搭乗口をくぐればそこはシンガポールの匂い
出発の10分前ようやく搭乗がはじまる。「ラッフルズクラスのお客様!」と係員の女性が通常と別の入口から呼びかけているのでチケットはエコノミークラスだが、ラッフルズクラスの座席利用だからいいだろうとそちらから入る。
搭乗口から見える飛行機は、機内放送で「エースリーテン」と呼ばれるヨーロッパ製のエアバスA310―300(写真下)、てっきりジャンボかB777かと思っていたが、臨時便は違うようだ。その隣には同じくシンガポール航空定期便のB777―200「Jubilee」が並ぶ。
機内へ入ると、機首に近い方からファーストクラス、ラッフルズクラス、エコノミークラスの順で客席が並ぶが、ファーストクラスとラッフルズクラスの設備の差はパッと見た印象ではよくわからず、一見、座席カバーの色が赤(ファーストクラス)か、白(ラッフルズクラス)かの違い程度にしかみえなかった。
あとでじっくりと見ると、やはりファーストクラスの方がリクライニングの角度が深く、足下もフットレストの上にゆったりと伸ばすことができるようになっているようだ。しかし、ファーストクラスも各々2人がけの座席になっており、最新鋭の機材のファーストクラスで採用されている1席ごとにパーティーションがついていて、座席がフルフラットのベッドになるものから比べれば、一世代前の設備である。時刻表を見ると、このA310−300は、通常、シンガポールを起点としてベトナムや中国など比較的近距離の国際線に就航しているようなので、あまり設備に力を入れていないような感じ。
ラッフルズクラスの席に着くが、とても簡素な印象だ。シンガポール航空といえば、常に最新の機材を揃え、エコノミークラスでも、最新機種ではパーソナルテレビがついていてサービスは世界トップクラスの航空会社というイメージが擦り込まれているだけにそう思うのかもしれない。
確かに各々2人がけになった座席は、席と席の間に幅広のテーブルになった肘掛けがあり、座席もゆったりと広く、ふくらはぎがあたる部分が上にせり上がるフットレストがついているものの、パーソナルテレビもなければ、機内オーディオのセレクトもダイヤル式になっていて、結構くたびれている印象なのである(写真上)。機内の案内などは、前方にある画面に映るようになっているが、小さなブラウン管テレビが壁に埋め込まれているだけで時代を感じる(写真下)。
なんかお金持ちの親戚のおじさんから温泉旅行に誘われて「確かあのおじさんは新車のベンツに乗っていたな」と喜び勇んで待ち合わせ場所に行くと、見慣れない型落ちのマークUが迎えに来ていて「今日はベンツは車検に出しててな、これで我慢してくれ」と言われたような気分である。
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