K6Aの過給圧と負圧・ブースト1.7kでのテスト
ブースト圧やバキューム圧の数値、そしてハイブーストでのテスト。
●エンジンのブースト圧および負圧の話の前に、まずそれを見るメーターについてです。
私の車は正圧および負圧を見るのにトラストの機械式ターボメーターを使用していますが
このメーターもすでに8年ほど経過し、気がつけばずいぶん0ポイントがずれてきました。
実際にこのメーターの中身を分解したわけではありませんが、機械式なのでおそらく一般的
なブルドン管を用いた圧力計だと思います。
ブルドン管というのはいわばゼンマイ状の金属管なのでくり返しの圧力変動でだんだん劣化
してきてそれがズレに繋がってくるのは仕方ありません。

↑これは2001年当時の「0点」です。

↑こっちが現在の「0点」 正面から見て少なくとも目盛り半分以上はずれてきています。
もっとも、この種のメーターは「測定器」ではなく単なる「表示器」ですから、正直なところ
もともとそんなに精度は高くありませんし、なおかつ定期的に校正をしているわけではない
ので経年劣化で精度が落ちてくるのはやむを得ないことです。
また、機械式の場合は外気圧や温度によっても誤差が生じてきますし、電子式の場合はアース
の取り方や周囲のノイズなどによっても誤差が生じてくるものです。
ですので、よく複数のメーターを同時に使うとそれぞれの表示数値が異なるケース、たとえば
ブースト計の数値とブーストコントローラーの数値が0.1〜0.2位ズレることもよくあります。
●K6Aエンジンの正圧、負圧について
ターボメーター(連成計)は正圧側はもちろんターボの過給圧を知るものですが、負圧側は
シリンダーの吸引力を見ることでエンジンの「健康管理」に役立ちます。

↑私の車の現在のアイドリング時負圧。
前述のように0点のズレがありますので、それを見込むと実際には-420mmHg程度となります。
ちなみに、この初期型K6Aエンジンのアイドリング時負圧は-330mmHg〜-450mmHgならば
正常範囲です。
負圧はシリンダーやリングの磨耗によって次第に弱くなってきますので、オーバーホールの時期の
目安になったりしますし、ピストンの棚落ちやリング固着、バルブの密着不良などが発生すると
一気に負圧が弱くなりますので、トラブルが発生した際にもそれを察知することができます。
※負圧は使用するオイルの粘度やオイルの劣化具合でも変化します。これはシリンダーの気密性
が変わってくるからで、一般的には高粘度のオイルほど、また、新品のオイルのほうが負圧は高く
なります。 上記基準値は純正指定オイル(10W-30)の新品時のものと考えると良いでしょう。
また、エンジン本体はノーマルでも、大きいタービンに換えたり、太めのエキマニや太めのフロン
トパイプに換えても負圧が若干弱まることがあります。 これはバルブオーバーラップ時の排気側
に生じるイジェクター(吸い出し)効果が弱まるためで、とくに問題はありません。
<追記> 後日、0点のずれていないターボメーターにて確認しました。

↑0点のずれていないターボメーターではやはりだいたい-420mmHgあたりを指していました。
次に正圧側ですが、この初期型K6Aエンジンのノーマルの基準のブースト圧は一応1.1kg/cm^2と
なっていますが、実際のサービスデータでは正常範囲が0.7k〜1.25kと非常に範囲が広く、個体差
とは言えないほどかなり曖昧(このへんがスズキらしいところですが)になっています。
逆に言えば、もともとブースト圧が下限に近い値しかかかっていないエンジンならば、EVC等を
使って正常範囲内ギリギリ(メーター誤差も考慮に入れて)までブーストを上げても問題ないと
いうこともできます。
※ここで書いたブースト圧、負圧の値はあくまでも初期型K6Aのものですので、その後のマイナー
チェンジされているK6Aや新規格軽のK6A、NAのK6Aには当てはまりませんのでご注意ください。
●ハイブーストでの全開走行テスト
私の車は普段のブースト圧は1.4kg/cm^2あたりに設定していますが、セッティング上のマージンが
どの程度あるのかテストする意味で試しに1度だけ1.7kg/cm^2まで上げて全開加速してみました。
結果としてはこれだけ上げてもノッキング(高速ノッキング)などは発生せず、問題は出ませんでした。
(このことはつまり、ブースト1.4でのセッティングの余地がまだだいぶあるということでもあり、
現状ではまだまだセッティングの詰めが甘いということです)
参考までにそのときのパワーメーターiDのピークホールドは以下の通りとなりました。

↑ブースト1.7kg/cm^2時の最高出力ピークホールド。
ブースト1.4kでは最高で137PS程度でしたが、当然ながらブーストを上げたぶん高くなりました。
もちろん、数字だけでなく体感的な加速もかなり違ってきます。
ただこういう場合、メーター表示値の絶対値ではなく相対的な比較で見ることが重要です。
つまり「何馬力あったか」ではなく「以前と比較してどれくらい変化があったか」を読むのです。
いくらスペシャルなHT07タービンとはいえこの数値はやや出過ぎで、現実にはここまでの絶対馬力
を出すのはタービンの能力(風量)やインジェクター容量から考えてもありえない数値ですので。

↑同じくブースト1.7kg/cm^2でテスト時の最高速ピークホールド。 タコメーターは8000rpmを
オーバーしていました。
ジムニーでこのスピードだとかなり不安定になると思われるでしょうが、私の車の場合はけっこう
安定していて(横風などがなければ)とくに不安は感じません。
※念のため、このスピードは公道外の場所で出したものと解釈してください。

↑これはその際の排気温度ピークホールド値。 ほぼ900度ジャスト。
排気温度は空燃比だけでなく点火時期にも大きく左右されますが、仮に点火時期が適正範囲だと
すると、数値的には高くもなく低くもなくちょうどいいくらいだと思います。 ちなみに普段の
ブースト1.4kでは880度前後となります。
空燃比はこのときは高精度A/F計をつけていなかったので正確にはわかりませんが、簡易モニター
上ではだいたい11前後というところでしょうか。
●注記
ブースト1.7kというとかなり無理な数値に思えますが、所詮ノーマルカムですから、「圧」は
上がっても、実際にシリンダーに取り込まれる「量」は限られてますから、実際のところは
エンジン本体にはそんなに驚くほどの無理がかかっているわけではないです。 どんなに圧を
上げようと、最終的にエンジンが取り込める吸気量上限はカムで決まってしまいますので。
とはいえ、やはりブースト圧を上げる(=密度を高める)ということはたしかにエンジンにも
タービンにも無理がかかることには変わりないので、1.7kでの走行はあくまでも参考までの
データ取りということで今回の1度きりということにしておきます。
<追記>
私は以前からの単位がもう染みついていますので正圧をkg/cm^2、負圧をmmHgで書いています。
SI単位(概算)で置き換えるときは正圧(kg/cm^2)は×98kPa、負圧(mmHg)は×0.1333kPaと
換算してください。