<その6.アパマン向きアンテナ・10〜28MHz用垂直ダイポール>

記 2003年04月12日〜  ja3npl

  前回の試しにて、6.5m長の垂直エレメントに2mのカウンターポイズをつないだところ、良い結果(雑音少なめ、ゲイン高め)が得られましたので、検討を加えました。

  前出の水平ダイポールには及びませんが、意図したとおりの垂直ダイポールが出来ました。


<1.机上検討>

a.基本となる垂直ダイポール

  本来は左図のような構成で設置するのが望ましいものです。

  建物との干渉、誘導を出来るだけ避けるために、ひさしの水平構造物とは直交するように垂直のエレメントになります。

  エレメントの長さは10mより長くするのは実際困難です。

  もし、これが実現できれば、14MHz〜28MHzまで、フルサイズ/ダブルツエップの動作となり、快適でしょう。しかも、雑音の伝わる建物の鉄筋とは接続が無くてすみます。



b.給電点の位置を下げる

  上の基本となる垂直ダイポールは給電点部分の構造が複雑でこれを実現する方法がありません。

  従って、左図のように給電点の位置を下げて見ました。これだとひさし下の構造物で処理できそうです。

  ウインドムアンテナ風に励振することになります。



c.第3のエレメントで補正する

  エレメント#1の長さは、10、14、18、21MHzでは1/4〜1/2波長となりうまく波が乗りますが、24、28MHzでは1/2波長を超えて逆位相の乗りとなります。これを補正するため、この第3のエレメントを追加しました。

  この第3のエレメントは建物のひさしに近い部分でアンテナの高周波電流を逆相で減らしてくれ、従って、建物との干渉が少なくなります。

  



d.MMANAでアンテナの高周波電流を視る

  次図がMMANAのアンテナ形状図で視る電流分布です。

  10〜18MHzはウインドムアンテナ風の乗りで、21〜28MHzはJ形アンテナの乗りになっています。

  丁度、ひさしのあたりから下の方では電流が小さくなる..という意図どおりになっています。




<2.アンテナを建てる>

  実際にこのアンテナを設営し、各バンド毎の建物との干渉状況をMMANAで確認し、雑音の状況が当初の手すりアース6m長バーティカルと比べどのように改善されたか..を測定しました。

a.アンテナの構成

  左図のようなアンテナと周辺状況です。

  給電点にはオートマティックアンテナチューナーを置きました。

  このチューナーは高周波的に浮かしました。(コア、ZCAT3035、4回巻、同軸、コントロールケーブル共、他要所に同コアを6個)

  エレメント長は設営場所の都合で短くなりました。#1=7m、#2=2.1m、#3=1.9m。




b.パターン図から建物との干渉程度を視る

・14MHz

  黒の垂直成分と水平成分とが似たようなレベルで好ましくありません。水平成分が-10dbの円まで小さいと前出の水平ダイポール並みとなるのですが。壁から10cmの至近にエレメントがあるのが原因です。

  実際にはコンクリートがあって誘導は軽減されるので、実際のパターンはこれより良いはず..と思っています。



・21MHz

  黒の垂直成分が大きくほぼ円になっており、水平成分は-10dbを少し超えているので、前出の水平ダイポールより少し劣るでしょう。



・28MHz

  非常に良いといえます。



  (ワークバンドのパターン図 → 10MHz、18MHz、24MHz。




c.雑音のレベル

  次の2つの表で比較します。水色にした所が雑音レベルの良くなった所です。(雑音の強い時とは隣家の給湯器が動作している時です。)

  雑音はより少なくなりました。成果がありました。前出の水平ダイポールには及びませんが、確かに雑音レベルは下がりました。
  さらに、JA2IGY局のビーコンが強く受信できるようになりました。( S=3 → S=5〜6/28MHz)  アンテナの位置が高く変わって、アンテナのゲインが上がった模様です。

  ・垂直ダイポールの雑音レベル
周波数( MHz )1.93.5710141821242850
雑音の少い時- 0 (p.amp=off)0 (p.amp=off)1.5(p.amp=1)1 (p.amp=1)2 (p.amp=2)2 (p.amp=2)0 (p.amp=2)0 (p.amp=2)0 (p.amp=2)
雑音の強い時-              0 (p.amp=off)0 (p.amp=off)5 (p.amp=1)5.5(p.amp=1)7.5(p.amp=2)6.5(p.amp=2)6.5(p.amp=2)4 (p.amp=2)0 (p.amp=2)
IC-756PRO/USB 2.4KHz/ATT=OFF/N.B.=OFF/数値はSメーターの読み

  ・6m長バーティカルアンテナ(手すりアース)の雑音レベル・・再掲
周波数( MHz )1.93.5710141821242850
雑音の少い時3〜4 (p.amp=off)0 (p.amp=off)0 (p.amp=off)3.5 (p.amp=1)2.5 (p.amp=1)3.5〜4 (p.amp=2)3 (p.amp=2)0〜1 (p.amp=2)0 (p.amp=2)0 (p.amp=2)
雑音の強い時4〜7 (p.amp=off)0〜1 (p.amp=off)0〜1 (p.amp=off)6.5〜7 (p.amp=1)4.5〜5(p.amp=1)7〜8 (p.amp=2)8.5〜9(p.amp=2)6〜6.5 (p.amp=2)1〜4(p.amp=2)0 (p.amp=2)
IC-756PRO/USB 2.4KHz/ATT=OFF/N.B.=OFF/数値はSメーターの読み


<3.このアンテナの印象他>

  コンデションの良くなった3、4月に、このアンテナと水平ダイポールの両方をスイッチで切り替えるようにして運用しました。
  このアンテナで、10MHz・C56TA局、14MHz・5N6EAM局、18MHz・EA6NB局、21MHz・HP1XVH局、24MHz・XF2IH局、28MHz・SU9NC局とQSOできているので、従来と遜色なし、前より良くなっているはずですが良く分かりません。

  雑音について言えば、従来の手すりアースのアンテナに比べて楽になりました。でも未だ雑音は障害となっています。また、明らかに水平ダイポールのほうがS/N比が良く水平ダイポールが捨てがたいのですが、方向が変わらないのが残念です。水平ダイポールは解体し片付けようと思います。
  これからしばらくは10MHz以上がこのアンテナ、7MHz以下は10m長の手すりアースバーティカルで運用します。

  このアンテナの取り付け構造は、7m長の#1のエレメントが仰角ローテーターによって水平に倒れ、収納できるようになっています。(ご参考用、取り付け構造部の写真はこちらです。)
  手すりアースのアンテナは挿し込み式で、使わないときは引き抜いて収納出来るのですが、このアンテナは手の届かない高い位置になってしまい遠隔操作で収納となりました。雨や寒い日に外へ出なくても済み、楽ちんです。

  私の考えですが、駅の近くの集合住宅で家族との生活が望ましい..とした場合、集合住宅の景観をアンテナであまり害さないようにしょう、ということになりました。家族は、山奥で鉄塔を建てて思い切りハムをやったら良いのに..といってくれますが、単身赴任も沢山やったし自分で料理は出来ないので山奥は止めます。
  景観についてですが、一本の長い棒が真っ直ぐ立っている..のが一番良いのではと思います。避雷針まがいです。釣竿のように風で動く場合は、かえって、目に触れ、不安定感も表れるのでは。この辺はもっと議論があるべきでしょう。


・・ヒント・・

  雑音回避のためには、つながない(建物の鉄筋につながない)、離す(エレメントを建物から離す)がポイントです。
  逆説では、建物に近付けても(景観を良くしても)性能が出るアンテナが良い..です。例えば、ノイズキャンセラー付きアンテナなど。

  今後、技術検討が進んで、より雑音の少ない、景観の良いアパマン用のアンテナが開発されるといいですね。
  今後、給湯器の雑音を規制する活動が始まるといいですね。


以上

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