女性天皇を拒否して、天皇制をやめよう

  〜「皇室典範に関する有識者会議」論点整理について

                 女性と天皇制研究会

 さる7月26日、皇室典範に関する有識者会議は、天皇家の「将来にわたる安定的な 皇位の継承」を目的とした論点整理を発表しました。天皇にふさわしいのは「女子で も直系」および「傍系でも男子」という2案を示すことによって「中立的な立場」を 取ったと自負し、「国民の理解と支持を得られるもの」を目指すとしています。しか し、天皇は、この国における“国民統合”の象徴としてふるまうと同時に、“人に貴 賎あり”の象徴でもあります。その維持・存続を「当然のこと」として議論を進める ことがはたして「中立的」でしょうか。

 私たち女性と天皇制研究会は、有識者会議に対し、1)発言者を明確にした議事録 の公開、2)皇位継承を論ずるのであれば「天皇制がなぜ必要か」を明確にすること 、3)「世襲」という差別制度の是非を問うこと、4)「天皇制に賛成」の立場に片 寄らない議論を行うこと、について要請してきました。しかしこれらは、論点整理お よびその過程において、まったく反映されておりません。

 有識者会議が、女性天皇を容認するか否かについて、今日的な「国民の意識」を前 提に話し合うのであれば、まず最初に「世襲制」こそ問われるべきです。  世襲制は、子を産む女性なしには成立しません。能力のあるなしに関わらず、血統 と家の継承のために「妊娠・出産」を当然のごとく強制されることを前提に成り立っ ています。血統や家柄を維持するために個人をないがしろにする、人の差別化をはか り特権を維持する不平等制度、だからこそ世襲制は否定されてきたのです。世襲制を のこすことは、私たちの社会にとって不必要どころか有害です。

 女性天皇容認とは、女性の即位によってこの(性)差別制度を今後も維持し続ける ことを意味します。同時に、皇族女性が、皇統維持要員として天皇制をより積極的に 支えることをも意味します。宮家の創出にともない、皇族は今後飛躍的に増えるでし ょう。それを支えるのは私たちの税金です。有識者会議は、「女性・女系を含めた子 孫」「男性の男系男子の子孫」の生まれる確率の算出はしても(第10回資料)、全体 で皇族を何人増やせば気がすむのか、税金負担はどれくらい増えるのか、想定すらし ていません。あるのはこの家の存続に関する危機感、ただそれだけです。

 こういった視点をまったく無視しているために、「伝統」の名の下「『嫡出である こと』は国民の意識等から今後とも維持することが適当」「(女性の場合)国民統合 力を期待できない」などといった性差別にもとづいた発言が、有識者会議においてま かりとおり、論点整理にも反映されてしまっていることは許し難い事実です。産む女 性にとっては等しく我が子であるのに、男性中心に考えるからこその「嫡出」概念や 、ある種の能力に欠けているのは「女性だから」といった誤った考え方は、近代にお いて、天皇制が正当化し利用してきた差別意識のひとつです。これらの誤った考え方 が、有識者会議の中でもっともらしく開陳され、ジェンダーの強調、きょうだいの序 列の強調、あいまいな「伝統」の正統性などが、無批判のままくりかえし強調されて います。

 私たちはこのように、有識者会議での議論そのものが、きわめて性差別的なプロバ ガンダの場になっていること、「国民の理解と支持を得られる」意見だとされていく ことに、強い憤りを感じざるをえません。「国民の意識」がきわめて都合よく使われ ていることは明らかです。

 有識者会議は、情報の公開やパブリックコメントの採用などを、あらかじめ拒否し た形で行われています。そこで言われる「国民の意識」とは、つねに先に答えありき のきわめて作為的なものです。女性天皇支持の声の大半は、「男女平等」幻想や女性 皇族への同情から導きだされていることは明らかです。にもかかわらず、有識者会議 はそのことに一切触れないばかりか、「男女平等の観点からの議論は行わない」とわ ざわざ明言しています。また「天皇制はなくすべき」の声も、決して少なくないパー センテージで存在しているにもかかわらず、まったく想定されていません。

 歴史上、天皇制は「伝統」の名の下、それぞれの時代においてその特権的な地位の 保持のために、もっとも都合のよい「伝統」を採用し、あるいは自由自在につくり変 えて生き延びてきました。明治期はそのもっとも顕著で近い過去の例です。また侵略 戦争を主導した昭和天皇や、天皇制が果たした「国民統合」の役割についての批判的 検討は、国家レベルでとりくまれるべき課題であるにもかかわらず、逆に「功績」な どとして美談に改ざんされつつあります。

 むしろ、こういった価値観こそ、近現代の天皇制が強化してきた悪しき「伝統」で あると解釈されるべきなのです。有識者会議が、特権的に天皇制を語るならば、 ま ずはそれへの反省から始めねばなりません。

 私たちにとって、誰がなろうと「天皇」は「天皇」です。皇位継承者が途絶えてい る以上、「女性天皇」の容認がなければ天皇制は消滅するしかありません。私たちに とって必要なものは、天皇ではなく、本当の「主権在民・基本的人権・平和主義」の 実現です。そのためにも、声を大にして何度でも訴えます。

 天皇制維持のための「女性天皇」を拒否しよう! 天皇制はもうやめよう!

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