ライブにおけるステージング論



はじめに プロアマを問わず、ステージに立って音楽を演奏する際には、誰しもなんとかして客席を魅了したいと考えていることでしょう。
それはもちろん、演奏の内容によってお客をノックアウトすることなのですが、そのステージ創りを側面から支援するものがステージングです。

ただしこの定義には多少の私見が含まれています。
ステージングとは、ステージ上での身体の動きをいかに美しく見せるかということだ、というご意見もありましょうし、照明や音響効果までがからんでの、総合的なステージ演出のことである、という人もいるでしょう。
ひとつのステージが、そういった様々なスタッフの叡智と努力とが複雑に連係して出来上がっていることは事実ですが、ここでは、次のようにステージングを定義します。

『ステージングとは、演奏者本人の責に帰するべき、(主として音楽的要素以外の)ステージ上での全ての行動と言動のことである』

ですから言いかえれば、それは演奏者自身の自覚如何によって矯正可能なものであり、私がこれから書こうとしている本意もそこにあります。
すなわち、ステージングというのは、PAをはじめとする周囲のせいにして安易に逃れることの出来ない、演奏者本人の問題として解決されるべきものであり、これが、ジャンルを問わず、日本のアマチュアバンドにおいて欠けている最も大きな要素であると私は思っているからです。

ここでリスナーの方々にお聞きしますが、演奏はうまいのに何故か客席がシラッとしている、もう少しで乗れそうなのにイマイチ掛け声をかけられない、なんていう気持ちになったことはありませんか?
また、ミュージシャンの方に質問ですが、演奏はノリノリだったけれど最後までテンション最高にならないで終わってしまったとか、一生懸命しゃべっているのに客が退いていく、というようなご経験をお持ちではないでしょうか?

それらの現象はほぼ100%、このステージングの出来不出来に原因があります。

では、どういうふうにすれば魅力的なステージを作ることができるのか。 私の拙い経験からはじきだされたノウハウをこれからご紹介いたします。

尚この稿は、舞台用語がかなり飛び交うかもしれませんので、もちろんその都度説明はするつもりですが、行き届かない点がありましたらご容赦ください。
また、この稿での主人公はおおむねヴォーカリストです。何故ならば、彼らは常にフロントに立ってMCも兼ね、お客の視線を集中して浴びる立場であり、バンド全体のステージングの出来に対しての責任が最も重いからです。
かといって、他のメンバーがステージングに関して無頓着でいいというわけではなく、特に必要な場合にはその旨のことわりをいれていくつもりです。

さらにお断りしておきたいのは、ここでとりあげているライブはいくぶんジャズライブに焦点が合っています。
これは、ジャズのライブにおけるミュージシャンのステージングが、私から見れば最も稚拙であり、逆にいえば「俺達は音楽ですべてを表現するのだから余計なことには気をつかわなくてもいいのだ。」というミュージシャン側の勘違い、或いは思い上がり、はたまたお客への甘えなどが見えもするからなのです。

異論をはさむ方もおありでしょうが、もちろんGOODなステージングを見せてくれるジャズライブも存在し、一流といわれるジャズミュージシャンがそのような小細工を必要としないことも知っています。
でも、その上であえて私がジャズライブのステージングにこだわる理由は、ジャズを志すアマチュアミュージシャン(ヴォーカリスト)のライブまでをその視野に入れて、これからプロを目指そうとする人には、そのステージングの大切さを知ってもらいたいからです。
特にヴォーカリストを目指す方々には、(CDを聴くことも含めた)音楽的な訓練と並行して、非音楽的な要素の多い、このステージングの訓練とを積んでいってほしいと願うものです。

では、だいそれたことに手を染めてしまったと、やや反省しつつも、腹を決めて筆を進めてまいりましょう。



CONTENTS


§1 登場の仕方

§2 演奏の準備

§3 プログラム構成

§4 MC(しゃべり)

§5 立ち居振舞い





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