北方四島返還交渉 新たなアプローチ(ゼロ・スタート)


 2016年12月、プーチン大統領が訪日してから以降に”情報分析”において記載した上記に関する内容を当ページに一括掲載することにしました。
 なお”情報分析”において新たに記述した場合、その都度当ページも更新します。

≪はじめに≫
 最初に申し上げておくが、記述した内容は全て私個人の見解である。今回の日露首脳会談の内容に触発され、自分なりに考えた疑問点、解決策、提案等を記述している。

≪目次≫
【プーチン大統領訪日】
【米露関係が重要】
【北方領土返還交渉の眼目】
【資源外交の新たな道筋】
【北方四島返還の新しい解決策】
【北方四島返還交渉の問題点と新たな提案】


2016.12.16 23:07 【プーチン大統領訪日】


 15、16日の日程でロシアのプーチン大統領が訪日した。その内容については日露共同記者会見を視聴すれば容易に理解が可能だ。

 今回の首脳会談の内容を一言で表現するならば「ゼロ・スタート」である。

 日本の側からすれば戦後71年間に及ぶ領土交渉を一旦忘れ去るという状態だ。しかしこれまでの努力を無駄にするという意味ではない。これまで培われた経験を知識として蓄えた上での交渉を始めるという意味である。

 今回の首脳会談は大変意味深い。ロシア側の見解が興味深い内容だからだ。プーチン大統領の発言を聞いていると、ロシアにとっての北方領土問題が大した問題ではないということがよくわかる。

 ロシアにとっては極東という遠方で起きた問題だから関心が薄いのだ。そもそもロシアにとって北方四島はロシアの領土なわけだから、今更騒ぐのは可笑しい、というのが率直な意見だろう。

 可笑しいという表現が日本側にとっては不審に映る。それが日本人にとっての率直な意見だ。そもそもロシアが大東亜戦争末期に強引に領土を奪いに来た理由は何か?という素朴な疑問を提起したときに、この問題は新たな一歩を踏み出すのだ。

 それは米国への牽制だ。日本の敗戦が濃厚な時期に極東の安全保障を米国から守る必要があった。その結果が北方四島の占領なのだ。今回の首脳会談でも理解できるだろう。ウラジオストクを守る必要が有ったのだ。

 それがロシアが北方四島を支配し続ける理由である。日本人は、この理由をまずは理解する必要がある。米国は十分理解しているだろう。だから日本にとっての北方領土問題は解決へと進まないのだ。

 日本人の理解が足りない。これが最大の問題だ。官房長官の記者会見における記者の質問を聞いていると絶望を感じる。それらの質問が実に愚かであるか。学びが足りないのだ。

 そのような認識では何も解決はしない。日本国民は何が本当の問題であるかを認識するべきだ。それは今回の首脳会談におけるプーチン大統領の発言を聞けば理解できる。

 そこで聞けることは率直な意見である。ロシアの本音が聞ける。要は安全保障の問題なのだ。ロシアにとっての脅威は日米同盟なのだ。北方四島における米国の影響力を恐れている。

 これを如何に払拭するか。これが今後の日本に課せられた問題である。日米露による共同管理。これは簡単な答えだ。しかし、そこには日本の主体性が存在しない。だから私は反対だ。正しくは日本国としての単独支配である。

 その方向に話を進めよう。極東を中心とする北半球の平和は日本が主導するのだ。



2016.12.17 00:15 【米露関係が重要】


 今回の日露首脳会談は良いところばかりというわけでもない。いくつか疑問がある。例えば日本語の通訳によって解釈された内容だ。これは日本側の女性通訳によるものだ。

 秋田犬は玩具?東洋美人はお薦め?その通訳を聞いて安倍総理も怪訝そうな表情に変わっていた。これらを如何に解釈すればよいのか。同時通訳は途中で二回程度男性に切り替わったが、何か問題が発覚したからなのか、それとも当初からの予定だったのか、疑問は尽きない。

 同時通訳に女性を選んだのは失敗だ。泥を塗ることになった。この泥は日露どちらに塗ることになったのか。それは両方だろう。単なる人選ミスなのか。それとも背後関係に何らかの対日謀略が存在するのか。

 思わぬところでロシア側の本音が聞けたのか、それとも解釈に誤りがあるのか、正確な通訳が聞きたいものだ。そうでなければ、安倍総理がバカにされているようにしか思えない。安倍総理はプーチン大統領をウラジーミルと名前で呼んだが、当のプーチン大統領は安倍さんと呼んでいた。

 この差異は重要だ。男性の通訳だから「安倍さん」は正確な通訳なのだろう。ここは今後の日露外交にとっての疑問点として残るだろう。些細な点ではあるが意外と重要だ。双方の問題意識に温度差が感じられるからだ。

 ロシア側は意外と醒めているのではないか。これが私の率直な意見だ。東洋美人はお薦め?本当は褒め言葉かもしれないが、なぜ女性の話を出すのだろうか?そこに疑問を提起できる。

 安倍総理は舐められているのだろうか。プーチン大統領は演説のなかで「尊敬できる安倍さん」と発言している。「尊敬」という言葉があるので舐められてはいないとは思うが、率直なところ日本側の政策スタッフに親露派がいて安倍総理は騙されているのではないだろうか。

 結局、ロシア側の意見を概略すると、米国との関係を如何に解決するかというところに焦点が絞られるだろう。日本政府は米露の思惑の妥協点を探る必要がある。それが今後に求められる仕事になるだろう。



2016.12.17 18:35 【北方領土返還交渉の眼目】


 日露首脳会談等-2日目-の映像を視聴すると、ウラジーミルとシンゾウと名前で呼び合っていることがわかる。2日目は通訳が真後ろに配置され同時通訳が実施された。1日目と比べて改善されたということなのだろうか。

 プーチン大統領の「東洋美人はお薦め」発言に関しては、より正確に書くと「酒と東洋美人はお薦め」と言ってる。山口県長門市における夜の祝宴において芸者遊びにでも興じたのだろうと推測される発言だ。これはその程度のことだから気にする必要は無いだろう。

 「秋田犬は玩具」という発言に関しては未だに意味不明だが、同時通訳の翻訳が困難な表現だったのだろう。これもあまり気にする必要は無いように思う。結局のところ今回の件は同時通訳に改善する余地が残されているという問題が発覚した程度のことだ。

 外務省においてロシア語の同時通訳を実施する機会が少なかったということなのだろう。経験不足。一言で表現するなら、そうなる。今後は機会が増えるだろうから徐々に改善されるだろう。

 二日間の日程は終始和やかな雰囲気で事が進んだようだ。今回はロシア側からも大勢の政策関係者が訪日しており、政界と財界において交流が深まることになったようだ。これは実に喜ばしい。

 相互理解を深めることが当面の目的だ。お互いに認識が不足しているなら補い合えば良いことであり、そこから誤解が払拭されて相互理解が醸成されるのだ。今回の首脳会談に要した時間がその努力を表現している。

 今後は情報機関同士の交流も必要となるだろう。CIAとKGBの関係を改善する必要があるのだ。これは画期的な仕事になる。ほんの数年前なら信じられないような話である。それは今でもそうだというかもしれないが、日本が仲介役を果たせるところが面白い。

 今後の米露関係に世界の注目が集まるだろう。日本政府が言うところのロシアとG7との関係よりも米露関係が注目されるべきだ。なぜならG7との関係改善だとEU諸国が関連するため、どうしても視野がEUに向きがちになる。そうなると極東の印象が薄れてしまうのだ。

 だから米露関係重視なのだ。今回の経済協力は極東開発が眼目なわけだからアジア太平洋側に視野を集める必要がある。そうすることで北方領土にも注目が集まるようになり、領土交渉が円滑に進むようになるのだ。 



2016.12.18 03:05 【資源外交の新たな道筋】


 ガソリン価格が高い。地元では1リットル当たりの販売価格が130円である。あと十円安くならないだろうか。何故だか知らないが米国の大統領選挙で共和党が勝つとガソリン価格が高くなるのだ。

 便乗値上げか?いや、それはないだろう。そこまで米国の情勢にガソリン業界が反応するとは思えない。原油価格が上昇しているのだろう。これは戦争が近づいているということを表現している。

 中東辺りが火種になるだろう。安倍内閣はプーチン大統領から何らかの最新情報を得ているだろうから対処をお願いしたい。ガソリン価格の極端な上昇は運輸業界の価格上昇に反映され、サプライチェーンが遅滞する恐れがある。なるべくなら価格は安定させるべきだ。

 将来の話になるが、ロシアが原油を提供してくれれば価格の上昇を抑えることができるだろう。極東地域に油田は無いのだろうか。日露共同で探査してはどうか。大きな油田を日露で共同管理できれば日本も原油価格に影響力を行使できる。価格を安定させるために貢献できる。

 しかしそうなると米国が不快に思うかもしれない。露骨な干渉をしてくる可能性がある。そこは良好な日米関係を維持することで解決だ。日本に野心は無い。それを伝えれば良いだけだ。日本は資源が乏しい。遠い将来を考えれば開拓は必要だ。丁寧に説明すれば米国も理解してくれる。

 日露経済協力は資源外交も兼ねるべきだろう。極東の資源は大きな魅力だ。日本から近いという利点もある。中東は遠い。依存度の割合を転換すべきだろう。これは将来の話だ。ロシアと交渉するのはまさにこれからだろう。

 但し、欧米が黙ってはいないだろう。共同参加を申し出るかもしれない。ロシア極東地域の天然資源は手つかずの状態だ。欧米もその事に気づき始めるだろう。熾烈な争奪戦が始まるかもしれない。

 しかし、この争奪戦に最も有利な位置にいるのが日本だ。今後は対露外交を進めて更に両国の信頼関係を深めよう。日本外交の腕の見せ所である。



2016.12.18 22:23 【北方四島返還の新しい解決策】


 ウラジオストクはロシアの太平洋艦隊の軍港がある。だから北方四島は日本に返還できない。ウラジオストクを出港したロシアの軍艦は宗谷海峡を通過した後、択捉水道か国後水道を通過して太平洋に出ることになる。

 宗谷海峡はサハリンと北海道の間にあり、択捉水道は千島列島最南端の島と択捉島との間であり、国後水道は択捉島と国後島の間である。もし北方四島が日本に返還されれば、ロシアの軍艦は国後水道を通過できなくなる。

 国後水道の水深は約五百メートルあり、潜水艦でも通過が可能だ。ここが通過できなくなると択捉水道まで迂回することになる。これは軍事上不利である。ロシアの国防政策から考えても北方四島の日本返還は困難だ。

 それではどうするか。答えは簡単だ。ロシア太平洋艦隊の軍港を移転すればよいのだ。ウラジオストクを離れ、オホーツク海沿岸の都市へ移転すれば解決だ。軍港の建設と都市開発の費用は日露で折半すればよいだろう。何なら日本が全額負担しても構わない。

 オホーツク海沿岸に軍港があれば、千島列島(クリル諸島)の島々の間を通過すれば太平洋へ出ることができる。ロシア海軍にとっても利点が多い。ロシア太平洋艦隊の軍港が日本海沿岸に在ることが最大の問題なのだ。



2016.12.19 00:00 【北方四島返還交渉の問題点と新たな提案】


 ロシア太平洋艦隊の母港はウラジオストクにある。それは何故か。その理由を考えたとき、前回に提示した解決策が困難であることに気づく。ウラジオストクはロシア極東地域の最南端に位置している。これはロシア極東地域において最も温暖な場所であるからだ。

 軍港を建設するにあたり、北方過ぎると陸地が凍土となるため物資輸送に支障をきたす。最悪の場合は海上まで凍りつき軍艦が出入りできなくなる。だからオホーツク海沿岸とはいっても実際には場所に制限があるのだ。

 それと、軍港を移転するという解決策には、もう一つ困難な問題点がある。それは米国にとって利点が無いことだ。米国の国防政策を前提とすると、ロシア太平洋艦隊の母港は日本海沿岸に押し留めておきたいという願望がある。

 ロシアにとってウラジオストクは国防の面で不利な場所なのだ。だから戦後すぐの時代に北海道を占領しようとした。釧路に軍港を建設できれば太平洋に直接面しているわけだから国防上の利点が多い。

 上記二点の問題点がクリアーになれば「新しい解決策」は実現が可能だ。さて、それではどうするか。場所の選択としてはサハリンが最適だ。大陸と離れているが海底トンネルを建造すれば物資の陸上輸送は可能である。

 海底トンネルが何らかの理由で通れなくなった場合のリスクを考慮に入れるなら、タタール海峡の大陸側が最適な位置となるだろう。例えばネリマという都市がある。対岸に南樺太、その最も幅が狭い陸地に運河を建設してはどうだろうか。

 それでも厳しい。地理上に問題がある。やはり無理だろうか。国後島は返還できても択捉島は難しい。ロシアの安全保障を前提とするなら、そういう判断になる。それに地理上の問題が解決できても米国を納得させるのは更に困難だ。

 日本にとって唯一の希望があるとしたら、北方四島の日本への返還は米国の国防政策にとって利点が有るという点だ。しかし、その反面ロシアの国防政策にとっては不利となる。太平洋に出る際に迂回しなければならなくなるからだ。

 結局、米露による交渉が重要なのだ。妥協点を模索しなければならない。米露両国が相互に軍事上の脅威では無くなる状態が望ましい。そうなれば解決へと近づく。その端緒として日米露の三国間で軍事演習の実施を提案したい。

 目的はアジア太平洋地域安全保障の共同管理である。何か問題が有れば中国にも参加を要請して四国間で軍事演習を実施しても構わない。要は当地域の脅威を互いに無くせばよいのだ。

 この提案は意外と実現が容易だろう。なぜならロシアと中国はリムパック(環太平洋合同演習)に既に参加しているからである。参加回数は少ないが徐々に機会を増やし、互いの信頼関係を醸成すればよいだろう。

 米露における国防政策上の問題がクリアーとなれば、残るは新しい軍港の場所を何処にするか。その位置の選定となる。今から考えておこう。何処が最適な場所となるか。これに併せて日本政府は費用負担額の算出が必要となる。

 私の試算では3百億円から5百億円くらいが妥当ではないかと考えている。全額負担が困難なら投資でも構わないだろうが、それは今後開催されるであろう対話の席で決めてもらえれば結構だ。







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