IC-756PRO送信部の電源電圧変動と歪特性

記 2010年02月08日〜  ja3npl

  DC13V電源の電圧変動によって、トランシーバ;IC-756PROの送信特性は影響を受けないのだろうか..という疑問をずっと持っていました。
  電源条件を改善しながら、自作のスペアナ;60mhz_db_scopeで歪特性を測定し、効果を確認して行きました。

  これからの内容は次の通りです。結果として、電源の安定化は効果あると判りましたが、新たな疑問も出てきました。


<その1.初期条件・電源ケーブル2m長>

  1. 電源回路の確認

    ブロック図

      左は、電源系をブロック図で表したものです。DC電源GSV3000は、ダイアモンド社製、降圧トランスの入った整流方式です。


      下は、回路図です。NFBや、イコライザーの回路は省いて描いてあります。

      注目点は、PA UNITの3段アンプの電源が共通になっている所です。終段の動作による電圧変動が、他段を振幅変調してしまいます。合計3,000uFのパスコンが入っているので、また、NFBが各段に掛かっているので、補正されてはいます。

    回路図
  2. 電圧低下の実測

    測定点

      左図のA〜E点の電圧を測定しました。
      CWのモードで、キーの上がっている時と、下げた時の電圧をテスターで読み取ったものです。
      電流値は、キーの上がっている時に3A、下げた時に20A、出力は, 14.15MHz/123Wでした。


    <電圧低下測定結果表>
     A点B点C点D点E点
    CW Off時13.81V13.62V13.62V13.57V13.57V
    CW On時13.80V12.51V12.46V12.24V11.86V
    電圧低下0.01V1.11V1.16V1.33V1.71V

  3. 2信号特性

    AF信号入力

      2信号は、パソコンで、ソフト”WaveGene”を使って生成しました。このAF信号を、IC-756PROのマイク入力端子に入れました。
      2信号の周波数は、1500Hzを中心にして振り分け、200Hz(1400,1600)、500Hz(1250,1750)、1000Hz(900,1900)、1600Hz(700,2300)、2400Hz(300,2700)としました。


    入力IM3特性

      左は、RF UNIT出力(PA UNITの入力部)の特性です。
      レベルは、0dbm(14.15MHz、パワーは+3dbm)、BWは、MID(2.4KHz)を選んでいます。
      -49db前後のIM3は、PA UNITをドライブするには、充分に低いレベルです。
      800Hzの所に、青色のマークを入れていますが、これより左は、イン・バンドの測定になっています。800Hzの3倍は2.4KHzとなって、BW内に入ります。
      イン・バンドの特性はどうなっているか..と興味を持って、200、500Hzを設定したのですが、低いレベルでした。


    出力IM3特性

      左は、今回目的の、ファイナル出力の特性です。
      出力レベルは、104WPEP(14.15MHz)で、ALCが流れ始めた状態です。
      全体に、好ましいレベルではありません。IMDは30db(IM3に換算-24db)はあるだろうと思っていたのですが、500Hz以下では良くありません。
      この様に、2信号巾が狭くなると、IM3が悪化する現象は、予測していませんでした。

      なお、電源電圧をわずか(0.3V)下げて、13.5V(DC電源端子部にて)にした場合に、IM3の特性は、左のグラフより3dbほど悪化しました。電圧の影響が大きいと言えます。


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      これは、パソコンの出力(AF信号)を、スペアナで測定したものです。
      このノート・パソコンのオーディオ回路は、良くないかも知れない..と疑ったのですが、今回の測定には使えるものでした。


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      これは、RF UNIT出力(PA UNIT入力)の測定の一例です。
    14.15MHz、Δf=500Hz、0dbm+0dbm=+3dbm。


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      これは、ファイナル出力の測定の一例です。
    14.15MHz、Δf=500Hz、104WPEP、13.8V、14A、BW;2.4KHz、Comp;Off。


次回に続きます。

以上

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