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    アスペルガーが会社に就職して生き延びる方法

           −同朋に愛を込めて、ジョン−


1.スペルガーの特性と会社の利益が反する理由
1.1.アスペルガーの特性が会社で障害となる理由
1.2.アスペルガーと会社が相反する理由   工事中
2.アスペルガーが会社で生き延びる方法    工事中
3.発達障害者支援に関する私の意見      工事中

1.アスペルガーの特性と会社の利益が反する理由

 略歴

 簡単に私の略歴を書き記して、読者の参考にしたいと思います。
 私は1954年生まれの52歳です。アスペルガーと診断されたのは、49歳の時で、それまで、14、5人の医師、カウンセラーの先生方にいろいろと相談しましたが、私をアスペルガーだと見抜いた先生は1人でした。その間、あちらの病院、こちらの病院と彷徨し、20年後に診断がつきました。
 私は自分は障害者ではないと固く信じていましたので、診断があったときは、大きなショックを受けました。というのは、よくある話ですが、一見して、障害を持っているようには見えなかったことと、変わってはいるが、別に知的障害はないし、周囲と摩擦は起すものの、AS特有の真面目で集中する性格から、利用価値があったため、集団から切り離されることがなかったためだと思います。
 この、集団から浮いた存在でありながら、切り離されるか、切り離されないかが、会社あるいは、社会に受け入れられるかどうかのきわどい境目だと思っています。
ということで、私の中学までの成長過程は
../../www.geocities.co.jp/HeartLand-Yurinoki/9387/monogatari1.html
 に書きましたが、その後、高校以後の教育課程では、理科系の過程を選択し、研究は年間358日におよび、寝食を忘れ、研究に没頭しました。その成果もあって、学校を修了し、昭和55年には某企業に就職しました。つまり、この就職というのは、私がマシンとして活躍できるということを企業が認めたということであって、別に人間性とか、人格を評価した結果ではないということです。だから、私は、アスペルガーであっても就職ができた訳です。
 就職後、私は自分ではなく、自分以外の会社員として振舞うことに決めました。1980年当時、自分に障害があるという意識はありませんでしたが、自分の中に(衝動性という)悪魔がいるような気がしてならなかったので、自分をありのまま出してしまうと、会社生活が破綻するだろうと予感していました。まさかこの予感が当たるとは自分でも思っていませんでした。就職後、私は「良き社会人」として振舞うことに努めました。自分には衝動性がありましたので、おそらく、そのように振舞うことがなければ、パニックを連発していたであろうと思います。自分の思考は「ここは良き社会人であれば、怒鳴ることなく、穏やかな対応をするだろう」と自分を抑止する方法を自分に強いていたと思います。
 しかし、昭和61年に結婚し、62年に長女が生まれると化けの皮が剥がれました。その後の結婚生活は夫婦喧嘩が絶えず、家内のみならず子供たちまでも私のパニックに巻き込むことになりました。私の精神科通いが始まったのはこの昭和62年からです。実に20年以上、精神科にお世話になっています。家内や、子供達に済まない気持ちで一杯です。
 ある時、万策尽きて、ネットサーフィンで、精神科関係のアクセスできるサイトはかなり(うつ、アダルトチルドレン関係が多かったです。)アクセスした結果、私にアドバイスする方がおられて、「アスペルガー」のことを話してくださいました。私は自分は「アスペルガー」ではないと思っていましたが、当時、担当の臨床心理士の先生に聞くと「Yes」の答えでした。慌てて、国立精神・神経センターへ行くと、「アスペルガーディスオーダー」の診断をもらいました。その後、現在の主治医にかかり、確定診断と、衝動性の治療を受けています。

1.1.アスペルガーの特性が会社で障害となる理由

言うまでもなく、アスペルガーの特性は社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像性の障害であるため、集団として成り立っている会社組織内では我々アスペルガー者が仕事をする場合、障害となることがしばしば起こる。私の経験として、会社で26年間仕事をしてきた間にも私の特性が障害となった事例は山のようにある。加えて20年間家庭生活を送って来た間にも障害は頻繁に発生した。このアスペルガーの特性が会社で障害となる事例について様々な角度から振り返ってみたい。
○アスペルガー者が会社に就職する場合の障害
 アスペルガー者や発達障害者が会社組織に受け入れられるのか、受け入れられないのか、要因別に詳しく意見を述べたい。会社の要求する特性としては、次のものが挙げられる。1.一般的能力、2.仕事上の能力、3.協調性、4.積極性、5.社会性、6.忍耐力、7.信頼性、8.精神的な強さ。私見によれば、主にこれら8項目に大きな問題がなければ、会社は入社希望者を採用するであろうし、その会社の期待水準に達していないと判断すれば、採用しないと考えられる。これらの要因は健常者、障害者にかかわらず適用される判断要因である。これら判断要因の期待レベルは会社の特性、すなわち、大企業か、中小企業か、あるいは、企業の業種によって変化してくる訳で、極端な話、アスペルガー者であっても、コンピュータープログラミングは誰にも負けないが、個人で仕事をしたいという人は、そのような業種を選べば、文句なく採用は決まると考えられる。つまり、個人でやれる業種の方がアスペルガー者向きだと言えるかもしれない。
 加えて、個人の能力を、しかも8項目の能力を1度の面接で全て見抜ける人事担当者はまずいない。そこで、大手企業では、大学教授の推薦制度を用いている訳である。指導教官は学生を少なくとも1年以上観察している訳であるから、推薦する企業での勤務に耐えられるか耐えられないか判断できる訳である。仮にその企業での勤務に耐えられない学生を推薦すれば、教授はその企業の信頼を失うことになり、次年度からの学生については、たとえ、優秀な学生であっても、採用されなくなるので、いきおい、教授は後々の後輩学生のことを思えば、推薦に対して、慎重にならざるを得ない。ところが、中小企業においては、特に指導教官の推薦制度がある訳ではないので、指導教官の推薦状も厳密なものではないかもしれない。企業側のとらえ方も、様々と言えよう。
 私が、企業の管理職として、学生採用の1次面接をする現場(私の場合は研究所)にいる関係上、面接の実態を知る関係から、既に示した、採用に、あるいは、仕事上にかかわる8項目の特性について、少し述べたい。このことは、次の項目で述べる。会社の要求する特性と相反する理由にも係わることである。
○1.一般的能力、2.仕事上の能力、3.協調性、4.積極性、5.社会性、6.忍耐力、7.信頼性、8.精神的な強さの項目のうち、アスペルガー症候群がこの特性に影響を及ぼすとすれば、様々な持ち前の能力がこれらの特性に影響を与える筈である。例えば、高機能の基準と言われているIQが70以上という基準は、医学関係者間で一般的に言われている判断として、IQ=70の場合、自立は難しいだろうという判断であり、何らかの社会的サポートが必要と言われている。私の感覚として、IQが70を越える場合は、その他の能力がIQをカバーすれば、自立は必ずしも不可能ではないと信じている。そのためには、子供の早い時期から、療育と呼ばれる特別な指導が欠かせないと思っている。なぜならば、IQは能力の受け皿であり、受け皿に如何に能力を詰め込むかで、その人の能力が決まるのであって、IQが能力を示す訳ではないからである。そうであれば、人は努力によってどのようにでも成長することができると言っても過言ではないと思っている。例えば、2.仕事上の能力として学力が必要であれば、勉強すれば補うことができるし、調理師になりたいのであれば、料理の訓練を一生懸命やることによって、調理師への道は開けるはずである。
 次に、アスペルガー者として、苦手な分野は一般的な能力のうち、コミュニケーション能力、3.協調性、5.社会性、だと思うが、ADHDの方の場合は、待つことができる忍耐力も必要かもしれない。アスペルガーの場合は、傷つきやすい性質から、8.精神的な強さが、ADHDの場合は、こだわりの強さから、周囲に溶け込めないこともあり、孤立するケースがあり、やはり、8.精神的な強さが苦手かもしれない。それではこれらの、4〜5項目について、トレーニングするとすれば、どのようにしたら、いいのだろうか。
 私の考え方というか、私が努力して来た結果と言うか、最大限頑張った結果、この4〜5項目は克服することはできなかった。だが、それなりに努力は払ったつもりである。会社におけるコミュニケーションはうまくはできなかった。その結果、上司との間に摩擦は生じた。同僚とのコミュニケーションもスムーズにはいかなかった、結果、同僚からは「変わった人」という評価をもらった。だが、上司が期待した結果を出している間、上司からの非難は不思議なほど受けなかった。協調性、社会性についても、「変わった人」という評価は同じだった。ただ、私の職場は、研究という職場であり、物質を扱う職場だった関係上、コミュニケーション、協調性、社会性について、営業や接客ほど必要とされなかったことが、私に幸いしたと考えている。精神的な強さ(精神力)だけは苦労した。上司が期待した結果が出なくなった時、上司からのいじめは、きつかった。耐えることが非常に困難だったので、かかりつけの臨床心理士の先生にカウンセリングを受け、戦略の目標を立てた。上司は、いつか変わる。成果は期待しないから、研究ができる環境だけ守ろう、ということで、うつ症状だけ治療して、じっと我慢する作戦にした。1年間だけ、精神科からパキシルをもらいうつ症状の治療をおこなった。さらにカウンセリングを続けた。その結果、4年後に上司が変わり、私は生き延びた。
 であるから、どのようにして、就職して、生き延びるのか、これは、すべて、状況によって変わると言っても過言ではないと思っている。
 私には、これまで述べたように、これまでのやりかたが合っていたのだと思うし、他の方には他のやりかたが、あるのだと思う。必ず道はあると思っている。私が、最初に診断を受けた国立精神・神経センターの先生は、私が物質を扱う研究という職業を選択したことが生き延びた幸運だとおっしゃっていた。これまで、私の不得意な能力について述べたが、アスペルガーの場合、得意な能力がないことはない。むしろ、一般の健常者に比べて、優れている点がある。私の職場の人たちを参考に上げながら、述べたい。私は、専門職として入社したが、他の3人は一般社員として入社している。
 ただ、私は専門家でも医師でもないので、ここで登場するAさん、Bさん、Cさんがそれぞれアスペルガー症候群であったり、ADHDであったりと判断しているのは、あくまでも仮定の話であり、彼らがアスペルガー傾向であったり、ADHD傾向であったりすると記載しているのも診断があったからと言う訳ではない。誠に不見識な書き方であるとは思うが、私は自分の会社名を明らかにしているわけでもないし、Aさん、Bさん、Cさんの実名を公表しているわけでもないので、彼らのプライバシーを侵害しているとも考えていない。そこで、仮に世の中にAさん、Bさん、Cさんがいたとしたら、ということで述べさせていただく仮の話をお許しいただきたい。
 私の場合、アスペルガー故の過集中があるので、2.仕事上の能力に関しては、一旦始めたらとことんやるところがあって、周囲からは、「すごい」と誤解を受ける。本人は単に過度に集中しているに過ぎないのだが、他の人には真似できないらしい。これは、積極性、忍耐力と誤解されることもあり、結果として、信頼を生むこともある。一般社員のAさん、Bさん、Cさんも同じで、Aさん、Bさんはアスペルガー故の真面目さから、過度の集中があり、仕事に対する熱心さがあり、そのため、仕事上の能力もあり、ひいては信頼を得ている。ただ、コミュニケーション、協調性、社会性、精神力は評価されず、やはり変わり者と見られている。加えて衝動性によるパニックは周囲からうとまれる原因となっている。ただ、彼らの仕事に対する熱意と社会性を身に付けようとする努力には敬意を表したい。CさんのADHD傾向は、アスペルガーと同様にこだわりがあるため、過度の集中があり、同じように、変わり者だが、熱心さが評価されている。惜しいところは、待つことができない関係上、忍耐力という点では、評価されていない。ただ、私を含めて、4人に共通する精神的な強さに欠ける点は、各人各様のカバーの仕方で補っていくしかない、と考えている。ただ不思議なのは、20人しかいない職場に、専門職社員(私)、一般社員3人の4人の発達障害の社員が集まったことである。考えてみると、全員、過度の集中を持っており、会社が、熱心な社員だと誤解したところがあるかもしれない。このように、専門職社員でも、一般職社員でも、人事の面接では、まず発達障害と判断されることはないので、入社して、如何に社会性を身につけるかで、会社での生き延びることができるか、が決まってくると考えている。
 このことは、何を教えているかと言えば、専門職社員であれ、一般社員であれ、いくら変わり者と評価されても、社会性を身につければ、発達障害の長所を生かして、働き続けることができる、ということを示している。
 Aさん、Bさん、Cさんは40歳から55歳以上だが、結婚していないので、家庭のストレスがないことも幸いしているかもしれない。
 私は、私の経験していることを参考になる範囲で、情報提供することしかできないので、「では、知的障害を持つ場合はどうか。」「こだわりが強く、職場になじめない場合はどうか。」「パニックが激しく、職場に受け入れられない。」といったケースについて、医師ではない、関係上、述べることができないのは、残念である。ここであげた4人の例を参考に、社会性を身につければ、多少、「変わり者」と評価された場合でも、職場で生き延びることが可能だ、という例示しかできないのである。いや、これだけ、頑張っている人間が例示できるということは、私は、逆に「すごい」と彼ら3人に敬意を感じている。最初にも記載したが、私たちの職場が、営業だったり、接客業だったら、このような、会社で生き延びた例は示すことができなかったかもしれない、と感じている。
○それでは、私の場合、会社に勤務して26年間、結婚して20年間、問題なしに過ごして来たのだろうか。答えは否である。結婚してから私の衝動性、パニックのために家内や子ども達が苦労してきたことは、筆舌に尽くしがたい。私は私の障害に気付いていなかったので、治療を受けることもできなかった。加えて次女は2〜3歳の頃、自閉症の様に泣き叫んだ。私たち夫婦は、長女も加えて一家4人での心中も考えた。また、ある時は、私も自殺を考えた。私の胸にほとんど気付かないわずかな傷が残っている。
 社会的不適応は家庭にあって、会社にないということはまずない。会社での社会的不適応は周囲との摩擦という形で現れた。私は専門性については、自他共に認めるところであるが、一般に言われるところの人的な管理という点では、全く評価されていない。私が係わった開発技術は国内外で広く使用されているが、技術の高さに反して、管理面では一管理職に過ぎず、私の同期生や後輩が部長職となっているにもかかわらず、私は課長待遇である。
 私が以前、パニックに陥り、周囲に当り散らした結果、「ヨットスクール」という不名誉な名称までいただくことになった。今では、その事は忘れられているが、古い人は覚えている。
 このように社会的不適応は起こしたものの、私はついに会社から追放されることはなかった。それは、私を指導した腕のいいカウンセラーの先生のおかげであったり、私が最低限の社会性を身に付けようとした結果であると考えている。私の場合、診断はアスペルガー障害であるが、広汎性発達障害(PDD)もしくは、PDDNOSである可能性が高いと思っている。アスペルガー症候群、広汎性発達障害、PDDNOSいずれも予後は良くないとされ、現に私自身、一家心中、自殺も考え、会社にあっては、上司との対立(1.2.アスペルガーと会社が相反する理由で述べたい)、周囲との摩擦、その結果、一管理社員の身の上である。であるから、私自身が社会性を身に付けているとは言いがたい。ただ、最低限の社会性を身に付け、会社で生き延びるための戦略をカウンセラーの先生から指導していただき、今日に至っている。このことは、とりもなおさず、障害を持っても、予後が好ましくなくとも、最低限の社会性を身につけることによって、会社では生き延びることができる、ということの証ではないかと思っている。加えてこれはIQや能力の問題ではないと考えている。まして、インターネットの掲示板に投稿できる方に能力がないとは全く思っていない。一般社員のAさん、Bさん、Cさんも周囲との摩擦を何とかしのいで、長年勤務していることを考えると、やはり、何とか社会性を身に付けることは、自分を助けることになると考えている。
○アスペルガー症候群、広汎性発達障害、PDDNOSの場合、そのIQの問題がないため、仕事上の支障は専ら、対人関係に問題があることが多い。仮に、生活に必要な十分な収入があって、人間関係に苦労するような立場になければ、生きずらさも半減すると考えられる。しかし、実際には、収入を得るためには、われわれ障害者は一般社会で生きていかなければならない訳で、人間関係は避けて通れない問題であるだけに対策が必要となって来る。
 私の同僚であるAさん、Bさん、Cさんが人間関係の問題のために医療機関に相談しているという話はプライベートの問題であるだけに窺い知れないが、知りうる限り、特に相談しているという話は無いようである。一方、私は、この20年間、家庭、会社への不適応のため、精神科に通院し続けて来た。以上を考えると、その人の症状によって対応の仕方が違う様に感じる。すなわち、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、PDDNOSによって支障が出ている場合、家庭生活、会社生活を続けて行こうと思う場合、これまで述べて来たように社会性を身に付けようと努力したとしても、個人の努力には限界があると考えなければならないのが当然であるかもしれない。その場合には、相談機関の支援が必要と考える。相談機関としては、専門医の医療機関、専門家のカウンセラーなどであるが、発達障害の場合は、脳波がベータ波優位の場合に生じる衝動性等の合併症があるので、医療機関のサポートは受けた方がベターである。ベータ波優位で生じる衝動性は薬剤で治療が可能であるからである。その上で、対人関係に係わる指導を医療機関、カウンセラーから受けることによって、2つの効果が互いに合わさって、社会に適応していくことが可能になるのではないかと考えている。
 以上、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、PDDNOSの症状を発見した時点から、すなわち、子どもの場合は、子どもの時点から、大人の場合は、診断がついた時点から社会性を身につけるトレーニングを行って、将来の会社員etcとしての職に就けるように指導すること、あるいは、自らが自分で努力することが必要であると考えるし、また、家庭での指導、自らの努力には限界があるので、専門の医療機関に加えて、医療機関か専門のカウンセラーの指導を受けながら、社会生活、特に会社生活に適応していくことが、アスペルガー症候群、広汎性発達障害、PDDNOSを持った人には必要ではないかと考えている。これは、自らの体験に基づいて書いた内容であるので、総ての障害を持った人に当てはまるとは考えていないが、いろいろと考えに考えて書いた内容なので、参考になるのではないかと思っている。
 しかし、実は、なぜアスペルガー症候群が会社で反発を招くかなど、会社組織自体が持つ特質もあるので、それらについては、今後時間をかけて続編として少しづつ述べて行きたいと考えている。