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アスペルガー症候群の特徴と診断


2.アスペルガー症候群の診断は別のページ


緒言
 アスペルガー症候群は、コミュニケーションの障害、社会性の障害、想像力の障害(こだわり)の三つ組みの障害からなる障害であり、その診断基準はギルバーグらによって示されている。内容の充実している掲載サイトを参照。(アスペルガーの館のASの診断基準のページ)。本来は、診断基準を示し、診断に合致するかどうかを議論するべきであるが、診断基準は数多くのウエブサイトで示されており、解説もなされているので、医師ではない私が、ここで、診断について述べるよりは、むしろ、私自身の経験を書き記した方が参考になるのではないかと考え、「アスペルガー症候群の特徴と診断」を掲載することにした。

1.            アスペルガー症候群の特徴
 アスペルガー症候群の特徴は数多く見られるが、おきな2つの特徴を述べたい。おそらく、現在、私が最も苦手とする特徴であり、今後、私自身が社会性を身に付けていかなければならない時に、今後も困難となる特徴であると思われる。以下、滝川一廣先生の引用を使って説明したい。

その1
 「感情認知障害」である。ボブソンらは人物の様々な表情の写真を子供に見せて、「怒っている」「喜んでいる」「怖がっている」「悲しんでいる」などの表情をあてさせるテストを実施している。そして、精神遅滞の子供、自閉症の子供、正常発達の子供を集めてテストを行い、比較検討している。その結果、精神遅滞の子供、および、正常発達の子供の正答率はほぼ100%近くであるのに対して、自閉症の子供は50%以下であった。
 これから、ボブソンらは自閉症は人間の表情を読みとって感情をキャッチする能力に欠陥があると結論付けた。対人交流には相手の感情への理解が必要なのに、その能力に欠けるため、社会性の障害が起きる。脳の、表情や感情を読み取る領域や神経経路の生物学的障害が自閉症を引き起こしているとボブソンは考えた。
 付け加えるならば、自閉症者自身が「怒っている」「喜んでいる」「怖がっている」「悲しんでいる」などの感情表現に困難があることも考慮するべきだと思っている。場合によっては、自閉症者のための表情表現のトレーニングの指導を受けて表情表現を習得しなければならない必要もある。
 さらに付け加えるならば、自閉症者自身が感情自体を喪失している場合がある。自分は「怒っている」と感じているのか、「喜んでいる」と感じているのか、「怖がっている」と感じているのか、「悲しんでいる」と感じているのか、感情を取り戻す必要がある場合がある。方法としては私の受けたトレーニングによれば、例えば、「楽しい」という感情を取り戻すためには、楽しいことを体験することだそうだ。自分が楽しいと思うことを体験してみる。例えば、好きな映画を見る、温泉に入ってみる、お風呂に入ってみる、など体験を通じて、これが「楽しい」という感情なのだということを記憶することから始まる。これを繰り返すことによって、楽しいという感情を徐々に取り戻すことができる。ポイントは繰り返し行うことである。このようにして、失った感情を少しづつ回復することができる。感情の回復は、相手の感情の理解の第一歩であろう。

その2
 「心の理論の獲得の失敗」である。これは、もともとサリーとアン課題と呼ばれる実験から始まり、コーエンが1985年に報告した自閉症児の特性を明快に表す一連の実験結果によって表された。
 すなわち、子供たちはサリーとアンの人形劇を示され、どう答えるかで、結果が分かるという自閉症の特性を研究する実験だった。
 最初、サリーは自分の宝物であるビー玉を自分のかごに入れてその部屋から出て行く。それを見ていたアンはサリーのいない間にビー玉をかごから箱の中に移し変えてその場から立ち去る。そこにサリーが帰って来る。ここで子供たちに「サリーはビー玉を見つけるためにどこを探しますか」と質問する。もしここで、子供がサリーの間違った考えを理解して、サリーが最初にビー玉を入れた場所であるかごを指摘できれば、正答となる。また、実際ビー玉がある場所である箱を指摘すれば、誤答となる。
 子供たちは自閉症児20人に対して、対象群に通常の児童と言語に遅滞のある児童を選び実験を行った。
 結果は自閉症児(平均年齢12歳、言語精神年齢5歳半)20人のうち4人(20%)しか正答しなかったのに対して、通常の児童(平均4歳半)27人中23人(85%)が正答し、ダウン症児(平均11歳、言語精神年齢3歳)14人中12人(86%)が正答した。
この結果、コーエンは自閉症児は他人が心中でどう考えているかその考えを正しく推測する能力に欠陥があるのだと結論した。これを「心の理論」の獲得の失敗と呼んでいる。心の理論とは、要するに、「<人はめいめい考えを持っている>という考え」のことである。

 ビー玉は実際には「箱」にある。自分はそれを目撃して知っているから、ビー玉は箱の中と「考え」る。この「考え」は正しい。しかし、かごにビー玉を入れたサリーはそれが箱に移されたのは目撃していないから、正しい「考え」とは別に、ビー玉はかごの中と「考え」るにちがいない。
 こういう頭のはたらかせ方ができる前提には、「<人はめいめい考えを持っている>という考え」が必要だろう、とコーエンは考えた。これがあってはじめて自分の「考え」と他人の「考え」は必ずしも一致しないことの理解と、それゆえ他人の「考え」を他人の側に立って推測することが可能となる。人間にはふつう「<人はめいめい考えを持っている>という考え」、すなわち「心の理論」が備わっている。これが他の動物との違いである。自閉症にまさに欠けているのは、この「心の理論」である。この欠陥が自閉症の本態で、その結果社会性が大きく障害される。