フューエルプレッシャーレギュレータの交換
燃料圧力の変化による効果を期待して。
●インジェクションエンジンはその燃料を噴射するために、通常2kg/cm^2〜3kg/cm^2(+ブースト圧)
程度の圧力が燃料系統にかかっており、これの上限を制御しているのがフューエルレギュレータです。
つまりフューエルポンプの吐出量に余裕がある限り、このフューエルレギュレータの制御圧力を高めて
やることで、同じインジェクターでも多少、噴射量が増えることになります。
このことは従来からよくおこなわれていることで、たとえばF6Aエンジンではノーマルで2.2k程度なので
これをK6Aやエスクードのフューエルレギュレータの交換することで2.5kほどにすることで、そのぶん燃料
の増量がなされるということになります。
しかし、この燃料圧力の増加は単に噴射量が増えるだけでなく、よりインジェクターからの霧化が促進
されるために、その意味でも効果はさらに期待できます。
解りやすく言いますと、霧吹きで霧を吹くときに、ゆっくりと押して弱い圧力をかけるときよりも、早く押す
ことで高い圧力をかけたほうがより細かい霧が出るのと同じことです。
もちろん「過ぎたるは及ばざるがごとし」で、インジェクターにはそれぞれ適した圧力範囲というのがあり
ますし、高すぎる圧力は各部に負担をかけますので、せいぜい0.2k〜0.3k程度のアップがいいと思います。
●というわけで、当然K6Aエンジンでもこれは試す価値ありなのですが、前述した通りK6Aエンジンは元々
2.5kg/cm^2が基準圧なので、交換するとしても調整式を除き、流用でちょうどいいレギュレータがなかなか
見当たりません。 ですので、私もこのパーツには興味はありましたが、今まで手付かずにしていました。
ですが、このページを見てくださったHB21Sワークス(旧規格K6Aエンジン、HT07仕様)のオーナーの方
からV6エスクードのレギュレータに交換したところ、非常に変化があったとのメールをいただきました。
このレギュレータはスズキ純正の15160-77E00なのですが、実はこのレギュレータは私もweb上ですでに
情報は知っていたのですが、それによるとこのエスクード用レギュレータも基準燃圧が2.5kg/cm^2と書かれて
おり、これではK6A純正と同じなので交換しても意味はないと考えて無視していたのです。
ですが、考えてみればこの数値を実際に測ったような記載はなく、もし本当に交換することで効果があった
のならやってみないことはないと考え、論より証拠、私も試してみることにしました。

↑左が私の車についていた純正の燃圧レギュレータ、右が今回購入したエスクード純正の燃圧レギュレータ。
外観寸法はまったく同一です。
純正の品番は15610-73G00、エスクード用は15160-77E00です。 ディーラー購入で5650円。

↑刻印にも「77E0」と刻印されています。
●なにはともあれ、開弁圧を調べてみないといけません。
そこで、下の写真のように圧力計を挟んだ簡易装置をつくり、5kg/cm^2程度のエアーを送り込み、開弁圧を
比べてみました。
なお、ここで重要なのは絶対圧力の数値ではなくあくまでノーマルとの比較です。 ノーマルのレギュレータ
に対してどのくらい差があるのか…を見たいわけです。

●ノーマルレギュレータ

↑ご覧の通りで、約38〜39psi、即ち2.67〜2.74kg/cm^2でした。 比較的高いです。
ちなみに、メーター内部に水が入っているように見えますが、これは針の振れを抑えるためのシリコンオイル
ですのでメーターの故障ではありません。
●V6エスクードレギュレータ

↑指針は40を超えて、約41〜42psi、つまり2.88〜2.95kg/cm^2あります。
このことから、K6A純正のレギュレータからV6エスクード純正のレギュレータに換えると、平均値で
約0.2kg/cm^2ほど燃圧が高くなることがわかりました。
注)ただし燃圧レギュレータには個体差がありますので、同じ品番のものを購入しても、バラツキがあると
思いますのでご留意ください。 これらの数値はあくまで私の車の場合ということです。
要約すると、F6A純正(約2.1〜2.2K)→K6A純正(約2.6〜2.7K)→H25A純正(約2.95K)ということに
なりそうです。 たしかG13Bエンジンのものはもっと高かったような気がしますが…(謎)
●というわけでこれなら交換する価値はあるだろうということで、交換してみることにしました。
しかし、たまたまこの日は首都圏は雪のためにテスト走行もできませんでしたので、今回はここまでです。
走行編については次回の更新にて。
●ここでちょっとインジェクターの話
タービン交換したりしてエンジンに取り込まれる空気量が多くなれば、当然必要とするガソリン量も増え
ますから、インジェクターもノーマルでは足りなくなって、より噴射量の多いインジェクタに換えます。
ですが、いたずらに容量が大きければいいというものではありません。 と言いますのも、インジェクタ
というのは単純なON/OFFで制御されるソレノイドバルブでして、噴射量そのものではなく噴射する時間、
すなわち開弁時間を長くしたり短くしたりすることで結果としてシリンダーに取り込まれるガソリンの量
をコントロールしています。
つまり、容量が多いインジェクタほど、逆に低負荷時などに噴射量を絞るのが苦手になってくるのです。
具体的にいいますと、インジェクタの噴射口の穴は容量の大きいインジェクタほど大きいわけですから、
霧化効率は低下し、ピックアップやレスポンス等に悪影響を与えることがあります。
(一部のレーシングエンジン等で1シリンダーあたりツインインジェクターにしているのはこのためで、
たとえばトータル600ccの噴射量が欲しい場合、600ccのインジェクタ1本よりも300ccのインジェクタ
を2本にしたほうが、霧化効率が高まるために、ピックアップやトルク特性が改善するということです)
つまり、インジェクターはそのエンジンが要求する燃料噴射量を満たしながら、そのなかでもっとも小さい
容量のものを選ぶのが上手な選び方とも言えます。
では具体的にインジェクタの容量はどのように決めたらいいかといいますと、目標とするパワーによって
自然と決まります。
一般にインジェクタの容量の目安とするのにわかりやすいのは6気筒エンジンで、6気筒エンジンの場合は
単純にインジェクタ容量がターゲットパワーになります。 つまり、400ccのインジェクタなら400ps、
550ccのインジェクタなら550psという具合です。
これが4気筒エンジンならこの4/6(つまり2/3)となり、K6Aのような3気筒は単純に1/2となるわけです。
スズキスポーツからは旧規格K6A用としては260cc、新規格K6A用としては290ccと400ccのインジェクタ
が発売されていますがこの例にならって言いますと、ノーマルの230ccで115psまで、260ccで130psまで、
290ccで145psまで、そして400ccで200psまでとなります。
よく「燃料計算」とか言ってインジェクタの噴射量から出力を推測しているのはこの数字によるものです。
もちろん、これはあくまで目安でしかなく、実際には冷却に使用されたりして有効に燃焼に貢献しないぶんも
ありますので、有効な出力になるのは上記数値の90%程度が上限ではないかと思います。
もちろん、最終的に出力やトルク特性に反映されるかどうかはチューナーさんの腕にかかってくるのは言うま
でもありません。