<その2.受信音を記録する装置・「 Ic recorder 」>
記 2008年02月07日〜 ja3npl
操作方法を工夫した Icレコーダー です。 空間を埋める様に、CWデコーダーを同居させました。
音声を記録する物は、次のように、既にあります。
- トランシーバ内臓の ボイスメモリー
- 市販の icレコーダー
- パソコンの録音機能
しかし、これらは、急いで再生したい時に、役に立ちませんでした。
巻戻し操作、ファンクション・ボタンを押す等、瞬時には戸惑ってしまいます。
- <追加> 次項目をクリックすると別ウインドウが開きます。
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・ CWデコーダー (2008/02/17)
a.出来上がりの状況
Ver 3.0 です。基板寸法;100x75mm。
赤ボタンは、再生(瞬押し)、録音(1秒押し)、
青ボタンは、停止 です。
VRは再生の戻し時間を決めます。
つまり、市販のicレコーダーの [REW] [FF] ボタンの代わりに、ボリュームを使ってアナログ感覚で巻戻し量を操作できる様にしました。
VRを左に回し切った時は5秒に、VRの中央で1分に、右に回し切った時に20分に設定されます。
128MBのSDメモリーカードに、AD変換したデータを書込む方式です。AD変換は、12bits、サンプリング周期は20KHzです。
通常は、QSO中、受信中には録音状態にして運用します。コール等聞き逃した..と思った瞬間に、赤ボタンを押すと、5秒前から再生が始まります。ボタン一つで再生できる所が、ねらった便利良さです。
基板の詳細などは、次の写真、回路図、PICマイコンソフト(MPLAB/C30)を参照下さい。クリックで別ウインドウ拡大です。
b.構成要素
要点は、マイコンdsPIC30F3012とSDカード です。 トラ技2007/02「大容量メモリー・カード」を熟読しました。
SDカードの読書きは、512バイト(512x8bits)単位となっており、音声をAD変換する都度の書込みが出来ないので、バッファー・メモリーを用意する必要があります。このあたりが従来のPICと、私の能力では処理出来ない所でした。dsPICのメモリー容量2Kバイトの物が入手出来る様になって、C言語コンパイラーが使える様になって、条件が整いました。
その他の回路は、OPアンプを使った、増幅と、L.P.F.の通例のものです。
c.失敗例
- PIC16F88を使ったVer 1.0
初めは、16F88を使って、SDカードを制御しました。8Kものプログラム・メモリーがあるので、バッファーに使えると期待しました。しかし、8ビットマイコンなので、SDカードのメモリー・アドレスを32ビットで表す事が手間、リンカー相互のデータやりとりが8ビットに制限される等..壁があり、断念しました。このあたりが、16ビット・マイコンのdsPICでは楽です。
左は、Ver 1.0、そして30F3012を使ったVer 2.0 の基板残骸です。
- 電源関係ノイズ処理
判ってはいたのですが、デジタル信号が3.3V電源に乗り、40dbものアンプと同じ電源にするのは上手ではありませんでした。対策として、計400uFのパスコンを入れました。良く効いたのが、220uF/4Vのオーディオ用の高価な電解でした。三端子REGを使って別系統の電源にするのが正解でしょう。
- SDカードの選択
左側のカードは、2007年に購入したPQI製の128MB。
右側のカードは、携帯J-Phoneに使われていたTOSHIBA 16MB。
両者とも、制御可能(SPIモード)でしたが、16MBのものはレスポンスが遅く、20KHzのサンプリング動作に間に合いませんでした。
SDカードは、マイコン用のメモリーとして便利ですが、512MBもあれば大き過ぎます。大阪日本橋の店頭には、1GB以上のSD、MiniSD、MicroSDしか置いてありません。町外れのホームセンターでは、256MB、512MBのSD、MiniSDが未だあります。出来れば、今の内に、256MB以下のSD、MiniSDカードとソケットを入手して置くべきと思います。
- 3.3V系の電源でのOPアンプ
LMV358は2.5~5Vで動作するR-to-RのOPアンプです。
3.3V電源では、0~3.3Vの信号振幅が扱えると思い込んでいました。結局、0~2.5Vである事を知り、定数を縮めました。
30F3012のAD変換は、0~3.3Vであるのに、OPアンプとマッチングさせる方法が難しい所です。
- SDカードのSPI制御
初めは、30F3012のSPIバスに、「SDカード」と「DAコンバータMCP4822」を接続し、チップ・セレクトピンを使って切替えていましたが、うまく動作しませんでした。原因は、SDカードのレスポンスが遅れる所にありました。DAコンバータのSPI制御を30F3012の別のピンで行い、解決しました。
- DAコンバータの動作時間
DAコンバータには、SPI制御のMCP4822を使いましたが、シリアル通信なので、それなりの時間が掛かります。結局、20KHzのサンプリング速度は、ここで決まりました。さらに、高速にする為には、パラレル通信のDAコンバータを使う、30F3012のFoscを高める事になります。
- 30F3012のFosc
今回は、Foscを29MHz(7.32MHz x 4PLL) としました。初案では、DSPエンジンを使ってフィルター処理をして..と考えていましたが、このクロックを120MHzまで上げると、消費電流が100mA余になります。とても、バッテリー駆動では耐えられません。
- マイクの特性
エレクトレット・マイク・ユニットには、径10mm、5mm と何種類か市販されていますので、試してみました。性能に大差はありませんでした。(感度は-30dbV~-40dbVあたり)
傾向として、大きい径の物は、半径1m位の音が均一に入り、径の小さい物は、50cm以内の音が向いています。(50cmより遠いとゲイン不足、S/N比が落ちる感触。)
- 小型スピーカーの特性
左は、このicレコーダーの周波数特性です。ホワイト・ノイズをマイクから入れて録音、再生した音を、パソコンのマイクで拾いました。
500Hz〜2.5KHzが10db内に入っています。 この特性を得るまで、型の異なる口径40mmの4個のスピーカーを取替え、選出しました。高価、コアが大きい、コーン紙が高級..という事は関係がありませんでした。\80の最も薄い、効率の悪そうなものが最良でした。
さらに、口径25〜30mmのスピーカーでも40mmと同等の良い特性のものがありました。自作品の小型化が出来ます。
参考に左は、マイクとスピーカーを使わずに、電気的にパソコンと接続し、icレコーダーの録音、再生、回路の特性を調べたものです。 回路定数通りの特性でした。
・・ヒント・・
お空のコンディションは、もうしばらく、静かな事でしょう。このicレコーダーも、頻繁に使う事は無く、なんとも評価できません。
今回は、マイコン関係の技術を、一部ですが習得したことが成果だったのかと思います。今回の「SDカード」と「PIC」の構成は、データ記録一般に使えます。例えば、気温の長期間記録など。次のアイデアに活かしましょう。
以上
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