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業務用の無線機ですが、周波数を変更して業務無線を受信したり、アマチュア帯に改造して自作機として申請するなど、役目を終えた無線機を再利用している例があるみたいです。ジャンクの簡易無線機を仕入れたので解析してみることにしました。
◆まずは分解
分解した機械は松下通信製のEF-3218ACT形極超短波簡易無線電話装置です。周波数は、468.75MHz、出力は5Wです。ダミーロードを付けて送信してみると「ギョロッ」って音がします。調べてみるとATISと呼ばれる信号で無線機固有の識別信号が出ているらしいです。
分解前は水晶式かと思っていたのですが基板にはそれらしい水晶は存在せず、12.8MHzのTCXOがありました。12.8MHzと言ったら1024分周で12.5kHzのリファレンスができるじゃないですか、横のICは三菱マークに4072Gと書かれています。きっとPLLのICです。更に隣はシールドエリアなのでVCOだと思われます。4072Gのデータシートを検索しましたが全然出てきませんでした。
仕方がないので自分の鼻を頼りに解析スタートです。PLLと思われるIC周辺からCPUに伸びる怪しげなパターンを発見したので途中にテストピンを立ててロジアナで覗くことにしました。

◆周波数の構成を調べる
あ、その前にIFもどうなっているか少し確認しておきます。超有名なMC3372に21.145MHzの水晶と455kHzのフィルターが付いています。前段には21.8MHzのクリスタルフィルターがありました。21.6MHzが第一中間周波数でしょう。VCOの受信用の周波数は、
468.75MHz - 21.6MHz = 447.15MHz
です。また、21.6MHzの水晶が見当たらないので、送信はダイレクトに468.75MHzが作られているようです。つまり、送受の切り替えタイミングでPLLのICは分周比が切り替わっているはずです。そこで、12.5kHzがリファレンスの場合の分周比をあらかじめ計算しておきます。
受信の分周比 = 447.15 / 0.0125 = 35,772 16進では 8BBCh となります。
送信の分周比 = 468.75 / 0.0125 = 37,500 16進では 927Ch となります。
◆ロジアナで見る

一番下がPTT信号で上の4つがPLLとCPUをつなぐ怪しいラインです。PTT Lowで送信です。送信と受信のタイミングでなにやら信号が出ていることが確認できました。

送信用の信号を拡大してみました。2番がクロックで、3番がデータのようです。途中クロックが間延びしていますが927Chは読み取れます。信号は5bit、8bit、8bitで1コマンドのようです。先頭5bitの01010が分周比の変更コマンドで残り16bitに分周比が入ります。送受のタイミングで2コマンドづつ送られています。最初のコマンドは送受共通に、1Eh,00h,80hが送られます。リファレンスの分周比なのか?最後の80h(128)は偶然TCXOの周波数=12.8MHzと同じだったりするので、それなのか?今のところ謎です。

コマンド発行のタイミングも観察してみることにしました。PTTが押されてから14usec遅れて0番がHiになり1,2,3番の信号が続きます。PTTにチャタリングが見られないのは、生のPTT信号ではなくマイコンを介しているからです。
◆周波数を変更するには
力技でパターンをカットしてPICマイコンを挿入するのも良しですが、今度はCPUの隣のEEPROMとマイコンとのやり取りも覗いて見たいと思います。多分、ATISで送る番号や周波数が入っているのでしょう。
◆その他
この機械音が出ません。ちょっと寂しいです。パターンが細かすぎて回路を追いきれないのが泣き所です。不幸中の幸いで、MC3372とSQL機能が生きています。AFアンプも生きているので、バイパス手術をすればなんとかなりそうです。
◆で、何に使うの?
いろいろ分かってきたのはいいのですが、「で、何に使うの?」と聞かれちゃうととっても困ります。故障が直って使えるようになっても簡易無線を開局する予定はないです。仮にアマチュア帯に改造できたとしても自作機として申請しなくては電波は出せません。
つまるところ、個人的興味によって行う自己訓練と技術的研究なんですね。どこかに書いてある文書だ、よく言ったものです。
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