K6Aエンジンの排気バルブトラブルについて

あくまでも私の勝手な推測で確証はないのですが


●K6AエンジンのEXバルブ(排気バルブ)はとくにトラブルが多い(異常な摩耗、変型、

クラックの発生、欠け、溶損等)ことで有名ですが、面白いことにそのK6A搭載車の中

でもジムニーにその傾向が多いように思います。 とくにJA22Wは多いようですが、改良

されているはずのJB23でもまだ完全にこの問題が克服されているわけではなさそうです。

ちなみにこのK6Aの排気バルブですが、旧規格のJA22から新規格のJB23にチェンジ

した際に品番が変わっています。

旧:12915-73G00 新:12915-73G20

末尾の番号が変わっていることからおそらく材質の変更などがなされた等、改良が施さ

れた「対策品」になったものと推測します。(スズキの場合、単なる統合など品番のみの

変更の場合は番号自体がもっと大きく変わることが多く、対策品など部品改良の場合は

だいたい末尾2桁が変わり、今回のように"00"から"20"になることが多いようです)

ですので、現在は旧規格のK6Aでも排気バルブを注文するとこの「対策品」が来ます。

↑エンジンOH時に私のエンジンから外した排気バルブ。(多少磨いてあります)

けっこうハードに使っていたにもかかわらず、外径の摩耗、クラック、変型、溶損等はまったく

なく、寸法、形状的には正常でした。

ちなみにK6Aエンジンの排気バルブの傘径はφ21.5mm、吸気バルブ径はφ24.6mmです。

ステム径はIN、EXともにφ5.5mmと傘径からするとやや太めかなと思います。

もっとも、とくに排気側は若干太めのほうがステムを伝わってバルブガイドに熱を逃がすの

に有利ですので、重量増というデメリットはありますが、熱量の多いターボエンジンでは太く

て悪いことはありません。

なお、一部の噂でK6Aは途中から「ナトリウム封入バルブ」に変わったとの記述がありました

が、これはまったくのデマです。 排気バルブの単価(約2100円)から考えてもナトリウム

封入バルブはあり得ませんので。 対策品はあくまでも材質の変更のみだと思われます。


●バルブトラブルの原因について

これはよく言われているように「燃焼温度の異常な上昇」にあることは間違いないと思います。

ただし、面白いことにこのトラブルはチューニングエンジンではなく、ごく普通に使われている

まったくのノーマルエンジンで多く発生しているようです。

むしろきちんとセッティングされたチューニングエンジンではあまりこうしたトラブルは聞か

ないように思えます。

実際、私のJA22のK6Aはそれなりにパワーも出ていて、あれだけ過酷な連続全開走行をくり

返していたにもかかわらず、前述のように排気バルブの異常消耗やクラックなどのトラブルは

まったくありませんでした。

 

どうもこのへんに解決のポイントがあるような気がしていろいろ考えたのですが、もっとも怪しい

原因として、使用している「ガソリン」があるのではないかという気がします。

というのも、K6Aターボは標準ではレギュラーガソリン仕様なので、普通にレギュラーガスで

使用しているユーザーが多いと思いますが、本来はノーマルでもハイオクで使用するのがベター

なのではないかと思うのです。

とくにジムニーでトラブルが多いというのも、結局、他の車種(カプチーノやアルトワークス等)

に比べジムニーは重量も重く、駆動系の抵抗も大きいことからエンジンにかかる負担、ストレス

は他の軽自動車に比べ大きいものと思います。 とくにJA22はジムニーの中でもっともギアレシオ

がハイギアードなため、通常の発進時でも大きな負荷がエンジンにかかることになります。

(他には、積載の多いエブリィやキャリィ、ワゴンRなども同様に負荷が大きくかかるでしょう)

結果、明らかな「ノッキング」とまではいかなくてもいわゆるトレースノックやライトノック状態、

つまり明らかに聞き取れるノッキングやノックセンサーで感じ取れるノッキングではなく、微妙に

ノック気味で運転されるような状況が多くなっていたのではないかということです。

(ノッキングにも種類があり、一般に人間の耳に聞き取れるノッキングは「ヘビーノック」から

「ミディアムノック」程度であり、それよりレベルの低い「ライトノック」「トレースノック」は

耳で感じ取ることはまずできません。とくに危険なのはチリチリチリ…という高速ノッキングです)

デトネーション(異常燃焼)とまでいかなくても、それに極めて近い状況であったとも考えられます。

このような状態が続くと燃焼が常に高温となりますので、その結果として排気バルブにその熱ストレス

が集中してしまったのではないかということです。 これは最悪はオーバーヒートもひき起こします。

エンジンがヒート気味になると燃焼室壁面の温度も上がることからさらにノッキングやデトネーション

が起きやすくなるという悪循環が生まれるため、なおさら排気バルブにとっては辛い状況となります。

さらに状況が悪化し、実際にノックセンサーが感知するレベルのノッキングが起きると当然ECUは

点火時期を遅らせますが、その場合、ノッキング自体はとりあえず収まりますが点火時期が遅れること

で燃焼も遅れ、まだ燃えている状態の排気ガスが出ますのでこれが排気温度を大幅に上昇させるととも

に、このことがさらに排気バルブの温度を上昇させるという排気バルブにとって非常に過酷な状況に

陥るわけです。

なお、これと似たような実例として先代のトヨタヴィッツRSターボでハイオク指定であるにもかかわ

らずレギュラーガスを使用したことでエンジンが高温状態になり、最悪車両火災にまでなったことが

ありますが、トラブルの起きたK6Aもこの一歩手前という状態だったのではないかと想像できます。

 

以上のような理由から、私の個人的な推測ではK6Aのこの排気バルブのトラブルは「ハイオクガソリン

を使用するだけでかなり回避できるのではないか」と思うのです。

それによってアンチノック性が高まりますので、このようなノッキングやデトネーション状態等、

エンジンにとって危険な状態で運転することがなくなりますので。

そもそも軽自動車のターボエンジンは660ccで表示上64馬力、実質的な出力は余裕でリッター100馬力

以上を出している高性能エンジンです。 さらに旧規格のK6Aは基準ブースト圧が1.1kg/cm^2という

高過給エンジンであり、圧縮比も8.4と決して低くはありません。 それをレギュラーガソリンで使用

しているほうがむしろおかしいのではないかとさえ思います。 とくに日本のレギュラーガソリンは

欧州などに比べるとオクタン価が低く(よく輸入車や逆輸入車が本国ではレギュラーガソリンでOKなの

に日本にくるとハイオクガソリン指定になるのはそのためです)、なおかつ灯油など混入物の多い粗悪

なガソリンもあり実際のオクタン価が法律で定められた数値(89)を満たしていないものもあると思

われます。

また、こんな書き方をすると怒られるかもしれませんが、軽自動車のユーザーにはコストに敏感な人

(ハッキリ書くと「ケチ」な人)が多いため、自然と1円でも安いガソリンを入れたがる人も多い

と思います。 これがより粗悪な(低オクタンな)ガソリンを使用することに繋がっているとも推測

できます。

実際、K6Aエンジンに限らず、使用していたガソリンの質が悪いためにバルブやバルブシートの

異常摩耗などはK6A以外のエンジンでも起きていますので、まったく無関係ではないと考えます。

もっとも、ハイオクであっても質の悪いガソリンもあるのでハイオクだったら何でも安全かというと

決してそうではないのですが…いずれにせよ、安すぎるガソリンや怪しいスタンドには要注意です。

 

これとは別に「ノーマルの空燃比が薄くて燃焼温度が…」という推測もあるようですが、K6Aエンジン

はそもそも通常の実用回転域ではO2センサーでフィードバック制御されてA/Fは理論空燃比の14.6-

14.7付近にコントロールされていますし、仮にフィードバック領域を抜けたとしても濃い方向にマップ

が書かれていますので、空燃比が薄すぎて云々というのは何らかの制御系のトラブル(センサーやECU

関係の故障)でもない限りは考えにくいのではないかと私は思います。

 

以上、あくまでも私の勝手な「憶測」でしかありませんので確証は持てませんが、K6Aターボの

場合はノーマルであっても保険としてハイオクガソリンを使用したほうが安全な気がします。

もちろんコンピューターを換えていたり、点火時期を調整するパーツや燃調コントローラーの類

をつけている場合は、ノッキングが起きる起きないにかかわらずハイオクガソリンを使用すべき

なのは当然です。 以前にも書きましたが本当に恐いノッキングというのは耳で聞き取れない、

あるいは極めて聞き取りにくいレベルのノッキングが長く続く状態ですので「ノッキングなんて

起こっていない」と思っていてもじつは常にライトノック状態だったということもありえます。

とくに「ハードな走りをしているわけでもないのになんとなく水温がいつもより高い状態が続い

てるなあ…」なんていう場合はガソリンの質に根本的な原因がある可能性が高いことも多いです。

 

↑私のエンジンから外したエキゾーストバルブのバルブフェース面。

摩耗やクラック(割れ)、変型等はなかったのですが、バルブシートとの接触面はカーボンの

噛み込みと思われる凹みが多数あり、フェース研磨するより新品に交換したほうが良いだろうと

いうことで全数新品にしました。 新品は対策品ということもあり交換して正解だったと思います。

(なお、バルブシート側はそれほど荒れていませんでしたので、摺り合わせのみでOKでした)

もし旧規格のK6AエンジンをOHする際には念のため、仮に見た目に問題なくてもこの対策品の

新品排気バルブに交換したほうが少しは安心できると思います。

また、その際、摺り合わせの当たり幅も基準値目一杯の1.6mmまで拡げたほうが少しでも放熱

で有利になるのではないかと思います。

バルブクリアランスについても、できれば規定の範囲内で最大にするべきです。

とくに排気バルブはそうすべきで、これは燃焼温度や排気温度が上がることから、バルブステムの

熱膨張が大きくなることがあるため、もしバルブクリアランスが小さいと最悪の場合はこの熱膨張

によってバルブがシートに密着せず、圧縮漏れするのはもちろんのことバルブフェースからの熱伝導

が悪化することで排気バルブが溶けてしまう可能性があるからです。

 

●ちなみにF6Aではどうかと言うと、F6AはK6Aに比べ圧縮比もブースト圧も低いうえ、ボア径も

小さいのでノッキングに対してはK6Aよりも楽な条件となりますのでノーマルであればあまり気に

しなくていいと思われます。 しかし少しでもいじったエンジンなら迷わずハイオクを使用すべき

だと思います。


えんいー! ヽ(´ー`)ノ~~~