死海の不思議

前回(99年1月2日)ヨルダンに赴任して初めてのドライブで死海を紹介しました。その時には多くの観光客の訪れる死海北部を中心にレポートしましたが、今回(99年3月13日)はさらに南下し死海のほぼ中央にまで足を延ばしてみまたのですが、そこで非常に不思議な世界を発見しましたので、写真を使って紹介したいと思います。今回通った道は死海の海岸に沿ってアカバに通じていて、右側は死海、左側は山を切り崩した断崖で、景色はすばらしいのですが、今にも上から大きな石が落ちてきそうな所です。死海に関するデーターはあまり見あたりませんが、地図で見ると南北に約100キロ、東西に約20キロで細長い形をしています。

(写真1)塩の海岸

車から死海を眺めていると所々に白い砂浜が見えます。きれいな砂浜だと思って、降りてみたのがこの写真です。何と海岸の白いものは塩の結晶だったのです。海だけ見ていると雪の降り積もる海岸のようです。

(写真2)珊瑚礁のような結晶

塩の結晶は岸から水中にまでも広がっていて、海面の下に透けて見える部分はまるで珊瑚礁のようです。丸く見えるのは、丸い石に塩の結晶が厚さ1センチぐらいこびり付いているためです。この石のまわりの結晶は非常に硬く、大きな石をぶつけてもびくともしません。ちょっと見にくいかもしれませんが、写真中央の丸い白い石の結晶の上にタバコの箱を置いたので大きさがわかると思います。

(写真3)塩の板

足元を見るとまるで氷が海岸に打ち寄せられたような塩の板を見ることが出来ます。割ってなめてみるとまさしく塩の固まりでした。海岸近くの水深の浅い所では波によって打ち上げられた塩水が天日干しにされ、塩の結晶となり、これを繰り返すうちにこうした板状になるものと考えられます。死海の水位は季節によって変化するので、潮の引いた季節に出来た結晶は潮が増すと水中に没し、珊瑚礁のように見えるのだと想像しました。

(写真4)塩の芸術

中にある石の形により様々な形の塩の固まりを見ることが出来ます。これは冷凍庫の中の霜の固まりのような形をしています。

(写真5)塩の芸術

大きな丸い石に塩の結晶がこびり付いたものです。ちょうど大きな月の滴(ブドウのまわりに砂糖の固まりのついたお菓子)を想像してもらうとイメージがつかみやすいと思います。水の中の結晶は真っ白な珊瑚のようで、非常にきれいです。

(写真6)塩の砂

白い砂浜が広がっているところもあるので、足下の砂を手に取ったところです。何と砂に見えたのは塩の結晶でした。大きさは米粒を一回り大きくしたぐらいで、よく見ると小さな砂を核にしてそのまわりに塩の結晶が包み込んでいるのです。これにはたまげました。ここは何にでも塩がこびり付いて、全てを塩が包み込んでしまう世界のようです。

(写真7)ムーゲンピックホテルにて

死海のほとりにある5月に全面オープンする新しいホテルで休憩しました。庭には小川が流れ、豪華なプール、レストランを備えたホテルです。今回は本当にびっくりしました。さらに一つ気が付いたのは、これだけ塩・塩・塩の世界で全く潮の香りのしないことです。風があるのに何故なのでしょうか。どこもべたついた所はありません。とてもさわやかです。やっぱり死海は不思議な世界です。まだこの他にもびっくりさせられることがありそうな気がします。

(99年3月31日作成)