| 趣旨
私は四半世紀に渡って、日本文化と西洋生まれの心理学・精神医学の諸理論の拡張、統合と体系化に努力しているところです。この日本文化に基づいて西洋諸心理学を体系化した心理学を、さしあたっては、【日本文化の心理学】と呼んでいます。特に人間性善説および日本文化の観点から、人間の性格と諸行動の意味を理解すること、対処法・予防法にその特徴があります。その結果、現在の日本の社会問題となっている現象、家庭や社会で起こす人間の問題行動<不登校、イジメ、離婚問題、浮気、不倫、犯罪、ジェンダー問題、その他>などの原因を分析的に理解し、対処法を提起できるようになりました。西洋のフェミニズムを日本型のフェミニズムに、家族精神力動の立場から、転換する私の試みも面白いと思います。また、問題行動の予防にも役に立ち、子育ての理論としても有用と確信しています。
これまでに拡張の検討ができたのは、(1)シグムント・フロイトのコンプレックス論、(2)アブラハム・マズローの階層欲求論、(3)土居健郎の「甘え」論、(4)ベイトソンの二重拘束、(5)デュセイのエゴグラム、(6)ユングの元型論、といったところです。まだまだ、これからのところがありますので、参考資料をあげておきますので、宜しくお願いいたします。さらに、色々と検討していきたいと思っています。ご意見を掲示板に書き込んで頂ければ、大変嬉しいです。
具体的に少しあげておきますと、
●フロイトのコンプレックス論が氾文化的に拡張されている エディプス・コンプレックスは西洋の生活様式、アジャセ・コンプレックスは日本の生活様式、同胞コンプレックス(長子押し込めコンプレックスは、全ての生活様式に、また、フリーターや仕事への取り組みのやる気のなさに関係するテーゲー・コンプレックス(仮称)も全ての生活様式に、宗教コンプレックス(カミダーリ・コンプレックスも全ての生活様式に関連するもので、原因が分かれば、自ずと対処法も明らかになりました。
●マズローの話は「甘え」理論と結びついている マズローの基本的欲求の概念は、日本語でいう「甘え」の行動の源泉であることが分かりました。
●しかもマズローの話は日本文化の基底と同じ マズローの基本的欲求の定義は、それがなければ病気になる、それがあれば病気を防ぐ、それを取り戻せば病気から回復する、・・・、といったものですが、これは沖縄(古代大和)の精神文化に言う「たましい(沖縄語ではマブイという)」の性質として民間伝承でいわれているものです。つまり、民間療法として行われているものは、近代心理学に匹敵する、あるいはそれ以上の内容のものがあることが分かるわけです。
●「甘やかし」がちゃんと定義できた 多くの問題は「甘やかし」なる人間(親子)関係から発生することは、日本人なら誰でも直感的に理解しうることでしょう。しかし「甘やかし」を
しないためにはどうすればよいのか? といったことには、これまでは答えがありませんでした。「甘やかし」とは、基本的欲求の代理欲求として発生している見かけの基本的欲求を充足させ続けることです。マズローの理論に代理欲求、越行、退行の概念を導入し、脅迫行動などの理解と対処ができるようになったものを、Maslow-Matayoshiの理論とメリーランド大学アジア校では呼んでおり、講義されています。
●二重拘束論が拡張された 精神分裂病の母子関係を観察してベイトソンは二重拘束という概念を提唱しましたが、沖縄(古代大和)の精神文化では、これはカカイムン(懸かった者)という形で伝統的に認識されていました。これをさらに、第一種に重拘束、第二種に重拘束として日本心理学では拡張して定義し、それからの脱却法が提示されることとなりました。これにより、(甘やかすのではなく)正しく甘えさせる、という基本概念が生まれ、共依存などの問題の理解と対処が可能になりました。
●祖先崇拝は元型(もしくは元型的イメージ)である 沖縄(古代大和)の精神文化は、祖先崇拝の生活習慣として結実しています。これはアニミズム・シャーマニズムを含む思想体系ですが、祖先崇拝というものはユング心理学の基本概念である元型(もしくは元型的イメージ)となるものではないか、ということを検討しています。つまり、日本文化は、世界へ発信しうる可能性を持っている重要なものであるということなのです。
●交流分析のツールであるエゴグラムが拡張され、日本心理学では、拡張家族エゴグラムとなりました 従来のエゴグラムは、対象を特定せず一般的な自我状態をしるものでしたが、拡張家族エゴグラムでは、対象を特定したときの自我状態の変化を調べます。これにより、被験者の対人関係(親子関係)の様子がクリアに知ることができ、「投影」などの心理規制が一目瞭然で分かることとなりました。したがって、ある問題に対処するのも、個人単位ではなく、家族(あるいは疑似家族)単位で行うことがよりたやすくなりました。
●ロジャース心理学、ロジェリアンによる日本人のカウンセリングの有効性について、理論的に検討しました。(平成14年4月17日現在)。その結果、文化差を考慮ししてロジャーズの条件を変えないと、無意味であることが分かりました。この問題に興味ある方は、日本心理学メーリング・リストに御参加頂き、一緒に議論して頂ければ嬉しいです。
●コフートの自己愛の心理学を日本文化の心理学(マタヤン)に照らし合わせて現在考えています(平成14年5月13日現在)。この問題に興味ある方は、日本文化の心理学メーリング・リストに御参加頂き、一緒に議論して頂ければ嬉しいです。
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