・インターフェアーについて




「やっと山梨で1KW免許を落成しました。」と、ローカルに話すと、「山梨は広くていいですね。
インターフェアー(電波障害)なんかないんでしょう?」と羨ましがられます。又、今まで電波障害
についてOM諸氏から指導頂く立場でしたが、反対にこの手の相談を受ける機会がたいへん多
くなりました。

私はコンテストが好きですから、オールバンド48時間フルパワーで運用したいと思っています。
しかし、実際にはまだまだ難しなと思っています。 このインターフェアー対策に丸2年費やしま
した。QSY当時21Mでは10Wでさえ障害が発生し、まったく運用できる状態ではありません
でした。

雑誌の1KW落成記事を見ると、「まったく障害がなかった。」等、羨ましい話が多くありますが、
私の経験からすると極々限られたたいへん恵まれた事例だと思います。落成検査に限らず
電波障害はアマチュアにとって一番の悩みの種です。この趣味を辞めていった多くの諸先輩方
がこの問題を解決できず、隣人関係がもつれ、やむなく閉局を余儀なくされたと聞きます。
閉局の最も大きな理由の一つであることは間違いありません。規制があった当時の黒電話なら
いざ知らず、運悪く隣人が民営化当時のハウディを使っていたとすれば10WでもCWに合せ、
誰もいない玄関から呼び鈴が「ピンポーン」と鳴る可能性があります。

もちろん、ハイパワーになればなるほど電界強度はあがり、障害の確率は高まりますが、決して
10Wだから安心できるといった性質の物ではないのです。そういった意味で、自宅でできる送信
側の対策は可能な限り惜しみなく行い、それでも生じる強電界故の「基本波障害」については、
被害者側にて対策させていただくと言った姿勢が求められます。ままに機器のイミニティ(耐力)
についての問題を隣人に指摘される方がいますが、隣人にとってはあなたの出す電界強度が
問題なのです。電波防護法もでき、最近は我々に良からぬ方向に世論は向かっています。Wで
は90歳過ぎのOTさえアクティブに運用していますので、その問題については我々は既に体で
検証済みであり、引け目はないはずです。電波障害さえスマートに乗り越える事ができれば、
双方の理解は深まるものと確信します。

・送信側の対策

無線機

無線機については日本は世界で最も恵まれた環境にあると言えます。しかし景気後退の影響
を受け、ずいぶんと機種が少なくなりました。HF機を見ると100V電源を持つ固定機、コンパクト
なモービル機と大別できると思いますが、あえてここでは旧型でもよいので、固定機の購入を
お勧めします。高圧のFETを終段に採用した固定機は12V系の終段の無線機に比べ、送信歪み
が少ない設計となっています。どうしてもモービル機を固定で使用する場合、別途安定化電源が
必要となり、電源側にも後述の対策が必要となります。又、電源は無線機のみで使用し、アクセ
サリーは別電源から取るようにする事が配線を最小にし、回り込みを抑えるには有効です。

DSP,DUALモード実装の最新固定機
IC-775DX2,FT-1000MP,TS-950SDX等

DSPがない一昔前の最高級固定機
IC-780(DUALモード、バンドスコープあり),FT-1000(DUALモードあり) ,JST-245(50MHzあり)等

旧型の実践級固定機
IC-760(PRO),FT-1011,FT-1021,TS-930,940,950(S,SD)等

コンテストを考えると、DSPがなくても混変調に強い、一昔前の最高級固定機がいいですね。
あるいは旧型の実践級固定機にIC756等をサブ機にバンドスコープ見ながらの運用するのも
FBかもしれません。

リニアアンプ

1KW対応リニアアンプというと国内では真空管式の生産中止が相次ぎ、全てプリセット式の
FETリニアアンプに取って代わられてしまいました。電波障害から見ても3−500Z*2程度の
真空管式よりJRL−2000FHに代表されるプリセット式のFETリニアアンプの方が分があり
ます。ただ、パワーに対する余裕はというとHL−3K DX(製造中止)等の、リニアアンプの方
がまだまだ信頼性が高くよいようです。ただし、当時の電波法の制約から中古を入手するのは
難しく、真空管自体も予備球が入手困難となっています。又、同じFETアンプでもJRL−2000
FHよりは、VL−1000等の最新型のアンプの方がパワーは良く出るそうです。JRCも余裕ある
KW運用が可能なJRL−3000を展示会で参考出展してますので、今後楽しみですね。

FETファイナルのリニアアンプ
JRL-2000FH,VL-1000,PW-1

アンテナ

タワーにできるだけ高くあげるのが理想です。アンテナはSWRは2以上なら問題ですが、1.5以内
なら気にする必要ありません。バランはフロート型と呼ばれるタイプが多く見られるようになりました。
アンアンと呼ばれるコモンフィルターをバラン直前に挿入する方法も有効です。メーカーによっては
バランを否定しているところもあるようですが、不平衡-平衡バランスを考えるとやはりちゃんと入れ
ておきたいものです。ロングワイヤー、タワードライブ等の不平衡タイプのアンテナはアースの取り方
によっては障害が生じやすい様です。

同軸ケーブル

同軸ケーブルの扱いに意外と無頓着な方が多い気がします。しかし障害には大きな比重を占めます。
ロスを考えると太いケーブルに越した事ありません。8D以上なら耐圧的にはOKでしょう。又、12Dに
なるとスリープコアが入りませんので、10Dが使いやすいと思います。私は12DSFAですので、スリー
プコアを入れるためにわざわざ変換しています。また12Dより大きくなるとアルミ管となり一人では曲
げられません。またコネクタがそうそう手に入らないでしょう。(HLに行くと安いそうですが。)又、タワー、
シャック間は30cmほど地面を掘り埋めておくようにしましょう。被覆が汚れるのを気にしなければその
まま埋めても大丈夫だと思います。リグ側-アンテナ側の末端に10個から20個程度のアンアンと呼ば
れるスリープコアを入れておくようにすると、余分な放射が出ず、よいようです。
又自立タイプのタワー以外は、FBケーブルは避けましょう。FBケーブルは曲げモーメントに弱いからで
す。自立タワーに同軸を固定する場合は、タワー南側の柱内側に固定しましょう。太陽の紫外線からの
劣化を防ぐのに有効です。

コネクタ

コネクタはM型で私はいいと思いますが、少々高くなりますが東洋コネクター等のブランド品の50オー
ム整合形のコネクターを使用してください。10D、12D、FB(アルミ網)、SFA(銅網)になるとコネクタ
ーが同軸の太さにマッチングしない粗悪品がまま見受けられます。そういう意味では変換コネクターが
一つ増えますが、N型コネクターの方が当たり外れが少なく確実です。
横浜システムマリンで購入した12DSFA用M型コネクタは一週間で中心ピンが折れてしまいました。
見るとピンの被覆が銅箔のように薄く、何度かクレームを出しましたが対応がまったく悪く、結局無しの
つぶてでした。又3.8Mだからいいやと安いベーク板を使った5D用Mコネクタを使用したところ、KW入力
すると導通し、墨化してしまいました。安物買いの銭失いだけでなく、そのためにタワーに何度も上り、
下りしアンテナを外さなければなりませんので下手すると、一日作業となってしまいます。アマチュア用
コネクターは粗悪品が溢れています。安いから使うというのではなく、みなさんも十分に気をつけて購入
してください。作業中に万一コネクタに土がついてしまった場合は、綿棒に556をつけて吹き取ると楽に
取れます。もちろん事前にコネクタ全面にテーピングをして予防しておく事は大切です。

電源

電源フィルタは市販のものを安く手に入れ使用しています。ハムフェアー等のジャンク市でよく
出てきます。いくつか買っておくと良いでしょう。私が買ったものはTOKIN製200V30Aのもの
で1500円でした。リニアを使う場合はやはり200Vが必要になると思います。今の家はたい
てい単層3線式(メインブレーカーから3線でているタイプ)なので、タップの変更で簡単に200V
工事が行えます。工事はプロの電気店に任すことになりますが、アンプの規格を十分に満たす
線材はできるだけ太い線を使用してもらいましょう。キーダウンの状態でメインブレーカーで5%
以上電圧降下がある場合は、電力会社にクレームをつけましょう。リニアアンプの破損原因に
なりかねません。

アース
ローカルの著名コンテスターは家の建設当初、地面を掘り敷地一面にアースを敷いたそうです。
そこまでやる必要あるかと思われる方も多いと思いますが、インターフェアーにはかなり有効だ
ったようです。私の場合は40mmの鬼より線をタワー4方に延べで50mほど家の周りに這わせ、
10mm程度のより線をシャックに引き、同軸と共に地面に埋め施設しています。


・受信側の対策例

やはり強電界にさらされるわけですから、ここまでやっても基本波障害はでるべくして、でるもの
です。そうすると、受信側で対策する他にない訳ですが、近所の宅に訪問して行うのですから、
できるだけスマートに行いたいものです。以下に私が行った対策例を示します。21Mが多いよう
ですが、これはアクティビティの問題だと思います。逆説的にいうと1KWだと、これだけ障害が
でる可能性があるわけです。HI!

周波数:1.9M
アンテナ:シャントフィード(タワードライブ)
状況:新築の100m先のアイホン社製テレビホン
(顔が表示されるインターホン)のチャイムが鳴る。さっそくアイホン社のサイトに連絡したところ
次の日にNTT御用達LFTを郵送してきた。これを子機側に取り付けた所、OK。メーカーの対応
は非常に良い。

周波数:3.8M
アンテナ:スローパー
状況:自宅のSONY TV1ch画面に薄く混入。落成試験時指摘される。送信側のSWRが高か
ったためこれを調整。OK。

周波数:7M
アンテナ:TA-351-40(短縮ダイポール)
状況:隣宅のラジカセにAM放送受信時に混入。電池ではOK。まずは100V側にAMバーアン
テナ、#43トロイアルのコモンフィルタを巻き付けてもNG。仕方ないのでラジオを借り、内部トラ
ンス後の6V電源リード線にNTT御用達LFTを取り付ける。放送信号の受信周波数ではOK。
とりあえずの了承を得る。

周波数:18M
アンテナ:RN3DX(短縮ダイポール)
状況:自宅のSONY TV1ch画面に薄く混入。59誌御用達ミハルのローパスフィルタを取り付ける。
OK。

周波数:21M
アンテナ:TA-351-40(5ELトライバンド)
状況:50m先のSONYTV3ch画面にビームフロントで混入。UHFで同一放送があったため、そち
らを受信していただく事にする。(TV表示は3CHままで可能。)

周波数:21M
アンテナ:TA-351-40(5ELトライバンド)
状況:30m先の宅のNTT製ハウディにビームフロントでチャイムが鳴る。インターフォン、親機、保安
手前にそれぞれHFTを挿入。保安機側にはさらにLFTをNTTに依頼。費用は、「合法局による運用
での障害」という理由からすべて無料。

周波数:21M
アンテナ:TA-351-40(5ELトライバンド)
状況:20m先の宅のナショナル製電話にビームフロントで音声が混入。HFTを挿入NG。モジュラー
を抜いても聞こえるため電話直後の電源部にAMバーアンテナを20回巻き付けた所OK。

周波数:21M
アンテナ:TA-351-40(5ELトライバンド)
状況:隣宅のケーブルTV全チャンネルの画面が乱れる。59誌御用達ミハルのローパスフィルタ
を取り付ける。OK。

周波数:21M
アンテナ:TA-351-40(5ELトライバンド)
状況:NTT製電話にビームフロント時購入。電話側にHFT2個、LFT1個、保安機にもHFT、LFT
入れるがNG。よく見ると保安機のアース線が切れており、保安機にパスコンを取り付けアースを
取り直した所OK。修理代は当然無料。

周波数:21M
アンテナ:TA-351-40(5ELトライバンド)
状況:隣宅のTV全チャンネルに音声が混入。59誌御用達ミハルのローパスフィルタを取り付ける。
NG。アルミフォイルでTVを包むとOK。位置を少し変え、ラック裏をアルミシールでシールドすること
によりOK。

周波数:21M
アンテナ:TA-351-40(5ELトライバンド)
状況:20m先の山水製ステレオアンプに混入。全ての線に#43材コアを巻くがNG。メーカーに
依頼。内部的なパスコン処理でOK。費用は無料だったが、対策に1ヶ月を費やした。

周波数:21M
アンテナ:8ELトライバンド
状況:自宅ステレオの電源が入る。TOKIN製ラインフィルターをリニアの電源に挿入OK。

周波数:24M
アンテナ:RN3DX(短縮ダイポール)
状況:PCモニタに縞模様が入る。モニタ直後の電源、映像線にパッチンコアを挿入した所OK。

周波数:28M
アンテナ:TA-351-40(5ELトライバンド)
状況:隣宅のオフトーク(町営の有線放送)スピーカーに混入。AMバーを巻きつけるがNG。
自作の#43材キャンセル巻きフィルタを端末直後のSP端子に挿入。OK。

周波数:50M
アンテナ:SS-96(9EL) 状況:ビームフロントで電話に混入。回線側にHFTを付けるがNG。
受話器側のカールコードにAMバーをとりつけたところOK。みてくれが悪いので、その後HFTに
交換。カールコードが波長と合うので乗るようだ。

周波数:144M
アンテナ:GP
状況:UHF 37chに混入。富士吉田地域はかなり多いらしい。

周波数:1200M
アンテナ:モービルホイップ状況:玄関のセンサータイプの防犯用照明に混入。送信時にライトが
点灯する。送信側がまともであっても、基本波障害は出ます。これは強電界ゆえの現象で住宅地
では一つずつ地道につぶしていくしかないでしょう。

TV全般:
減衰量が多いのと、ちょっと高額なのが気になりますが、59誌で紹介のミハルのLPFが手っ取り
早いです。ビデオにアンテナ線が入っている場合は、ビデオの直前につけます。最近はBS等が
入っている場合もありますので、ご確認を。必ず、UHFで画質を確認する事。3db落ちていますか
ら、弱電界地域では画質が荒くなります。又、最近のステレオコンポーネントタイプのAVでは、オー
ディオケーブルから入る場合もあります。これは一つ一つ抜いていくとわかります。全部抜くと、とに
かく無くなるが、どれか入れると混入する場合は、全ての線にて対策の必要があります。後は、スピ
ーカーが独立している場合スピーカー線から音が乗る場合もあります。本体のアルミ箔巻きは最終
手段です。

電話:
まずは、手頃な59誌御用達LFT、HFTでしょうか?7Mより下の障害がLFT、10Mより上の障害が
HFTです。ケースに収められており、ワンタッチで取り付けられるのでスマートです。中身は、NTTが
持ってくるものとまったく同じですので、フィルタさえあれば自作も可能です。ローカルはコアをばらし
てキャンセル巻きに巻き替えたそうです。NTTに言わせると損失が生じるとの事ですが、心配無用
です。例のようにまれに多機能電話の電源から乗る場合もあります。

インターホン:
基本的には電話と同様ですが、モジュラージャックがありません。結束端子を使い圧着するしかあり
ません。この辺の道具は最低限揃えておきましょう。半田を持ち込むのはスマートではありません。

ラジオ、ラジカセ:
入ると一番厄介なのがこれです。まず電源ぬいて電池で動かし混入するか?入ればケース事体を
シールドするしかないでしょうが、ごくまれな事です。まず電源からだと思っていいと思います。電源
アダプターつきの(トランスが外)ラジオは割とコモン対策で簡単に直りますが、中に入っていると
ケースを空けて、その後に対策しないとあまり効果が得られません。後は適切なパスコン
(例えば0.01μF)処理ですが、アースもあまり期待できません。3A程度のACラインフィルタを挿入
するのが一番早道でしょう。

タッチセンサー式ライト:
最近多いのが、タッチセンサーによる障害です。ラジオ同様にACラインフィルターが有効です。

その他:
冷蔵庫がしゃべったとか、まぁいろいろとあるようですが、ねじがゆるんでいたり、アースがとられて
いなかったり、電源から回りこんでいたりと、外部からの入出力を重点的に押さえていけばなんとか
なるのではないでしょうか?

・自局の送信電波のモニタについて

私の所にはIC−756がありますので50Mのバンドスコープを使い、運用時は常時モニタしています。
通常のHFでの運用ではまったくカブリがありませんが、送信装置に不具合が生じるととたんに強力
なかぶりで50Mがまったく使えなくなります。そのような場合はたいていテレビにも障害が発生して
いるようです。パワー計はもちろんの事、サブ機がある方は電波の質を常時監視されておくと良いと
思います。

・追記

複数の方から問い合わせがありました。電話用ノイズフィルタ及び、ミハルのTVフィルタは
ファイブナインサービス(03−3733−3295)で、入手可能です。

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