<その3.コアの配置・シミュレーション>

記 2003年08月13日〜  ja3npl

  前回までの調査で、どのコアを使ったら良いのか見当が付きました。次の疑問は、どこにコアを挿入?、何個?..です。
  ここでは、まず、アンテナとシャックの配置の例/簡単なモデルを仮想し、アンテナ・シミュレーション・ソフト・MMANAで解析します。
  周波数帯ごとの雑音の波の乗り方を調べ、要所にコアを挿入し、効果の程を調べて行きます。
  MMANAの効用はすばらしいものです。

a.アンテナとシャックの配置の例

  この例では、アンテナ給電部から地表まで、9+3+1=13mの長さとなります。アマチュアバンドのいずれにも共振しない長さを選んだ例です。

  精度を高めるには、ローテーターの制御ケーブル、鉄塔などを追加模擬することになります。




b.MMANAでのアンテナ形状図/解析結果図/送信時

    MMANAでは、次図のようにモデル化しています。

  ダイポール・アンテナから波を発射した場合に、青色カーブのように高周波電流が分布します。さらに垂直の同軸ケーブル外皮には赤色カーブの高周波電流が誘導されます。アンテナ・エレメントの電流の、約1/20のレベルです。

  なお、給電点の右左のエレメントの長さは、意図的にアンバランスにしてあります。14MHzにて、5.2m/5.1mのようにエレメント長10mの1%程です。同軸ケーブル端末は直接アンテナに接続の状態を模擬しています。

  コアの挿入位置は、経験的に、給電点近く、および、地上接地点近くが電流の山となる場合が多いので選んでいます。



  アンテナから電波を発射した場合に、同軸ケーブルはどのように誘導を受けているかを、周波数を変えながら、視て見ます。さらに、コアを挿入したらどのような効果となるのか視ました。

  左図は、クリックし、拡大して見てください。

  2列の並びのうち、上段はコアの無い時、下段はコア(5uH)を挿入した時です。

  全体にコアを挿入すると、誘導が減ります。より正しく言えば、電流の山にコアを挿入した場合に効果があります。電流の谷に挿入すると(18MHzの場合)、逆に誘導を増幅しています。

  18MHzのケースでは電流の山部分にコアを追設すると治まります。

  10MHzのケースでは、コアの定数を10uHにするとより良くなりました



c.MMANAでの解析結果図/受信時に雑音がアンテナへ伝わる

  今度は、テレビ等の雑音源をMMANAのアンテナ形状図に組み込みます。

  雑音源の部分に、赤丸の給電点を置き、これがアンテナに伝わる状況を視る訳です。

  この図の例でも、同軸ケーブルの外皮を伝って、アンテナ・エレメントに雑音の波が乗って来ています。

  経路中に、雑音防止コアを挿入し、同軸ケーブルを伝わる雑音を阻止するシミュレーションが出来ます。



  雑音の伝わる様子を、周波数を変えながら、視て見ます。さらに、コアを挿入したらどのような効果となるのか視ます。

  左図は、クリックし、拡大して見てください。

  2列の並びのうち、上段はコアの無い時、下段はコア(5uH)を挿入した時です。

  全体に、送信時と同じ現象が生じています。

  




d.波長/定在波を考慮してコアを配置

  上述のコアの配置は、同軸ケーブルの最上端/給電部(A点)と接地側端部(B点)の2箇所でした。

  左図は、コア4箇所の失敗例です。

  コアの配置箇所数は多くあれば良いということにはなりません。運悪く、いずれかの周波数帯で電流の谷に配置すると、この左図のようにまずい結果になります。

  配置を変えるには、他の周波数帯での現象を確認することが不可欠です。こちらを立てれば、あちらが立たず..と、いたちごっこになるのが通例です。実測の際に、疲れてしまう所です。シミュレーションが助けになります。

  ( 余談ですが、同軸ケーブルの最上端/アンテナへの給電部(A点)にコアを配置した場合、SWRが安定します。水平のダイポール・エレメントを傾けて、ほぼ垂直にし、片側エレメントと同軸ケーブルが近接しても、SWRは2程度に収まります。このA点のコア配置は、はずしたくない点です。)



  

e.低インピーダンス箇所を選んでコアを配置

  上述の5uHのコアの効果/特性を、重ねてとなりますが、確認しておきます。
  次図左は、5uHのコアを、1KΩの回路に配置した時です。緑丸A点の電圧-周波数特性です。28MHzにて1Vが750mvに減衰です。
  右図は、50Ωの回路、28MHzにて50mvに減衰です。
  コアを効果的に使うには、低インピーダンスの回路を選ぶべきです。
(しかし、さらに、このシミュレーション回路のアース線区分それぞれには、現実には、線の長さが有り、L分を持っていますので、期待した減衰効果は得られませんが。)

注;回路シミュレーションソフトはAltium社の「CircuitMaker 6.0 Student」です。http://www.microcode.comから無料。


・・ヒント・・

  1. アンテナに雑音が入って来る経路は、空中の電磁波として伝わると理解していましたが、同軸フィーダー外皮とアンテナの結合、同軸フィーダー外皮とアース系の結合、雑音源とアース系の結合..という経路もゼロではありません。(私の集合住宅環境では、この経路を処置して、「雑音の弱い時」のレベルがS/2〜3程改善されました。..別項)
  2. 自シャックのシミュレーション結果は、次回に述べる「実測」で、高周波電流を探索し、合っていることを確認すべきです。
  3. コアは、どこに?..挿入すべきかは、低インピーダンス部分/高周波電流の山部分を探索(次回)して、選びます。
  4. コアは、何個?..挿入すべきかは、14MHz以上は5uH以下、10MHzは10uH以下、3.5MHzは30uH以下が目安です。(MMANAのシミュレーションでは、これ以上増やしても、効果はあまり変わらない状況でした。これらのuHは、インピーダンスでは、約600Ωに相当します。)


次回に続きます。

以上

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