NiMHバッテリー充電器・その2

記 2014年09月20日〜  ja3npl

  抵抗を介して充電する、ほぼ、定電流の充電器なのですが、一方、”使い古した電池の診断装置” とも言えるものです。

  1. 完成した充電器

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      ケースは、120Wx160Dx40H のアルミ・シャーシーです。

      単三型ニッケル水素電池(1〜4個)を扱い、
       ・電圧
       ・等価内部抵抗
       ・充電容量
       ・放電容量
    が測定できるようにしました。


  2. 測定の要領

     <電圧、等価内部抵抗の測定>
    回路図

      電池の等価回路を、左図のように、直列内部抵抗 r を持ったものと考えます。
      電圧計で端子電圧を測りながら、スイッチをOn/Offし、V0とV1を測ります。
      式@と式Aの連立から、直列内部抵抗 r が算出できます。


     <充電容量の測定>
    回路図

      +3Vの電源から、3.3Ωの抵抗を介して、電池に充電する回路です。

      実際には、充電が進むと電圧が変化するので、3.6秒(1hr/1000)毎にV0を測定して、積算します。
      充電電流は、I=(3v-1.2v)/3.3Ωで、約0.5A です。


     <放電容量の測定>
    回路図

      電池に、2.2Ωの抵抗負荷をつないだ回路です。

      放電が進むと電圧が変化するので、3.6秒毎にV0を測定して、積算します。
      放電電流は、I=1.2v/2.2Ωで、約0.5A です。


  3. 製作の工夫と製作記録

      LCD表示器と単三ニッケル水素電池の大きさから、最初の写真の様に、単三、4本を、 150x75mmの感光基板に乗せることとしました。
    回路図

      4本の電池は、それぞれ、単体で計測制御出来るようにして、回路は同じものが4列並びとなります。

      マイコンでの計測・制御の方法を考慮して、簡単な回路としたのが左図のものです。
      回路の切替はリレーで、電圧の計測は、対地電圧で組合わせました。


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  4. 画面表示

    lcd画面

      写真の様に、4個の電池を装着して測定した例が、後続の画面です。

    各電池の経歴;
      #1--約10年前に購入、使い古した1,800mAh/1.2V
      #2--約10年前に購入、使い古した1,600mAh/1.2V
      #3--約10年前に購入、使い古した1,650mAh/1.2V
      #4--新品のEVOLTA 1000mAh/1.2V


    <メニュー>
    lcd画面

      タクト・スイッチ(緑)により、4つの画面が、順次切替わります。


    <電圧、内部抵抗>
    lcd画面

      タクト・スイッチ(赤)により、測定がスタートします。
      測定は、0.5秒で終わり、表示されます。

      新品は、0.02Ωと低い値を示します。


    <充電容量>
    lcd画面

      充電容量を、1,300mAH に設定した例です。この設定値は、ツマミ(黒)により、1,000〜3,000mAH まで可変できます。使い古した電池の容量は減少しているのを見越して、低めの値に設定しています。

      各々は、1,300mAHに達すると”F”を表示して充電を終えます。
      充電電流は、約0.5Aです。


    <放電容量>
    lcd画面

      各々は、0.5Vまで低下すると、”F”を表示して放電を終えます。  放電を終えると、回路から切り離されて、端子電圧は、1.1〜1.2Vに回復しています。

      1,300mAHの充電により、各々は1,000mAH程度の放電容量が有りました。
      放電電流は、約0.5Aです。


  5. 充・放電の条件について

      電池の仕様で、充・放電容量の測定などの条件が定められています。
      しかし、あまりにも長時間であったり、内部抵抗が高い場合などの評価が出来なくなる..などの理由で、条件を変えています。

      ・充電電流;0.1C、160% → 約0.5A、%は調整可
      ・放電電流;0.1C、1.0Vまで → 約0.5A、0.5Vまで

      0.1C、160% の条件は、1,000mAHの電池の場合、0.1Aで16時間、放電は、0.1Aで10時間程度となります。内部抵抗が大きいと電圧降下があり、容量があまりにも小さく評価されます。

  6. 製作の意図、使用感など

      きっかけは、トランジスタ技術・充電特集号(2014/01)と、使い古しの沢山のニッケル水素電池があった事でした。

      新品の電池は、表示どおりの性能で、安心して使うのですが、少し古くなったものは、性能が良く判らない、半信半疑の電池として格付けせざるを得ません。中には、急速充電器が受け付けないものも出てきます。
      古い電池は、使えるのかどうか判らない、電池は判りにくいもの、苦手なもの、納得が無い、疑いがいっぱいあるもの...として、好きにはなれませんでした。

      この装置で、疑念が、ほぼ、解消しました。製作して6ヶ月ほど使ってきましたが、古い電池には、個性があり、用途を限れば、ずっと、10年以上、使えます。

    lcd画面

      左は、満充電後3ヶ月ほど放置した電池の特性です。
      前項の電池と全く同じものです。(左の測定をした後に、前項の測定にはいりました。)

      #1の電池は、1.97Ωと劣化していました。(他は、ほとんど劣化無し。)


    lcd画面

      #1;自己放電により残量が半分になっている。
      #2;残量が75%になっている。
      #3;自己放電が大きく、残量無し。
      #4;新品であり、問題なし。

      自己放電が大きいもの、内部抵抗の大きいものが有ります。
      この後に、前項のとおりに充放電を行っているのですが 、いずれも、1,000mAH程度まで回復しています。
      例えば、屋外で太陽電池と組み合わせた、各種センサーとマイコンの装置(微小電流)には使えています。
      #2の電池は、MFJ-259(SWR Analyzer)に使っています。
      内部抵抗の大きいものは、モーター駆動のおもちゃ(大電流)には使えません。


      私の例では、電池の廃却基準は、容量が800mAH以下、内部抵抗が1Ω以上、内部放電が大きいもの..です。

      電池は、工夫をした電子工作の対象として、楽しめます。一時は次の様な事も考えました。
    PCやスマートフォンを接続して、特性曲線を描く。
    SDカードに記録して、以前のデータと比較。
    自動でテスト・レポートを作成。
    リチウム電池を電源にして、スタンド・アロンの充電器とする。

      参照した資料は次の様でした。
    トランジスタ技術2014年1月充電特集号
    panasonic ニッケル水素電池の5大特性  ←クリックで表示
    パナソニック(http://industrial.panasonic.com/www-ctlg/ctlgj/qACG4000_JP.html)

以上

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