| 庭櫻がまだ、庭櫻ではなかった小学校低学年の頃、 |
| 三代目三遊亭金馬の「居酒屋」「目黒のさんま」「薮入り」と3題入ったLPレコードが家にあった。 |
| 子供の庭櫻は、なぜかその中で「居酒屋」を丸暗記してしまい、 |
| しばしば大人の前で演って見せ、感心された。 |
| さて、昨夜、NHKのラジオ深夜便で「居酒屋」が放送された。 |
| 放送でのアナウンスで「19分弱。ニットーレコードで吹き込んで大ヒットした」と言っているので、 |
| まさか同じだと思わなかった。 |
| 庭櫻が丸暗記した居酒屋は、レコード盤の表記によると15分何十秒かだったし、キングレコードだった。 |
| だが、あまりにも、語り口が同じ、客の反応も同じ。 |
| まくらの中に初めて聞く部分がある。 |
| ようやく気付いた! |
| 庭櫻が完璧に丸暗記したと思っていた噺は、昭和4〜5年に大ヒットした録音物を |
| 昭和40年代に、3〜4分カットして売られていたヴァージョンだったのである。 |
| 確かにまくらは、酒や酔っ払いに関する小咄の連続なのでいくらでもカットできる。 |
| 30年以上、「完璧」だと思い込んでいたものが「ズタズタのボロボロ」になったのである。 |
| ショックを受けた庭櫻の思考は、ショック回避へと向かった。 |
| 大ヒットしたニットーレコードヴァージョンでも、 |
| レコード盤の収録時間の都合で、高座の基の録音からカットされているかも知れない。 |
| 噺の本編にも、小僧との会話を断つように酒の追加を注文する部分がある。ここが怪しい。 |
| そう考えると、少し気が楽になった。 |
| ところがどっこい、当時のレコードは、一発録りだろう。 |
| 日本初のテープレコーダーが昭和25年だわ。 |