ことの始まりは2012年10月深夜のこと

新しく始まる「ジョジョの奇妙な冒険」のアニメを見る。
ジョジョは週刊少年ジャンプで連載当時、リアルタイムで1部、2部しか見たことない。
3部からスタンドなんてのが出てきて、人気爆発だったらしいが
何故か3部から見なくなってしまったので詳しくは知らない。

今回アニメ化するのはスタンドが出てくる3部以降の話ではなく、
マニアックにも1部からだってんだから見逃せない。

しかし1部からって、本当に大丈夫なんだろうか。
1部は「波紋パワー」の話で、当然スタンドは出てこないし
スタンドありきの新しいジョジョしか知らない人には、あまり人気が無さそう。

さぁ、始まったぞ。
オープニングの歌は、幼少時代に見たロボットアニメやヒーローもののような
実に熱く、暑苦しい王道のアニソン。
サビでは、ジョォーーーーーージョッ!!っとシャウトまで入る完璧さ。

何でもかんでも登場人物を女性化してしまう、昨今のふにゃふにゃアニメを吹き飛ばす
かのような熱いオープニングには、本当にビックリさせられた。
こりゃぁCD買わないとなーーーーー。



さて、オープニングが終わり、肝心の内容はというと、眠かったせいか
実はあんまり覚えてない。
だって、偉く遅い放送時間だったしさ。


さてさて、毎度の長い前置きはこれまでで、こっからが本題。
別にジョジョのアニメを熱く語りたい訳ではないのだ。

本編が終わりエンディングの曲が流れると、これまたオープニングにも負けないぐらい実に良い!!
ベースが前面に出たなんともかっこいい曲。
歌詞は全部英語、いやいやこれは凄いぞ。まるで海外ミュージシャンみたいだ。

はて、しかし。
この曲の感じはどこかで聞いたことがある様な・・・
誰だっけね。でも聞いたことあるねこの感じ。
気になりはしたが何せ眠かったのでエンディング曲の題名も歌手も調べることなく
その日は寝ることにした。

それから数日経ち、ふと思い出してはジョジョのエンディングが一体誰に似てたのか
思い出そうとするのだが、なかなか思いつかない。
そんな日々が続いたのだが、あんまり深く考えてない時、突然あるミュージシャンが思いつた。

イエスだ。

曲の感じがイエスに似ている。イエスと言えばロンリー・ハート。
つか正直ロンリー・ハートぐらいしか知らなかったりするのよね。

ロンリー・ハートは、TVK(神奈川テレビ)で放送しているビルボード・オールアメリカントップ40で、
チャートインした時、何度もプロモーションビデオを見ていた。



曲調はもちろんギターバリバリのロックではないし、あまり興味の無い
ジャンルだったのだが、プロモーションビデオのインパクトある映像と相まって
何とも不思議な魅力に引き込まれていた。
あの時、自分は小学生だったかなぁ・・・

そうだジョジョのエンディング曲は、イエスに似てるんだな。
にしてもこんな格好良い曲が作れるなんて、日本人もまだ捨てたもんじゃないなと
似てるミュージシャンが判明したことに満足し、それ以上は何も調べなかった。


それからしばらく経ち、以降ジョジョは殆んど見なくなっていた。
理由は簡単、あまりに放送時間が遅かったためだ。
話がもうちょっと進んで面白くなってきてから見よう。
なんて思ってたが、結局ほとんど見ることは無かった。

とは言え、なんとなく皆アニメ化したジョジョをどう思っているのか気になり、
どこぞの掲示板を覗いてみることにした。
始まるまでは作画が酷いとか、狙い過ぎとか多くの人が散々叩いていたが
いざ見てみると、アニメ化の評価は意外と良好で、面白いという意見が多数あった。
珍しいことがあるもんだねーーと、掲示板を送っていると気になる一文を発見。

ランナバウトは、もう40年も前の曲なのにな・・・

っと、そんな書き込みを発見する。
むむむ40年も前?一体何の話だ??
検索するとランナバウトは、ジョジョのエンディング曲であり、同時にイエスの曲で
あることも判明した。あーーーーどうりで・・・
イエスの曲に似てるって、似てるどころかイエス本人の曲だったんじゃない。
自分の耳も捨てたもんじゃないな、よしよし。

そのうちジョジョのアルバム出たら買うつもりだったが
イエスの昔の曲なら、とっくにCD発売してるよな。
よし、こうなりゃランナバウトが入ったアルバム買ってしまうぞう。

早速ランナバウトが収録しているアルバムを検索すると、そのタイトルに驚愕した。
アルバム名「こわれもの」
ああっ「こわれもの」なのかっ!!
何の数奇か、まさにジョジョの奇妙な冒険の如く、全ての記憶がそこで鮮明につながった。


ああ、タナギ君だ。そうだタナギ君だよ・・・


何が驚愕なのか、一体何が数奇なのか。
記憶は一気に20年前に遡り、1993年頃に飛ぶのだった。
そのころ私は専門学校に通う学生だった。と同時にコンビニの深夜アルバイトを始めていた。
バイトの理由は実に単純で、ギターが欲しかったからである。
後にそのバイト代で、ギブソンのエクスプローラーと、レスポールJrのDCを買うことになる。

そのコンビニには、先にタナギ君と言う1〜2才年下のちょっと変わった青年が居た。
フルネームは覚えていない。
いやちゃんと聞いた事が無いと言うのが正しいかもしれない。
同じ団地に住んでいたのだが、何処に住んでたのかも知らない。連絡先も知らない。
そんな不思議な関係。

タナギ君は、いわゆる清く正しい長髪ロック青年で、暇さえあれば海外ロックやギターの話をし、
国内インディーズ系のミュージシャンにも非常に詳しく、カラオケに行けばジャンルを問わず
知らない歌でも歌ってしまう、そんな特技の持ち主だった。

学園祭シーズンともなれば、大槻ケンヂのコスプレをしてあちこち出向き、本人と間違われて
やきそばをタダで貰ったんですよ。
なんてエピソードをコンビニのレジ裏、倉庫兼事務所で楽しく聞かせてもらった。

バイト先のコンビニ裏は、何となく皆の溜まり場となっていて、自分のシフトが入ってない時でも
暇があれば顔を出す。そんな場所であった。
皆、夜な夜な顔を出していた理由はもうひとつあって、通称「廃棄」と呼ばれる
賞味期限が切れた弁当やパンにありつくためでもあった。

通常、こういった「廃棄」は、何処もフランチャイズ本部の厳しい指導により、誰であっても絶対
持ち帰ることなく、徹底してまさに廃棄処分することになっているのだが、そのコンビニの
オーナーさんは、寛大な考え方をしてくれていて、あり難いことに担当した時間のバイトが優先で
持ち帰って良いことになっていたのだ。

よって、廃棄の時間が近くなると、自分のシフトでも無いのに手伝いますよと、数人手伝いに来て
儀を果たし、廃棄をちょっと分けてくださいなっと、いったのが常習化されていた。
今思えば、バイトの大半は近所の大学に通う、地方から上京してきた学生が圧倒的に多く
彼らは食費も浮かせることが出来るし、そりゃ助かっていたことだろう。

またこの時、発売されたばかりのフェルナンデスのZO−3をコンビニのロッカーに持ち込み、
皆好き勝手に何か弾いたりして
実現はしなかったが、コンビニ仲間でバンド結成なんて話まで盛り上がった時もあった。
尚、私は現在に到るまでバンドと言うものをやったことが無い。

結局、コンビニ・バンド結成は未遂に終わったが、深夜のコンビニでは「何でも温める会」と言う
謎の会をあっさり結成しており、炭酸ジュース、シュークリーム、その他ありとあらゆる食品を電子レンジで
温めて食うと言う謎の活動を精力的に行っていた。
全然関係ないけど、オロナミンCを電子レンジで温めると、舌が痺れるなんておかしな研究結果も出たので
すすめないけど、暇な人はやってみるといいかなと思う。かもしれない。気がする。気にしない。

カップのバニラアイスを電子レンジで暖めると、膨らんでキノコみたいになるから
キノコアイスって、大槻ケンジが言ってたんですよ、キノコアイス作りましょう!!
そう教えてくれたのもタナギ君だった。

ちょっと余計な話が長くなった。


ある晩、タナギ君と何故かイエスの話になった。
イエスはギターの速弾きロックバンドではないし、何で突然イエスだったのかは覚えていない。

とにかく私は、ロンリー・ハートしか知らないもんだから、イエスと言えばロンリー・ハート!!
と言うと、タナギ君が、いやいやイエスは「こわれもの」ですよ。
「こわれもの」を聞かずして、イエスは語れない。っと、そんなやりとりがあった。

確かに「こわれもの」は気になるけど、あまり金は無いしCDを買うにも優先順位がある。
いつか余裕があったらそのイエスの「こわれもの」とやらを買って聞くとしよう・・・
そう思いながら時は20年経っていた。

ああ、そうか、そうなのか。
彼が推していたのはランナバウトが入っている「こわれもの」だったのか・・・
あれから、ずいぶんと時間が経ってしまったなぁ

私も専門学校を卒業して就職が決まると、コンビニにはほとんど顔を出さなくなり、
一緒に働いたバイト仲間の顔もじょじょに消え、
数年後、思い出のコンビニはビルに建て代わり跡形も無くなってしまった。

「こわれもの」を教えてくれたタナギ君は、今一体何をしているのだろう。
確か音楽関係の専門学校に行くと言っていたが、どんな学校に行ってその後どうしたのだろう。


20年の時を経て聞く「こわれもの」は、彼の言うとおり素晴らしいアルバムだった。