「別れましょう…」
今まで何度口にしたか分からない、その言葉。これまでと違ったのは、そのあとの浩平の答え。
「そう…だな」
今日、浩平は、それを受け入れた。
5年前のあのとき、彼がしたこと。それは、責められるようなことではない。普通のことだ。
ただ、彼も私も普通じゃなかった。それだけだ。
「ごめんなさい。やっぱり、だめだった」
「おまえが謝る事じゃない。全部、俺のせいなんだから」
「浩平のこと、許したつもりだった。ううん、気にしてさえいなかった」
何度も繰り返してきた、会話。
「でもね。大人になって、あのことの意味が重くなった」
「ああ…」
「二人の距離が離れて、あのことの意味が重くなった」
「ああ…」
そう。私は大人になった。
ずっと子供のままだったら、二人とも幸せだったのかな。
何も知らずにいられたら、二人とも幸せだったのかな。
「どうしてあんな事したんだろうな、俺は」
「私の存在が浩平をここに繋ぎとめたんだから、そのことは誇りに思ってるよ、私」
「おまえの気持ちを踏みにじって、俺は戻ってきたんだな」
いつからこうなってしまったんだろう。
二人でいても、辛いだけ。
「ただ、あのとき、二人の心は通じていなかった」
「俺は、一人で突っ走って、おまえの心を確かめなかった自分に腹が立つよ」
楽しい時間はいつか終わる。
永遠なんて、なかったんだ。
「もう、行くね」
「ああ」
「じゃ、さよなら」
「恋人」としての浩平の最後の言葉は、私の名前だった。
「繭…」
【あとがき】
こちらも、タクティクスのホームページに投稿したものです。手直しはほとんどしていません。
しかも、二次創作SSのルールを思いきり破ってるような気がします。繭、普通に喋ってるし。
今回、下手なくせに「仕掛け」にこだわったので、かなり分かりにくいものになってしまいました。この作品、繭とのベッドシーンが根っこにあります。 <分からなかった方、ごめんなさい!
自分としては、瑞佳への仕打ちより、繭との「行為」のほうが違和感を感じました。瑞佳のほうは、彼女が全て理解して許しているからいいんです(それにしても瑞佳、包容力ありすぎだとは思う)。でも、繭はセックスの意味を理解してませんよね、きっと。ただ、大好きな浩平の言う事に従っただけ。極端な話、浩平が言ったら、どんな変態的な行為でも受け入れたでしょう。そういう子に手を出す(やな言い回し…)のは、許されないんじゃないか、と。そのことは、繭が成長するにつれ、深い傷になる可能性もあるのでは。
感想とともに、繭シナリオのHについて感じた事も教えてくれると嬉しいです。こんな事を考えたのは自分だけなのかどうか、知りたいので。
ちなみに、上の「仕掛け」とは、「途中まで瑞佳SSだと思わせること」です。