まよなかのようちえんD〜はなせんせい〜

ちいさなまちにある ちいさなようちえん

ひるまはまちのこどもたちが げんきにあそんでいますが まよなかになると

“のっぺらぼう”のこどもたちがかよう「のっぺらようちえん」になる 

ちょっとふしぎで たのしいようちえんです

まちにはるがやってきて さくらのはなが きれいにさきました

ようちえんのえんていにも チューリップやパンジーがかわいらしくさいています

ポカポカのおひさまのした えんじたちは きょうもげんきにあそんでいますよ

「あした こうえんにおはなみにいこうよ」

「うん おべんとうをもって さくらのきのしたでたべようよ」

「うん そうしよう」

ひるまのえんじたちは みんなでおはなみをすることにしたようですね

では まよなかのようちえんでは?

「せんせい こんばんは」

「はい こんばんは あたたかいよるですね」

「せんせい こんばんは」

「はい こんばんは さくらのはながきれいですよ」

えんていのさくらのきは まっくらななかに

ボーッと うかびあがっています

「せんせい なんだかこわいよー」

けんちゃんがいいました

「あら そうですか?せんせいはきれいだとおもいますよ」

「でも なんだかおばけがでてきそう・・・」

「みなさん おばけがこわいですか?」

「そりゃー こわいにきまってるよ」

「そうですね こわいおばけもいるかもしれませんからね 

でも とってもきれいで やさしいおばけも いるとおもいますよ」

「そうかなぁ おばけは みんなこわいさ」

「さあみなさん こんやは あたらしいせんせいを しょうかいしたいとおもいます」

「えー あたらしいせんせい?」

「そうですよ みなさんはおぼえていないかもしれませんが きょねんもきてくれた はなせんせいです」

「はなせんせい?」

そのとき さくらのきのほうから あたたかいかぜが ふんわりとふいて 

はなのなかから しろいきものをきた おんなのひとがスーッとあらわれました

「キャー おばけがでたー」

みんなはびっくり

「キャー こわいよー」

と にげだします

あれあれ のんちゃんはなきだしてしまいましたよ

「まあまあ どうしましょう おねがいですからこわがらないでね」

そういって おんなのひとがにっこりわらうと さくらのえだがゆれて 

はなびらがヒラヒラちりました

それをみたえんじたちは

「わー きれい まるでゆきがふっているみたい」

「あっ そうだ」

みんなは きょねんのはるも おばけがでたとおどろいて 

なきだしたことをおもいだしました

「はなせんせいだ」

「みなさん こんばんは おぼえていてくれて ありがとう」

「わーい はなせんせい きてくれたんだ」

のんちゃんも おおよろこびです

「みなさん ことしもさくらのはなが きれいにさいたので

 またみなさんに あうことができて とてもうれしいです 

みなさん ずいぶんおおきくなりましたね 

ことしも さくらのはながちるまでのあいだ

はなせんせいと なかよくあそびましょうね」

「はーい」

それからまいばん こどもたちは はなせんせいといっしょに たのしくあそびました

でも・・・

さくらのはなもちりはじめて えんていが はなびらのピンクいろになりはじめると

「みなさん せんせいは もうすぐおわかれしなくてはいけなくなりました」

と いいました

「せんせいは さくらのはながさいているときしか みなさんにあえないのです

 もうすぐはなはぜんぶちってしまうでしょう 

ですから せんせいは みなさんと さよならしなくてはいけないのです」

「そんなのいやだ」

「はなせんせい いっちゃいやだ」

「ずっと ようちえんにいてください」

はなせんせいのまわりにあつまって みんなでおねがいしてみました

「みなさんありがとう せんせいもずっとようちえんにいたいです 

あとすこしですが たのしくあそびましょうね」

えんじたちは みんなさびしそうなかおをしてしたをむいています

するとあっくんが

「ちょっとみんなあつまって」

といって ないしょないしょのおはなしをはじめました

「みなさん せんせいにもおしえてくださいな」

「だめだめ せんせいにはないしょ」

そして おへやのなかにとびこむと みんなでなにかをつくりはじめました

えんじたちは いったいなにをつくっているのでしょうね?

しばらくすると さくらのはなのかたちにきったいろがみをてにもって

 えんじたちがかけだしてきました

「みんな さくらのきにくっつけよう」

あっくんがこえをかけると それぞれのいろがみを きにはりつけはじめました

はながちったさくらのきに いろがみのさくらがたくさんさきました

「せんせい このさくらはちらないよ だから ずっとぼくたちといられるね」

「せんせい このようちえんは ずっとはるだよ」

はなせんせいは なみだをふきながら

「みなさん ありがとう ほんとうにありがとう 

らいねんも はながひらいたらかならずあいにきますからね」

すこしずつ はなびらをちらせてゆく さくらのきをみあげながら えんじたちは 

(いろがみのさくらのはなが ずっとちりませんように・・・) 

とねがいました

つぎのひは はるのつよいかぜがふき まちにあるさくらのきは ぜんぶのはなびらをちらせてしまいました

ようちえんのえんていのさくらも・・・

そして みんながつくったいろがみのはなも なくなっていました

まよなかのようちえんでは えんじたちがはなせんせいをかこんでないています

「みなさん みじかいあいだでしたが 

せんせいはとてもたのしくすごすことができました

 またらいねん さくらのはながさいたらあいにきますからね 

それまで げんきにあそんでいてくださいね」

はなせんせいは そういうと きのなかにすいこまれていきました

「せんせい いっちゃいやだー」

「せんせい」

えんじたちは さくらのみきにしがみついてなきだしました

すると えだがゆれて

「みなさん せんせいはずっとみなさんをみていますからね 

はなはちってしまったけれど いつでも ここにいますよ」

はなせんせいの やさしいこえがきこえました

「せんせい らいねんもきっときてね ぼくたちまってるからね」

またえだがゆれました

のっぺらようちえんのえんじたち

ちょっぴりさみしいおわかれをしましたね

みなさんのまちにも さくらのはなはさきましたか?

おはなみにでかけたら

「はなせんせい」

って よびかけてみましょう

きっと えだをふってこたえてくれますよ