簡便に取り出せる記録を求めて

記 2007年11月09日〜  ja3npl

  日常、時々不便に感じる事があります。
  例えば、QSO中にパソコンでhamlogを操作したいが、話しながら、聞きながら操作するのは難しい、ログを記入するのは面倒・・、早いCWだと、1回でコールサインを採る事が出来ない、一文字毎に採れているのにコールサインの6文字が思い出せない・・など、年のせいでもあります。

  もしこれらが解消されたら楽しいだろう・・と言うことで、気の向くまま、出来るかどうか判らないままに、便利な方法の探求に取り組んでいます。


<その1.送信履歴を記録する装置・「 On the air recorder 」>

  R.T.C.(Real Time Clock)、周波数カウンター、メモリー(EEPROM)の各要素を組み合わせて、 オンエアーメモリー、あるいは、オンエアーレコーダー、と名前が付けられそうな物を作りました。

<追加>  バージョン・アップしました。 次項目をクリックすると別ウインドウが開きます。

  Ver 3.0  ・・  パソコンとの接続、SSB検出方法の変更、メモリー増量。(2007/11/24)

a.出来上がりの状況

  100x75mmの標準の感光基板そのままのサイズ。

  Ver 2.0です。(Ver 1 は、主に周波数カウンターの実験試作品でした。)



  基板の詳細などは、次の写真、回路図、PICマイコンソフト(MPLAB/C30)を参照下さい。クリックで別ウインドウ拡大です。

b.製作に至った経緯

  次の様な次第でした。
  1.   いただいたQSLの整理をしていると、日時の合わない事がある。私のミスだろうか・・と自信が持てない。
  2.   QSL発行時に、HAMLOGへの入力を間違っていた事に気付く。直前のQSOと同じ時刻になっている等。
  3.   時に、EU方面からSWLカードが来ることがある。「DX局をコールしていた・・」とのレポート。私の弱い信号を拾っていただいて、大変うれしい。でも、私はレポート通りにDX局をコールしていたのだろうか。空振りの呼び出しは、HAMLOGに記録していない。
  4.   10数年前までは、丁寧にログを記入していた。試験電波の発射、CQ、応答が無かった場合でも、スタート/ストップ時刻も。アマ局の業務日誌の常設義務が無くなってから、1st QSO のみ記録するようになってしまった。
  5.   飛行機に装備されているフライト・レコーダー、あるいは、パソコンのOSが記録しているイベント・ログの様な物が欲しい。

c.LCDの表示例

  1. メイン画面・定常時と信号検出時
      1行目は、現在カレンダーと時刻。
      2行目は、直前の記録です。(日時、周波数、モード)
      もし、信号入力があった場合には、2行目が、現時刻、と周波数に変わります。そして、1分後にこのデータがメモリーに書き込まれます。

  2. スクロール
      押しボタン操作で、前の記録をスクロールup/down出来ます。2行表示なので、見易くはありませんが、使えます。
      ボタンs2でup、ボタンs3でdown、ボタンs1で元のメイン画面に復帰・・です。

  3. 時刻設定
      ボタンs1を3秒押す・・等、
      汎用のデジタル時計と同じです。
      ボタンs2でカウントup、ボタンs3で右へシフト。

  4. メモリーの使用量
      電源を入れると、1秒間程、この画面になります。
      99%の次は0%になり、一行毎に旧い記録から上書きして行きます。

  5. メモリーの消去
      ボタンs1を押しながら、電源を入れると、この画面になります。

d.構成要素

  1. マイコンdsPIC30F2012と4MHzのXtal。

      dsPIC30F2012はトランジスタ技術の付録基板から取り外したものです。



  2. R.T.C.

      seiko S3510 と 32KHzのXtal。
      旧いプリンターの基板から回収しました。(ICはすでに生産中止、メーカのカタログには、S-35392Aと言う型番がある。)



  3. EEPROM

      256Kbitsが2個です。これで、LCDの表示1行16文字のデータ(16x8bits)が4000行分記録できます。(このEEPROMを1Mbitsの物に代えれば4倍増。EEPROMは8個まで実装可) I2C制御。



  4. RF信号・広帯域アンプ

      1.8MHZ〜50MHz。20db。
    55MHzのL.P.F.→ステップアップ・トランス→ボリューム→2SK211→upc1676G→ステップアップ・トランス→74HC04。
    アンテナは、25cm長のステンレス線。



e.失敗例

  1. 消エネ
      消費電力は、5V、30mA です。この内20mAを、uPC1676G が消費しています。バッテリー電源にして、1年位を動作させるつもりでしたが、うまく行きませんでした。マイコンはスリープモードがあり、もっと低減できるのに。RFアンプのより良い方法があればいいのですが。送信電力を、結合器を通して取り込めば、(結合器、コネクターの損失、結線の面倒さを容認すれば)アンプを省略できます。

  2. RF広帯域アンプ

      周波数カウンターの感度を上げるために、1.8MHz〜52MHzのアンプを設けましたが、思ったように平坦な特性になりません。しかも、消費電流があり、予定が狂いました。
      これの原因は、高インピーダンス部分の入力容量です。2sk211は6pF、74HC04は5~10pF。結局、出来るだけ低インピーダンスにするしかありません。低インピーダンスで電圧を発生させるには、パワーupしかありません。
      仕方なく、ステップupトランスの比率を下げ、ゲインを10db位下げ、周波数特性を優先させました。

      左は、アンプ部の特性、1.8MHz〜52MHzのスパンで、13db位の落差があります。




      左図は、カウンター動作の感度/周波数特性です。1.8MHz〜30MHzであれば、-30dbm位で動作します。50MHzは、-20dbm位と見られます。

      信号検出には、コアを使って同軸ケーブルの漏れ磁束を導くつもりでしたが、長さ25cmのアンテナで動作しています。

      小さなループアンテナ、バーアンテナ、も実験してみようと思います。



  3. SSB信号の周波数の測り方。
      SSB信号は、音声に合わせてとぎれとぎれの信号なので、1secや100msのサンプリングでは測定できません。
      実験を繰り返した結果、信号の立ち上がりは、断続が激しく、また、立ち上がり後10msに安定した部分があるにはあるが、これを、ねらって、ゲートをオープンするのは難しい・・と判りました。
      結局、信号立ち上がり直後の2ms程信号が継続したら測り、2ms未満の時は測定値を採用しない、さらに、何度も測定し、この内、数値の最も大きいものを採用する方法を採りました。SSBは2〜3KHzの巾を持っているので、USBの場合、キャリアよりプラス2〜3KHzとなります。
      2ms巾で、1KHz単位を測る為に、プリスケーラは使用できません。直に、50MHzまで測るには、PICマイコンであれば、24F、30F、33Fを選ぶ事になります。100MHzまで測るには、CPLDがあります。
      2ms巾を採用した経緯は、次の通りです。
      私の声の基本波は、100Hzあたりです。100Hzの高調波成分が混合されて音声となり、キャリアとの差となり、SSB信号になっています。従って、300Hzあたりの成分が多いと思われ、3msあたりでSSB信号が断続していることが多いと言うわけです。声の高い人の場合はどうなるのか、未だ実験できていません。

  4. CWとSSBの判別方法

      左は、信号を検出する回路、74HC04を通った後の、on/offを示す信号です。
      上は、CWで、ゆっくりしたトツートツーです。
      下は、SSBで、ハローテストのハロー部分です。

      当初は、CWの長点の時間巾は長くても300ms程度であり、SSBの場合は、300ms以上続く時があるだろうと思い、この時間差で、CW/SSBを判別するソフトを作りました。たまに、意図通りになりますが、不確実でした。

      結局は、CWは信号の無い時間が、確実に、40~100msある、そして、SSBは信号の無い時間が、30msより小さい場合がある・・・という違いを利用することにしました。

      FM、RTTY、FSKはどうすれば良いのでしょう。周波数を頻繁に測って、偏差を知るのでしょうか。私は、今の所、これらの運用は無いので、判別方法を考えていません。



      CW/SSBの判別を、周波数成分の違いからと考えましたが、うまく行きませんでした。左は、上がCWの、下がSSBのFFT分析結果です。AM検波し、AF信号を取り出した実験です。

      ちょうど、dsPIC30F2012で、DSPエンジンも付いているし、音声成分を周波数分析して、と考えましたが。
      CWは矩形波です。そして、高調波が派生、高次になるほど減衰するパターンです。SSBの成分と比べて大きな差を見つけることが出来ませんでした。



      CWとSSBとは、AM成分があり/なしで異なるだろう・・と見て調べたのが左です。

      左の2現象の上側は、74HC04の出力で信号のON/OFFを示し、下側はAM成分です。CWのAM成分には、パルスの後はAF成分がありません。耳で聞けば、ポツポツといったキークリック音です。

      検波回路の時定数は、0.05uF x 200kΩ です。



      SSB信号のAM成分は、耳で聞くと、モガモガの音です。
      AF成分は発生してはいますが、控えめになっている様です。

      信号発生から約20ms後に、AF成分があり/なしで、CW/SSBの判別が出来ると思われます。回路の追加(検波、OPアンプでAF増幅、再度の検波、DC成分で出力)が要ります。追って、実験してみようと思います。



  5. メモリーの選択
      当初は、フラッシュ・メモリーを使おうとしましたが、断念しました。
      古い基板(プリンター、ハードディスク等)から結構沢山のフラッシュ・メモリーが回収できます。机の引き出しには、携帯や、デジカメに使われていた、8Mbits程のメモリー・スティック、SDカードがあります。ソケットも基板から取り外せばOKです。
      しかし、基板のメモリーは、ほとんどがパラレル通信用で、数10本のI/Oピンが必要、カードもSPIで4本制御ピンが使われています。マイコンのピンが足りません。
      そして、ブロック毎の読み書き、ひとつのブロックは、LCD16文字が1000行も扱える大量です。大量であることは良いのですが、あまりに、沢山のデータを入れても、LCD表示で、スクロールするのは不適当です。パソコン表示で、データを取り出すことになり、これも手順が増えます。今回は、簡便な事を選びました。

・・ヒント・・
  LC発振器の周波数ドリフトを調べる場合にも使えます。
  まだまだ、改良すべき所があります。これから、永い時間をかけて、使ってみます。(この装置が、毎日役に立つわけではないので)


以上

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