序

                                         Leiji






 あー、満足満足。

 何と言うか、日ごろの慰安旅行という名目でここまで来たにも関わらず、連中はじつに元気だ。
 酒も美味いがメシも美味い。宴会の食事組の私とそーじにはじつにいい場所だ。
 それはそうと、アラタと沙乃は相変わらず宴席で暴動を繰り広げるし、芹沢さんは芹沢さんで酒癖の悪さをフルに発揮してくれている。あれでは肴にされた島田もたまったものではあるまいな、ふふ。

 島田、か。
 思い出すとなんだか腹が立ってきた。なんだあいつ。
 女風呂は覗くわ、人の詩集は覗くわ。たっぷり脅しをかけてはおいたが、信じてよいものなのやら。ゆーこあたりならともかく、平隊士なんかにバラされれば副長の威厳というものが消滅しかねんようなことばかりしおって。
 まったく、もう。私としたことが、なぜあんな奴の背中なぞ流してやる気になったのか、知りたいもんだ。これではまるで、私があいつの慰安に最大限協力してやってるみたいじゃないか。それも乙女の柔肌に、乙女の詩情までもダシにして……。
 い、いかん。なんだか調子が狂うな。
 だいたいあいつといえば、入隊当初からろくなことをしない。マジメに仕事に励んでいるかと思えば、すぐに私を引きずり出そうとする。あれではうかつにひとりで仕事を任せるわけにもいかん。
 剣の腕もそこそこはあるのかも知れんが、腹が据わってない。私がちょっと怒鳴ればすぐにひっこむ。言いたいことがあるなら言い切ってみろというんだ。それでこそ士道というものだろうに。
 それだというのにやたらと私の周りをうろちょろしている。怖いならさっさと他の隊士のように引っ込めばいいものを、何べん怒ってもそのうちにけろりとしてまた私のまわりを飛び回っているわけだ。
 おまけに口もへらないし、行儀は悪いし細かいトコはうるさいし。ボケとツッコミなら天性のツッコミだが、あれほど私がツッコミたくなる奴も珍しい。
 まったく、まったく、まったく……。

 ま、いいか。明日は早起きして風呂につかりおさめ、だ。
 眠くなってきた。では、寝るか……。


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