触媒をBNR34純正メタルキャタライザーに戻し「逆付け」しました

やはり「車検対応」で乗りたいので


●私の勇み足でHKSメタルキャタライザーに換えていたJA22ジムニーの触媒をいろいろ考えた末、元の

BNR34純正メタル触媒に戻しました。 やはり、堂々と車検に通る「合法仕様」状態で乗りたいですから。

 

でも、今回はじつはちょっとした工夫をしました

以前も書きましたが、ただ元に戻すのでは進歩がないし、社外スポーツ触媒との性能差を体感してしまった

以上は僅かでも以前よりも排気効率が良くなるようにしたいと様々な方法を模索しておりました。

で、結局考えた末、装着方法にちょこっとした工夫を施して「あくまで車検に通る状態のまま」排気抵抗が

最小限になる(であろうと考えられる)ようにしました。


触媒本体の取り付け方向を「前後逆に」してみました

これはR34 GT-R触媒に限ったことではないのですが、日産の「X4」刻印のメタル触媒の中身のセル部

(触媒コア)はきっちりケースの中央にあるのではなく、前方方向にオフセットされているのです。

↑R34 GT-R触媒の内部構造と寸法(実測)。

このように全長315mmある触媒ケースの内部にあるメタルセルの長さは実質たった120mmしかなく

(このセルの長さが短いこともこの日産のX4メタル触媒が排気抵抗が低いひとつの要因になっていると

思われます。同じ目の粗さでもセルが短ければ短いほど排気ガスの流速が落ちにくくなりますので。

メタル触媒はただ単にセルの目が粗いだけでなく、セル長さが短いことも低排気抵抗で有利なのです)

それも前方にかなりオフセットされて設置されています。 つまり、触媒セル後方にはかなり広大な空間

があるのですが、その理由はこのR34の前のR33までは排気温度(触媒温度)センサーが取り付けられて

いたため、そのスペースとして後方がこんなに「ガランドウ」になっているのです。 しかしR34になって

からはこのセンサーはなくなったため、ただの空間、単なる膨張室となっているのです。私はこのことに

着目しました。

つまり、純正通りの向きと180度反対向き、要するに前後逆につければ125mm-70mmで「55mm触媒

セルを後方にずらすことができる」のです。

 

↑このように、前後を逆にすることで55mm触媒セルの位置を後方にずらすことが可能になります。

 

このことがどんな意味をもたらすのか?

はじめにことわっておきますが、これはあくまでも私独自の持論(自論)ですので異論もあると思います。

排気ガスは当然ながらエンジンの排気ポートから出た直後がもっとも高温、高圧で大きなエネルギーを持って

います。その後、エキマニ、ターボチャージャー、フロントパイプ、触媒、リアマフラーと至る過程で温度と

圧力と流速が下がっていきます。 つまり、下流になるほど持つエネルギーが減少していくということです。

ですので、触媒のような「抵抗物」に排気ガスをぶつけるならば、できるだけ排気ガスの持つエネルギーが

下がったところでおこなったほうが排気抵抗(圧力損失)が少なくできるはずだと私は考えており、これは

理論的にも間違っていないはずです。

ですので、今回、触媒の向きを前後逆にして僅かでも触媒セルを後方に移動させることで、若干とはいえ温度

と圧力が落ちた状態で触媒を通過させたほうがパワーロスを低減できると考えてのことです。 さらに、この

ことで本来なら後方にくるはずの膨張室を触媒セル前方にすることで予め排気ガスを触媒セルの前で拡張させ、

さらに圧力を下げた状態にして触媒セルを通過させることができるため、より一層触媒セルを通過する際の

抵抗を減らせるのではないかというのが私の理論なのです。

 

↑今回の話と同列に考えてはいけませんが、一例としてSuperGTマシンはこのようにマフラーのテールエンド

に触媒コンバーターを配置しています。 レースエンジニアはこの理由として「あくまでも触媒の過熱対策と

レギュレーションによるもの」と言っていますが、私はこれもやはりもっとも排気抵抗が少なくなるよう性能的

に有利な最後部に触媒という抵抗物を持ってきているのではないかというのも理由のひとつなんじゃないかと

邪推しています。

(念のため書いておきますが公道を走る市販車では触媒コンバーターを交換、変更する場合でも純正と同じ位置

じゃないと違法となりますので、こんな付け方はできませんのでご注意を)

 

以上のような理由から、私は「触媒コンバーターは排気抵抗低減の観点からすると少しでも排気系の後方

(下流)に配置するのがエンジン性能的にはベストなはずである」と考えているのです。

 

ただ、この考えを他のチューニングショップやレーシングエンジンのチューナー数名にも話したところ、私とは

まったく逆の意見の人もいて、「排気ガスの流速がもっとも速い上流部で触媒を通過させたほうが抵抗は少なく

なるのではないか。 それは気体は温度が高いほど音速も速くなるため、触媒セルのような狭い通路を通過する際

の流速の上限が高くできるため、より素速く触媒セルを排気ガスが通過できるからである」と言う説を唱える人

も中にはいます。たしかにこの考えも理解できなくはありません。 たとえば、エンジンの排気バルブが吸気バルブ

より径が小さい理由を考えてみてください(意外と、この理由を正しく言える人は少ない)。 それは排気バルブ

の前後差圧が吸気バルブに比べ大きいことと、排気温度の高さから音速が速くなり、吸気バルブより径が小さくて

もより流速が速く低い抵抗で排気ガスが抜けることができるからです。「触媒上流支持派」の人はこれと同じ理屈

だと言いたいわけです。 たしかにこの理屈も解らないではないため、正直、今回のこの私の考えが絶対に正しい

という確証はありません。ですので皆様は皆様で、各々でどっちが正しいのか考えてみてください。

 

しかし、やはり私は自分の考えが正しいと確信しています。たとえば、ターボチャージャーを考えてみてください。

ターボは排気ガスのもつエネルギーを利用していますので、排気ポートから出た直後のなるべく高温高圧のガスを

タービンブレードにぶつけてタービンを回した方がタービンを回す「力」が強く効率が良いわけです。そのために

エキマニのパイプ長さをできるだけ短くし、排気ポートから最短距離でターボに導くことが重要なのは理解しやすい

と思います。

これを触媒に置き換えて考えてみてください。排気ポートから出た直後の排気ガスほど大きなエネルギー、つまり

大きな「力」を持っているわけですから、そこで触媒セルという大きな抵抗物にぶつかるということはやはり大きな

抵抗、圧力損失となるはずです。 逆に、排気ポートからできるだけ遠い排気管の出口に近くなるほど排気ガスの

もつ「力」、即ちエネルギーも排気流速も低くなるわけですから、同じ抵抗物である触媒セルを通過するのにも少

ない抵抗で済むはずなのです。 これが私の持論ですので、やはり「触媒はできるだけ下流につけたほうが排気抵抗

は小さくなるはずだ」という自分の考えが正しいと信じていますし、私のこの考えに「たしかにそれは理屈に合って

いる。自分が付けるとしてもできるだけ後方にするだろう」と私の意見に賛同してくれるレースエンジニアも多く、

また、たとえばスポーツバイク用のキャタライザー内蔵の社外マフラーでも多くはサイレンサー内部に触媒を設置

していることからも、やはり「パワー重視なら触媒セルはできるだけ後方にしたほうが有利」という意味もあるの

ではないかと考えたので、熟慮を重ねたうえ今回の「触媒コンバーターの前後逆付け」を実行することとしました。


ふたたびR34GT-R純正メタル触媒の装着に入ります

まずは触媒のリフレッシュ作業。 なにしろ10年間使ってきた触媒なのでフランジ面の研磨、触媒セルのカーボン

飛ばし、ボルトナットのネジ山のリフレッシュをおこないました。 とくに触媒セルはけっこうカーボンが付着、

堆積していて、光を透かして覗くと通路面積をけっこう狭めているように感じました。

 

↑両側のフランジ面をスコッチブライトで綺麗に面出し研磨してやります。 スタッドボルトのネジ山もサビを落と

してやります。

↑通常より高い圧力でエアーガンで両側から内部のセルにこびりついたカーボンを飛ばしてクリーニングしてやり

ました。 いやいや、もの凄い量の真っ黒な煙が出て作業場がススだらけになり、ちょっと作業後の掃除が大変な

ことになりましたが。 これはできるなら屋外でやるべき作業です。

↑しかしその甲斐あってか、クリーニング前より明らかに光の透過が良くなりました! クリーニング前はぼんやり

としか透過しなかった光が輪郭がハッキリと明るく透過するようになりました。なんかこれだけでもすごく抜けが

良くなった気がします。これは効果ありそうです。

↑カーボンが落ちて触媒のメタルセルがすっかり綺麗になりました。カーボンを落とすケミカルを一切使わず高圧

エアブローのみでも徹底的にやればかなり効果的にカーボン(スス)を落とすことができるものです。

 

↑リフレッシュ作業が終わったR34 GT-R純正メタル触媒。あとは装着です。


リフレッシュが終わったR34 GT-Rメタル触媒の「逆向き」取り付け

↑遮熱板装着前の触媒コンバーター本体のみ装着したところ。 写真向かって右側が車体前方です。見て

のように、本来なら排気温度センサーボスが付くふくらみが前方になっていることからもわかるように

前後逆になっています。 日産のこのタイプの触媒はフランジのボルト位置などもまったく前後対称なので

普通に「前後逆付け」できてしまいます。

 

↑遮熱板(カバー)を装着して完成です。 この遮熱板の取り付けボルトの位置は完全に前後対称なので、触媒

本体の向きに関係なく前後方向自由に取り付けできます。 ですので、遮熱板の向きは純正と同じ向きです。


装着後の街乗りでのインプレッション

まず、エンジンをかけての排気音ですが、正方向取り付け時より多少、重低音寄りになった気がしますが、実質

ほとんど変わりませんね。 街乗りでのトルク感やレスポンス、低回転からのピックアップもHKSスポーツ触媒と

体感できるほどは変わらない感じです。 3速以上のギアで負荷をかけての低回転からアクセル全開で加速して

みてもブースト0.5k、1kに達するエンジン回転数もほとんど同じで、ブーストの立ち上がりも悪くなく、少なく

とも悪い方向にはなっていないと言えます。 装着前はさすがにスポーツ触媒と比べたら大幅に落ちるだろうと

思っていただけに少し安心しました。

 

全開走行でのインプレッション

EVCやSFC-MULTIの設定はHKS触媒のときとまったく同じまま、3速、4速、5速全開をしてみると、不思議な

ことにブースト圧も排気温度もHKS触媒のときとまったく変わりませんでした。 以前のR34 GT-R触媒から

HKSスポーツ触媒に換えたときはブースト圧が0.1kg/cm^2弱上昇、排気温度は10度低下したのですが、今回の

「逆付け」ではそのHKS触媒とほとんど変化がないということは、やはり「逆付け&カーボン落としリフレッシュ

したことにより以前よりも排気抵抗が減り、HKS触媒とそう大きくは変わらないレベルにまでなったのか?」

思っています。 3速や4速でのフル加速でも簡単に8500rpmのレッドゾーンを超えて9000rpm近くまで軽く、

力強く回っていくので、体感的にも数値的にも性能面でとくに悪化したような印象は受けませんでした。

 

排気温度ピークホールド

↑セッティングは一切変更していませんが、5速連続全開走行での排気温度ピークホールドはHKS触媒の時と

同じ860度で変化ありませんでした。

 

パワーメーターiDのトップスピードピークホールド

↑最高速度の伸びもそれほど落ちることはなく5速7500rpmあたりまできっちり回って、メーター読み190km/h

直前まできています。 HKS触媒のときの191km/hよりは若干落ちていますが、前回の走行と気温差や風などの

影響による条件の違いや誤差などもありますので、それらを考慮すると、とりあえずはHKS触媒の時と比べても

とくに遜色ないレベルに収まっていると言えます。ブースト圧は1.3kg/cm^2と同じ設定です。


結論として

私の今回の考えが正しいのかどうかはわかりませんが、結果だけからすれば「あながち間違ってはいなかったようだ」

というように捉えています。 もっとも「この程度は誤差の範囲だ」と言われてしまえばそれまですし、実際、私も

これを科学的に証明する術もないのですけど、何事もおこなってみないとわかりませんし、DIYレベルのチューニング

としてはトライ&エラーでやってみて、結果オーライとしてしまえばいいんじゃないかと思っています。

 

ただこの結果は、リフレッシュ作業でおこなった触媒セルに詰まったカーボンを飛ばしてやった効果が多分にあった

のではないかと考えています。だとしたら触媒もエアフィルター同様、定期的に(たとえば30000kmから50000km

ごととか)クリーニングしてやったほうがいいのかもしれません。考えてみれば触媒だって一種のフィルターみたいな

物なのですから、洗浄再使用可能なエアフィルター同様、定期的に堆積したカーボンの詰まりを除去してクリーニング、

リフレッシュしてやるのは有効なのではないかと思います。 たとえば長年使った触媒にエンジンコンディショナー

のようなカーボンやスラッジを溶かすケミカルを吹き付け、最後はパーツクリーナーをかけて洗い流し、高圧エアー

でエアブローするのです。 「触媒リフレッシュサービス」なんて新たなビジネスになるかもしれませんよ(笑)。

セルが破損したり溶解してしまった触媒は交換する以外どうしようもありませんが、正常なセルの触媒ならカーボン

やススで目詰まりした程度であればいくらでもリフレッシュで再生できると思いますので。 とくにターボチューン

して濃いめの空燃比にセッティングしてあるエンジンは全開時には大量のカーボン(スス)を吐いているはずですから

ね。触媒セルには「詰まる」とまではいかなくてもかなりの量のカーボンが「堆積」するはずで、それなりの距離を

走るとそれによって通路が狭まって触媒の排気抵抗が増加してくるはずですので、クリーニングによるリフレッシュ

がパワー回復に有効になるのは理屈としては当然のことと思われます。 これは案外と盲点で、見落とされているの

ではないでしょうか。触媒も定期的にメンテナンスしてやると良いのかもしれません。

 

ボルト類はすべてステンレスボルトに交換しました

↑今後、再びメンテナンスなどで外すことを考えて、サビサビの純正のスタッドボルトを抜き、ナットもやめて

すべてステンレスボルトに交換しました。 M10XP1.25長さ30mmです。 ちなみに遮熱板のボルトもステンレス

にしています。ただ、ステンレスボルトは排気系に使うと相手(フランジ)が鉄の場合、ネジがカジりやすいので

アンチシーズやスレッドコンパウンドをネジ部に忘れずに塗ります。 それと、鉄との熱膨張率の関係で緩みやすい

ので、必ずスプリングワッシャーを使用します。

 

補足

今回の触媒を元に戻すことについてはこの他にもいろいろ方法は考えていました。 いっそ内部のセルをくり抜き、

ストレートパイプを通してしまおうという案もありました。 たしかにO2センサーフィードバックがかかって

いれば触媒レスでも車検のガス検は通りますが、やはり臭いでバレることもないとは言えないリスクがありますし

アフターファイヤーでサイレンサーのグラスウールを焼いてしまうデメリットもあります。

それに正直、ストレートパイプにしたところで所詮は軽自動車ですので数十馬力も変わるほど劇的にパワーアップ

するわけでもないですので、だったら姑息で反社会的な手段は取らずに堂々と合法と言える正攻法でいこうと考えた

わけです。 結果、これで良かったのではないでしょうか。


おまけ

↑バイクのアフターパーツのマフラーにはこんな触媒(S-CAT触媒)も使われているそうです。 見るからに従来

のメタルハニカムセルよりはるかに抵抗が少ないですよね。 しかし4輪車の排気ガス規制にはこれでは能力不足

だと思いますので無理でしょうね。

 

<ご注意>

今回の触媒前後逆付けはあくまでも「排気温度センサーのない触媒」でのみおこなってください。排気温度センサー

のある触媒をそのまま前後逆にしてしまうと、センサー部が触媒セルより上流になってしまうことからセンサーの

温度が過度に上がってしまい、排気温度警告灯が点灯してしまうことが考えられますので。もし、排気温度センサー

のついている触媒で前後逆付けする場合は、触媒本体のセンサーネジ穴はボルトなどで栓(メクラプラグ)をして、

別途、触媒セル後方にセンサーを取り付けてください。

 

 

(追記)

もう、しばらく触媒ネタはこりごりという気分です。いろいろ考えすぎて頭が疲れました。 ですが、実を言うと

現在また新たな触媒を装着して実走テストしているところです。 この触媒はこれまでのものよりかなり高効率に

なっているものなので期待がもてます。 詳細はデータがまとまったらまた更新記事として載せようと思います。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~