この文章は、2003年中のイベントで無料配布した小説に加筆修正していないものです。
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九百ゼニーは高すぎる
「九百ゼニーは高すぎる。六百ゼニーがいいところだ」
通りを歩く私と肩がぶつかったのは、四十代半ばと思しき中年男性だった。黒の上着は太陽の光を一杯に集め輝いている。男は折り目の付いたズボンのポケットに両手を突っ込んだままの姿勢で、ちょうど九十度回転していた。幸いにも相手は手ぶらだったから、荷物をぶちまけるような惨事にはならない。
「あ…すみません」
彼は、あわてて頭を下げた私から、事の次第が分からずきょとんとするアコライトに目を向け、そこで露骨に不機嫌そうな顔を見せる。
だがそれも僅かのこと。やがて男はローから視線を逸らし、舌打ち混じりに背を向ける。
そのとき、身体と共に旋回する唇から漏れ聞こえたのが、この言葉だった。
カプラサービスの仕事は、珍しく午前中で終わった。次の休日の半分を、会社の先輩であるヒースさんの希望で交換したためだ。大事な用事があるようだったので、別段予定のない私は二つ返事で了解した。
とはいえ、急に降って湧いた時間というのも処置に困る。一人歩きの買い物だけで半日つぶせるほど器用ではないし、家でくつろぐには時間が長すぎる。暇な友人がそう簡単に捕まるとも思えな……。
少し考え、私は家に戻らず、仕事帰りの足で大聖堂へ向かうことにした。『暇な』人物に心当たりがあったからだ。あるいは修行中かもしれないが、そのときはそのときだ。他に何か当てがあるわけでもない。
その心配は、十数分でかき消された。目的地を目前にして、その本人が歩いてきた。大聖堂に向かう数人の男女の中に、細い金の髪が揺れるのが見えた。向こうもこちらに気づいたようで、手を振りながら人をかき分けやって来る。
「やあシャリー。どうしたの?」
「急に休みになったから来てみたんだけど…そっちは?」
「大聖堂に入れなかったんだよ。今日は勉強は出来ないって」
「へえ…」
私と同じく急に時間を手にしたはずなのに、まったく困った様子がないこの少年。名前はローフィという。話に出てきたように、修行中のアコライトだ。
お互いの暇を確認し合った私たちは、「取りあえず昼食を取りながら午後の行動を考える」というありふれた結論に行き着いた。大聖堂を前に百八十度回転して、歩いてきた道を二人で引き返す。この場所は城にほど近いこともあって、貴族や豪商の家が建ち並んでいる。まれに見る店も小綺麗なカフェや仕立屋など、彼らを相手にするものばかりだ。私たちには馴染みもなければ、その代金を支払えるだけの資力もない。
建物の汚れと店主の下品な笑い声さえ我慢すれば安くて美味しい昼食を取れるような、庶民の味方が軒を連ねる下町へおとなしく移ろうとしたとき。
話は冒頭の場面に移る。
「九百ゼニー……?」
「え? 何それ?」
立ち去った男が残した言葉を聞き漏らしたのか、ローが聞き返す。だがその声は、私の耳から反対の耳へ抜け落ちていく。頭には、男の『九百ゼニー』がこびりついていた。
「九百ゼニーは高すぎる、ね」
「改めて考えてみるとなんて事のない言葉なんだけど、何故か気になるのよ」
昼食の時間を微妙に外した時刻に、私とローは向かい合わせで座っている。食後の飲み物はコーヒーとハーブティー。混じり合わない香りがテーブルで衝突するが、紫煙で長年に渡って燻られた店内には、その程度の妨害では打ち消せない煙草の匂いが充満している。
「あのおじさん、確かに怖い顔してたけど……」
「でも多分、ぶつかったことに怒ってたわけじゃないのよね。不機嫌そうではあったけど、特に何も言わなかったし。やっぱり、何か買い物が高くついて不機嫌だっただけかもしれない」
ごく普通に考えれば、あの言葉はそうとしか解釈できない。できないのだが。
「じゃ、こうしようか」
ぽんと手を合わせて、にっこり笑うロー。
「あのおじさんの言葉の意味を考えてみよう」
「え?」
「気になるなら、原因を探れば良いんだよ」
あまりにも簡単そうに言うから、一瞬だけ私まで引きずられそうになった。彼の無駄な前向きさは、たちの悪い風邪のように感染力が強い。
「あのね。あの一言で何が分かるって言うのよ」
「そう? 他にも材料は幾つかあると思うけど……」
思わず考え込んでしまうが、あの数秒間をどう振り返っても何も分からない。中年の男性が、自分の買い物を悔いているだけ、のように思える。
ただし。それだけではない何かがそこに混ざっているのは、何故だかよく理解できてしまう。
「まあ、最初は言葉からだよ。確認するけど、おじさんは『九百ゼニーは高すぎる』って言ったんだっけ?」
「そのあとに『六百ゼニーがいいところだ』もついてたわね」
カップを大きく傾けて、ローが最後のコーヒーを飲み干す。残った模様で今日の占い、など間違いなく不可能な飲みっぷりだ。
「まずスタートとして。おじさんがどこかの劇団員で新しい劇の練習をしていた、という考えは無しにしよう」
「……もしあったとしたら、ずいぶん貧乏くさい劇ね…」
三百ゼニーの価格差を悔いる登場人物。下手な喜劇の始まりにしかならない。
「とにかく。あのおじさんは架空の状況を思い浮かべていたんじゃなくて、実際に自分が出会ったことを話していた。これを前提にしてもいいかな」
「ええ。確かにあの口調は現実味があったし、何よりそうしないと話が進まないでしょ」
「ま、そうなんだけどね。とりあえず、言葉の前半から考えていこう。『九百ゼニーは高すぎる』。これはどういう意味なのか」
ローがあまりにも根本的なことから始めるので、少し気が抜けた。私は反射的に答える。
「決まってるじゃない。ある物を買った値段が九百ゼニーで、それが高すぎたって後悔してるんでしょ」
「それだけじゃないよ。物の値段が九百ゼニーぴったりだった、ということも分かる」
「…どういうこと?」
「『九』という数字は、おおよその数字としては出てこないものなんだよ。これが『千ゼニー』なら、八百から千二百くらいの間の数字を示す概数と言うこともあり得る。だけど、わざわざ『九百』と言ったからには、九百ゼニーちょうどだったんだろうね」
一気に並べ立てられた言葉が、時間差で私の鈍い頭に浸透する。確かに、八百五十ゼニーで買った物を『千ゼニー』と表現することはあっても、『九百ゼニー』と表現することは少ないだろう。納得して何度も頷く私に、ローが照れた顔で「昔何かの本で読んだんだけどね」と付け加えた。
「分かった。筋は通っているから、あのおじさんが買ったのは九百ゼニーちょうどの何かだった、ということにしましょう。でも世の中には九百ゼニーのものなんて幾らでもあるはずよ。おじさんが何に九百ゼニーを費やしたのか、が分からないと意味が無いでしょう」
「そうだね。まあその前に、九百ゼニーはどれくらいのお金か考えてみよう。プロンテラでは、リンゴがだいたい一個十五ゼニー、牛乳が一本二十五ゼニー。九百ゼニーあればリンゴが六十個、牛乳が三十六本買える額だ。安いとは言えないけど、そう高い額でもないよね。さっきのおじさんみたいに立派な身なりをした人ならなおさらだよ」
私はすれ違った男性の姿を思い出す。靴もズボンも上着も新品同様の光を放っていた様を。
「そこで大事なのが、後半の『六百ゼニーが良いところだ』のセリフだね」
「それも五百や七百じゃなくて、六百ちょうどなんでしょ」
「そうだよ。九百と同じ理由で、六百という数も概数じゃない。六百ゼニーちょうどを表している。でも後半については、さらにちょっと面白い事が分かるんだよ」
本当に面白そうに言う彼。私にはその背景がさっぱり分からないので、ただただ首を捻るばかりだ。
「不釣り合いな値段について『○○ゼニーが良いところだ』『○○ゼニーがせいぜいだ』と言うとき、人は普通概数を使うんだよ。『五百ゼニーが良いところだ』とか『千ゼニーがせいぜいだ』とかね。そこをわざわざ『六百ゼニー』と具体的な数を言ったということは」
「前に似たような物を六百ゼニーで買ったことがある、と言いたいのね」
怪しい話が繰り広げられるテーブルの隣を、若い剣士二人組が不審そうな顔で通り過ぎる。だがそれも気にせずローの言葉を引き取って続けるくらい、私は彼に乗せられてしまっていた。
「ご名答。以前六百ゼニーだった経験があるから、余計に九百ゼニーが高く感じられるんだよ。それ自体は大した金額じゃなくてもね」
「でも、まだ雲を掴むような話じゃない? 以前は六百ゼニー、今は九百ゼニーで売られている物なんて探しようがないし」
「そうでもないよ。どうしてあのおじさんが急にあんな言葉を呟いたのか、ということを考えるとね」
言葉を使ったパズルのようだった会話が、一気に現実へ引き戻された気がした。
「どうして……って、買った後もなかなか怒りが収まらなかっただけじゃないの?」
「それなら僕たちとすれ違う前にぶつぶつ言ってないとおかしいんじゃないかな。どう考えても、あのとき不意に思い出したって感じだったよ」
「何かを…って、何を?」
「僕たちとぶつかって思い出した。つまり、僕たちに関係のある何かを、だよ。といっても、僕もシャリーもあのおじさんとは面識がないから、僕たち個人に関する事じゃない」
ローが私の頭を見上げて言う。その先には言うまでもない、カプラサービスのトレードマーク、花のヘアバンド。お返しに私が目を向けた先には、僅かに袖が余った修道衣。
どうもローは私に答えを言わせたがっている気がする。教師のテキストどおりに解答していく子供のようで少し気持ち悪いけど仕方がない。ここは優等生でいくことにした。
「カプラ職員とアコライト。空間転移サービスとワープポータル」
街と街を結ぶカプラのサービスと、ワープポータルでお金を稼ぐアコライト。商売敵とも言える二つが、並んで歩いていたということか。
「うん。カプラの空間転移でイズルードからプロンテラまで来ると、ちょうど九百ゼニーだったと思うけど」
「合ってるわよ」
カプラサービスでの経験が浅い私でも、流石にそれくらいは覚えている。職員として基本中の基本だ。
「そして、ワープポータルに必要なブルージェムストーンは、魔術師ギルドから許可を得た魔法商人がゲフェンで売っている。その定価は六百ゼニー。プロンテラの露店ではもっと安く売っているから、六百ゼニーで仕事を引き受けるアコライトも珍しくないよね」
「なるほど。それなら、今日は九百ゼニー払ってカプラの空間転移を使った理由も分かるわね。モロクやフェイヨンみたいな遠くの都市なら、首都行きのポータルを使って小遣い稼ぎをしているアコライトやプリーストはそれなりに見かける。でも、イズルードからプロンテラみたいな短距離のケースは珍しい。まず需要が少ないし、カプラが九百ゼニーで空間転移をしていて利益が少ないから。以前は居たけど今日は居なかった、というのは充分あり得る話ね」
「ついでに言うと、おじさんはプロンテラまでワープポータルで来たことが少なかったんだろうね。プロンテラまでのポタ屋が少ないと知ってたら、気にすることもなかったと思うし」
食事が終わっても、追加注文せず居座る二人。だが、昼食時が過ぎて暇な時間帯のせいか、カウンターでパイプをくわえるマスターに睨まれることもない。それをいいことに、名も知らぬ男性を詮索する無粋な会話はさらに続く。
「ということは、日常的な商売や買い物という可能性はなくなると思うよ。そんな理由でやって来る人なら、何度も首都に足を向けているだろうし」
「そうね」
「犯罪の匂いもしないね。堂々とカプラサービスの空間転移を使うくらいだから、後ろめたいこともないんだと思う。あと、人の病気や死に関することなら、三百ゼニーの差に愚痴をこぼす余裕はないだろう」
「単なる観光にも見えなかったわよ。あんまり楽しそうじゃなかったし」
私は、さんざん思い浮かべた男の顔を思い出す。あの鋭い眼光でプロンテラ旅行を楽しんでいたとは思えない。
「ちょっと強引だけどもう少し限定してみよう。空間転移のことをすぐに思い浮かべたくらいだから、プロンテラには今日着いたばかりじゃないかな。さっきおじさんと会った時刻は、いったん宿に荷物を預けてぶらぶら出てくる、なんて時間帯じゃない。なのにあの人は荷物を持っていなかったよね。手をポケットに入れてたし、鞄も持っていなかった。となると、荷物を届けるような用事でも、着替えが必要なほど日数が掛かるような用事でもない。宿泊の必要がない日帰りの会合かなにか、と言ったところなんだけど」
ローの口調が自信の色を帯び始めたのは、ちょうどこのときだった。その理由を聞き出そうとしたとき、店のドアベルがガラガラと耳障りな音を立てた。視線を引きつけられた先には、冒険者8人の大所帯パーティーと思しき集団が続々と入ってくる。
「出ようか」
「ええ」
店が急に忙しくなってしまい、これ以上居座ることも出来ない。給仕に注文を告げる大声を背に、私たちはそそくさと勘定を依頼した。
店を出た私たちは、左斜め前方に城塞を仰ぎながら歩く。この道の先は噴水広場だ。冒険者相手の露店が集まるにぎやかな場所だが、二人とも特に目当ての品物はない。無目的なただの散歩は、人が大勢集まる場所かまったく人が居ない場所かのいずれかにたどり着くものだ。今日はローと二人そろって前者だったのだろうか。
「さっきの話だけど」
「そうそう。なんだか答えが分かったような口振りだったから」
「うん。分かったよ」
驚いて足を止めてしまった私を残し、ローはすたすたと歩いていく。四、五歩進んで立ち止まった彼は、振り返って私の顔を見上げる。
その不思議そうな表情は、本来私がするべきものだと思う。
「いま、なんて言ったの?」
「まあまあ。とりあえず向こうに行ってからだよ」
ローの言う『向こう』がどこかも分からないまま、私は彼のあとを追うしかなかった。
私たちは噴水広場を経て、先ほど歩いた道に戻っていた。ここを歩くのは今日だけで三度目だ。それまで口をつぐんでいたローは、プロンテラでもっとも高い大聖堂の塔が正面に見える位置に来て、ようやく言葉を続きを話し始める。
「ねえ、あのおじさんとぶつかった後のこと、もう一度思い出してよ」
「ぶつかった後…?」
唐突に言われ、私は反射的にあの瞬間を蘇らせる。
私は謝って頭を下げたが、顔を上げたとき、既に彼はローに目を向けていた。あの不機嫌そうな顔が思い出される。それから彼は、例の言葉を発したのだ。
「覚えてるかな。おじさんが見てたのは、ぶつかったシャリーじゃなくて僕だった。ちょっと不思議だよね。八つ当たりするにも、普通はぶつかった相手を睨むと思うよ」
「覚えてるけど…それはローを見てワープポータルのことを思い出したからじゃ…」
「一度見るだけなら分かるけど、それなら結局はシャリーを睨むはずだよ。高かったのはカプラの空間転移、安かったのは以前アコライトかプリーストに頼んだワープポータルなんだから」
「…確かに。じゃあ、その理由は何?」
「アコライトかプリーストに関係することで、三百ゼニー以上に腹立たしいことがあったんだよ。ただ、あまりに個人的なことでそれを言うわけにもいかないから、代わりに三百ゼニーについての愚痴をこぼしちゃったんじゃないかな」
「勿体ぶらずにさっさと言いなさい」
「人が分からないことを優越感たっぷりに説明するのって良い気持ちだよね」
「………本気だったらぶつから」
右手で握りこぶしを作った効果があったのか、目的地に着いたからかは分からないが、ようやくローが最後の言葉を口にする。笑いながら、というのが少し腹立たしい。
「普通の人が聖職者を見て思い浮かべることは、そう多くないよ。教義の講釈、ワープポータルなどの奇跡、病気治療、そしてお葬式。でもこれはみんな、自分の街で完結するものだよね。イズルードだって小さいけど一つの街だ。ある程度の地位の司祭は居る。よほど重い病気ならプロンテラの司祭に治療を頼むこともあるけど、おじさんの今回の旅が病気や死に関わることじゃないのはさっき考えたとおり」
ローの台詞の最中だが、私はその先が読めた。
自力で到達したからではなく、単に『答え』が目に飛び込んできたからだというのが実に情けない。
「それ以外でわざわざプロンテラの聖職者に頼むこと。それは、プロンテラの人間とイズルードの人間の結婚式じゃないかな。あのおじさんは新婦のお父さんだと思うよ」
足を止めた私たちの目の前には、綺麗な身なりの男女が何重にも半円を作っている。その中心は大聖堂の入口、黒のタキシードと純白のドレス。実に分かりやすい新郎新婦だった。
さきほどの中年男性は、白一色に彩られた娘の後ろから、顔を涙でぐちゃぐちゃにしながら現れた。その手には、おそらく花嫁から渡されたであろう大きな花束が抱きかかえられている。
とても見苦しくて、だからこそ他人の私にもその気持ちが伝わる表情だった。
「結婚式を取り仕切る聖職者にすら八つ当たりしてたくらいなのにねえ」
ローは皮肉に満ち満ちた言葉を呟いた。
とても優しげな口調で。
「最後に聞きたいんだけど」
「なに?」
だらだらと伸ばした私の黒髪に、頭上の太陽を感じる。まだ日は高いが、陽光はオレンジを含み始めた。私の突然の休日も、すでに半ばを過ぎようとしている。
私たちは再び、大聖堂から噴水広場へと通じる道を歩いていた。話すこともなかった私たちは、終わった話を蒸し返す。
「大聖堂で結婚式があるって知ってたんでしょ? なんだかずるくない?」
「それは知らなかったよ。今日は大聖堂に入れないって言われただけだから」
「…まあ、半分くらいは認めるけど」
「それだけ?」
彼の大仰な仕草には無視を決め込み、私は最後に気になったことを聞いてみた。
「それから。あのとき、あのおじさんが姿を見せる前に『新婦のお父さん』って言ってたわね。結婚式に出席する人は大勢居るのに、どうしてそこまで限定できたの?」
数秒前まで肩を落としていたローは、その姿勢から首だけを上げ、上目遣いに私を見る。その顔を見た私は、余計なことを言ってしまったと後悔した。
その目は、彼がつまらない話を嬉々として話すときのものだったから。
「年端もいかない男ならともかく。恋人を取られて結婚式に押しかけるほど元気な中年の男性なんて、まず居ないしね。結婚式に出席する人の中でいちばん不機嫌なのは、新婦の父親に決まってるでしょう?」
得意げな顔で前に向き直るローの側頭部を見ながら、私はため息をついた。
その原因は、いかにも根拠薄弱な彼の論理ではない。これを口にした当人こそが『年端もいかない』十六歳の男だということだった。
あとがき
松本裕太です。(<この上ない手抜き挨拶)
今回は2003年夏に出した無料本からぱちってきました。本は2004年冬に全て配り切りましたし、重刷予定もありませんので掲載してみます。
ちなみに、「重刷」などという大仰な言葉を使いたがるのがイタイ同人作家になるコツです。皆さんも是非どうぞ。
相変わらず話が逸れる病です。
今回の話は、言わずもがなの名作「九マイルは遠すぎる」(ハリイ・ケメルマン)からネタを頂きました。多少はひねっていますが、結局は丸パクリだとお気づきでしょう。
どこまでがパクリか分からない方、是非一読をお勧めします。ごく短い作品のうえにほぼ会話劇ですから読みやすいです。
「ある種の」推理小説というものを楽しめるかどうか、リトマス試験紙の役割を担う偉大な作品です。
自分ですか? こんなものを書くほどですから、結果はお察しください。
さて今後の予定ですが。
次回こそは新作をひねり出そうと思いますのでその際は宜しくお願い致します、と言質を取らせないダメ大人挨拶で終わらせていただきます。
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