Recall problem of a PR18-3A

 最近、使用中の電源(PR18-3A)がリコールになっている事に気がつきました。

 使用中の物はホームページに記載されているシリアル番号に該当します。不具合の内容は「発熱の恐れ」となっていますが、いったい何処が発熱するのかは明記されていません。修理に出したいところでありますが、使用中の物はジャンク品をオークションで購入して、ユーザ修理&改造して使っているのです。

■問い合わせてみる

 電話をしたところ、オークションで買ったものでも対応頂けるとの事、更に故障品でもユーザ修理で使えている状態だったら大丈夫と言ってました。更に更に回路の定数を変更した旨を伝えたら「それはちょっと・・・」との回答がありました。まぁ、それは納得です。

 しかしながら、「発熱の恐れ」となると使用中に出火するなどがあると怖いので箇所を確認したところ、以前に定数を変更していた箇所だったのでそのまま使うことにしました。

■リコール箇所は出力リレーの駆動回路

 下の写真の中央付近にある R76(1k ohm 1/6 w)が黒く焼けています。

 この回路は出力の ON/OFF を制御するリレーをドライブするための物です。リレーは Q15(2SC1815) でドライブされます。Q15 のベースに R76 を経由して出力スイッチが接続されています。

DC 25.3 v -> 出力スイッチ -> 1 k ohm -> ダイオード -> 2SC1815のベース

 こんな感じの回路になっています。ダイオードとトランジスタの Vbe で 1.4v 降下したとして 1k ohm の抵抗が消費する電力は、(25.3 - 1.4)^2 / 1000 ですから 0.57 w となります。使用している抵抗は 1/6 w ですから 3 倍強になり放熱が間に合わず焼けるのです。

■リコールになっていない基板を調べる

 偶然にもリコール対象外の物を持ち合わせているので R76 を確認しました。 2 k ohm 1/6 w が使用されています。こちらには焼けがありません。

 先ほどの式で計算すると (25.3 - 1.4)^2 / 2000 = 0.28 w です。それにしても 1/6 w より多いですね。コスト削減は分らないでもないのですが、その辺の安売り家電と違ってユーザはそれなりの品質をあてにして購入する製品ですから、部品の定格にはもう少し余裕を持たせて頂きたかったなと思いました。

 と思ったのですが、上と下の画像を見比べて、リコール対象になっていない方はダイオードの向きが逆になっている事に気がつきました。これはしたりです。なぜ動くのか?ダイオードにテスターを当てると、12v ありました。どうやらツェナーダイオードの様です。なるほど、これなら R76 は (25.3 - 12 - 0.7)^2 / 2000 = 0.078 w と定格の 1/2 となりますので十分です。

 リコールの修理でここをどのように直すのか、聞き忘れてしまったのですが、リコール対象の方は 4.7 k ohm 1/4 w に変更して使っています。定格の 1/2 となります。

■思ったこと

 リコール箇所を確認するためにパターンを追っていくうちに、気がついたらほぼ全部の回路を追っていました。アマチュア無線で使っている他の電源と比べて流石に巧妙にできている事を認識しました。特に内部の基準電圧は出力の正側を基準にフローティングとなっており、その上で電圧や電流を制御しています。また、パワトラの損失を少なくするためトランスのタップを切り替える回路では、トランジスタ2つでリレーのドライブ電流を巧みに利用しヒステリシス特性を持たせるなど、勉強になるところが多かったです。

 その中で今回リコールとなった出力リレーの制御回路は異色な感じを得ます。その他の回路は全てトランジスタを使っているのですが、この部分にだけ何故かデジトラが混ざっていたり、他の回路では、リレーがドライブされる側とドライブする側で異なるラインの電圧を使い分けているのですが、ここだけ混在していたりします。LEDの駆動方法もここだけ統一感がありません。

 これは憶測ですが、昔の回路をアレンジして作った製品ではないかと思いました。もしも、2人の設計者が同時に仕事をしていたとしたら、巧妙な回路を書く方の設計者がこの回路もレビューしたはずなので、素人が見て違いが分るような物にはなっていないはずです。

 回路を追いながらそんなことまで考えてしまいました。

2010/4/24

■メモった回路図を公開します

 現物をメモっていますので、以下の回路図には誤りが含まれるかもしれません。この情報を利用して起きる一切の責任は取りませんので予めご了承ください。

■基準電圧を作る回路

 GND = 出力電圧 - 5.4 v となるっている。ここで作られる基準電圧はGNDに対して、15.4 v = 出力電圧 + 10 v となる。

■電力制御回路

 2SC1815 のベース電流が制御用オペアンプへシンクされることでパワトラを OFF にする。

■ソース電圧の切り替え回路

 基準電圧の 15.4 v と負側の出力を分圧しトランスタップの切り替えリレーを駆動する。リレーが ON の時と OFF の時で Rh に流れる電流が異なる。Rh に生じる電位差により、リレーの ON/OFF 電位に違いを持たせるヒステリシス特性を作る。

■電圧制御回路

 普通に電位を比較している。電圧制御側の出力を利用して CC の LED を制御している。

■電流制御回路

 基準電圧を使って予め1と2の電位を逆転させておく。出力で CV の LED を制御する。

■出力リレー回路

 リコールになった回路、ベースに 25.4 v が使われている。一連の回路を見ていくと、この電位はリレー用に用意されているんじゃないかな!?とすれば、ベース側は GND に対して 5.4 v の出力電圧を持ってくるのが奇麗と思うけど・・・。また、右側のリレーの役割がイマイチ良く分らず。


Latest update at 2010/4/25