<その5.実機への取付け と 効果の確認>

記 2010年06月09日〜  ja3npl

  前記の、セラミック素子ラダー・フィルターを、IC-756PROに実装する方法を工夫しました。
  そして、実使用して見ました。

  1. IC-756PROへの実装方法
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      フィルター1個であれば、機内への収納が、より好ましいのですが、色々なフィルターを取替えて実験してみたいと思い、コネクターで外部へ引き出せる構造としました。

      IC-756PROには、後側に受信専用アンテナ端子(RCA)があり、正面パネルのアンテナ切替ボタンで選択できるようになっています。これを利用することとしました。
      この端子の隣にはXVRT出力端子が並んでおり、内部回路を変更して、このXVRT出力端子を受信用に改造しました。


      ブロック図で表すと次の様になります。
    ブロック


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      実際の改造内容は、別ページにまとめました。


  2. 夜間の7MHz帯の状況の改善

      まずは、フィルターを入り切りして、データを採って見ました。
      フィルターは、3種作りましたが、使ってみると、実用できるのは、7.0〜7.18MHzのフィルターのみです。
      他2種は、強力な商用局の信号を、採り込んでしまい、効果を発揮できていません。
      以下は、7.0〜7.18MHzのフィルターを使っての実測データです。

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      フィルターを入れない条件です。
      IC-756PROの、7,180±100KHzのスペクトラム表示画面です。
      強力な商業局の信号の影響で、信号が無い7,180KHz以下の帯域まで、まるでノイズがあるように振れています。


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      フィルターを入れた条件です。
      中央の7,180KHzより左側が正常に表示され、普通に受信できています。
      7,180KHzより右側が減衰して行っていますが、商用局の信号が見える状態です。
      この中で一番強い信号は、S9+20dbのレベルです。

      IC-756PRO内蔵のアンテナ切替リレーの接点間の浮遊容量(おそらく、0.5mm以下の間隙)の為、信号の遮断が完全ではありません。約40db程度のセパレーションです。
      このため、商用局の信号が残っていますが、S9+20dbのレベルなので、許容される状況です。


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      フィルターを入れない条件です。
      6〜8MHzの状況です。

      長さ10mのバーチカル・アンテナ、A.T.U.;kenwood AT-300を介して、スペアナに取込んだ信号で、ピーク・ホールドの記録です。
      カーソルは、7.0と7.18MHzです。


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      フィルターを入れた条件です。
      商用局は、きれいに切り落とされています。

      この中で、強い信号は、S9+20db程度(-55dbm)です。DX局は通常S5〜S7のレベル(-80dbm)ですから、基線のレベルになります。

      フィルターの挿入損失は、約4db(Sにして、1.5程度)なので、前図との比較で、相当分が小さくなっています。


  3. 使用してみて

      夕刻からは、このB.P.F.を入れて、7MHz帯をワッチする事が多くなりました。
      7MHz帯の様子ですが、この、2011年8月の時点で、オーバー・シーは、良くありません。 概略、21時頃までは、国内が開いており、7.0〜7.2MHzの間で国内QSOが、ほぼ、隙間なく行われています。
      その後、国内が突然にスキップしてしまい、信号がどこにも見当たらない様になります。

      この時点で、ワッチするのが大変に心地良くなります。つまり、遠方の雷ノイズが混じって増減しながら、S2〜S3のレベルで、DXノイズを聞いている状態です。

      信号は強くないものの、普通に、多くのDX局(SSB)が聞こえています。 W西岸、W中部、XE、CE、LU、CX、太平洋は、KH6、アジアは、UA0、BY、DU、9M6、YB、P29、アフリカは、ZS、C9。
      聞こえないのが、VK、ZL、そして、EUです。
      時折、JA局もこれらの局と交信していますが、パイルが起こる事も無く、クラスターにアップされることも無く、穏やかに過ぎて行きます。 私の、100Wと10m長バーチカルでは、とても届かず、呼ぶ事は有りませんが、9月になって、相手局がS9のレベルになれば、呼んでみます。
      総じて、7MHz帯を聞いているのに、まるで、14MHz帯を聞いている感覚になります。

      一旦、B.P.F.をoffにすると。
      IC-756PROのSPECTRUM SCOPEは振れ過ぎて使えなくなり、目をつむって、手探りでワッチする状態となり、楽しくないと言えます。

      このように、B.P.F.を入れると、今まで聞こえなかった信号が、聞こえるようになる..という訳ではありません。IM3が消えて、ノイズっぽさが無くなり(アッテネータを入れなくても)、普通に聞こえるようになっています。
      以前に比べると、快適に受信できるようになりました。

  4. まとめ
    1.   作って良かった、と言えます。
    2.   IC-756PROは、1stミキサーの特性が良いので、アッテネータ操作をすれば、夜間の7MHz帯で運用できます。 しかし、昔の機械、私の所では、TS-520のことですが、とても、夜間の7MHz帯では使えませんでした。これらの昔の機械に、このB.P.F.を適用すれば、復活します。
    3.   このB.P.F.を使わないで、7MHz帯の受信特性を改善する方法が有ります。 アッテネータを挿入して、受信機のダイナミック・レンジが強信号に対応できるようにシフトします。そして、IFアンプを追加して、Sメータの感度等を、アッテネータの減衰分だけ補償して上げる方法です。セット・ノイズが増えるなどマイナス面もありそうですが。
    4.   回路シミュレーションの手法は、有効なので大いに利用すべき..ですが、少しだけ満たされない所が有ります。部品を選び、取替え、カットアンドトライして、ドキドキしてハンダ付けを繰り返した経験は、大変、好ましかったのですが。

以上

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