DUNCAN BROWNE Discography
[CD Format]
presented by Moulin Mourant
DUNCAN BROWNE / Give Me Take You (1968)
1. Give Me Take You
2. Ninepence Worth Of Walking
3. Dwarf In A Tree (A Cautionary Tale)
4. Ghost Walks
5. Waking You (Part 1)
6. Chloe In The Garden
7. Waking You (Part 2)
8. On The Bombsite
9. I Was You Weren't
10. Gabilan
11. Alfred Bell
12. Death Of Neil
13. On The Bombsite [mono single version]
14. Alfred Bell [mono single version]
15. Resurrection Joe
16. Final Asylum
解説:
1968年リリースのファースト・アルバム。 Duncan Browneは当時ロイヤル・アカデミーの学生。普通ロイヤル・アカデミーというと、ロック界では作曲家とかピアノ科出身はいるものの(ジャック・ブルースのようにチェロというのもいるが)彼はクラシック・ギターだったそうで、これは非常に珍しい。しかしながらこの事実が彼の終生に渡る個性的なサウンドを決定づけていたと言うこともできるだろう。この一枚で私は彼をMatthew Fisherと並ぶ私的Hall Of Fame入りアーティストに認定してしまった。これは・・・奇跡とも伝説とも言えるアルバムで確かに非常に特殊なポジションにある作品だと思う。近年CDで復刻されるまでこのアルバムの中古アナログ盤には二千ポンド近い値段が付けられていたそうで、"噂は聞くけど実際の音は聴いたことないよ"というのが旧法政ロック研のコアなリスナーの一般的な反応だった。これが伝説たる所以・・・では奇跡はどこにあるのか? 普通この時代のUK音楽は濃厚にその時代の空気を感じさせる。ところがこのアルバムにはそういった時代の空気感は希薄である。バロック・ポップの総本山たるアンドリュー・ルーグ・オールダムのImmediateレーベルからアンドリューのプロデュースでリリースされているのだからジャケットの雰囲気も含めてそうなっても可笑しくなかったのに、サウンドは当時の雰囲気やその後の如何なるサウンドとも違った印象だ。当時のアンドリューはフィル・スペクター程ではないもののオーヴァー・プロデュースの人で、ローリング・ストーンズにまでバロック・ポップをやらせてしまう男だった。室内楽的なストリング・アレンジとハープシコードの導入に特徴があり、他の作品は一聴してそれと分る。Twice As Muchの作品などはその典型であり、Billy Nichollsのアルバムもまたそうだ。それがこのアルバムでは全てのアレンジをDuncan Browne本人が行っており、ハープシコードも控えめに入っているけど他のImmediate作品と感触が大きく異なるサウンドになっている。どうだ?凄いっ!?これはっ!!デビュー・アルバムでストリングスを含めた全てのアレンジを隅々まで自分でやっているというのは!。結果としてこのアルバムで既に彼のサウンドは完成していてその後の作品はバリエーションでしかないということも言える。デリケートでクラシカルなメロディー、骨の髄までクラシック・ギタリストであることを感じさせるガット・ギター。陳腐な表現だが時代を超えている。その後の作品を追いかけて聴いてみると彼が如何に個性的で強固な自分の世界を持ったアーティストであったかが分かる。
それにしても、タイトル曲の "Give Me Take You" の美しさはどうだ。アレンジの繊細さが際立っている。シングル・カットされた "On The Bombsite" もポップだがメロディアス。オリジナル版の最後の曲 "Death Of Neil" のヴォーカルは少しポール・マッカートニー風味が入ってる。それは次のソロ・アルバムまでの間にリリースされたシングルの "Resurrection Joe"、"Final Asylum" においてより強くなっている。歌のスタイルはかなり影響があったようだけど、その後の作品からはそういった影響がほとんど感じられなくなる。13曲目に "On The Bombsite" の初期デモ・トラックと思われるヴァージョンが入ってるが、ここで聴かれるサウンドは本来のヴァージョンよりも大幅にオールダム色の強まった典型的なバロック・ポップになっている。これはこれでいいんだけど、このあたりの違いは非常に興味深い。彼のサウンドはフォーク的でもあるけれど、当時の例えばPentangle等と比べても聴いた印象が大きく異なる。John Renborn等は確かに古楽にも造詣が深いけれど、ギターの音が全く違うことと、Pentangle周辺のUKフォークは特にヴォーカルのスタイルにトラッドの影響が強い点で全く違うジャンルだと感じる。相対的にDuncan BrowneはやはりPopsの人なんだと思う。
DUNCAN BROWNE / Duncan Browne (1973)
1. Ragged Rain Life
2. Country Song
3. Martlet
4. My Only Son
5. Babe Rainbow
6. Journey
7. Cast No Shadow
8. Over The Reef
9. My Old Friends
10. Last Time Around
11. In The Mist [bonus track]
12. Send Me The Bill For Your Friendship [bonus track]
13. Guitar Piece [bonus track]
14. Mignon [bonus track]
解説:
1973年リリースのセカンド・アルバム。Immediateは1969年にさっさと倒産、オールダムを離れたDuncan Browneがいよいよやりたい放題をはじめる・・・といってもそんなに雰囲気が変わったわけでもなく基本的には前作の延長線上にあるサウンド。多少世慣れてきた(?)みたいでシンセなんかも入れたりしてるし、今回は従来のガット・ギターに加えて多少エレクトリックも弾いており、1曲目の"Ragged Rain Life"のようにちょっとだけハードな感触の曲もあるけれど、まあ、程度の問題だ。このアルバムで可笑しいのは後の作品にも出てくる「ミュージシャンの妙な起用法」が最初に顔を出していること。このアルバムでベースを弾いているのは、あのSuzi Quatroだ。一体何を考えているのやら・・・。
METRO / Metro (1976)
1. Criminal World
2. Precious
3. Overture To Flame
4. Flame
5. Mono Messiah
6. Black Lace Shoulder
7. Paris
8. One-Way Night
9. Jade
10. Criminal World [single version]
解説:
1976年リリースの問題のMETROのファースト・アルバム。身内曰く「踊り出しそうなカッコで踊れそうも無い音楽をやってる」。ミスマッチの極北だ。ここではPeter Godwinとのデュオの体裁をとっているものの、ソングライターとしての両者は非常に似ている。ヴォーカルのスタイルもそうだから、ここには異なった個性のぶつかり合いというものはない。彼等は【モダンポップ】を目指したそうなのだが、早かったのか遅かったのか、今にして思えば多少クラシカルな風味もあるファッショナブルなポップスというのは面白いかもしれない。ただ、そんなものが存在したとは知らなかったのでつい、ロキシー・ミュージックだとかビー・バップ・デラックスなんかと比べてしまう人が多いんだと思う。このアルバム全体は明るい面と暗く哀愁を帯びた面が入れ替わり立ち替わり出てくる構成になっている。明るい曲調の時にはSimon Phillips(Drums)とJohn Giblin(Bass)のリズム&ベース・セクションがテクニカルなせいもあって多少プログレ風味も出てくる。ただし、それはキング・クリムゾン的なインプロヴィゼーションの応酬ではなく、大仰なものでもなく、もちろんカンタベリー風のジャズ・フュージョンなど、香りすらない。結局Duncan Browneのギターが真面目に弾くとアルペジオ中心になるせいで強いて言えばYESの雰囲気に近いと言えるのではないだろうか。9曲目の"Jade"なんかはそう言った感触の曲。ただ、そのリズム・セクションもそういう曲以外ではひっそりと抑えたプレイに終始している。スタヂオ・セッション・プレイヤーだからと言われればそれまでだけど、前作のSuzie Quatroに見る如く、Duncan Browneというのはそれらのプレイヤーを本領発揮的でないスタイルで使うという妙なところがあるようだ。2曲目の"Precious"などはブライアン・フェリー等とはまた違った意味でファッショナブルで大人っぽい曲。4曲目の"Flame"はてっきりBrowneの作品かと思ったらGodwinの曲だった。出だしのギターの処理はVini Reillyのようだ。8曲目のしっとりとした雰囲気もいい。1曲目と10曲目はDavid Bowieがアルバム「Let's Dance」でカヴァーしたことで有名。でも全体の中ではこの曲だけ雰囲気が違う。Duncan Browneはこの一枚でMETROを離脱するものの、友好関係は続いていたようでその後もGodwinとは一緒に曲を作ったりしていた。METRO自体はこの後二枚アルバムをリリースしているらしいので是非聞いてみたいと思っているがこちらは未だCD復刻が行われていないようだ。残念。
DUNCAN BROWNE / The Wild Places (1978)
1. The Wild Places
2. Roman Vecu
3. Camino Real (Parts 1,2,&3)
4. Samurai
5. Kisarazu
6. Crash
7. Planet Earth
解説:
1978年リリースのソロ・アルバム第3弾(苦笑)。ジャケットと内容のミスマッチは最早この世の物とは思えないレベルに達している。こうなると「こいつ本気で笑いを取ろうとしてるのか?」とまで思ってしまう。サウンドはMETROの延長線上にあるものの、ここに来て遂に不動のリズム・セクション(Giblin&Phillips)が爆発!今回はキーボードにTony Hymasまで入れちゃったから、もう大変。これでギターが当時のJeff Beckだったら即座にScatter Brainでもやるのかもしれないがそこは骨の髄までクラシック・ギタリストのダンカンさんっ!?ソロの応酬などはやっぱりやらない。それでも2曲目の"Camino Real"等は組曲形式になった展開の激しい作品で、前作のYES風に加えて今回はマハヴィシュヌ・オーケストラ風味も加わっている。"Camino Real"とはスペイン語で、元々どういう意味かは知らないが知る人ぞ知る言葉だ!?!?!。アップル・コンピュータ社やヒューレット・パッカード社などがあるカリフォルニアのシリコン・バレーは101と280という2本のFree Wayに挟まれた地区なのだけど、実際の市街地を南北に通るメインストリートがあってその周りに街が発達している。それが"El Camino Real"なのである。それにしてもこのリズム・セクションは素晴らしい。この組み合わせはDuncan BrowneがMETRO以来、遺作の「Songs of Love and War」まで彼等を使い続けることになるが、こんな最高のコンビネーションだと他の選択は思い付かないのかも知れない。5曲目の"Kisarazu"は・・・!木更津キャッツアイ!!きたぁーっ!!!何を考えているんでしょうね。東京とか大阪とか豊田、千葉シティーっていうのもロック・ミュージックに出てきた地名だけど、、木更津とはねぇ〜。
結局ここまで聴いてきて思う、ダンカン・ブラウンって一体何だったのか、と。ポジショニングの難しい男だったんだなあ。
DUNCAN BROWNE / Streets Of Fire (1979)
1. Fauvette
2. American Heartbeat
3. She's Just A Fallen Angel
4. Streets Of Fire
5. Nina Morena
6. Things To Come
7. (Restless) Child Of Change
8. Cancion De Cuna: Street Echoes (For M)
解説:
DUNCAN BROWNE / Songs Of Love And War (1993)
1. Scull Twins
2. Misunderstood
3. Suddenly Last Summer
4. Berceuse
5. Love Leads You
6. I Fall Again
7. The Small Hours
8. Wild Places
9. Journey '93
10. Sarabande
11. Rainer
12. High Windows
13. Romantic Comedy
14. Barry's Lament
解説:
TRAVELLING MAN [soundtrack from Granada TV Series] (1983)
1. Max's Theme
2. Steve's Theme
3. Lament For Billie
4. Andrea's Theme
5. Berceuse
6. The Family
7. Winter
8. The Chase
9. Day For Night
10. Morag
11. Zoot
12. Travelling Man
13. Old Flames
14. End Of The Line
THE NOTES:
The album of the music from the Granada TV series "Travelling Man" came about through a series of associations, coincidences, happy accidents and probably divine interventions.
Duncan Browne and I had been very close colleagues, collaborators and friends since the late sixties, in which time he contributed to some of my work at the National Theatre. When I joined Granada Television in the early eighties, one of the first experiments I got involved in was an early video version of his beautiful song "China
Girl". Granada noticed it.
Ten day later, having worked an unfamiliar 10am to 6pm 'office' schedule, the album was finished, on budget and in time. Thank you, Emma, Susan, and Lin.
Every now and then, I hear bits of it in airports, restaurants, other people's cars. Extraordinary...
I hope everyone whoever hears any of it gets at least same of the pleasure that we had making it.
Tragically, ludicrously, Duncan died in May 1993. This album was the beginning of a new and subsequently remarkable career for him, sadly curtailed. I am more proud than I can easily express to have contributed it.
Sebastian Graham-Jones
December 1994
DUNCAN BROWNE / The Wild Places 91 (1991)
DUNCAN BROWNE / The Wild Places + Streets Of Fire (2000)
1. The Wild Places
2. Roman Vesc
3. Camino Real (Parts 1,2 & 3)
4. Samuel
5. Kisarazu
6. Crash
7. Planet Earth
8. Fauvette
9. American Heartbeat
10. She's Just A Fallen Angel
11. Streets Of Fire
12. Nina Morena
13. Things To Come
14. (Restless) Child Of Change
15. Cancion De Cuna: Street Echoes (For M)
DUNCAN BROWNE / Things To Come - An Anthology (2004)