中ロ初の合同軍事演習・各社の記事より

上陸作戦軸、3段階構成 台湾念頭に中国主導  平成17(2005)年8月19日[金]
 【北京=野口東秀】中国とロシアによる初の大規模な合同軍事演習「平和の使命2005」が十八日、ロシア・ウラジオストクで始まったが、演習は台湾攻撃を念頭に中国主導で実現にこぎ着けた。上陸作戦を軸に三段階構成で展開される演習は、爆撃機ツポレフ(Tu)による巡航ミサイル発射訓練などを含む本格的な総合演習で、強襲能力を内外に誇示したい中国の思惑が見え隠れする。 ロシア紙コメルサントによると、中国は演習区域についてロシア側に当初、台湾の対岸となる浙江省を提案した。だが、政治色が濃い中国案にロシアが難色を示し、妥協案として浮上した山東半島に決まった。 演習の内容も中国側の強い要望に従い「陸海空が一体となる大規模訓練」(中国の軍事研究筋) となった。作戦のシナリオは「台湾に見立てた山東半島」で民族対立が激化し、中露両国が国連の要請に基づき、軍事介入するというもの。 国営新華社通信などによると、投入される兵員は中国が八千二百人、ロシアが約千八百人の計一万人で、ツポレフなど航空機約百機に加え、通常型潜水艦や揚陸艦など艦艇約七十隻が参加する。 十八日に始まった第一段階では、ウラジオストクのロシア太平洋艦隊司令部で戦略協議を交わす図上演習を実施する。二十日からの第二段階では、訓練区域を山東半島に移し「(同半島を)台湾に見立てて黄海を海上封鎖」(軍事関係筋)。空挺(くうてい)部隊による降下訓練や輸送機による車両投下を行う。黄海側からは揚陸艦などの艦艇が上陸作戦を展開するとみられる。 二十三日に始まる第三段階では、中国がロシアから導入した迎撃戦闘機スホイ(Su)27に対し、ロシア空軍が空中給油を行うなど、兵器の運用面で連携強化を図る。黄海上の訓練空域では、爆撃機ツポレフがスホイ27の支援下、洋上の目標を巡航ミサイルで攻撃する演習を行う。 西側軍事筋は、演習内容などから「上陸作戦は台湾への武力攻撃であり、巡航ミサイルなどの洋上攻撃は米空母を視野に入れているのは明白。今回の演習は台湾有事の際に軍事介入も示唆する米国への牽制(けんせい)という狙いもある」と指摘した。





中ロが軍事演習開始,「台湾侵攻想定」見え隠れ  【モスクワ=常盤伸】
中国とロシアによる初の大規模合同軍事演習「平和の使命2005」が十八日、ロシア極東ウラジオストクで始まった。演習は、中ロの軍事関係強化を誇示し北東アジアでの米国の影響力拡大をけん制する狙いがある。双方とも第三国を対象にしていないと強調するが、精鋭部隊による上陸演習などに「台湾侵攻」を想定した中国側の戦術的思惑も見え隠れする。 演習は二十五日までの日程で中国・山東半島や周辺海域でも実施する。 タス通信によると、ロシア軍のバルエフスキー参謀総長と中国人民解放軍の梁光烈総参謀長が十八日、ウラジオストクで演習の正式開始を宣言した。合同軍事演習は、山東半島の仮想国で民族紛争が勃発(ぼっぱつ)、国連の委任で中ロが紛争解決にあたるシナリオ。十八日から二日間、ウラジオストクでの指揮所演習の後、中国での実戦演習に移る。 合同演習には中ロの陸海空軍から計一万人が参加。ロシア側からは千八百人の将兵が参加。空軍からスホイ27戦闘機、ツポレフ95戦略爆撃機など航空機約二十機。海軍からロシア太平洋艦隊のミサイル駆逐艦ブルヌイなど艦船五隻を含む主力兵器が動員されている。  ロシア海軍筋によると、合同演習の最大の「目玉」は二十三日から二十五日まで山東半島で行われる上陸演習。ロシア太平洋艦隊の精鋭部隊が中心となる実戦的な演習で、上陸作戦の経験が乏しい中国軍の強い要望で実現したという。ロシア側には演習を、市場開拓に悩むロシア製兵器を中国にアピールする絶好の機会ととらえ、中国側要請に全面的に応えたという。





米、警戒強める 動向監視、データ収集… 平成17(2005)年8月19日[金]
 【ワシントン=樫山幸夫】米国は十八日から始まった中露合同軍事演習への警戒感を強めている。オブザーバー派遣こそ見送ったものの、軍の専門家が可能な限りのデータを収集、演習の動向を監視する十分な態勢を整えている。米国の関心は、演習がかつての中ソ同盟の復活など大規模軍事協力につながるかどうかにあるが、過剰反応すればかえって中露を刺激するとの指摘もあり、冷静に展開を 注視している。  今回の演習について、ヒル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は十七日、事前に中露両国から説明があったことを明らかにし、「中国と米国は六カ国協議などを通じて緊密に協力してきた」と、暗に米中関係を損なわないようにという期待感を表明した。  マコーマック国務省報道官は十五日の記者会見で「米国、ロシア、中国三カ国の共通目標である地域の安定を支持する形で行われてほしいと考える。地域の雰囲気を混乱させることのないよう望んでいる」と警戒感を示した。  また、合同演習構想が明らかになった直後の今月初め、米統合参謀本部のハム作戦部次長は「懸念するということはないが、安全保障にかかわる問題だと認識している」として、米国が強い関心を抱いていることを強調。ハワイの太平洋軍司令部の専門家を中心に演習に対する監視態勢を取ることを明らかにした。  監視態勢の内容は明らかにされていないが、偵察衛星による動向追跡、イージス艦による通信情報の収集などが中心になると予想されている。米国内では、今回の中露演習について、やはり米国に対する牽制(けんせい)が狙いだという見方が主流で、併せて、兵站(へいたん)や、軍の管理、近代化を他国の軍から学ぶという中国の目的を指摘する向きもある。  半面、「中露の思惑はこの地域で米国の影響力が強まるのは困るということだろうが、一方では両国とも米国との良好な関係も望んでいる。米国が合同訓練に過剰反応すれば、むしろ両国の結束を強めることになる」(ニクソン・センター、ニコラス・グボスデフ上級研究員)などという現実的な見方も出ている。今回の演習が、中露の本格的な軍事協力に進むのかどうかについては、米国内でも確固たる見解は少なく、ハム作戦部次長も「それを見極めるのが監視態勢を取る目的だ」と語り、監視・分析を通じて情報を収集する意向を示している。





中ロ合同演習、上陸作戦を実施
【北京=飯野克彦】新華社によると、中国とロシアの合同軍事演習は24日、中国・山東半島で台湾有事を想定しているとみられる上陸演習を実施した。前日の演習内容である海上封鎖作戦により制空権と制海権を奪取した合同部隊が戦闘機12機を投入して敵の防御態勢をまひさせ、空挺部隊などが攻め込むというシナリオ。演習は約1時間で終了した。 中国の曹剛川、ロシアのイワノフ両国防相らが演習のもようを視察した。両国防相は同日、青島で会談し、曹国防相は演習によって中ロ両軍の協力関係がさらに深まると強調した。イワノフ国防省は「両国の戦略的パートナーシップは新段階に入った」と述べた。
(23:00) 2005/08/25 NIKKEI NET





台湾駐日代表「日台で安保対話の枠組みを」
台湾の駐日大使にあたる許世楷・台北駐日経済文化代表処代表は18日、産経新聞と会見、日本と台湾はいずれも「中国の脅威」に直面していると指摘、日台間で安全保障をめぐる対話の枠組みを作るべきだと主張した。 許代表は「台湾は常に中国から併合されるという恐怖にさらされている。例えば、イラクは戦争で米国に負けても国自体はなくならないが、台湾が(中国との)戦争に敗れたら、なくなってしまう」と危機感を表明した。  そのうえで、「日本と米国の間には日米安全保障条約、台湾と米国の間には台湾関係法があるが、日本と台湾の間にはこのようなものがない。安保面で日本と台湾の関係は非常に弱い」と述べ、「いざというとき」に備え、日本と台湾が安保問題を話し合う必要性を強調した。  台湾からの観光客に対する査証(ビザ)の発給を恒久的に免除する法律が今月、日本の国会で成立したことについては「台湾はすでに日本の観光客のビザを免除しており、これで互恵平等になった」とし、「日台関係がよくなっていることを具体的に示すものだ」と評価した。  台湾の友好国はこのほど、来月開幕する国連総会に向け「国連に対する台湾海峡の平和維持要請」提案を提出した。これについて許代表は「台湾問題の平和解決に国連も関心を持つべきだ」という趣旨に沿ったものだと説明、「この提案を出すことによって誰がトラブルメーカーなのかはっきりしてくる」と述べ、国連の場で中国の対台湾武力行使を牽制(けんせい)する考えを 示した。
(辻田堅次郎) 【2005/08/19 東京朝刊から】 産経新聞