第32回「『ありがとう』っていうことしか言えないから」

 2010年の活動のクライマックスは3週連続で公演させていただいた10月。最初は10日の小屋掛公演で青年座さんと平成座さん、17日の川俣農村舞台と24日の人形浄瑠璃フェスティバルでは青年座さんと丹生谷清流座さん、と、先輩諸座と共演させていただきました…が、もういっぱいいっぱいで、みなさんの演技を見て学ぶ余裕もなく、なんだかあわあわしてるうちに終わってしまったわけであります(恥)。
 22年ぶりに人形遣いを再開したものの、技量と体力、もひとつついでに記憶力の衰えは思った以上で、個人的には「ぐだりんちょ」なまま、そしていろんな意味で足を引っ張りに引っ張って終わってしまった3週間、そして2010年ですが、この間個人的にちょっと気をつけた(とはいえあんまりできなかったけど)のが「挨拶」。2004年に城北民芸部が勝浦高校民芸部さんとのコラボで全総文優秀校国立劇場公演のオープニングアクトを務めさせていただいたとき、スタッフさんたちに挨拶ができてなくて叱られた、という話も聞いてたし、現任校の職業ガイダンスで講師の先生も挨拶の大事さを力説されてたし、一応これから一般の人形座として活動させていただく上ではやっぱりそこは押さえとかなければならない最低限のマナーかな、と。

 2010年秋、怒濤の公演ラッシュを終えて…今の気持ちは一言「感謝」。元顧問のちょっとした野望につきあってくれている座長をはじめメンバーのみんなはもとより、無償で毎回稽古を付けてくださって、さらに今年のすべての公演に誘ってくださった青年座さん、人形会館と貴重な人形を快く貸してくださっている城北民芸部顧問の「団長」ことS先生、本番で共演してくださったみなさん、舞台を運営してくださったスタッフのみなさん、そして観客のみなさんのおかげでなんとか拙いながらも舞台を務めさせていただけたわけで、多分そのうちのどれが欠けてもこんな充実した期間を送ることなんてできなかったはず。知名度もなければ自前の人形もない新参者なのにこんなに公演機会を与えていただけるなんて、あまりにも、ほんとにあまりにも恵まれすぎているわけで。
 でも、今の状況って少し怖い、とひねくれ者の自分は思うわけです。今ポラリス座は青年座さんのおかげでいろんなところに出演させていただいて、少しずつ露出も増えてきたけれど、自分に限っていえば演技も全然まだまだな状態で、こんなにたくさん公演させていただいてもいいんだろうか?って思っちゃうんですね。…とは言っても、公演させていただくのが厭な訳じゃないんですよ。公演の予定があれば、それを目標にできるからモチベーションも上がるし、活動も(ついでにこのサイトも)充実するから、むしろ公演に誘っていただけるのはとても嬉しいんです。ただ、今のこのあまりにも恵まれすぎた状況を「普通」と思ってしまうことで、向上心がなくなってしまわないか、と思うんですね。この雑文でも、10回台で何度か当時の人形遣いたちのやる気が感じられないとかなんとか愚痴ってますが、今思うとそれって、公演本数の多さと、城北民芸部のネームバリューと、ちょっと文楽テイストな振り付けのおかげでそれなりの舞台になってることに安住して、ついでに「下手なりに高校生が演じている」ということで観る側にかかる好意的なバイアスに当時の顧問であった自分も含めて甘えちゃってたのかな、と。
 うれしいことに青年座さんや丹生谷清流座さんをはじめ、共演させていただいた先輩諸座のみなさんにあたたかく迎え入れていただけた本格的活動1年目。これから2年目、3年目と活動を続けていくなかで、当然求められる演技のクオリティは上がっていくし、いつかは自主公演も企画しないといけないし、そうなると演目も増やしていかなければいけないし(できるなら「阿波鳴」以外の演目を覚えて、それを武器にしたいなと思うのは自分だけ?)、かつて青年座さんもそうであったように、メンバーの就職・結婚・出産による人数減もあるかもしれないけれど、もっともっと貪欲に練習してとにかく今自分たちにできることを全力で出していって、もっともっとたくさんの方に知っていただいて、観ていただいて、同じ城北民芸部卒業生の先輩諸座、城北座さんと青年座さん同様に受け入れていただけるような、そしてあわよくば「卒業生3座(もちろん城北座さん、青年座さんとポラリス座)」の原点であり母体でもある城北民芸部や勝浦高校民芸部さんにも興味を持っていただいて、毎年観客動員が少なくて対応に苦慮している高文祭郷土芸能部門の舞台にも足を運んでいただけるような存在になれたら最高だな、と思います。1日でも早くそうなれることが、われわれポラリス座に関わってくださるすべての人たちへの感謝と恩返しになると信じて、2011年に向かいます。まだまだ拙く、名前負けしまくりなわれわれですが、これからもよろしくお願いします。
    (2010.12.11)