まよなかのようちえんA 〜えんそく〜
ちいさなまちの ちいさなようちえん
ひるまは まちのこどもたちがげんきにあそんでいますが
まちのひとたちが ぐっすりねむるまよなかになると“のっぺらぼう”のこどもたちがくる
「のっぺらようちえん」にかわってしまう ちょっとふしぎで たのしいようちえんです
おや こんやはえんそくのようですね
えんじたちは リュックをせおい かたからすいとうをさげて やってきましたよ
「さあみなさん じゅんびはいいですか?」
「せんせい どこまでいくんですか?」
「さあ それは・・・ないしょです」
「えーっ おしえてよ」
「だめだめ たのしみにしていてね」
どうやらえんじたちも どこへいくのかを
しらないみたいですよ
「しゅっぱつのまえに・・・みなさん おやくそくはおぼえていますか?」
「はーい おしゃべりしないで しずかにあるくことです」
「そうですね まちのひとはみんなねむっていますから おきないようにしずかにしましょうね」
「はーい」
「では しゅっぱーつ」
まよなかのえんそくって いったいどこにいくんでしょうね
みんなはてをつないで あるきだしました
「あっくん おべんとうたのしみだね おかずはなあに?」
「たまごやきに あとミートボールかな」
「へー わたしはサンドイッチにしてもらったんだー まーくんは?」
「おれさー かあちゃんがおにぎりしかつくってくれなかったんだ あっくんのミートボールわけてくれよな」
「えーっ やだよ」
あれあれ おしゃべりがはじまりましたよ
「はいはいみなさん おやくそくはどうしたの?まちのひとに みつかっちゃいますよ」
「はーい」
えんじたちは おくちにチャック
どんどんあるいていくと まちのなかをすぎて たんぼがつづくみちになりました
かえるのこえが にぎやかにきこえて まわりはまっくら
「せんせい まだつかないの?」
「もうすぐですよ ほら むこうにもりがみえるでしょう あそこまであるきますよ」
みちのさきには ちいさなもりがみえます
まよなかのもりにえんそくなんて ちょっとこわいですね
「さあみなさん つきましたよ」
えんじたちは まわりをみまわしました
けれど たのしそうなゆうぐも きれいなけしきもありません
「なんだァ ただのもりじゃないか つまんないの」
「そうよ つまんない」
えんそくをたのしみにしていたえんじたちはがっかり
「はーいみなさん しずかにしましょうね
このもりは いまはなにもないですが ほんとうはとてもすてきなところなんですよ」
「でもせんせい すてきなものなんて なんにもないよ」
「いまはね・・・さあ このへんですこしきゅうけいしましょうか おべんとうをたべましょう」
「はーい」
みんながシートをひろげて おべんとうをたべはじめると
“こんやもダンスをおどりましょう たのしいたのしいよるのもり”
どこからか きれいなうたがきこえてきました
「ほら やってきたようですよ そろそろはじまりますよ」
「せんせい なにがはじまるの?」
「なんでしょうね みなさんしずかにみていましょうね とてもすてきですよ」
「なんだろうね?」
「なんだかドキドキする」
いったいなにがはじまるのでしょうね
“すてきなもりの すてきなダンス・・・”
うたごえがちかづいてきて だんだんとまわりがあかるくなってきました
「あっ なんかとんでくる」
「あれなぁに?」
「はい しずかに」
ちいさな‘ひ‘がフワフワとやってきます
「せんせい こわいよー」
「だいじょうぶよ あれは‘ひのたま‘っていうのよ とてもやさしくて きれいなんですよ」
「わー もえてるよ あつくないのかな?」
「いっぱいくる ひるまみたいに あかるくなってきた」
たくさんの‘ひのたま‘が フワフワとびながらダンスをおどっています
しろやあおの‘ひ‘が くっついたり はなれたいしながら おはなのかたちや クルクルまわってはなびのようにひらいたり・・・
ほんとうにきれいで こわがっていたえんじたちも うっとりとみつめています
そして ‘ひのたま‘はダンスをおわると
「のっぺらようちえんの よいこのみなさん こんやは わたしたちにあいにきてくれてありがとう ダンスはどうでしたか?」
とはなしかけました
「とってもきれいだった」
「すごくきれいで すてきでした」
「またダンスがみたいです」
さいしょはこわがっていたえんじたちも とてもかんどうしたようですね
「またあいにきてもいいですか?」
「ぜひきてくださいね わたしたちもみなさんにあえるのを たのしみにしていますよ」
ひのたまはそういうと またもりのおくへとゆっくりとんでいきました
「ひのたまさん さようなら ありがとうございました」
みんなは てをふりながらおれいをすると
「せんせい すてきなえんそくだったね」
「ほんと きれいだった」
「せんせい あしたのよるも えんそくにしようよ」
おおよろこびで かえっていきました
よるはまっくらでこわいけれど みたこともないすてきなものに であえるかもしれませんよ
あなたもよるのもりに “ひのたまダンス”をみにでかけてみませんか?