・安価な同軸トラップの作り方


「同軸トラップ」というと、精度的に難しくウン10万もする測定機がないと作れない
と思っていらっしゃる方もいるようですが、実際にはMFJやクラニシで発売してい
る「アンテナアナライザー」を使うことでダイポールを調整するように簡単に作成す
ることができます。ここでは、そこそこ効果が期待できる同軸トラップを紹介します。

1)同軸トラップの原理

同軸トラップは運用周波数で減衰しないで(抵抗が∞)、カブリを発生する周波数に
対してはショートした(抵抗が0)長さを求めばよい事になります。

トラップの末端処理はショートする方法と、オープンする方法があります。これら複数
のトラップをうまく組み合わせてカブリを発生する周波数の抵抗を0にします。それぞ
れのトラップの長さは以下の式で求まります。

抵抗値 0
ショートl=n/2・300/f*0.66l=(2n-1)/4・300/f*0.66
オープンl=(2n-1)/4・300/f*0.66l=n/2・300/f*0.66
この場合のlは同軸の長さ、fは周波数、nは整数です。

しかし21M用の7M対策フィルターについては、上記式では作成できません。
JG7PSJ局のサイトにあった「YAAトラップ」を参考に作成しました。



以上の理論で求めた波長λをアマチュアバンドにあてはめた所、以下の表になります。

表1:運用周波数とカブリを発生する周波数の関係

λ3.5M(1)7M(1)7M(2)14M(1)14M(2)21M(1)21M(2)28M(1)28M(2)
Freq1/4λs1/2λo1/4λs1/2λo1/4λs3/4λs0.4095λo1/2λo1λo
3.5M0       
7M00 0 0
10.5M0       
14M000 0
17.5M0       
21M00  0
24.5M0       
28M0000 

※∞が運用可能な周波数、0がカブリを発生する周波数となる。

表1の構成はハイバンドにおける3.5M(1.9)のカブリについては考慮していませ
ん。これは経験的にカブリが少なかったためで、例えば3.5Mのカブリがあるよう
でしたらば、7Mの1/2λ(14M1λ、21M2/3λ、28M2λ)オープンスタブを、
それぞれのバンド用に追加、作成すると良いでしょう。

又、7M側での21Mのカブリについても考慮していません。これはトラップの作り方が
わからなかったことと、7M自体元々賑やかなバンドですので、少々のカブリを気に
しても、しかたがないと思い省略しています。

2)用意するもの

・3D−2V 75m
・オス付T型M分配コネクタ 10個
・3D Mコネクタ 12個
・束線バンド  1袋
・アンテナアナライザー、ダミーロード、半田、同軸カッター等

私は手持ちの部品を流用しましたが、全て購入しても1万円あれば十分お釣りが来るで
しょう。

同軸ケーブルは安価な日本通信製を使いました。ケーブルの短縮率0.67と言うデータ
もありましたが実測値0.66弱でした。ここでは0.66として計算してあります。

同軸の太さは太いほどカブリを発生する周波数に対しての減衰量は期待できるようですが、
ここでは手軽さ、安価さから3D−2Vを採用しました。お手持ちに余ったケーブルが
あれば、使い古したケーブルでも良いと思います。

3)作成方法

同軸ケーブルlの長さは以下のとおりです。これら一つ、一つの実際のケーブル長を計算
するのは面倒でしたので、フリーウェアの 「Freq2WavelengthCalc」を使用しました。

表2:同軸長と共振周波数
運用周波数波長同軸長共振周波数末端処理
3.5MHz(1)1/4λ14.15m3.52MHzショート
7MHz(1)1/2λ14.15m3.52MHzオープン
7MHz(2)1/4λ7.07m7.05MHzショート
14MHz(1)1/2λ7.07m7.05MHzオープン
14MHz(2)1/4λ3.54m14.2MHzショート
21MHz(1)3/4λ7.07m7.05MHzショート
21MHz(2)1/4λ2.36m21.2MHzオープン
21MHz(2)1/4λ2.36m21.2MHzMコネ
21MHz(2)0.4095λ3.86m7.05MHzオープン
28MHz(1)1/2λ3.54m14.2MHzオープン
28MHz(2)7.07m7.05MHzオープン

表2を参考に各バンドの同軸ケーブルを切ります。次に、Mコネクターを同軸ケーブル
の片側に取り付けます。ケーブルの芯線は、コネクタの頭に合うように注意して外皮
を剥ぎ取ります。長めのケーブルから順じ作成していき、失敗した場合はケーブル切
りから作り直すとよいでしょう。

共振周波数を求めるには、アンテナアナライザーを使いインピーダンスが0となる
周波数にカットし調整します。なぜ運用周波数でインピーダンスで求めないかという
と、アンテナアナライザーでは650Ω程度までしか正確に共振周波数が計れないか
らです。

往々にしてインピーダンスが0にならない場合がありますが、その場合はXに注意し
最小の共振点を求めてください。

21MHz1/4λに調整した一本のケーブルは、反対側にもコネクタを取り付けます。
前出のYAAトラップの図のようにT型コネクタをつけ、7.050MHzで共振する
ように3.86mのケーブルをカットしていきます。

共振しましたら端末処理ショートとなっているトラップについては、末端の芯線と
外皮を履いてショートさせてください。

完成したトラップをT型コネクタ、ダミーロードに繋ぎ、送信各バンドに合わせ、
アンテナアナライザーを使いSWRを計ります。バンド内が1.2以内に修まっている
事を確認してください。又、カブリ元の周波数では、SWRが高く、インピーダンス
が0近辺になっていることを確認し、最後に末端をテーピング処理し絶縁したのちに
束線バンドで束ねてください。

同軸トラップ全景(21M用)


  測定の様子(28MHz)


28Mトラップを14Mで測定


 

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