スズキ「新型アルトワークス(HA36S)5MT」に試乗してきました!
やはりライトウェイトのマニュアルターボ車は楽しいですね!

●遅ればせながら、新型アルトワークスの5速マニュアル車に試乗してきました。 基本的なメカニズムは
去年試乗したターボRSと共通ですので、そちらの記事も併せてご覧ください。
<参考リンク> →新型アルトターボRSの試乗とチューニングの可能性について
●まずは全体

↑全体のフォルムはターボRSと変わるところはありません。ホイールデザインが異なるくらいでしょうね。
カラーリングはレッドの差し色があるターボRSより大人しいです。 ステッカー類がなければかなりシブい
かもしれません。

↑ワークスであることを強調するフロントエンブレム。「メガネフレーム」はややブラックがかったメッキ
ですが、これは好みの分かれるところでしょうね。ヘッドライトはHI/LOともHID(バイキセノン)が標準装備
となっています。

↑リアデザインもターボRSとほぼ共通です。相変わらずマフラー出口は見せないデザインです。

↑運転席周り。よく言えばシンプル、悪く言えば安っぽいという感じでしょうか。しかし私は装飾過剰よりは
軽自動車らしく無駄のないこの雰囲気が好きですね。 あ、ただ運転してて感じたのはフットレストを標準装備
でつけてほしかったかな。

↑標準装備のレカロシート。世間では座面位置が高いと言われてますが、背の低い私にはちょうどいいくらい
ですね。サポート性も悪くないです。乗降性については一部では不満が言われていますが、私は普段からSR-3
に乗っているのでまったく気になりませんでした。

↑トランクスペース。もともとが商用バンがベースですから、積載性は悪くないと思いますよ。 このあたりが
実用性の乏しいS660やコペンよりアルトが有利な点ですね。
●それではさっそく試乗インプレッション
クラッチペダルを踏んでスタートボタンを押してエンジンを始動、マニュアル車にはアイドリングストップ機能
はついていないところが好感が持てますね。 軽いクラッチペダルを踏んでギアを1速に入れて発進! ジムニー
と同じ感覚でクラッチを繋ぐと「おおぉ!」と思えるくらい飛び出るように走り出すのにはちょっと驚きました。
やはり670kgの軽い車体とローギアードのクロスミッション、それに2000rpm以下の極低回転からでも充分な
トルクを出すR06Aターボエンジンの組み合わせはすこぶる軽快ですね。当然、ターボラグもほとんど感じません。
これなら街中のシグナルスタートでも簡単にトップに出ることができ、そのまま法定速度オーバーまで一気に
到達できます。ストリートでは最速の1台ではないでしょうか。普通の人ならチューニングしなくてもノーマルの
速さで充分満足しちゃうかもしれません。
●ショートストロークでスコスコ決まるシフトフィール!
シフトレバーのストロークはかなり短く、また、変なグニャグニャ感もなくカッチリとしています。 少し
エンジンが暖まってきて1速→2速→3速とレッドゾーンまで回してみましたが、さすがはワークスR譲りの
クロスミッションだけのことはあり、ギアの繋がりが気持ちよく、フラットトルクなエンジン特性とも
相まって「どこから踏んでも加速していく」のは素晴らしいですね。
ただ、それだけにやはり7000rpmまでしか使えないのが「もどかしい」です。 アクセルを全開にして
スカーンと回したいと思ったらもうレッドゾーンですから、いわゆる「息の長い加速」ができないのです。
これはいざという時には8500から9000rpmまで回して使える私のジムニーのK6Aエンジンと比べると
「かなり物足りない!」ところです。もっと高回転まで回ってほしいです。まぁ、チューニングエンジンと
比べること自体が酷なのかもしれませんが。

↑やはりレッドゾーンが7000rpmというのは物足りないですよね。せっかくターボRSとはチューニングを
変えて「ワークス専用チューン」したエンジンなのですから、せめてあと1000rpmはレッドゾーンを上げて
せっかくのローギアードのクロスレシオミッションを活かせるようにして欲しいところですが、これが
(安全マージンを考えると)R06Aの限界なのでしょうか。
●ステアリングフィールはもうちょっとシャープさがほしいところ
操舵感はターボRSと基本的には変わらない感じなのでFF車としては悪くはないのですが、よりスポーティーな
ワークスとしてはちょっとダルいかなという印象です。シャープさがいまいちで、ロック トゥ ロックが大きめ
に感じました。正確にはわかりませんが、3.5回転近くあるのでしょうか? 個人的にはロック トゥ ロックが
2.5回転くらいまでシャープにしてスポーティーなセッティングにしてもいいんじゃないかと思いましたね。
●サスペンションは意外と乗り心地が良いかも?
これは私が普段乗っているジムニーの乗り心地が悪いからそう感じるだけなのかもしれませんが、思っていた
ほど硬いセッティングではなく、しっかりしながらも角が取れたいい感じの乗り心地でした。 試乗コースで
かなり舗装の荒れた路面も走ったのですが、車が跳ねるようなこともなく、しっかりと路面を捉えていました。

↑標準装備のタイヤはブリヂストンのポテンザRE050。これはターボRSやコペンなどの標準装着と同じタイヤ
です。サイズは165/55R15です。 ポテンザはわりと硬めのショルダーのタイヤなのですが、そのわりには
ソフトとは言いませんが、スパルタンなほどハードではないです。 あとはぜひとも純正オプションでLSDが
ほしいところですね。ヘリカル式ならコンパクトですし利きもマイルドなのでちょうどいいのではないでしょう
か。さらにハードな利きのLSDを望む方は社外品に期待しましょう。
●ブレーキフィーリングは最近の車の標準的な傾向

↑ブレーキはフロントがベンチレーテッドディスク、リアがリーディングトレーリングのドラムです。 利き味
は最近の車に多い、軽く踏んだだけでググッと利くいわゆるカックンブレーキですね。 個人的には好みでは
ありませんが、これはブレーキパッドを社外品にして好みの味つけにするしかないでしょうね。
●最後にエンジンとそのチューニングポテンシャルについて

↑基本的にはターボRSと共通のエンジンですが、ECUセッティング(VVTやブースト圧)を若干変更して、
最大トルクをターボRSの10.0kg-mから10.2kg-mに引き上げてあります。
●ブーストアップもいいですが、まずはなんとかレブリミットを引き上げるチューニングを先に
おこないたいところです。

↑R06Aは私が再三書いているように、K6Aなどに比べパワーアップや高回転化のマージンが少ないのが
厳しいところで、とくに私はこの高回転化を可能にするチューニングをまっさきに期待したいところです。
いくらブーストアップやタービン交換してパワーアップしても7000rpmで頭打ちでは、すぐに吹け切って
しまい、クロスレシオミッションの美味しいところが活かせませんからね。 エンジン本体がノーマルの
ままでは瞬間的であっても8000rpmあたりが限界でしょうね。 それ以上の高回転化はバルブスプリング
の強化とコンロッドの強化が必要な気がします。あと油圧および油量アップも必要かと。 今後のR06A
チューニングの進展に期待したいところです。

●社外ボンネットでより「ワークスらしい外観に」

↑「三木スズキ」というショップというかディーラーがオリジナルで出しているエアバルジつきボンネット。
やっぱりアルトワークスと言えばこれがないとなんか物足りないですよね。 値段はちょっと高いですが、
しっかりとした造りと、内部にエアガイドがあり、ノーマル以上にインタークーラーが冷えるようになって
いる点は評価できると思います。 なにより自然な形状でカッコいいですよね。

て言うか私はずっと疑問に思っているのですが、ノーマルのあの狭いスリットから吸気とインタークーラー
の冷却をするのってすごく無理があるように感じるのですが、あんな狭い隙間からの走行風導入できちんと
冷えるのですかスズキさん?

●その他の参考データ

↑これは新型アルトワークスと旧型HB21SアルトワークスR(後期)のミッションのギアレシオ比較。
見てのように2速から4速までがまったく同じです。つまり、新型アルトワークスの5MTミッションは
旧型ワークスRのミッションがベースとなっているのです。 ちなみにファイナルレシオはHA21Sの
標準車と同じ4.705です。 これとタイヤ外径から計算すると、100km/h巡行時のエンジン回転数は
4000rpmにもなるので、高速道路での巡航は疲れるでしょうね。 ちなみにリミッターカットして
5速7000rpmのレッドゾーンまでめいっぱい引っ張っても最高速は175km/hまでしか出ません。
それだけこの5MTのミッションはローギアードなのです。これは高速道路の巡行ではちょっと辛いかも。
参考までに5AGS車はギアレシオがハイギアードなので、5速7000rpmで201.5km/h出ます。
個人的にはこの5AGSと同じギアレシオの5MT仕様があっても良いのではないかという気がします。

↑これは新型アルトワークスのサービスデータの一部。 注目してほしいのはエンジンオイル量。わずか
2.5リッターしかないのです。K6AやF6Aは約3リッターありますから、500ccも少ないことになります。
つまりそれだけR06Aは油温が上がりやすいと言えますので、ハードな走りをしたり、ちょっとした
ブーストアップチューンでもオイルクーラーは必須と言えます。チューニング時、ハード走行時には油温
に注意しましょう。
●FFとAWDどちらを選ぶか?
単純に重量で選ぶなら50kg軽いFFモデルが良いような気もしますが、チューニングしてパワーアップする
ことを考えるとやはりトラクション能力で有利なAWD(フルタイム4WD)モデルになると思います。
ただ、アルトワークスのAWDシステムはセンターデフのないビスカスカップリング方式のため、フルタイム
4WDとは言っても実際はフロントに100%の駆動力を伝え、リアには必要に応じて駆動力の一部を配分する
という「なんちゃって4WD」であることは頭に入れておいてください。ちなみに先代までのアルトワークス
では前後のファイナルギアレシオが異なっていましたが、今度の新型アルトワークスではなぜか前後とも同じ
ファイナルギアレシオとなっています。

↑アルトワークスの4WDシステム。センタービスカスカップリングのAWDシステムです。4WDの新型ワークス
のサーキットタイムはまだわかりませんが、50kgの重量がフロア下に集中していて低重心になっていること、
トラクション能力がFFモデルより優れていることなどを考慮すると、もしかしたらFFモデルよりもサーキットの
ラップタイムは上回る可能性がありますね。 ちなみに私が買うならやはり4WDモデルになるでしょうね。
●筑波1000サーキットでの某雑誌のタイムアタックについて

↑ネット上でもかなり話題になったこのタイムアタック。「予想に反してアルトワークスが遅い!」と
いう結果でした。 なにせ1周50秒もかからないコースでS660に対して2秒も差をつけられては言い訳でき
ません。この結果は素直に受け止めましょう。 そのうえで、なぜこんなに差がついたのかを冷静に考えると
いくつかの要因があります。 まずはトラクション能力の差。つまりMRでなおかつリアタイヤが195サイズ
と太いS660に対し、FFでLSDなし、タイヤサイズも165と細いために不利な条件のアルトワークス。しかし
車両重量では約150kgもアルトワークスが軽量なのはアドバンテージになるはず、でもここで重要なのは
その「重量配分と重心高さ」です。 確かにS660は重いですが、その荷重が低い部分に集まり、かつリアの
トラクション向上に大きく貢献しています。つまり、本来なら不利な重量すら速さにつなげているわけで、
これは日産R35GT-Rが「重いのに速い」のと同じ理由だと思います。 対してアルトワークスは、極端に
軽量なプラットフォームと背の高さが災いしてどうしても重心が高くなり、コーナーでのロール量が大きく、
結果、駆動輪内輪のトラクションが抜けるなど思ったようにそのポテンシャルが発揮できなかったものと
思われます。 つまり、アルトワークスを速くしていくためには「いかにメカニカルグリップ力を高め、
トラクションをかけられるようにするか」が最も重要なのではないかという気がします。そのためにも
早くLSDが欲しいところですね。さらにスタビライザーの強化も必要かもしれません。

↑たしかにプラットフォームの軽さは武器になりますが、そのために重心が高くなってはかえってマイナス
要素になってしまいます。足まわりチューンでここをどう克服していくかが鍵ですね。
●おまけ「イグニス」の試乗車もありました

↑イグニスの試乗車もありました。乗りはしませんでしたが、コンパクトでデザインもいいと思います。
これでスイフトスポーツみたいなホットモデルがあれば面白そうですね。