スロットルボディが実際どのくらいの温度になるかのテスト
吸気温度低下チューニングを本気で考えるならやはり夏場には何らかの対策をしたほうが良さそうです
●少し前の更新で書いた記事でも触れましたが、市販車のスロットルボディには暖機運転時のウォームアップ
やオートチョークと凍結防止(アイシング防止)のために常にLLC(クーラント)が循環しています。
<参考> →吸気温度は低いほどパワーが出るというのは無条件に正解なのか?

↑私のK6Aエンジンのスロットルボディ(ビッグスロットル)。 赤丸で囲ってある両側のパイプから
スロットルボディ本体にクーラントが循環しています。 右側のインレット側はサーモスタットケース
から、左側のアウトレット側はエンジンからラジエーターに向かうアウトレットパイプに合流しています。
しかし、このスロットルボディへのクーラント循環システムはエンジンが完全に暖まったあとには無駄に
スロットルボディを加熱させてしまい、結果として吸気温度も上昇させてしまうことになり、パワー面
では不利になりかねません。 冬場はまだ吸気温度が冷えすぎるくらいなのでそのままでも良いのですが、
夏場は吸気温度を無駄に高温にさせるだけで、トルクダウン、パワーダウンにしかなりませんので、暑い
時期には明らかに無用の長物と言えるシステムです。
そこで、今回は夏場へ向けての事前調査として実際にスロットルボディがどの程度の温度になるか簡単な
実験をしてみました。
●またまた登場、サーモデマンド。

↑今までにもミッション、デフオイルの油温やインタークーラーの温度を調べるのに使った工業用の温度
ラベルシール、サーモデマンドを使用しました。 一度買っておくといろいろな思いつきで使えるので
便利です。
今回使用したのは50度から90度まで測定できる「5R-50」で、一度マークが変色したら元には戻らない
非可逆性、つまりピークホールド表示です。
●実際に貼り付けます。

↑吸気系統3箇所に貼り付けました。 スロットルボディ前のインテークパイプ、スロットルボディ本体、
そしてサージタンクです。
この状態で1時間ほど走行しました。 昼間でしたので連続全開走行まではしませんが、普通に街乗りと
少し高速道路に乗って5速全開して1.3kg/cm^2フルブーストでのフル加速を何回かかけて少し飛ばしての
軽いドライブという感じです。 なお、このときの外気温は12度くらいです。
●走行後の結果
ある程度予測はしていましたが、以下のようになりました。

↑見てのように、スロットルボディ前のインテークパイプはサーモデマンドのマークはひとつも変色して
なく、50度未満であることが解ります。実際にパイプを手で触っても冷たいと感じるくらいですので、
フルブーストかけたにもかかわらず、ほとんど人間の体温以下の温度までしか上がってないのでしょう。
前回も書きましたようにターボコンプレッサーを出た段階の空気温度は150度ほどにもなっていますから
それを50度以下の温度に下げるARCスーパーインタークーラーの冷却性能は本当に素晴らしいです。
しかし、スロットルボディ本体に貼ったサーモデマンドのマークは何と70度までが変色しており、いかに
スロットルボディがクーラントの温度で加熱させられているかがよくわかります。しかもこの場所は冷却水
の循環している場所からもっとも遠い位置での温度ですので、スロットル内側はもっと高い温度(たとえば
80度以上)にまで上がっていることが予想されます。これは吸気温度をかなり上昇させる要因になりますの
で、夏場は相当なパワーロスになっているはずで、もったいない話です。 実際、スロットルボディを手で
触ってもとても熱いことがわかります。
最後のサージタンクもやや温められて50度のマークまでが変色していますが、このサージタンクやインマニ
はエンジン本体からの熱、そして高温になったスロットルボディからの熱の影響を受けていますから、この
程度まで温度が上がるのは当然というところでしょう。
●結論と対策
たしかに冬季のウォームアップにはこのスロットルボディへの冷却水の循環というのはストリートでは必要
なシステムです。 とくに旧規格K6Aエンジンのスロットルボディはオートチョーク(ファーストアイドル)
用にアイドルアップさせるために冷間時スロットルバルブを強制的に僅かに開かせるシステムがついている
ので、これがいつまでも暖まらないとアイドリング回転数が上がりっぱなしになっていまいますので。
ですので、秋から冬、春まではこの機能は殺すわけにはいきません。 しかし、夏期、とくに猛暑の時期は
できるだけ吸気温度を冷やしたいわけですからこのウォームアップ機能は逆効果になります。
せっかくエアクリーナーで遮熱対策をして、高効率インタークーラーで吸気温度を一生懸命冷やしても最後の
スロットルボディで暖めてしまったらまさに本末転倒、せっかくの吸気系統の冷却チューニングが水泡に帰す
ことになり意味がなくなってしまいます。 さらにスロットルボディが熱くなるということはそれと直接接し
ているサージタンクの温度も上げてしまうことになりますので、なおさら吸気温の上昇につながります。
これでは何のために吸気温度低下のためのチューニングをしているのかと考えるとバカバカしくなります。
そこで、スロットルボディの昇温対策として私は以下のような配管を考えてみました。

↑このように、いわゆる「金魚バルブ」を2個使い、エンジンのサーモケースから出た冷却水ホースを2分割し
一方をノーマルと同じスロットルボディに、もう一方をスロットルボディを通さずバイパスさせるように
ウォーターアウトレットパイプへ配管するのです。 こうすればその季節や気温によって金魚バルブのコック
を切り替えれば好きなようにクーラントの流れの方向(ライン)を変えることが可能になります。
つまり、秋から冬、春先まではノーマルの配管と同じようにスロットルボディへクーラントを循環させて
暖機運転やアイドルアップの機能に支障が出ないようにし、夏場の猛暑時期だけはバルブを切り替えて
スロットルボディ本体へのクーラント循環をカットし、バイパスさせるということです。
●実際に金魚バルブを買ってみました。

↑購入した金魚バルブ。 これを2個使用します。製品を選ぶのにとくに注意点はありませんが、高温に
なるので金属製のものを選ぶことと、ワンウェイバルブなどチェックバルブが入ってないものを選ぶことが
必要です。 価格は安いもので1個200円から300円程度。私はTポイントが貯まってたのでヤフーのストア
でポイントで購入したので実質タダ。 しかし、試しに購入した金魚バルブですが、現物はニップル外径、
穴の内径ともにとても細く、これでは使い物になりません。 それにこれ本来は水槽のエアーレーション用
バルブということで、気密性(水密性)もなさそうなのでNGです。ラジエーター内部など冷却水系統内部に
は常に0.9kg/cm^2(絶対圧で1.9kg/cm^2)程度の圧力がかかっているので、水圧がかかれば間違いなく
LLCが漏れるでしょう。まぁ、Tポイントで買ったので実質、金銭的な損はしてないので別に構いませんが。
そこで、他に使えそうな切り替えバルブを探したのですが、以下のような空圧機器用のバルブがどうかなと
考えています。

↑空圧機器用のチェンジバルブ。これの8φ用が使えそうです。 ただし、ひとつ問題はメーカーによると
耐熱性が60度までしか保証されていないことです。 材質的にはPBT樹脂なので130度くらいまでは使える
はずなのですが、こればかりはやってみないとわかりませんね。 ちなみに圧力に対してはまったく問題は
ありません。また、クーラントの主成分であるエチレングリコールにも耐性があるとのことです。 これが
もしダメだったらこれ以外に他にもっといい切り替えコックがあるかどうか探してみたいと思います。
●実際の作業はこれからです。
今はまだ寒い時期なのでやっても意味がないと思いますので、暖かくなってきたら実際に作業して真夏に
なったらテストしてみようかと思います。
もっとも、吸入空気がスロットルボディを通過するのはごく短時間なので、もしかしたらほとんど体感的
変化は感じられないかもしれません。
しかし、スロットルボディとサージタンクは直接接しているので、スロットルボディの温度が下がることは
サージタンクの温度も下げられることにつながるため、まったくメリットがないことはないと考えます。
まあ、気休め程度にでも体感できれば万々歳なのですが。 これは簡単な小細工なので興味のある方はやって
みてください。ダメなら元に戻せばいいだけですので失敗を気にせずDIYで気楽にできる部類の作業ですし。
とくに、私のK6Aのようにオートチョーク機能がついているスロットルボディではなく、アイドルアップが
ISCバルブのみでおこなうタイプのスロットルボディであれば完全にLLC循環を殺してしまっても実用上の
問題は起きないと思われます。 そういう意味ではこのオートチョークつきスロットルボディは厄介ですね。
●他の方法も検討はしています。
最後に、今回検討したような「ライン切り替え式」以外にも他の方法も考えてはいます。実際にどのような
かたちにするか、あるいは結局いろいろ考えた末、何もしないかは自分でもまだわからないというところです。
この車がサーキットやレース専用車であれば思いきってスロットルボディへのクーラント循環をカットして、
なおかつオートチョーク機能も殺してしまえるのですが、ストリートで問題なく使えることが前提とすると
そういうわけにはいかないので難しいところです。 まさか今どき手動チョークにするなんてありえませんし。