<HF帯スペクトラム・アナライザー・FRMSを利用>

記 2005年11月06日〜  ja3npl

  先に作った、USB接続のFRMS、FREXは大変便利良く、多用するようになりました。(”コア適用の効果・FRMSを使っての観測”の項。)
  これを使っての測定を重ねるうちに、FRMSは、さらに、スペクトラム・アナライザー(スペアナ)の仕組みに使ったら良いのではと思い、以下の製作を試みる事となりました。
  1. スペアナの構成
  2. FRMS_改(USB,AD9851)
  3. ローカル・オッシレータ部(AD9851#2)
  4. ミキサー・フィルター部
  5. 特性
<追加>  改造を加えました。 次項目をクリックすると別ウインドウが開きます。
  1.  ・・  フィルター周波数統一、 ダイナミック・レンジ増。(2006/01/14)
  2.  ・・  60Hz/300Hz幅フィルター増設。(2006/01/14)
  3.  ・・  TUF-3の入力レベル修正。(2006/03/08、2006/04/10)
  4.  ・・  IM特性にかかわる改造。(2006/04/14)
  5.  ・・  測定アダプター。(2006/04/14)
なお、
  次の方々のweb記事を熟読し、公開データを利用させていただきました。   皆さんの、資料公開のご親切をいただき、私にも、未知の分野を探検することが出来、喜んでいます。ありがとうございます。


1.スペアナの構成

  3段構造です。

上段は、FRMS_改、
中段は、ローカル・オッシレータ部、
下段は、ミキサー・フィルター部
です。

基板;70x100mm、組立高;75mm。




  周波数変換は1回のみの、シングルスーパー方式です。

  緑色の部分は、FRMSと同じ構成です。




2.FRMS_改(USB,AD9851)

a.構成

  パソコンとFRMS部の切り離しが要点でした。
  前作のUSB接続のFRMSでは、パソコンからのノイズ、そして、自局の送信波の回り込みが有り、-70dbmの信号を測るスペアナには、とても使えないと判り、左図の様に、フォトカップラー絶縁で切り離し、OKとなりました。

  パソコン側のソフトは、FRMSをそのまま使わせていただきました。FRMSは、VB.NETの自作品とは比べ物にならない程に優れものです。しかも、FRMSの画面操作に、慣れてしまって居ます。

  PICソフトについては、ソース内のリマーク記述を参照ください。


b.基板、回路図、PICソフト等

  クリック、別ウィンドウ拡大です。




3.ローカル・オッシレータ部(AD9851#2)

a.構成

  PICマイコン内で、IF分10.7MHzを加算し、DDSを制御します。マイコン内の定数を書き換えれば、近接2信号が作れ、また、他のIFにも合わせられます。

  広帯域アンプは、前項では、AD8017ですが、ここでは、LMH6702を使いました。2つの似たようなアンプなので、周波数特性平坦さ、高調波レベル等の比較を行う為です。(結果は、後記。)


b.基板、回路図等




4.ミキサー・フィルター部

a.構成

  失敗例; ミキサー、Xtalフィルター、広帯域アンプの順で製作したところ、アンプのノイズフロアの-65dbが出力され、ダイナミックレンジが+10~-65dbとなり、不満足な状況でした。

  左図の様に、最後にXtalフィルターを配置したところ、+0~-80dbの信号処理となりました。ただし、Xtalフィルターの前段のアンプ出力は50mW程度となり、Xtalが破損する心配があります。hc-49/us等最新の小型は0.1mW以下で使用すべきです。

  ミキサーは、TUF-3、TUF-2、TUF-1、いずれも使用可です。RF、IF端子を入れ替えて使えば、DC~から使えます。


b.基板、回路図等




5.特性

  表示画面のアイコンは、クリック拡大です。

  1.   AD9851#1+LPF+AD8017 の出力レベル+12.6dbm~+2.5dbm、レベル差10.1db
  2.   AD9851#2+LPF+LMH6702の出力レベル+12.6dbm~+4.4dbm、レベル差8.2db
  3.   AD9851#1+AD8017 の高調波レベル;15MHzの1次;+0db、2次;-39db、3次;-47db
  4.   AD9851#2+LMH6702の高調波レベル;15MHzの1次;+0db、2次;-48db、3次;-56db
  5.   広帯域アンプ入力部を短絡した時のノイズ出力は両者ともに、-60db程度。30MHzL.P.F.を通すとノイズ出力は両者ともに、-80db以下。30MHzよりずっと上でノイズが出ている模様です。  結局は、LMH6702の方が優れものです。ただし、5Vで動作する所が、AD8017の良い所です。
  6.   ログアンプAD8307の入力ゼロ(コネクターに何もつながない時)のレベル;-78.8db~-78.4db
  7.   10MHz L.P.F.を、FRMS接続(ネットアナ)で測定した場合。60MHz/-50dbあたりに波形が現れています。これは、AD9851のクロック180MHzとAD9851の出力60MHzの3倍波とが、IC内部で混合生成されたものです。このスプリアスに要注意です。30MHz以下では、今のところ、スプリアスは見付かっていません。
  8.   10MHz L.P.F.を、トラジェネ、スペアナ接続で測定した場合。上記のスプリアスは、除外されて現れません。
  9.   10.7MHzのxtalの直/並列共振を、FRMS接続(ネットアナ)で測定した場合。並列共振周波数の谷底のレベルが、-56db止まりです。
  10.   10.7MHzのxtalの直/並列共振を、トラジェネ、スペアナ接続で測定した場合。谷底のレベルが、-80db、ダイナミックレンジが、80dbはあります。
  11.   AD9851のクロック源30MHzの漏洩は、出力信号に比べ、-75dbのレベルです。
  12.   このスペアナに使ったXtal Filterの特性です。10.695MHz、@\10のxtal 8個、400Hz/-6db、挿入損失が-15dbもあります。
  13.   同じく、このスペアナに使ったXtal Filterの特性です。10.695MHzのxtal 6個、出来るだけ幅広くして、7.5KHz幅となりました。残念ながら、400Hzの物とセンター/帯域が合いません。
  14.   測定のスィープ幅に制限があります。DDSの出力周波数は、ステップ状に変化します。例えば、1MHz幅(start=10.0MHz、stop=11.0MHz)を設定すると、256分割したステップ;1MHz/256=3.9KHz毎に出力されることになります。400Hz幅のフィルターでは、3.9KHzの隙間にはまってしまい、検出不能となります。
      つまり、400Hzフィルターの場合は、400Hzx256=102.4KHz以下の幅、7.5KHzフィルターの場合は、1.92MHz以下の幅に限られます。
  15.   追加(2005/11/12)...スプリアスを観測しました。DDSの出力には、目的の周波数以外に、少なからず、信号が出ています。概して、スプリアスレベルは、-50db以下ですので、このレベル以下の現象は、留意して観測..ということになります。
      AD9851#1で10MHzに固定して出力し、スペアナ部で0~30MHzを観測しました。
      0~ 9MHz→
      9~11MHz→
    11~21MHz→
    21~31MHz→

その他 スペアナを使った測定参考例
  1.   自励発振信号のサイドバンド・ノイズの測定例です。FREXの10MHz出力、V.C.O;POS-535 x2の生成信号です。400Hzフィルター。試しに、PLLのロックをはずして見ましたが、ほとんど変わりません。TCL2001と回路定数は大変にFBに動作している事が判りました。
  2.   DDSの生成する信号はサイドバンドノイズが無く、見事にきれいです。試しに、DDS(Welpine)の出力;10MHzを32逓倍した信号を測定しました。(10MHzx32=320MHz、そして、50MHz Xtalの信号を6逓倍し(300MHz)、混合して、20MHzを取り出す装置を使用。) 400Hzフィルター使用。つまり、400Hz/32=12.5Hzの分解能での測定に相当です。結果は、1.75/3.5/7/14と言う規則が見られます。なぜかは、今後の研究課題です。

    追加(2005/11/12,17)...
    続いて、DDS(AD9851)の出力;10MHzを32逓倍した信号を測定しました。 似たような様相です。→
      後から判りました。32逓倍した中央の主信号のレベルは、ほぼ0dbmとなっていますが、実際には、+30~+40dbmであろうと推定されます。(32逓倍の途上、アンプの飽和領域を使用している為。)つまり、信号の底辺、裾野の広がりのあたりを、(上の方を圧縮して)観測しています。
      10MHz Xtalの信号を32逓倍したものも比較観測しました。→
      信号を逓倍すると、このように、頂部は圧縮され勝ちで、サイドバンドは広がり、きれいな信号とするのは難しい..ということを、手当たり次第の実験から学びました。
  3.   7MHz帯をスイープしました。Ant、20dbアンプ、そして、スペアナです。
  4.   自局の信号スペクトラムです。28.660MHz/SSBにてラグチュー中にモニターしたものです。このたび、このスペアナを作りたいと思ったのは、この測定の為でした。例え、IMD評価(静的な測定)がまずまずであっても、実運用では、ALCのレベルは変動し、突発信号の過渡現象が重なり、どのようになっているかわからない..と興味を持った為でした。この測定結果もやはり、カーソルの2.4KHz幅(IC-756PROの設定)とは関係なさそうな所で、出力成分があります。今の所、帯域外成分を減らす名案はありませんが、とりあえずの自覚です。

以上

*戻る*