| 小説を書こうと思った理由 |
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| 2005年5月12日(木) きっかけは、水野美紀を好きになったことだった。それで、どんな役なら、彼女らしさが発揮できるだろうか、と考えていた。そんなことを考えていると、徐々にストーリーができてきて、彼女の役柄が形成されてきた。 ここ数日は、昼間ぼんやりと歩いているときや、夜寝る前に、自分が作り出したストーリーを楽しんでいる。 元来、私は小説を書くのが苦手である。どうも、あのまわりくどい表現を考えるのが嫌なのだ。まわりくどい表現というのは、建物がゴシック様式だとか、人物のファッションや、髪型がどうのこうのと色々と説明しなければならないところだ。それらは、小説を読んでいる読者にとっては、その話の世界に入って行くには大切なことなのかもしれないが、書く方にとっては、苦痛以外のなにものでもない。なぜなら、私は、建物の外観や、ファッションについて書きたいから小説を書いているのではないからだ。 まあ、こんなことを面倒だと思っている私は、小説家に向いていないのだろう。でも、書きたいストーリーがあるので、その部分だけでもつらつらと書こうかと思う。だから、この話は小説としては完成しないと思う。 もし、この小説を読んでくださるのなら、そこのところをご理解いただきたい。例えば、「白くて四角い家があった」とか、幼稚園児レベルの表現がでてきても許してほしいのだ。 そして、ここに書くのは、本として読めるような小説ではない可能性がある。つまり、文章として流れるものではなく、その場、その場、のシュチュエーションの集合体になる可能性がある。ようするに、当面は思いついた情景を表現することに力をおき、文章としてのつながりは、いずれ考えるということだ。 もちろん、頭の中ではある程度のストーリーは形成されている。しかし、それをいちいち説明していたら、書きたい部分を書くのが数ヵ月後になってしまう。私は、書きたいことを今すぐ文章にしないと、すぐに冷めてしまうのだ。 まあ、とにかくどうなるのかはわからないが、やっていこうと思う。 |
| 設定を考える |
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2005年5月12日(木)名前を考えるさて、まず最初に考えなければならないのは、主人公の名前だ。重要なのは、彼女にあった名前をつけるということだ。 変な名前ををつけたら、それだけで小説そのものがつまらなくなる。 やはり、陽子とか子で終わる名前は、今風ではないのでやめた方がいいかな。 あまりありふれた名前もやめておこう。 そして、水野美紀を多少いじってつけたような名前もやめよう。水谷亜紀とか。。。 今、閃いたのは、下の名前は、自然界からもらおう、ということだ。例えば、大地とか太陽とか、、、颯爽とした風みたいな、スッパリ、サッパリ、ここちいいイメージで、、、うーん、どうしよう。 吹き抜けていく、風のイメージで、、、一陣の風みたいな、、、季節でいえば春かな。 「ななみ」にしよう! 全然、言ってることと違うじゃん! って思ったかもしれないけど、「ななみ」に決定。 なぜ、「ななみ」になったのか。 「凪(なぎ)」というイメージから、なんとなく。。。 「ななみ」とはつまり、「七つの美」かな。 思いっきり、美紀の「美」という文字をとってるじゃん、って思うけど、ひらがなになってるからいいじゃん。 こんな名前つけたら、「七つの美」とは何か、一個ずつ考えないといけなくなるのかな? まあ、いいや、苗字かんがえよっと。 「ななみ」に合う苗字じゃないとね。。。 「龍崎」にしよ。お蝶婦人からもらって。「龍崎ななみ」だ。 「お蝶婦人」って、こんな字でよかったっけ? まあ、いいや、とにかく、「龍崎ななみ」に決定! 読み方は「りゅうざき」ね。 名前が決まったし、お茶でも飲んでいっぷくしよっと。 超能力主人公であるからには、なんらかの異端者でなければならない。この小説は、恋愛ものではないので、普通の人では主役は演じられない。 世の中には、色々な主役たちがいる。 あるものは、天才だったり、あるものは、魔法を使えたりする。 そして、超能力者。 相手の心を読めたり、時間をさかのぼれたり、念力が使えたりする。 霊能者も超能力者の一種だろうか? とにかく、普通の人ではない部分を設定しなければならない。 もちろん、それはもう決定済みである。 彼女の場合は、「霊能者」だ。 霊能者にも色々あると思うのだが、彼女の場合は、「見える」のだ。 霊が見える能力。 でも、のべつまくなしではない。 大きな力には制限があるものだ。 ウルトラマンだって、カラータイマーがあるし。 第一、いつでも霊が見えるなんて、霊が邪魔になって道も歩けないのでは。。。 彼女の能力の制限事項は、「トランス状態」に入らないと見えないのだ。 つまり、普通の状態では見えない。 もちろん、見えるだけではなく、霊との会話もできる。 彼女の能力は、霊が見えて、会話ができることだ。 トランス状態って、どういうときに入れるのか? 設定しなければならない。 これは、現実とは違うのだが、、、 寝る前にウトウトしてるとき、とか、昼間でも、じーっと一点を見つめてボーっとしてるときに入れることにする。 それと、すごく驚いたとき、一瞬時間が止まったようになることがあるが、そういうときは見えることにした。 なぜ彼女が超能力を持つに至ったのか? 生まれつき持っていた、というのでは面白くない。 ここで、登場するのが、水野美紀著「ドロップボックス」。 彼女は、小学生の頃、カナヅチをぶつけられて頭をニ針縫ったそうだ。 これは使えるぜ!! つまり、後頭部にカナヅチが当たって脳の視覚野に影響をおよぼし、見えるようになってしまったのだ。 小学校5年生ぐらいかな。図工の時間でカナヅチを使うのは。 図工の時間に、男の子がカナヅチを使っていて、振り上げた瞬間、柄からスポッと鉄のところが抜けて後ろにいたななみちゃんの後頭部に突き刺さったのであった。。。パチパチ、めでたく霊能者誕生! 宜保愛子さんだって、目玉をケガして霊能者になったんだし。。。ありでしょ。 図工の時間って言えば、私は小学校の頃、こんな課題があった。 板を一枚渡されて、それで好きなものを工作するのだ。 何を作るのかは自由である。 制限は板の大きさだけであった。 板の大きさは幅が30センチぐらいで、長さが1メートル数十センチだったかな? それで私が作ったのは、サイコロ貯金箱だった。 板を6枚にノコギリで切断して、釘で打ちつけて立方体を作るのだ。 そして、サイコロの目を彫刻刀で刻み、絵の具で色を塗った。 「1」以外は黒で塗り、「1」だけは赤にした。 そして、「1」のところにお金を入れる投入口を作った。 後は、ニスを塗って仕上げるのみだ。 簡単そうに見えるかもしれないが、ここに一つの落とし穴がある。 小学生の私ははじめの内はそれに気づかなかった。 どんな落とし穴かと言えば、板を同じ大きさに6枚切ってしまっては立方体にならないということだ。 相手は、木なので、一度切断してしまうと、もう元には戻らない。 失敗は許されない、緻密な計算が必要なのだ。 だから私は、板の厚さを計算し、そして、うまく立方体になるように切断した。 この経験を「龍崎ななみ」ちゃんにもしてもらおうか? でも、この話を書いたら、私が誰なのかわかる人もいるかもしれないな。。。 「サイコロ貯金箱」なんて、そんなに作った人いないと思うし。。。 エピソード1霊が見えるとどんなことが起こるのか?小学5年生から始まった。 寝ている時に、近寄ってくる霊たち。 何の為に? 会話、、、「通訳」。 霊には色々な人種がいる。 だから、会話ができない。 言語はあの世では覚えられない。 だから、霊同士では会話が成り立たない場合が多い。 故に、「通訳」が必要になる。 あの世にいる霊は、何かが欠けている。 夢の世界の住人と同じだ。 記憶があてにならない。記憶は変化する。記憶できる物質がない。 紙や鉛筆がない。 すぐに忘れる。 とにかく、通訳は必要だ。 そして、色々な人種が彼女に通訳をしてもらいにくる。 しかし、ななみも聞いたことのない言語をすぐには覚えられない。 でも、しぶとく、霊たちはななみに言語を教育する。 そんな数年が経過し、ななみは強制的な睡眠学習により、多くの言葉を通訳できるようになった。 そんな超能力を身につけたななみは、将来、なんでも屋になる。 得意は、通訳と霊能探査だ。 でも、最初は名前が売れてないので、迷子になったネコを探す。 迷子のネコ事件発生! 依頼者は小学生の男の子、依頼料はお小遣い一か月分。。。 大人になって「なんでも屋」になる前に、もう一つエピソードをつくろう。 金縛り事件! 15歳になったななみは、はじめて金縛りに遭遇する。 体が動かないという状況に恐怖が走る。 助けを呼んでも、誰も来ない。 悪霊との遭遇。 足元から這い上がってくる、黒い塊。 荒い息遣い、、、 ななみピンチ!! ひきつる顔、声もでない。 力を込めて動こうとするのだが、ピクリとも動かない。 だが、眼球だけは動く。 下を見ると、掛け布団が持ち上がり、自分の体の上に黒い塊と、まがまがしく光る二つの目が見える。 乱暴にたくし上げられるTシャツ。 そして、あらわになるふたつのふくらみ。 たわわに実ったふたつの果実、、、じゃなく、たわわじゃなく、ぺちゃんこでもなく、どんなんだー。 見たことないからわからない、けど、BカップとCカップの中間かな? いやいや、意外と、おおきかったりして。 でも、巨乳ではナイ。美乳ってことにしておこうか、、、 とにかく、それを嬲るようになめまわす、長い舌。ベロン、ベロンと執拗な攻撃。 陵辱に耐えながら、涙をこらえるななみ。 「涙を流したら、わたしの負けだ!」 昔あった映画に、エンティティっていうのがある。霊体が私をレイプするとか言ってたかな。 最後、液体窒素で霊体を凍らせて掴まえようとしていたような。。。 とにかく、ななみは陵辱に屈しないという強い決意を持っていたが、心の中では、 「お母さん、わたしよごれちゃったよ・・・。」なんてつぶやいていた。 その悪霊は、長い舌でななみの左の胸だけを執拗に愛撫した。 胸を舐めるのに陶酔しているのか、唸り声のようなものが聞こえてくる。 どれぐらいの、時間がたったのかはわからないが、ななみはいつのまにか気を失い、そして、目覚めた。 悪霊はすでにいなくなっていた。 なきはらした目には、まだ涙があふれていた。 上半身を起こして、ヒザを抱え込むと、また、悔しさと悲しみが込み上げてくる。 こんな理不尽な暴力が存在していいものかと、憤りが心の中を埋め尽くす。 しかし、それは一晩限りの悪夢ではなかった。 それから、毎日のように金縛りにあい、そして、陵辱は繰り返された。 そんなある晩、「老賢者」が現れた。 老賢者は、ななみが霊能力を身に付けてから、たびたび通訳をしてやっていた老人だ。 金縛りにあい、陵辱を加えられているちょうどそのとき、ひょっこりとやってきたのだ。 ななみは、必死で唯一動かすことのできる目で、「たすけて」と訴える。 しかし、老賢者は、「なにやってんだ」と奇妙な目でななみを見る。 ななみは、「この悪霊をどかして」と目で合図するのだが、老賢者には伝わらない。 老賢者はななみに近づき、「もしかして、金縛りにあっているのか?」と尋ねる。 ななみは、眼球を上下して、「イエス」とサインを送る。 すると、老賢者は、「ホーッ、ホッ、ホッ」と愉快そうに笑い、金縛りの解き方を教えてくれる。 「まず、唯一動く、眼球をグルングルンとまわすのじゃ」 ななみは、言われた通りに眼球をまわす。 「もっと、はやくじゃ」と老賢者が言う。 ななみは全神経を眼球にそそぎ、ありったけの力で眼球をまわす。 「今じゃ、思いっきり上を見ろ」 その声を聞いて、ななみは思いっきり上を見る。 その瞬間、ななみの霊体は体から飛び出した。 幽体離脱だ!! ここでは、あえて体外離脱とは言わず、幽体離脱と書こう。シルバーコードもついてるし。 体から抜け出すと、急に体が動くようになり、そして声も戻ってきた。 同時に、悪霊に対する怒りが、一気に爆発し、それはもう、怒髪天をつきまくり状態だった。 「このヤロー、ぶっ殺してやる」みたいな感じで、一気に布団をめくると、 そこには、意外な情景があった。 それは、幼い頃飼っていたゴールデンレトリバーが、自分の体の上に乗り、ゴムボールで遊ぶかのように、左の胸を舐めている姿だった。 「お、おい、何をしているんだ、ジョン・・・」 ななみがそう言うと、ジョンは愛らしく垂れ下がった目をこちらに向け、ご主人様に叱られたのではないかと、心配そうに目を伏せた。 ズバリ、悪霊の正体は、幼き頃愛した犬、ジョンであったのだ。。。 随分前に、死んじゃったのに、なんで今ごろでてきたんだ、なんて思ってる人、 それは、ななみがはじめて金縛りにあったとき、助けを呼んだから、忠犬ジョンは召喚されたのでした。 いやー、きっとこのときのななみの呆然とした顔は見ものだったでしょう。 今までの、陵辱に耐えた日々は何だったのだろうかと、、、 自分がまだ汚れてないって分かって、安堵のため息をもらしたりするのであった。 そして、幽体になって、はじめて自分の肉体を見たのだが、このとき新たな衝撃がななみを襲う。 白目むいている自分の顔が、世間様にはとても見せられないぐらい、キモ怖い!!(気持ち悪くて怖い) しかし、幽体離脱するときには、目玉をグルングルンまわして、思いっきり上を向かなければならないと思っていたななみは、これから幾度となくこの顔をしなければならないのであった。 でも、本当のところ言うと、そんなことをしなくても幽体離脱は可能なのであった。知らない人は金縛りにあったら、体に力を入れて動こうとするのだが、逆に力を抜いたら幽体は抜けやすいのだ。 これは、幽体自体が、力を入れることにより堅くなってしまい、壁とか物質を通り抜けられなくなるという性質があるからだ。 それを知っているはずの老賢者が、なぜ目玉をまわせと言ったのかと言えば、それは、この老賢者がオチャメさんだったからだ。 あの世を定義するあの世がどうなっているのか、実際のところは分からないが、こういった霊能力を扱ういじょう、ある程度決めておかなければならない。あの世の人たちがどのような生活をしているのか? 夢かな。 こちらの世界の夢が、あちらの世界の現実で、 あちらの世界の夢が、こちらの世界の現実である。 と、いうことにしようか。 だから、あちらの世界の人がこちらに来るのは、夢を見るようなものなのである。 あの世には、物質がない。 だから、記録できない。 紙や鉛筆は作れる。 それは、意志の力で錬成すればいいのだ。 でも、それを定着することができない。 つまり、意識を集中していないと、勝手に変化してしまうのだ。 だから、記録できない。 そんな世界だから、進歩や発展ということがない。 しかし、唯一の可能性があった。 それは、物質を作れることだ。 あの世には、精神活動により生まれるエネルギーがあった。 E=MC^2 1グラムの物質がすべてエネルギーに変わったとしたら、90兆ジュールのエネルギーになるのだ。 これを逆手にとって、90兆ジュールのエネルギーから1グラムの物質ができる、と言っていいことにした。 こうして、あの世の人々は、記録を残すために、物質界である「この世」を作ったのだ。 あの世とこの世のルールを決める。 あの世の人は、そんなにちょくちょくこの世には来ていない。 いや、来ているのかも知れないが、影響を与えることができない。 一部の例外を除いては、、、 その例外とは、「明晰夢」。 明晰夢を見られるあの世の人だけが、この世の人と交信できる。 ルール2、 あの世の人はこの世に生まれてくることができる。 しかし、条件がある。 その条件とは、全ての記憶、自我を失うこと。 その方法はあの世の人なら誰でも知っている。 その状態になった霊たちは、一つの塊になる。 そして、いつの日にかこの世に生まれてくる。 あの世の人たちは日ごろ何をしているのか? 実は、理性的な活動はしていないのだ。 それは、夢の中でみなさんがやっていることと同じである。 だって、記憶するのが難しいから、、、 「偽りの記憶」 実際にあったことと、そうでないことの区別がつかない。 でも、その無意味な活動が、エネルギーを生産し、日夜、物質へと変換されている。 |
| 話の流れ |
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2005年5月15日(日)能力に目覚めるきっかけこれは、上に書いてあるとおり、カナヅチが後頭部に命中したのがきっかけ。図工の時間 何を作っていたのか? サイコロ貯金箱 後ろの男の子は何を作っていたのか? 別にそこまで書かなくてもいいか? 先生もについても書くのか? クラスメートは何人? ななみの友達は? 初めての訪問者ケガをした当日の夜ベッドで寝ている時 部屋の様子を書かないと その前に家族構成を考えないと 水野美紀は弟がいるが、ななみには必要ないかな? でも、兄弟がいるのといないのとでは、性格に影響が出るからどうしようか? 両親は健在でないと話が難しくなるし、、、 でも、この話は、家族の物語ではないので、あまり家族のことは書きたくない。 成人した時は一人暮らしをしていてほしいんだけど・・・ 水野美紀は三重県出身なので、ななみもどこか田舎出身にしようか? 成人したら東京暮らしということにしようと思ってるから。 東京でなんでも屋をやる予定。 話がそれてる とにかく、部屋で寝ていた時に、老賢者が登場する。 やっぱ、怖がるだろうな 小学校5年生だから、 でも、この時は金縛りにならない。 金縛りになるのは、15歳の時。 この老賢者は日本人ではない。 つまり、日本語は話せない。 やっぱ、「ハロー」って言うのだろうか? なぜ、老賢者はななみのところに来れたのか? こちらから見えると、あちらからも見えるということでいいのだろうか? 2005年5月17日(火) 通訳の仕事訪問者達は何をしにくるのか?通訳をしてもらうために来るということにした。 あの世の人たちの記憶は、生きていた頃の記憶がほとんどで、新しい記憶はあまり記憶できない。 だから、新たに言語を憶えることはできない。 それで、現実世界の人に通訳をしてもらおうとする。 このような設定には無理があるのだろうか? どのように言語を教えるのかと言えば、 幻覚(夢)を見せるのだ。 訪問者たちは現実世界にいた頃の生活を幻覚により作り出すことができる。 つまり、自分の夢の中にななみを連れ込むことができるのだ。 言語の修得には本来なら時間がかかるのだが、 このように幻覚世界に連れ込むことにより、口頭で学ぶよりも百倍の速さで憶えることができる。 つまり、百聞は一見にしかず、である。 開業ななみは「なんでも屋」を開業する。なぜ、「なんでも屋」なのか? 探偵にしなかった理由はある。 それは、探偵にしたら浮気調査とか、殺人事件とか、そういった依頼が多くなるはずである。 でも、ななみの得意は、通訳である。 そして、基本的にななみは人に喜ばれる仕事をしたいと思っているのだ。 だから、「なんでも屋」にした。 なんでも屋の名前だが、「ななみSOS」にした。 昔、「ななこSOS」というアニメがあったと思うが、それが頭の中に浮かんで、これにしようと思った。 しかし、よくよく考えると、センスのないネーミングである。 でも、こういったベタベタなネーミングもありかな? なんて思った。 それで、いつ開業するかだが、 これにはまず、ななみの最終学歴をどうするかを決めなければならない。 四大卒、短大卒、専門学校卒、高卒など、色々考えられる。 ななみは学力的にはそこそこの大学には行けるはずである。 それは、語学がとてつもなく強いからである。 歴史はどうだろうか? 定義したあの世の構造上、千年も二千年も前の人はあの世にはいない。 では、何年ぐらい前の人ならいるのだろうか? 五百年ぐらいにしておこうか。 五百年前だったら、信長も家康もいるかもしれない。 ちょっと話がそれたが、彼女の学力をもってすれば、四大卒は可能であるが、 でも、それだったら22歳になってしまう。 短大なら20歳だ。こっちの方がいいかな、、、 2005年5月18日(水) 迷いネコ探し初めての依頼。なんでも屋の広告を電柱に貼っているとき、同じく迷いネコの紙を貼っている男の子と出会う。 それが縁になり、迷いネコ探しの依頼を受けることになる。 彼女の「見える力」を使った、初めての出来事。 自縛霊太陽の下には霊は出てこない。それは、太陽光線を浴びると、気分が悪くなるからだ。 消えてしまうわけではないが、かなり嫌な感じがする。 日の入り直後、ななみが公園でボーッとしていると何やら黒い陰が見えた。 しばらく見ていると、それが5歳ぐらいの女の子の自縛霊だとわかった。 ななみはその女の子を成仏させてやろうと思い話し掛ける。 女の子はななみの話を聞いて、納得したのか成仏したようだった。 しかし、翌日、またその公園に行くと女の子の霊が同じ場所にいる。 しかも、前日ななみにあったことは全く憶えていない。 どうしたら成仏させてあげられるのか、ななみはその方法を探しだそうと苦労する。 ひきこもり人の家庭教師このひきこもっていた男が彼女を有名にする情報網を構築する。大豪邸の宝捜し霊能力を使った宝捜し、この出来事でななみは一躍有名人になる。 予告殺人事件この「予告殺人事件」がこの小説のメインになる話である。 |
| 予告殺人事件 |
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2005年5月20日(金)ワイドショー番組昼下がり、ななみは事務所兼自宅のマンションでテレビを見ている。宝捜しでそこそこ有名になったななみは、世間を騒がせているニュースをチェックするのに余念がない。 テレビでは、いつものように、司会者、女性アシスタント、文化人、コメンテイターなどが映し出されている。 最近のトップニュースは、娘の遺体を飛行機に乗せてハワイから帰国しようとして、拘束されたある夫婦の話題だった。 10歳になる娘は白血病で余命いくばくもなかった。 それで、両親は最後の想い出づくりにと、二人が式を挙げたハワイの教会に娘を連れて行った。 それは、娘の希望だった。 幼い頃より、母親にその話を聞かされていて、自分も大きくなったらそこで挙式したいと思っていたのだ。 しかし、その願いが叶わないとわかると、せめて自分の目でその教会を見てみたいと、親にせがんだのだ。 当然、医者は反対したのだが、その反対を押し切って親子はハワイに行った。 そして、その無理がたたったのか、娘は教会で神に看取られてしまった。 その遺体を、父親は背負って飛行機に搭乗しようとした。 それは、娘が眠っているように見えると思ったからだった。 しかし、搭乗口で死んでいることがばれてしまい、騒ぎを起こすことになった。 これが、事件のあらましだった。 もっと重大な事件が発生していたなら、この程度の事件はとるにたらないものだっただろう。 しかし、 たまたま、そのとき、台風や地震によるおおきな災害がなかった。 たまたま、選挙も行われていなかった。 たまたま、大企業も役所も問題を起こしてはいなかった。 たまたま、芸能人の結婚もスキャンダルもなかった。 たまたま、アザラシも鯨もカルガモも目立つところには現れなかった。 それで、この事件がクローズアップされ、連日放送されていた。 コメンテイターは、まるで自分の娘が殺されたかのように、夫婦を責めたてた。 ゲストの元アイドルは、感情を剥き出しにして、ヒステリックにわめき散らした。 そして、司会者は、憤りをあらわにし、涙を浮かべながら、夫婦の愚かさをなじった。 もちろん、最初の内はそれほど批判もなく、むしろ同情の声も多かったのだが、 主人の「俺達のことは、ほっといてくれ」という、そっけない態度が反感をかい、そして3日も経たないうちにこういった事態になっていたのだった。 街頭でのインタビューでは、誰もが夫婦に悪態をついていた。 夫婦の住むマンションの前では、何十人もの報道人がひしめきあっていた。 一日に何度も押されるインターホン。 ひっきりなしにかかってくる電話。 それを嫌い、夫婦はインターホンの電池を抜いて、電話のコードもはずした。 しかし、マスコミは自分達の飯の種だと食らいつき、玄関のドアをドンドンと叩き、少しでも中の様子を見ようと望遠レンズを光らせていた。 そんな光景にいたたまれなくなったななみは、リモコンのスイッチを操作した。 しかし、いくらチャンネルを変えても、似たような光景が映し出されていた。 ななみは、フッと息をつき、テレビに映し出されている二人の男女の顔写真を見た。 二人の顔は、まるで犯罪者のように無表情なものだった。 それを見て、ななみは何か作為的なものを感じていた。 それは、全国民の怒りを、この二人に押し付け、政府に対する不満を覆い隠そうとしているかのようだった。 「考えすぎかな……」 ななみはそうつぶやくと、意識を机の上に向け、新たなる仕事を獲得するための作業に移った。 妻自殺ここで、この夫婦の名前を考えようと思う。 あまりイメージがよくないので、現実にはないような名前を考えなければならない。 「初見(うぶみ)」にしよう。 これは、意味とか別になく、なんとなく音が閃いて、変換したら初(うぶ)が出てきたので、見をつけてみた。 念の為ヤフーで検索をしてみる。 「しょけん」でたくさんでてきた。 でも、苗字としてはないと思うので、これを使うことにする。 次に下の名前を考える。 まず、夫から。 「正也(まさや)」にしよう。 平凡な名前にしようと思って、なんとなく閃いた。 「せいなり」ということで、自分が正しいと主張することになる彼にはいい名前のような気がする。 奥さんは、「舞(まい)」にしよう。 舞ちゃんと言えば、ツヨシしっかりしなさい、を思い出すけど、まあ、どうでもいいか。 という事で、 初見 正也(うぶみ まさや) 初見 舞(うぶみ まい) に決定!! ついでに、娘さんは、 初見 唯(うぶみ ゆい) にしておく。 理由は特にないが、母親が「舞」と一字だったので、娘も「唯」の一字にした。 夫婦は二人とも内気な性格で、それを埋め合わせるかのように、娘は活発だった。 それで、家族は調和がとれていたのだが、娘の死にようって、その調和はくずれた。 娘の入院費、ハワイへの旅行により家計は破綻寸前だった。 夫は、それ程大きくない会社で事務の仕事をしていたが、 娘の病気のこともあり、人付き合いも悪く、友人をつくらない性格だった。 そして、最後の旅行を前に会社を辞めていた。 帰国して、仕事を探そうにも、悪い意味で有名人になってしまったので、どこも雇ってはくれなかった。 それで、収入がたたれて、家賃も払えないほどになっていた。 二人とも親、兄弟がいなかったので、頼れる人もいなかった。 そして、娘を失い、夢も希望もない二人の間は冷めきっていた。 特に奥さんは、連日のマスコミや見知らぬ人からの嫌がらせにより、ノイローゼ状態だった。 帰国してから外出をしていなかった二人だが、ついに食料が尽きてしまったので、買い物に行かなければならなくなった。 妻の状態を見て、夫は自分が行かなければならないと、自宅マンションの重いドアを開けた。 車は持っていなかったので、駐輪場に停めてある自転車で少し離れたところにある大型スーパーに行くことにした。 近所の商店街だったら顔を知られている可能性があったし、マスコミがついて来て、騒ぎ立てられると思ったからだった。 裏口からそっと自転車置き場に向かおうと思った正也だったが、建物から出たとたんに、フラッシュの雨を浴びせ掛けられた。 どうやら、玄関のドアを開けたのをどこからか見られており、待ち伏せされていたようだった。 右手でフラッシュを遮るかのようにし、正也は自転車置き場へと向かった。 4、5人の報道人がマイクを向けてきて、口々に質問を発したが、いっせいに話すので何を言っているのか聞き取れなかった。 まあ、聞き取れたとしても答える気はなかったのだが…。 正也は自転車にまたがると、そのまま走り去った。 車で追いかけようとするものもあったが、細い道を選んで走ったので、追跡を逃れることができた。 大型スーパーでは、帽子を深くかぶっていたので、気づく者はいなかった。 所持金は千円札数枚に小銭が幾らかあるだけで、5千円もなかった。 これで、しばらくは食いつながなければならないので、正也は一番安い米を買った。 10kgで1900円の古米だった。 そして、調理せずに食べられると思い、出来立てのコロッケを4つ買った。 一つ50円だった。 妻とふたつずつ食べようと思い……、それが今できる最高の贅沢であった。 コロッケを自転車のカゴに入れ、大きな米の袋を抱えながら、正也はマンションに戻った。 自転車置き場に自転車を停めている時、また、報道人の容赦のない質問攻撃が始まった。 「どうして唯ちゃんをハワイに連れて行ったんですか?」 「遺体を飛行機に乗せるなんて、他の人の迷惑を考えなかったんですか?」 「亡くなった唯ちゃんに何か言ってあげて下さい。」 正也は何も答えず、マンションへと入っていった。 正也は玄関のドアを開けると、すばやく身を滑り込ませた。 鍵を閉めて、フッと一息ついた。 「ただいま」と力なく言うと、靴を脱いだ。 「おかえり」という返事を期待してはいなかった。 妻が、そんな精神状態ではないということは、わかっていたからだ。 リビングを通り、台所に向かった。 とにかく重たい米を置きたかったのだ。 台所の床の上に米を置いた後、妻の姿が見当たらないということに気づいた。 正也は、どうせ寝室で寝ているのだろうと思った。 最近、妻は寝込みがちだったからだ。 とりあえず、あつあつのコロッケを一つずつ食べようかと思った。 残りはご飯が炊けてから食べるつもりだった。 そっと寝室のドアを開けたのだが、そこに妻はいなかった。 トイレかなと思ったが、何か胸騒ぎがして、トイレのドアをノックしてみた。 返事はなかった。 ドアを開けると、そこには誰もいなかった。 残る場所は、浴室か、それとも外出したかのどちらかだった。 浴室のドアを開けると、剃刀を手にぐったりとしている妻の姿があった。 湯船にはられた水は、赤く染まっていた……。 2005年5月27日(金) ななみが机の上にあった書類に目を通しているとき、不意に救急車のサイレンが聞こえてきた。 何か事故があったのかと窓の外を見ようとしたが、すぐにその音が点けっぱなしになっていたテレビから聞こえてきたのだとわかった。 画面には、大勢の報道人を掻き分けるように救急隊員が担架を持ってマンションの中に入っていく様子が映し出されていた。 何かあったのだろうか? と思いながら、しばらく見ていると、さっき入っていった救急隊員が担架に誰かを乗せて出てきた。 その後に続き、初見正也の姿があった。 そして、正也は担架と一緒に救急車に乗り込んだ。 そこにいた報道人たちも何が起こったのかはわからないようだった。 そして救急車が走り去った後、ようやく第一報が告げられた。 初見舞さんが自殺をはかったというニュースが…。 その日の夕方、初見舞さん死亡のニュースが速報で流れた。 そのニュースを最後に、この事件のニュースはほとんど報道されなくなった。 おそらく、舞さんの死が過熱していた報道に冷や水を浴びせる結果となり、今まで批判していた人たちも自殺されてしまったという負い目から、何も言えなくなったのだろう。 もちろん、人ひとりを自殺に追いやった責任をとる者もなく、そして、それを追及する者もいなかった。 ただ、忘れ去られていくだけなのである。 ななみはひとり事務所のイスに座り考えた。 娘を失い、仕事を失い、世間からは攻撃され、あげくの果てには、奥さんまでも失ってしまった男の心理状態は、どうなっているのだろうか? と。 これからのこの男性の将来を思うと、いたたまれなくてしかたがなかった。 彼の立場にたって考えると、絶望という言葉しか浮かばない。 マスコミと世間にようって抹殺された男、彼は一体何を思って生きていくのだろうか? ちっぽけな個人にはそれらと戦う手段は与えられていないのだろうか? 2005年6月7日(火) 3日後、またまた初見正也がワイドショーをにぎあわせる事件を起こした。 奥さんの死後、マンション前に集まる報道人もめっきり減っていたのだが、数人はまだ張り付いていた。 しかし、これと言って報道することもなくなったので、そろそろ撤収しようとしていた時、初見正也がフラフラとマンションから出てきた。 なにやら壷のようなものを抱きかかえていた。 それは骨壷だった。 正也のマンションは淀川沿いにあった。 正也は淀川の土手をゆっくりと歩き、河岸までやってきた。 レポーターは後をつけていたが、何だか近寄りがたかったので、30メートルほど距離をあけていた。 河岸に立った正也は、骨壷を開けると、中に入っていた遺骨を淀川に向かってばらまいた。 遺灰が風にのって舞い、まるで、花咲かじいさんのようだった。 散骨である。 散骨は違法ではないのだが、淀川にばらまく姿をまのあたりにして、嫌悪感をいだく視聴者は多かった。 淀川の水は水道水になる。 だから、人間の骨なんてまかれたくない。 こんな考えを持つ人も多い。 そして、正也は骨壷を淀川に投げ捨てた。 女性レポーターはイノシシの如く正也に突進してきてマイクを向けた。 「今のは奥さんの遺骨ですか?」 「何で遺骨をまいたんですか?」 正也は詰め寄る女性レポーターを突き飛ばして帰って行く。 女性レポーターはキャーと言ってしりもちをつく。 番組の司会者は、正也の行動を暴力的だと憤りをあらわにする。 そして、非常識な正也の行動を非難することにより番組の視聴率は上がるのであった。 翌日、正也のマンションの前には大勢の報道人が詰め掛けていた。 昨日の散骨でまたもや話題の人になったのだ。 番組では散骨の是非について討論がなされていた。 その討論会に参加していた中年の男、けっこう有名な評論家が正也を非難した。 彼がトラブルメーカーだとか、自分勝手な男だとか、30代後半にもなって常識がないとか。 それだけならよかったのだが、亡くなった奥さんのことも非難し始めた。 自殺をするなんて最低の選択だ、夫婦そろってトラブルメーカーだと。 それをテレビで見ていた正也は激怒してマンションから出てきて、報道陣に向かって、「今、妻のことを侮辱した鮫嶋竜之介(さめじま りゅうのすけ)とかいう評論家が出ているテレビはどれだ!」と怒鳴った。 報道陣の後ろの方から若い女性レポーターがマイクを持って出てくる。 正也はそのマイクを取り上げ、カメラに向かって怒鳴る。 「おまえに妻の何がわかる!!」 「おまえたちが妻を自殺に追いやったんだ!」 スタジオから鮫嶋も言い返す、 「いいや違う、あなたが問題を起こし、それにより奥さんが亡くなったんだ」 「責任を転嫁するのはやめたまえ!」 携帯モニターにその様子が映し出されている。 「妻を殺したのはおまえ達だ、言葉で妻を殺したんだ!」 「何を言っているんだ、奥さんは自殺したんだ、心が弱かったから死んだんだ」 「だいたい、自殺なんてどんなに苦しくてもしてはいけないことだ。それをするのは愚か者だ」 それを聞いた正也は大きく息を吸って、そしてゆっくりと吐き出した。 それと同時にさっきまで怒り狂っていた顔の表情が変化した。 いや、正確には目が変わった。 さっきまでの怒りの眼差しではなく、何か覚悟を決めたような目になった。 そして、自嘲するかのように一瞬表情が緩み、最後にひとこと言ってマイクを地面に投げ捨てた。 「お前は、一週間以内に妻と同じように手首を切って自殺する」と。 2005年7月15日(金) ななみは、テレビをながめていた。 画面の中ではスタジオにカメラは切り替わり、激しいヤジのような言葉が飛び交っていたが、ななみの耳には入ってこなかった。 ななみは、正也が言った言葉の意味を考えていた。 「自殺を予告することの意味って……何?」 殺人を予告するなら意味は通じる。 しかし、これは自殺の予告なのである。 だいたい、催眠術であっても、人を自殺にしむけることなんてできないのに、テレビで自殺を宣言することに何の意味があるのだろうか? たんなる、怒りの爆発が起こりもしないことを彼の口を動かしたのだろうか? それだったら、もっと罵声を浴びせるなど、他の方法を選んだ方がよかったのではないだろうか? ななみは「ふっ」とため息をつき、気持ちを切り替えた。 「考えても仕方ないか……」 ななみは書類に手を伸ばし、やりかけた仕事の続きをはじめた。 次の日、ななみは、いつもの時間にテレビのスイッチを入れた。 午前9時、番組が始まると同時に、鮫嶋竜之介の映像が映し出された。 司会者は、鮫嶋に「昨夜はいかがお過ごしでしたか?」と尋ねる。 鮫嶋は、「ぐっすり眠りました。まったく自殺しようなんて思いませんでしたね。」 「あんな男の言うことなんて気にもなりませんね。だから、寝不足になることもありませんでした。」 鮫嶋は、しらけたような笑いを浮かべた。 番組は滞りなく進んでいった。 初見の話題もでたが、それ程多くは語られていなかった。 しかし、番組終了後、視聴率がやたらと高い数字をはじき出しているのがみとめられると、明日の番組構成をもっと変えて、予告殺人についてもっと放送することとなった。 どうやら、世間では今、鮫嶋が本当に自殺するのだろうか、という話題でもちきりのようだった。 次の日、番組開始と同時に、また鮫嶋の映像が映し出された。 鮫嶋の前には、「自殺予告日まで、あと5日」という表示が出されていた。 数字のところが毎日ひとつずつ減っていくという、オリンピックやワールドカップの前によくあるやつだ。 この番組は朝の9時から11時半までの情報バラエティ番組だった。 その放送時間の大部分をこの話題に費やしていた。 そして、高視聴率を獲得したのだ。 あわてたのは、他の放送局だった。 なぜ、これ程までに視聴率を喰われてしまうのか? なぜ、世間ではこの「予告殺人」が話題になってしまっているのか? 他の放送局も、自分達も初見を怒らせて、自殺予告をしてもらおうか、という話も出たほどだった。 鮫嶋が、死ぬのか死なないのか、賭けの対象になっているという話もあった。 三日目、鮫嶋は朝から忙しかった。早朝7時から、夕方5時まで番組に出ずっぱりだったからだ。 鮫嶋の前には、「自殺予告日まで、あと4日」という表示が出されていた。 四日目、鮫嶋はついに他局にも進出することになった。 初見のおかげで、鮫嶋は今や時の人となっていた。 これまで、鮫嶋の名を知らない視聴者は多く居たが、今や彼の名前を知らない国民はいなくなった。 2005年8月14日(日) あー、ダメだ! 前回書いてから一ヶ月も経っている。 この話を楽しみに待っている、という人はいないと思うが、これを本にするというのが、私の当面の目標なので、チャッチャと書きたいのだが、パソコンに文字を打ち込むのが、ついついおっくうになってしまう。 この一ヶ月で、ある程度、この小説の粗筋が頭の中に浮かんできた。 まだ、一巻目も書いていないのだが、頭の中では第二巻、第三巻の内容まで決まっている。 つまり、「なんでも屋ななみシリーズ」である。 五日目、朝早くからテレビ局は大騒ぎだった。 鮫嶋が時間になっても現れなかったからだ。 急ぎ、鮫嶋の自宅に迎えを寄越したのだが、そこで風呂場で自殺している彼を発見することになる。 ななみは、いつものように午前9時に事務所にやってきて椅子に腰をかけた。 ななみの机は木製の立派なものだった。 いつものようにテレビのリモコンを押すと、壁にかけられた32型のプラズマテレビにゆっくりと映像が浮かんでくる。 書類に目を通していると、違和感を覚えた。 テレビの音声が出ていなかったのだ。 テレビがつかなかったのかと思い、顔を上げると、テレビには黒いネクタイを締めた司会者の姿があった。 それは番組の冒頭一分間の黙祷だった。 そして、司会者はゆっくりと口を開いた。 「今日未明、評論家の鮫嶋竜之介さんが、自宅浴室にてナイフで手首を切り、自殺しました……。」 スタジオには重苦しい空気が流れていた。 前日まで鮫嶋が自殺するなんて誰も思っていなかったし、そんな素振りもまったく見せなかったからだ。 そして、それを予言していた人物がいた。 初見正也だった。 大きな地震が起こった後、それを予言していたという、エセ預言者の話は聞いた事があるが、テレビというメディアを通して予言をし、それを的中させるなんて、前代未聞だった。 初見が自殺に見せかけて殺した、という可能性は、初見を張っていたマスコミ自身によって否定された。 なんといっても、初見は大阪に、鮫嶋は東京にいるのだ。 ちょっと家を抜け出し、殺して、帰ってこれる距離ではなかった。 他局の情報番組は、ここ数日の視聴率の低下をおぎなってやる、とばかりに、このニュースを流しつづけた。 早朝に鮫嶋自殺という一報が流れると、蜂の巣をつついたような勢いで、スタッフは慌しく走り回った。 スタジオには様々なゲストが呼ばれていた。 霊能者、巫女、占い師、牧師、心理学者など、、、 そして、初見がいかにして鮫嶋を自殺させたのか、という様々な説が飛び交っていた。 1、わら人形説 2、悪魔と契約説 3、デスノート説 4、超能力説 5、催眠術説 巫女の言った、わら人形説は、一笑にふされた。 仮にわら人形で人を殺せたとしても、自殺させることはできないからだ。 牧師の言った悪魔と契約説も、悪魔の存在を認めない限り立証できないものだった。 デスノート説を説いたのは、占い師だった。 これは、某少年誌で話題をよんでいる漫画である。しかし、これは漫画である。悪魔と契約説と同様、死神の存在を認めない限りこの説も成り立たない。 超能力説を説いたのは、霊能者だった。 幽霊を使って人を殺すことはできないのですか、という司会者の突っ込みに、霊能者は、自縛霊は、土地に縛られているので、その場を動けませんし、だいいち幽霊には誰も命令することはできません、と答えた。 一番ありえそうな催眠術説を説いたのは、心理学者だった。しかし、その可能性は心理学者自身によって否定された。 初見と鮫嶋が言葉を交わした、あんなに短い時間に催眠術をかけることはできないし、VTRをチェックしても、催眠術をかけているというそぶりは全くなかったからだ。 もしかして、後になって、電話かなにかで初見と鮫嶋が言葉を交わしていたのかもしれないが、それでも催眠術で自殺させるのは不可能だと心理学者は自信満々に話していた。 討論の締めくくりで、司会者は初見をこき下ろした。 「いずれにしろ、この初見という男は、とんでもない奴ですよ。非常識極まりない行動、女性レポーターへの暴行、そして、人を自殺へ追いやるような言動、すべてにおいて、この男はクズですね。こんな男が同じ日本人だと思うと、私は恥ずかしいですよ。」 これが彼のスタイルだった。司会者としては冷静さを欠くかもしれないが、これを正義感からくるものだと思う視聴者がけっこういるのだ。 良く言えば、熱血漢。悪く言えば、正義を振りかざした勘違い野郎だった。 その時、レポーターからの通信が入った。 初見のマンション前からだった。 テレビを見ていた初見が、また怒って出てきたのだ。 司会者は、待っていましたとばかりに、初見に言葉を浴びせた。 初見も負けずに言い返していたが、ちゃんとした言葉にはなっていなかった。 緊張の為か、顔に汗をかき、薄くなった髪の毛がおでこにはり付いていた。 見苦しい容姿で、わめき散らす男に、テレビを見ている誰もが嫌悪感を覚えた。 番組終了の時間が近づいていた。 司会者は、最後に締めようと思い、「今回の、鮫嶋さんの自殺は、偶然だったかもしれないが、あなたが言ったひとことが引き金になったのは確かだ。だから、あなたがあんな事を言わなければ、彼も自殺しようとは思わなかったに違いない。その点を猛省して、遺族へのお詫びをあなたに要求します。」と言った。 番組のエンディングが流れ始めた。 それに重なるように、初見の声がテレビから流れた。 「お前も一週間以内に自殺する。飛び降り自殺だ!」と。 |