K6Aエンジンでの鍛造ピストンの必要性について

あくまで私の個人的な考えですが


 

●先日メールで「鍛造ピストンはどのくらいのチューニングレベルで必要になるでしょうか?」という主旨

の質問をいただきました。 もちろんこれはK6Aエンジンについてです。

 

↑私のK6Aエンジンのオーバーホール時の写真。 スズキ純正の新品鋳造ピストンです。

 

結論から言いますと、熱対策、とくに2番シリンダーのピストンの熱対策さえしっかりしていればK6A純正の

鋳造ピストンでも200馬力くらいまでは充分使えると思われます。 つまり、1気筒あたり60〜70PS程度の

負担まではうまく使えば持つのではないかと。 もちろん、ノッキングやデトネーションといった異常な

燃焼を起こさず、燃料冷却(ガソリン冷却)が充分におこなわれる空燃比セッティングで、排気温度もMAX

900度以下になるちゃんとしたセッティングがしてあることが大前提ですが。

鍛造ピストンが本当に必要になってくるのはそれ以上の負担馬力、たとえば1気筒あたり80PS〜100PSあたり

になってくるとさすがに鋳造ピストンでは辛くなってきます。 これは他の高性能ターボエンジンでもだいたい

似たような感じになるんじゃないかと思います。

 

●この根拠は今から20年近く前、雑誌OPTIONでの企画で、私も一部パーツの設計製作でお手伝いさせていた

だいた(有)緑整備センターがチューニングしたカプチーノ(EA11R)の最高速仕様F6Aエンジンで、最初

の谷田部テストコースのアタックでは2番シリンダーのピストンが熱で溶けてしまいエンジンブローとなりま

したがその後、いったんは、マーチスーパーターボの鍛造ピストンを使ったりして試行錯誤しましたが結局、

クランクウエイトとの重量バランス率などから考えて、ノーマルピストンが最適であると結論を出し、2番

シリンダーにRB26DETTエンジンのようなオイルジェット(ピストンクーラー)を新設、追加し、それによる

オイル流量の増加に合わせて大容量強化オイルポンプなどの熱対策を施した結果、2回目の最高速アタックで

見事にトラブルなく谷田部で実測240km/hオーバーを記録したのです。

この記録は純正ピストン、つまり「排気量660ccのまま」で出したのです。 このときのパワーはおそらく

190馬力〜200馬力くらい出ていましたので、それでもノーマルの鋳造ピストンで問題なくいけたのです。


●谷田部の洗礼

谷田部での最高速アタックは1周5.5kmの距離を3周〜5周も5速全開しっぱなしで行いますので、これほど

エンジンにとって過酷な状況というのはなく、サーキット走行とは比較にならないほど耐久性に厳しいものです。

昔はよく「谷田部の洗礼」と言われたもので、公道やサーキットの全開走行でもなんの問題もないエンジンが、

谷田部でアタックしたら1周もできずにエンジンブローなんて当たり前のようにありました。 だからこそ

「谷田部を走りきってこそはじめてエンジンチューナーとして一人前だと証明される」と考えられたものです。

私も谷田部を経験し、ここで他を圧倒するような立派な結果を出したチューナーは信頼しています。 逆に、

最近多いシャシダイでのセッティングだけで馬力の数字だけを自慢しているような低レベルのチューナーは信用

していません。 おそらくこういう見せかけだけのチューナーがセッティングした車をもし谷田部のような

高速周回路で全開アタックしたら1周ともたずにエンジンブローするでしょう。

やはり「実際の連続全開の極限走行がどれだけ過酷で、そこでどれだけ安全マージンを見込めば大丈夫なのか」

というノウハウは実際に谷田部の過酷さを知っているチューナーじゃないとわからないと私は思っています。

だからこそ谷田部で立派な実績を残したチューナーの方々を私は尊敬しています。

 

ちなみに、この記録はその後Kcar sportのカプチーノに僅か1km/hほどの差で破られましたが、このKcar sport

の通称「イエローバードカプチーノ」は4気筒のF6Bエンジン搭載で、しかも排気量は900ccオーバーで、なおかつ

ナンバーなしの競技専用車両というやや反則とも言える仕様でした。

それを考えれば、この緑整備センターのカプチーノがF6Aの660cc、黄色ナンバーつきの「合法軽自動車」のまま

で出したこの実測240km/hオーバーの記録が当時いかに凄かったものかおわかりいただけるかと思います。

なんでもかんでもすぐ「排気量アップがベスト」と考えるほど軽自動車チューニングは甘くないということです。

さらにK6Aエンジンはアルミブロックですので、安易にボアアップ目的でスリーブ(ライナー)の打ち替えなどを

するためにブロックの穴を拡大加工すると相対的にブロックの剛性が低下して歪みや無駄な振動が生じやすく、結果

ヘッドガスケットの吹き抜けなどかえってトラブルの元になりかねません。 同じパワーを出すならむしろノーマル

排気量のままのほうがブロックやライナーの強度、剛性的に余裕があるので、長距離、長期間にわたる耐久性を考え

るとかえって純正の660ccの排気量のままのほうが余裕があるぶんハイパワーチューニング向きとも考えられます。

 

●これらの経験から、きちんとした熱対策ときちんとしたセッティングがしてあればK6AエンジンでもF6Aエンジン

と同じことが言えると思います。 K6Aエンジンのノーマルコンロッド(コネクティングロッド)にはオマケ程度

とはいえピストン冷却用のオイルジェットがついていますので、オイルジェットがないコンロッドのエンジンよりは

若干、ピストンの冷却には有利かもしれません。 (ただ、実際はこのコンロッド大端部からのオイルジェットによる

ピストン冷却の効果の有効性には疑問視する技術者も多く、むしろコンロッドメタルからのオイルの流出を避けること

を優先するため、社外の強化コンロッドではオイルジェットのついてないものも多いです。 このタイプのコンロッド

の場合、ピストン裏側の積極的な冷却ができなくなってしまいますので、ピストンの温度の過度な上昇を防ぐための

冷却をいかにしておこなうか、別途メインギャラリーからのオイルジェット追加などの方法を検討する必要があります)

 

↑私のエンジンOH時に取り出した2番ピストン。 見てのように本来は短径であるはずのピンボス方向が過度に熱膨張

し、シリンダーとかじりかけていました。 これは1番と3番ピストンではみられませんでした。 つまり、それだけ

2番ピストンには熱がかかり、温度が上昇してしまうという証拠です。 幸い、私のエンジンの場合はこの程度で済み

ましたが、もっと酷くなると焼きつきや、セカンドランド、サードランドの棚落ちにつながる可能性があります。

このようなことから考えても「直列3気筒エンジンは2番ピストンをいかに効果的に冷却するか」これが軽自動車の

直3エンジンをハイパワーターボチューンするときのキーポイント、肝だと私は考えます。 ある程度のパワーを出すと

純正のコンロッドのオイルジェットや燃料冷却だけでは追いつかなくなりますから、大掛かりな改造作業となりますが、

本格的なメインギャラリーからのオイルジェット(ピストンクーラー)の追加などが必要になってくるでしょう。

その場合、オイル流量の増加に見合った吐出量の大きい大容量オイルポンプなども必要になってきます。 ピストンの

冠部の温度は300度台後半〜400度を超えると極端に強度が低下しますので、なんとかして200度台後半から300度台

前半、できれば300度以下に抑えるよう積極的に冷却する必要があるのです。 そうしないと最悪はピストンの溶解に

つながります。 そうでなくても、ピストン冠面の温度を下げることはノッキング抑止にも効果がありますので、やはり

ピストンの冷却はハイパワーターボエンジンにとっては重要な課題なのです。

 

あと、ピストンの「棚落ち」についてはそのピストンのトップ頂面(ピストン冠面)形状が大きく関わってきます。

バルブリセスなどの凸凹が多く頭部の形状が複雑なピストンでは、どうしても凹んだ隅部に応力が集中し、そこを

起点にトップランドの棚落ちが発生しやすいですが、旧規格K6Aのノーマルピストンは頭部にこのバルブリセスが

ない非常に滑らかな形状をしていますので、そういった要因によるクラックの発生、棚落ちも起きにくくなって

います。 また、このことは燃焼室内でのガス流動や火炎の広がりがスムーズでアンチノック性も良好になります。

私はパルサーGTi-Rに乗っていたとき、ノーマルピストンでバルブリセスからのクラック発生で棚落ちした経験が

あるので、バルブリセスのあるピストンはあまり好きになれません。 高圧縮比のNAエンジンのピストンならバルブ

リセスもやむを得ませんが、ハイパワーターボエンジンでは極力バルブリセスは刻まない設計が好ましいと考えます。

 

↑私のJA22ジムニーの旧規格K6Aエンジンで使用していた純正ピストンです。 エンジンオーバーホール時に新品

に交換したため残しておいたものです。 見てのように頭部(頂面)にバルブリセスがなく単純で滑らかな形状をして

いますので、応力が集中しにくく棚落ちに強く、ノッキングも起きにくい形状となっています。 ターボエンジンの

ピストントップとしては理想に近い形状と言えます。

もっとも、S/V比(燃焼室容積に対する表面積の少なさ=冷却損失の少なさ)から考えればピストン冠部(クラウン部)

は完全なフラットトップが理想ではありますが。

 

↑同じピストンを裏側から見たところ。 茶色く変色しているところがコンロッドからのオイルジェットでオイルが

吹きつけられていた場所です。 RB26のような本格的なオイルジェット+クーリングチャンネル付きピストンには

とうてい及びませんが、この程度でも僅かながらもピストンクーラーとしての役割をしていると思われます。

ですので、社外の強化コンロッドでこのオイルジェットを殺してしまうタイプは個人的にはあまり好ましくないと

考えています。 オイルジェットは残した上で、コンロッドメタルの潤滑を確保したい場合は、油圧レギュレーター

で若干油圧を上げるなどして対処すればそれに比例してメタルへの油量も上がりますので両立できると思います。

 

あと、ノーマルピストンでも重量合わせで軽い重量のピストンに合わせておこなうことが一般的ですが、ターボ

エンジンの場合はこれは逆で、むしろ重いピストンに合わせるのがいいと私は考えています。 というのは、鋳造

ピストンの場合、軽いということは内部に鬆(す:鋳物の鋳造時に中に発生する気泡や空洞)が多いということ

ですので、強度的には劣ると考えられるからです。 逆に重いピストンは内部に鬆が少なく、素材がギュッと

詰まっていると言えますので、重いピストンのほうが強度的に優れていると考えられるのです。

ですので、エンジンOH時には純正ピストンを複数セット注文して、その中から重いものを選び、残りは返品する

などの方法でおこなうといいと思います。


●まとめ

ノーマルピストンもバカにしたものじゃありませんよ。 私に言わせれば、K6Aのブーストアップやボルトオン

タービン程度のチューニングで「鍛造ピストンじゃなきゃもたない」って言ってる人は3気筒エンジン特有の

チューニングのコツをつかんでないか、ただセッティングがヘボなだけだと思います。 いくら鍛造ピストンと

はいえ、材質はアルミですから溶解する温度は660度で鋳造と変わりませんし、ヘビーなノッキングを起こした

らいくら鍛造ピストンでももちません。

あと、よく「ブースト1.5kでも大丈夫」とか「ブースト2kまで大丈夫」とか書かれている文面も見ますが、これは

ハッキリ言ってナンセンスです。 要はどれだけパワー、トルク、熱量が出ているかが問題なのであって、ブースト

がいくらかかっていようが、結果としてアウトプット、つまりパワーが出ていなければ比べても無意味です。

たとえばブースト1.5kかけてもパワーが100馬力しか出ていないK6Aエンジンもあれば、ブースト1.2kで130馬力

出ているK6Aエンジンもあるわけですので、単にブースト圧だけではエンジンに対する負荷というのは計ることは

できないのです。「ブースト圧ばかりやたらかかってるくせにぜんぜんパワーが出てないヘボなエンジン」なんて

世の中にたくさんありますからね。 いくら高いブーストかかっていてもパワーが出てなきゃそりゃ壊れませんよ。

ターボチューンは「高ブースト圧=高出力」となるような単純なものではありません。 比較的低い過給圧でも

きちんとトルクとパワーが出るセッティング、チューニングがなされているかどうかのほうが大切だと思います。

むしろ、いたずらにブースト圧ばかり高くするとノッキングの危険性ばかり高めてしまって、パワーそのものでは

なくノッキングによってピストンが破損してしまうリスクのほうが高くなってしまうだけです。

「ターボはとりあえず高いブースト圧かけとけばパワーが出る」なんて考えは愚の骨頂、バカのやることです。

 

結論として、常識的なセッティングの範囲内で考えれば、少なくとも私が使っているHT07やRHB31FW程度の

ボルトオンタービンくらいのパワーのレベルならK6Aでは「耐久レースでもない限りは」鍛造ピストンまでは

一般のストリートチューンのレベルでは必要ないと思います。 

ただ、もちろん「余裕、安全マージン」という意味ではエンジンを開けるついでに鍛造ピストンを入れるのは良い

ことだとは思います。 決して鍛造ピストンが不要であるとか、鍛造ピストンを否定しているわけではありません

ので誤解しないでください。 仮に鍛造ピストンが必要ない程度のパワーのチューニングでも、鍛造ピストンを

使用することで長期使用による金属疲労に対しての耐久性を向上させることは有効ですので。 たとえば、鋳造

ピストンでは5万キロで寿命だったものが、鍛造ピストンなら10万キロまで問題なく使えるとかそういう意味で

の余裕が生まれるというメリットがあるからです。

ただ、市販の鍛造ピストンの中には精度などがいい加減なものもかなり多く、きちんとした信頼できるメーカー

の製品を使用すべきです。 ピストンはただ単純な円筒形状ではなくオーバリティやプロフィールなど、熱膨張

をしたときにちょうど円筒になるよう冷間時の寸法が造られているのですが、このへんはかなりノウハウのいる

部分ですので、怪しいメーカーのピストンは使わないほうがいいです。

それに鍛造ピストンは内部の密度が高いため一般に鋳造ピストンより熱膨張量が大きく、そのへんを見込んだ

シリンダークリアランス設定をしたボーリングやホーニングが必要になりますので、そのへんをどう指定するか

もチューナーのノウハウのいるところで、ただ組み込めばいいというものではないのです。

一般に鍛造ピストンの材料にはA4032が使われ、鋳造ピストンの材料にはAC8AまたはAC8B、AC8Cという

シリコン含有率の多い熱膨張率の低い材質(鋳造の場合はこれらの素材を総称してローエックスと呼ばれます)

が使われますが、それでもやはり内部の素材密度が高いぶん、鍛造ピストンのほうが温度変化による膨脹、収縮

の割合は大きいですので、ピストンクリアランス設定は慎重におこなう必要があります。 

あと、重量も鍛造ピストンは重くなりがちなので、クランクのカウンターウエイトとのバランス率をよく考慮

しないと高回転域で異常振動やメインメタルの片当たりが発生し、それが元で焼きつきやエンジン破損に繋がる

こともあります。 高回転になればなるほどバランス率は大きく取る(ピストンなどの往復運動部分の質量に対

して、クランクウエイトの質量を大きくとらないといけない)必要があり、これを怠ると高回転でのメタル破損

などのトラブルの原因になりますので、重いピストンは不利になるのです。 安易にボアアップして径の大きい

ピストンを使用することでピストンが重くなればこれはなおさら問題になるポイントですので、とくに高回転

チューニングする場合はこのあたりをよく計算、検討してチューニングする必要があります。 このあたりも

「軽自動車はとりあえずボアアップすればいい」というような単純なものではないという理由のひとつなのです。

 

あと、社外の鍛造ピストンでは多くが表面処理は無処理(熱処理はしてあるでしょうけど)のものが多いですが、

スカート部やリング溝などにタフラム処理(硬質アルマイトにテフロンを含浸させた皮膜)や、モリブデンWPC、

モリブデンコーティングなどは効果があると思います。 さらに、ピストントップ(頂面)にニッケルメッキを施

して耐熱性を高めたものも一部にありますが、これは短時間のレース専用だと思ったほうがいいです。その理由は

ピストンの母材とニッケルの熱膨張率が異なるため、膨脹と収縮をくり返すとそのうちメッキが剥がれてきて

しまう恐れがあるというデメリットがあるので、あまり長期間の使用においての信頼性に疑問があるからです。


●<参考> その後に製作したF6Aラッシュキラー仕様

↑参考までに、私が過去に設計製作した「F6Aツインカム用ラッシュキラーセット一式」です。

スクリュー調整式ラッシュキラーユニット、カムカバー加工、クリアランス調整穴用のキャップなどで構成

されています。 これにより油圧ラッシュアジャスターを排除できるので、10000rpmを超える回転数でも

カムプロファイルに精確に追従するバルブ駆動が実現できます。 そのかわりクリアランス調整はやや面倒

ですが、高性能化のためにはやむをえない労力でしょう。 すべては10000rpmオーバーでの精確なバルブ

駆動のためです。

ただ回すだけならラッシュアジャスターのままでも10000rpm以上回りますが「バルブを精確に動かし確実

にパワーを出す」ためにはラッシュアジャスターは邪魔者以外の何者でもありません。 ただ回ればいいと

いうものではなく、そこでしっかりとパワーが出せるかどうかが問題なのです。

当時これを組み込んだF6Aエンジンはキャラ(AZ-1)に搭載し、ワンオフカムシャフト、TD-05タービン

などと組み合わせて250PSほどの馬力を出していたと記憶しています。

前述した谷田部でF6Aでの最高速を記録したカプチーノの240km/hの記録、さらにはKカースポーツの

イエローバードカプチーノの記録を超えるべく、より空力に有利なAZ-1の車体を使ったのですが、いざ

谷田部で走らせたら200km/hを超えてくるとミッドシップでフロントが軽いAZ-1ではフロントが浮き

上がってしまい、ドライバーがあまりにも危険だということになって結局、最高速チャレンジはできない

まま企画が終わってしまったという残念な経緯があります。

馬力的には充分あったので、今から考えればAZ-1ではなくカプチーノに積んでアタックしていれば250km/h

オーバーは楽にいけたでしょうね。 単純に空気抵抗の少なさだけならAZ-1のボディ形状のほうが有利です

が、200km/hを超える高速域の安定性ではフロントエンジンのカプチーノのほうがずっと良好なのです。

カプチーノではミッションが頑丈なので回転よりもトルクで馬力を出す手法でチューニングできたので、この

ラッシュキラーまでは必要なかったのですが、AZ-1ではミッションがやや弱いので、最大トルクを抑えて

そのぶん回転数でパワーを出すチューニング手法にしたため、こういった10000rpmオーバーでの高回転対策

を施す必要があったのです。 今となっては懐かしい思い出です。

 

●当時の谷田部についての補足というか記憶

蛇足ですが、私が谷田部の記録で強く印象に残ってるのは今は亡き山本氏がチューニングしたRS YAMAMOTO

のZ31フェアレディZ 200ZR RB20DET改2.4リッターが出した334km/hオーバーの大記録でしょうかね。

まだ昭和の時代の国産車のベース車両のポテンシャルの低さから考えても驚異的で、今、これだけのチューニング

技術を持つチューナーがはたして日本にどのくらいいるのか。 ほんとに一握りしかいないでしょうね。

言い方は悪いですが、今の多くの若いチューナーはベース車両のポテンシャルの高さに甘えてる人が多いような

気がします。 谷田部を知らない人は「直線ばっか速くても意味ないじゃん」なんて笑う人もいるかもしれません

が、1.5kmの直線を最大45度のバンク角(カント)でつないだオーバルコースの谷田部はこの角度の大きく変わる

ところで車体が大きく振られるし、このオーバルのコーナーでしっかりとスピードを乗せていけないと計測区間の

ストレートで記録を出せないため、しっかりとしたサスペンションとしっかりとした空力処理がなされていないと

決して速くは走れない、つまり、コーナーで踏んでいけないと速い記録は出せない、それが谷田部だったのです。

決してエンジンパワーだけあれば走りきれるほど甘いものではなかったのですよ。

私にとってはサーキットのラップタイム、たとえば筑波で1分を切るとかよりも、この谷田部でどれだけ他を驚か

せる最高速を出せるかのほうがずっとワクワクしたし燃えたし、また、技術的な意味でも価値のあるもののように

感じています。 やっぱ最高速にはロマンのようなものがあります。 私にとってこれは昔も今も変わりません。

 

<オマケ> 谷田部アタックした4x4 IMPSの最高速仕様JA11ジムニー

↑これもたいぶ古いものですが、JA11のIMPSチューン(エンジンはF6AのSOHC2バルブ)による最高速ジムニー。

じつはこの車両もエンジン関係やセッティング関係は緑整備センターがサポートしていたものです。 私も緑さんで

実車を何度か見たことがあります。 これももう20年近く前でしょうか、ほんと懐かしい車です。

「172.8km/hなんてたいしたことないじゃん」と思われる人も多いかもしれませんが、前述したように谷田部では

バンクでのコーナリングスピードも速くなければ最高速度は出ませんし、エンジンはDOHCではなくSOHCのF6Aベース

です。 その条件で「実測値」でこのスピードすので、もしこれが一般の高速道路だったらメーター読み190km/h、

風向きなどの条件が良ければ200km/h近くはいくでしょうから、それを考えるとかなり速いJA11なんですよ。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~