういった領域は苦手なはずなのですが、少なくとも私が体感したところ

では、たとえば2000rpm前後とかのトルクの「粘り」が以前よりもあり、かなり乗りやすく

なったと感じました。 プラグだけでもけっこう変わるものなんだなという気がします。

もちろんアイドリングでもカブる、くすぶるなんてことは一切なく、レーシングプラグだからと

言って特別なことは何もありません。 一般プラグと同じに使えます。

とにかく前回のインプレッションとはまるで違って良好な印象です。 もっともこれが本来の

性能なのでしょうけども。

 

●点火プラグを換えたこともあり、高回転でのフィーリングを確かめる意味で5速7000rpm程度

まで回してみました。

↑パワーメーターの表示。 気温は25度くらいでしたのでけっこういい数値だと思います。

今までノーマルエンジンでブースト1.5kかけてたときとほぼ同等の数値が今はブースト1.3k

で得られる感じです。 エンジン本体の組み直し+ファインチューン+ワークスRカムの効果

でしょう。

回転数的にはまだ回りそうですがそれはもう少し走行距離が伸びてからにします。 とにかく

今年の夏は暑い日が続き過ぎてとくに8月はほとんど慣らしといえる走りができなかったので

思ったように走行距離が伸ばせなかったのです。

プラグ交換後のフィーリング、パワー感も良好で、こういった限界に近い領域での安心感を

与えてくれるのがレーシングプラグです。 今回は大成功と言えるでしょう。


●プラグ交換時の留意点について

厳密に言えばですが、プラグ電極の形状、突出し量、ギャップ等の条件の違いによっては点火時期

にして2度〜4度ほど変化したのと同じくらい変わるケースもあるらしいので、ギリギリまで詰めた

セッティングをおこなっている場合は「プラグを変えたらノッキングが起きるようになった」等の

症状が出る可能性はありますので、こういう場合は点火時期の再セッティングが必要になります。

逆に言うと、セッティングが決まった後にプラグの種類を変えるのはあまり良くない(同じ種類の

プラグで番手を変える程度は問題ないが、ギャップや電極形状の違うものと変えるのは控えたほう

がいい)とも言えます。

とはいえ、これはあくまでも理屈の上の話で、通常のストリートチューンではそこまで追い詰めた

セッティングはしないとは思いますのであまり気にする必要はないかと思いますが。

 

●プラグギャップについて

最近のプラグ、とくにイリジウムやプラチナプラグはギャップ調整が不要か、あるいは

おこなってはいけないとなっているものが多くなっています。

ですが、基本的にギャップは広いほうが電極間でより強いスパークが形成でき、火炎核が

大きくできますので、点火エネルギーが許す範囲でギャップは拡げたほうがメリットはあり

ます。 たとえば、点火コイルを高性能なものにしたり、CDIをつけたり、電圧を昇圧させる

ような装置をつけたりして点火エネルギーを大きくするチューニングした場合は、プラグの

ギャップも拡げたほうがメリットが大きくなることがあります。

もちろん拡げ過ぎるとミスファイヤーしますので、このへんは試行錯誤して最適なギャップを

探るしかありません。

しかし、今回のIXU01のようなスラントタイプのプラチナ接地電極を持つタイプのプラグは

ギャップ調整は不可ですからおこなってはいけません。強引におこなおうとすると電極が折れ

たり、電極強度が低下してそれこそトラブルの元になりますので、電極には一切触らないよう

にしましょう。


<参考> プラグの外側電極(接地電極)の向きの「インデクシング」について

沿面プラグを除き、フック型の接地電極(側方電極)のプラグでは、よく接地電極の向きを

揃えたほうがいいと言われています。 俗に「インデクシング」などと呼ばれています。

 

では、具体的に接地電極をどの方向に向けたら理想的なのかというと、これには諸説あって

人により様々です。 しかし私個人的には、4バルブエンジンの場合は吸気バルブ側にL字の

開いているほうを向けることが理にかなっていると思います。

これには2つの理由があり、まず電極間になるべく混合気を招き入れやすくすることがひとつ、

もうひとつは、点火され燃焼する混合気はプラグの中心から全周に渡って均等な速度で燃える

わけではなく、温度の高い排気側のほうが速く、吸気側のほうが遅いという現象がおきます。

つまり、電極の解放されている側を吸気側に向けることで少しでも吸気側の燃焼を広がり

やすくしてやり、逆に、排気側は接地電極の背がちょうどいい抵抗になることで吸気側より

遅くしてやることで、結果としてプラグを中心としてできるだけ燃焼室全周に均一な速度で

燃焼が広がるようにという考えです。

燃焼速度に片寄りがあると、既に燃焼した部分の圧力がまだ未燃焼の部分を圧縮し、そこで

ノッキングが発生する危険があるためです。これは主に吸気側で起きます。

これらの理由から私は「開放側を吸気バルブに向けたほうが理想的」と考えます。

なお、2バルブエンジンの場合はプラグが燃焼室の中心にはありませんので、これは推測です

が、電極の開放側を燃焼室の中心に向けるのが理想なのではないかと思います。

↑2008年の自動車技術展でのNGKの資料です。 プラグメーカーも電極の向きがエンジン性能に

影響を与えることを認めています。 ただし、これはあくまでも「直噴(筒内噴射)エンジン」

に対してのデータであり、従来のポート噴射インジェクションには当てはまりません。

直噴エンジンはインジェクターから噴射されたガソリンがもろに方向性をもってプラグに関係し

てくることと、ポート噴射のエンジンに比べ軽負荷域ではリーン(希釈)空燃比で運転される

領域が広く火がつきにくくなるため、プラグギャップになるべく濃い混合気を招き入れる必要が

あることから、このような限定された条件下では僅かながらもこういった影響が出るのでしょう。

つまりこれは主に希薄空燃比時における燃費性能への影響であり、理論空燃比時やそれより濃い

空燃比(A/F)下で運転される加速時とか最大出力時のパワーとかトルクには関係ありません。

 

●では実際のインデクシングによる効果はどうなのか

チューニングショップなどでもこの電極の向きを揃えることを勧めたりしているところもある

ようですが、私はそれはほとんど意味はないと考えています。

私自身も過去にバイクでも車でも騙されたと思って2回ほどインデクシングを試みていますが

結局、体感できるような変化はありませんでした。

同じことを長い経験のある車のチューナーやバイクレースのチューナーにも聞いてみましたが

同様に「変わらない」と言っていました。

とくに、車よりずっとレスポンスが良くこういった微妙な効果のわかりやすいはずのオートバイ

のエンジンでも「レースではとりあえず電極の向きは合わせるけど、それはバラバラなよりは

揃っていたほうが理想だからであって、それによって体感できるような効果を期待しているわけ

ではないし、実際のところ体感でもとくに変化は感じられず、またダイナパックでテストしても

中間域、最高出力ともに誤差の範囲でしか変わらず変化を確認できなかった」との意見でした。

 

しかし私はだからといってインデクシングを全否定するわけではありません。たとえ効果はなく

てもバラついているよりは揃っていたほうが機械として理想なのは間違いないと思いますので。

しかし、それ以前に市販のエンジンではポート形状や燃焼室の形状は鋳物肌のままであり、それ

自体がかなりバラついているわけです。 このバラつきは当然、燃焼室内の混合気の流れのバラ

つきとなってあらわれます。 要するに、燃焼室内での混合気の流れそのものがバラついている

以上、プラグの電極の向きを合わせても全シリンダーで同じ条件にはならないというわけです。

本格的なレーシングエンジンのように燃焼室もポートもNC加工で1/100mm単位の精度でバラ

つきなく出来ているのならまだしも、市販のエンジンベースのチューニングでは燃焼室やポート

を研磨するのだって手作業でおこなうわけで、それがさらにバラつきを大きくすることにもなり

ます。 その状態でプラグの電極の向きだけを合わせたところでエンジン本体の各シリンダーの

寸法、形状条件のバラつきのほうがよほど大きいわけですから、ほとんど無意味なわけです。

さらに、前述しましたように「では、電極をどの方向に向けたら良いのか」というごく基本的な

ことについてさえ人によってバラバラなわけです。 正直なところ、点火直前(たとえば上死点

前30度)の燃焼室内のガス流動がどうなっているかなんて自動車メーカーでさえまだ100%は

解明できていないのです。

もちろんコンピューターシミュレーションである程度解析できますが、それとて4バルブエンジン

の場合、タンブル流が圧縮されていく過程で無数の細かい渦になりそこにさらにスキッシュエリア

による流れが加わりさらに流れがかき乱されていくらしいということしかわかっていません。

ましてや、それが製造誤差によって各シリンダーでどの程度バラついているのかなんてところまで

は管理できません。 要するに実際は「誰も解っていない」のがインデクシングの実態なのです。

だからこそ、人によって電極方向に対する理論がバラバラなわけです。 言い方を変えると、人に

よって理論が違うということはその理論そのものがすでに破綻していると言えるわけで「どれもが

正解とも言え、どれもが間違っているとも言える」ということになります。

以上が現在おこなわれている接地電極の向きを揃える「インデクシング」の現状でしょう。

 

また、このインデクシングをおこなうためにプラグの座面に専用の薄いワッシャー(シム)を噛ま

せて電極の向きを揃える場合がありますが、この方法は現実には無意味などころか、むしろそれに

よって生じる気筒間の圧縮比のバラツキやプラグの電極位置(高さ)のバラツキのほうがエンジン

にとっては害になります。 プラグの座面にシムを挟む方法は正しくありません。

最近の純正プラグがプロジェクションタイプ(突き出しタイプ)になって着火性能を向上させてい

ることからもわかるように、プラグの電極高さは非常に重要であり、それをバラつかせることの

ほうが接地電極の向きをバラつかせるよりずっと点火性能に悪影響が出ます。

シムを入れて接地電極の向きを合わせることよりも電極高さを合わせるほうがずっと重要なのです。

ですのでインデクシングをおこなうとしたら方法はただひとつ、多数のプラグの中から規定トルク

で締めたときに理想に近い方向を向く個体を選ぶことです。 決して向きを合わせるためにトルク

を加減するようなことはしてはいけません。 締めつけトルクが弱ければ燃焼時にガスもれします

(燃焼時の圧力はターボエンジンでは100kg/cm^2を超えますので、たとえプラグのガスケットが

新品であっても少し締めつけが弱いだけで容易にガス漏れします。 場合によっては炎が吹き出し、

最悪は車両火災に繋がり非常に危険です)し、次第にプラグが緩んできてしまいます。

逆に締めつけトルクが強すぎればヘッドのネジ山を傷めます。 実際、前述したバイクのレース屋

さんでもインデクシングはそのように多数のプラグの中から選んでできるだけ向きを揃える方法で

おこなっているとのことです。

 

●インデクシングのまとめ

結論としてインデクシングについての私の見解は「できるだけ揃っていたほうがもちろん理想的

ではあるが、それが数値にあらわれるような性能への影響まではない」というものです。

これらの理由から現状では私はプラグの接地電極の向きなど意識することなく普通に規定トルク

(あるいは規定の角度)で締めつければ充分というかそれがベストだと考えます。

もし、それでも気になってしかたがないのであれば、私のように沿面プラグでも使用してみては

いかがでしょうか。 沿面プラグであれば電極の向きなど一切関係ありませんので。

ただし、沿面プラグは熱価も高く、かなりの高回転やパワーを出して使用するエンジンでないと

その性能は活かせないと思いますが。

ちなみに「多極プラグ(接地電極が2極や4極のプラグ)」なんてものもありますが、これも現在

の高性能エンジンではほとんど意味がありません。 昔ならカブりにくくなるとか、寿命が長く

なるといったメリットもあったでしょうが、現在ではECUによりエンジンのマネージメントが進化

したので冷間時のスタートでカブるなんてことはまずありませんし、プラグの寿命もイリジウム

やプラチナ(白金)プラグの登場で1極でも問題なく長寿命になりましたので。

 

<追記> 2010/9/27

このインデクシングの件について、(株)デンソーに問い合わせてみたところ、返答がきました。

「実際にこの電極の向きを合わせることはホンダの初代インサイトのエンジンで実用化されており、

そのためプラグも専用のものとなっている」そうです。 やはりこれは「燃費最重視」のエンジン

に特化したやり方のようで、インサイトのエンジンは基本的にリーンバーン(希薄燃焼)ですので

この希薄空燃比時に火つきが悪くなるため接地電極の向きをあわせて(電極の開放側を吸気側に

向けて)ミスファイアしないようにしているのでしょう。 もし、この電極の向きを逆にしてしま

うとミスファイアする率が高くなる可能性があるので「力がなくなる→よりアクセルを踏まないと

走らなくなる→燃費の悪化」という図式になるのだと思われます。 また、これも重要な点として

この初代インサイトのエンジンはSOHCの4バルブですが、このためプラグがシリンダーに対して

かなり「斜め」につけられています。 DOHCならプラグはシリンダーに垂直につけられますが、

SOHCの4バルブはロッカーシャフトやカムシャフトが邪魔になってどうしてもプラグを傾けて

つける設計になることが多くなります。このこともより電極の向きが敏感に影響を与える要因に

なっているのではないでしょうか。

ただし、なぜか現行のインサイトではこのインデクシングはおこなわれていないので、現実には

思ったほどの(あるいはかかるコストに見合うほどの)効果は出なかったのかも知れません。

いずれにしてもこのインデクシングはリーンバーンエンジンや直噴エンジンなど、とくに低燃費を

重視したエンジンの「希薄燃焼運転時」において効果の出るもので、一般のエンジンや古いエンジン

での理論空燃比〜パワー空燃比領域ではほとんど効果はなく、少なくとも数値にあらわれるような

パワーとかトルクについては意味のないものと言えると思います。 ただ、フィーリングという面

においては(プラシーボも多分にあるでしょうが)何らかの影響はあるかもしれません。 なので

こだわりたい人はやっても損はないものと思います。

なお、もしインデクシングをおこなう場合の電極の向きについてですが、デンソーの話ではやはり

私の考えの通りで、「接地電極の付け根が吸気バルブに重ならないようにするのがポイント」

いうことでした。

ただ、ここでもやはり電極の高さ(燃焼室への突き出し量)は揃えないと「電極の向きによる変化

なのか突き出し量による変化なのか判別できなくなる」ので、正しいやり方としてはプラグを各気筒

で入れ替えてみたり、多数のプラグから希望の角度に合うプラグを選んでおこなうしかないという

ことでした。 前述したようにシム(ワッシャ)を挟んだりトルクを加減するやり方はNGです。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~