フューエルレギュレータの交換(続き)
燃圧レギュレータを換えた後の変化、変更等々について。
●前回の記事で、燃圧レギュレータを換えたわけですが、その後の実走行においての変化についてです。
●取り付け状態

↑JA22は非常に交換しやすい位置についていまして、手も入りやすく交換は5分あれば充分という感じです。
交換前には燃料ポンプリレーのコネクタを抜いて、エンジンをかけエンストするまで回して、燃料パイプ
内の圧力を抜いておくのを忘れずに。
また、燃料系統をいじるので、火気厳禁はもちろん、できるだけエンジンが冷えているときに行ないます。
●走行してみて
まず、SFC-MULTIのダイアル位置は変えずに走ってみましたが、極端な変化はありません。
暖気を終えて、しばらく走ってECUの学習(空燃比フィードバック)がちゃんと補正するまでは多少濃い感じに
なりますが、それを終えると今までと何らかわりませんね。
元々、とくに不満のあるところもなかったので当然といえば当然なのですが、強いて言えば、中負荷域、つまり
ブーストが立ち上がりかけるところのでのトルク感が大きくなったかなという感じ。 かなり微妙ですけどね。
とりあえず低〜中負荷域での増量が気になるのでそこを若干絞り、あとは1ノッチごとに3速8000rpmちょっと
まで引っぱってくり返し試してみました。
ところで前々から気になっているのは、インジェクタを変更したり燃圧レギュレータを換えたりして全体として
燃料噴射量が変わってしまった場合、O2センサーフィードバックはどこまで補正しきれるのでしょうかね。
私の考えではアイドリングからもっとも街中で実用される中負荷域(せいぜい4000〜5000rpm程度?)まで
はこのO2センサーによる補正がなされてしまうので「ある程度まで」は噴射量が変わっても補正されて、結果と
して実用域では変化が出ないのが当然かと考えています。 これはSFC-MULTIでの補正でも同じことですが。
ですがこの「ある程度まで」というのがよく解らないところで、いくらなんでも極端に大きなインジェクタや
大幅に燃圧を上げた場合などは対応しきれないでしょう。 気になるところです。
このへんはやはりちゃんとした空燃比計をつけて確認してみるしかないってことでしょうね。
と、いうわけでザッと走った感じは以下の通りです。

↑全体に薄くする方向で、今までと同じ感覚になりました。
ただ、排気温度については5速全開で7500rpmあたりまで引っぱってみたところ、以前より大幅に下がって
しまい、最高でも820度ほどにしか上がらなくなりました。 これはちょっと低すぎですね。
たった0.2kの燃圧アップですが、けっこう効いているのか、だいぶ濃くなってしまっているようです。
その後も何度かくり返しましたが、、その変化はかなり微妙でして、自分でも途中でよくわからなくなって
しまいました。 結論としては良くなく悪くもなく…という感じでしょうか。
ただ、パワー感に変化はとくになく、フィーリング的にも以前と比べて大きな違いは出ていません。
ちなみに、私のクルマだと冬場の寒い夜の走行だと冷え過ぎるようで、スピードを増せば増すほど水温が
下がってしまい熱的に安定していない状況なので、これ以上エンジンに無理はさせないようにしました。
燃費に関しては、今回はさんざんフルブーストでの全開加速をくり返したにもかかわらず、11km/lほど
走っていましたので、普通に走っていればいままでとたいして変わりはないものと思います。

●余談です
今回、燃圧レギュレータを高圧化したことで若干とはいえ燃料が多くなったわけですから、その分SFCの
ほうで絞る方向にすると、当然ながら点火時期にも変化が出るはずです。
実際、空燃比が変わると火炎伝播速度が変わるため最適な点火時期も変わってしまいます。
点火時期はよくノッキングの出る直前まで早めるのがいいと言われていますが、これは違います。
エンジンの設計側としてはむしろ、できるだけ遅らせたいというのが本音でしょうから。
考えかたとして、点火時期を進めるということは上死点より遥かに前で点火するわけですが、エンジン
が実際に回転力として力を取りだせるストロークは燃焼行程のストローク、即ち圧縮上死点をすぎてからです。
つまり、燃焼工程が始まる上死点前までに燃えてしまう混合気はまったくの無駄になるどころか、その圧力
は上死点に向かおうとするピストンを押し下げようとする方向の力となり、出力の抵抗になることになります。
(ちなみにこのとき発生した燃焼圧力とピストンの圧縮による圧力が重なり、それがピークを超えて自然着火
するとノッキングになります。 点火時期を進めすぎるとノッキングが出るのはこのためです)
ですので効率という面から考えると、本来はギリギリまで点火時期は遅らせてあげたいのです。
しかし混合気の燃焼速度というのはせいぜい25〜30m/sec(実際にはシリンダー内で混合気は渦を生じるの
で、これよりかなり速くなると思う)と大気中の音速の1/10以下しかなく、この中で最大の燃焼圧力に達する
瞬間を最も力を有効に活かせるクランク角度(一般には上死点後10度〜15度くらいでしょうか)にあわせる
ようにしなければ最高のトルクは出せないので、そこから逆算して点火時期を決めてやる必要があるわけです。
このポイントを俗にMBTと言い、これは同じエンジンでも空燃比、ブースト圧など様々な要素で変わってきます。
●そういえば昔はリターダーと呼ばれる点火時期を遅らせるような装置もありました。 これはブースト圧を優先
してパワーを出すために、ノッキングが起きる兆候がでたときに意図的に点火時期を遅らせるのが目的です。
もちろんこれもひとつの方法なのですが、本来のもっとも効率が良いと思われる点火ポイントから外れることも
あるため、今から考えるとあまり利口な方法とは言えませんね。
逆にかなり進角させてもノッキングが起きないとすると、それはそれで問題がある可能性があります。
要するに燃焼圧力がそこまで達していない、つまり正常に燃焼できていない要素があるということです。
空燃比が大幅にずれて燃焼スピードが遅くなっているとか、完全燃焼できずに燃焼ピークそのものが落ちている、
またはハード的に燃焼室形状、ポート形状に問題があるとも言えます。
DOHC4バルブエンジンに多いペントルーフ型燃焼室、センタープラグ配置は、プラグに着火された混合気を
最短距離で燃焼させ(燃焼時間を短縮させれば、そのぶん点火時期も遅らせることが可能になります)ること
でアンチノック性を高めるとともに、燃焼室の表面積を最小限にすることで冷却損失を低減することができ
るために、スポーツエンジン以外にも、実用車にも多く採用されています。
スポーツカーでもないのにDOHC4バルブエンジンを多く採用するのは、こうした効率面の理由からです。
●ちなみに、これらの欠点を解消するためにできるだけ点火時期を遅らせるための方法のひとつとして昔から
いろんなメーカーが造っているのがツインプラグのエンジンですね。
プラグが2本あれば、それぞれのプラグが受け持つ範囲は半分にできるわけですから、電極を中心として
燃え広がるための時間も短くて済むことになりますので点火時期を遅らせることも可能ですし、ロータリー
エンジンのようにプライマリー側とセカンダリー側をその時に燃焼状況に応じて独立して可変させることで
エンジン特性の変化も持たせることが可能になります。(最大トルク時に同時に点火させると、あまりに爆発
力が急激に立ち上がるためにクランクやコンロッドのメタル等の耐久性に問題が生じるらしいです)
しかしながら継続的に進化していないところを見ると、いろいろ問題もあるようですが。