HKSツインパワー
点火系強化としてツインパワーを取り付けました。
●今まで点火系で変更したのはスピリットファイアのツインコアプラグコードとイリジウムプラグ
のみでしたが、これらは点火そのものを強化するのではなく、あくまで2次電圧を効率よく着火に
結び付けるためのものでした。
今回は点火のパワーそのものを強化するために、1次電圧段階で強化できるCDI方式を採用したHKS
のツインパワーを試してみました。

↑ツインパワー(タイプ-ディストリビューター)本体、非常にコンパクトです。
ツインパワーの歴史は永く、私が中学生の頃には点火系の定番パーツとしてすでに有名でした。
その頃のTwinPowerはもっと大きいものでしたが。
なお、ツインパワーは全部で4種類ありますが旧規格K6Aエンジンの場合「タイプ-ディストリビューター」
を選びます。

●タイプデスビの配線はこの3本だけ。 赤はIGコイルの+線に、黄は−線に。 黒はアースです。
因みにJA22のイグニッションコイルのコードは黒に白線が+、茶色に白線が−です。
配線そのものはとても簡単になっています。
●まず、ツインパワーの原理と効果、それに必要性について書きます。
ツインパワーの名称の元でもある「ツイン」というのは通常の誘導方式とC.D.I.方式を組み合わ
せたということに由来するものと思います。
●通常の誘導方式では2次電圧を発生させるための1次コイルの電圧はバッテリーと同じ12V程度
の電圧で、これでも実用回転域ではなんら問題ありませんが、高回転になって2次コイルに誘導
電流を発生させる1次電流のスイッチング時間(ドゥエルタイム)が短くなると、1次コイルに2次
電流発生のための通電時間が足りなくなる傾向があり、それによって結果として2次電圧も低下し
てしまうことから、本来ならもっとも点火エネルギーの必要なはずの高回転、高負荷域で点火の
ためのエネルギーが弱まってしまい、結果としてミスファイヤーや点火遅れする率が高くなります。
ここで言うミスファイアーとは、明らかに体感出来る「失火」だけではなく、例えばエンジンが
7000rpmで回転しているとき1気筒あたりで言えば3500回点火、爆発しているのですがこれが
3500回全て、つまり100%確実に最適な点火タイミングで着火、燃焼しているわけではありま
せん。 たとえば、数十回に1回とか、数百回に1回とかの割合で(正確なデータを持っているわけ
ではありませんので、具体的にはわかりません)未燃焼か、あるいは不完全燃焼、また燃焼してい
ても点火源が弱く、燃焼圧力のピークタイミングのずれを起こしている場合があると思ってください。
つまり仮にこれがノーマルで100/3500回の着火時間ずれやミスファイアがあったとしたら、これ
を10/3500まで減らせれば今までロスしていた90回ぶんの爆発力=パワー&トルクが取り戻せる
というような解釈で捉えてください。
ましてターボエンジンでしかもブースト圧を高めたり、カムやタービン交換してより多くのパワー
を出すために混合気も濃いめになっていたりすると、燃焼室内はより高圧、高熱、という点火しに
くい条件が揃ってしまい、ノーマルとは比較にならないほどの点火電圧および電流を必要とします。
俗に言う要求電圧が高くなるということです。
よくプラグコード等の性能を見せるために店頭で大気中の放電デモをおこなっているのを見ることが
ありますが、実際のプラグの放電は高温、高圧で圧縮された混合気の中でおこないますので、大気中
での放電とは比較にならないほど抵抗が大きく過酷な状況となるのです。
そこでC.D.I.方式です。CDIとはCapacitive Discharge Ignitionの略で、一般的な誘導式フルトラ等
とは違い2次電圧発生のためのエネルギーをコンデンサに高電圧でしかも極短時間で貯え、これを短時間
で一瞬のうちに1次コイルに流すことで大きな2次誘導電流を発生することが可能なため、高回転で強力
な点火を可能とします。
ただ、C.D.I.はそれだけでは瞬間的な点火力は大きいのですが、点火時間(放電持続時間)はノーマル
よりも極端に短くなってしまう(通常の誘導式の1/10〜1/20の時間)という欠点があります。
実は点火エネルギーにとって重要なのは火花の強さだけでなく持続時間も重要でして、とくに低負荷、
低回転の実用域ではむしろ火花の強さよりも、この時間のほうが重要になることがあります。
よく点火コイルを交換して低速でのトルクが上がったというのを見ますが、これは電圧よりもむしろ
この通電時間が長くなったことのほうが影響していると思います。 ただ、重要なのはこの手のコイル
は低中速ではいいものの、高回転での短時間のスイッチングでは逆起電力の影響で1次電圧が充分に
昇圧しない場合があるので、高回転での点火パワーを重視したい人はいたずらにコイルを交換すること
が必ずしもよい結果を生むとは限りませんので注意してください。
点火コイルもその重視する用途によって種類がありますので、目的にあったコイルを使用することが
重要です。
<参考> →点火コイルについて(イグニッションコイルの交換)
ツインパワーはこの点を考えてありまして、それぞれの回転域において、時間と点火パワーのバランス
を変えてあるようです。 永井電子(ULTRA)のM.D.Iも同じような感じですね。
要するに、実用域での電流の持続時間が必要な領域では、ある程度の時間を維持するよう電流を流す
ように(あるいはパルス的に何回か電流を流す)し、高回転の持続時間よりも一瞬にして強力な電流が
必要な領域では、1発の強力な電流によって確実に点火するというものです。
このように全回転域で最適な電流特性にすることによって、単に高回転での点火パワーを強化するだけ
でなく、同じく大きな点火エネルギーを必要とする冷間時のエンジンの始動時の濃い混合気のもとでの
始動性も高まります。 始動時、かかりの悪いエンジンにも有効ということです。
●ただし欠点もあります。 点火エネルギーが大きくなるということはそれだけプラグの電極の消耗
が早まるために、プラグの寿命、デスビの接点の寿命が短くなる可能性もあります。
●装着後

●取付けは写真のようにしました。 IGコイルに2mm厚のステーを共止めし、それに取り付けました。
このままでも問題はないのですがステーとバルクヘッドの間には緩衝としてスポンジを挟んであります。
取り付け後、エンジンをかけてツインパワー側面のLEDが赤く点灯すればOKです。
●走行フィーリング
街乗りとして走ってみてまずはじめに感じるのが、とにかくエンジンの回転がスムーズになったこと。
発進から違いがわかりますが、とくに加速時にブーストが上昇する3000rpmから6000rpmにかけては
エンジンの音そのものが以前と変わるほどにスムーズになりました。 やはり点火遅れやミスファイアー
が減って、そのぶんガサツさが減ったということと考えます。
3気筒エンジンが4気筒になったような…というのは少々言い過ぎですが、雰囲気はそんな感じです。
それでいて3気筒の特長である加速時のパンチ力もしっかりあります。
全体としてはパワーとかトルクとかというよりも、回転のなめらかさとアクセルのツキが良くなったと
いうのが効果としてハッキリと感じ取れる点です。 取り付ける前はそれほど体感出来ることを期待して
いなかっただけに、ちょっと嬉しい誤算かもしれません。
●さらにこのツインパワーはアースの取り方をちゃんとするとよりいっそうの効果があります。
→HKS TwinPowerのアース変更と点火系強化デバイスについて
※蛇足ですが、昔からある物でガンスパークやミラクルパワー等のように2次電流を高めるパーツが
あります。 これらはコンデンサー効果を利用して一時的に蓄電、一気に放出することで点火パワー
を高めようとするものですが、この手のパーツの落とし穴はすでに点火タイミングが決まったあとの
2次電流に手を加えるために結果として点火時期が大きく遅れてしまうということです。
それと同時に点火が瞬間的になることで前述したように、瞬間的な点火パワーよりも、点火持続時間
が重要視される領域においては、かえってトルク低下など逆効果になることがあります。
ですので、そのままつけただけではむしろ始動性が悪化したり、かえってパワーダウンしてしまい
ますので注意が必要です。 私はあまりオススメしません。