2046  2004*香港


27.october.2004   
 Director ウォン・カーウァイ

  Cast 
  トニー・レオン
        木村拓也
        フェイ・ウォン 
        チャン・ツィー
        カリーナ・ラウ
        コン・リー
        チャン・チェン


    *完全に結末に触れています*



ウォン・カーウァイは本当にトニー・レオンが大好きなんだなあ。
トニー・レオン演じるチャウ全開、彼のための彼による映画。
周りのキャストはすべてその添えものに過ぎない気さえした。
ストーリーについてはほとんど知識を持たないでみたのだが、
これは“花様年華”の後日譚なのですね。
マギー・チャン演じるチャンと別れた後のチャウの生き様なのですね。
そうとわかってからは本当に興味深くみることができた。
ああ、チャウはあの後こんな風に生きていたのか、と。
花様年華”ではストイックなまでに禁欲的で、
みているものの想像をかきたてる表現だったのだが、
こちらではチャウは快楽大好き、飲んで食べてのぞいて寝て、
と人間らしさをどんどんみせてくる。
もういいから!と言いたくなるほどに。
結局は“花様年華”での「2046」号室から抜け出せない男の現実を描きながら、
その男の脳内では仮想世界「2046」から抜け出したたった一人の男に
自分の願望を投影している、ということなのだろうか。
「2046」はその思い出の中の愛に浸っていられる唯一の場所。
結局はチャウはチャンの幻影から逃れられないでいる。
チャンと同じ名前の、黒い手袋の魅力的な女と恋に落ちてもそれは変わらない。
ホテルのオーナーの娘と日本人の物語、隣の部屋の女とのひとときの恋、
若い恋人に殺される女の話、様々なエピソードを絡めながらも、
結局自分は変わらずどこにも行き着く先がない。
それでも結局、“花様年華”から持ち越されてるチャウの秘密は明かされずに
やはり秘密のままで終わってしまうのだけど。
あれは私たちの想像どおりの秘密、ということでいいのだろうか。

煙草の煙とチャイナドレス、ドアの隙間からのぞきみるような映像は
相変わらず素晴らしく美しいし、女優たちのそれぞれの個性も際立っている。
特にコン・リーは片手に黒手袋というミステリアスな抑えた表情が印象的。
久々にみた彼女のあの節目がちの顔、切なく上を向き唇をなぞる。いい。
いつも日本語の練習をしている可憐な役どころのフェイ・ウォン、
その透明度からかアンドロイドもとてもしっくりきていた。
カリーナ・ラウは似合わないヘアスタイルのせいで少し損をしていたような気がする。
が、やはりトニーと並んだショットは「おお!」と思わせてくれる。
それにしてもチャン・チェンの出番の少なさには落胆。
彼をみるのを楽しみにしている人もたくさんいたと思うんだけど。
かなりカットされちゃったかな? 木村さんの出番すごく増やしたみたいだから。
可もなく不可もなくという印象の日本代表だけど、
ナレーションのときの 「淡ぁい」はいかがなものかと。
そしてやっぱり私はチャン・ツィーには魅力を感じないのだった。
正直、彼女のシーンが多すぎるとさえ思い、甲高い笑い声は不快だった。
まったく不似合いな役だったし、どうしてもエロスが足りないのだ。
後半また出てきたときにはうんざりさえしてしまった。
どうしたって“花様年華”から切り離せないこの作品だけど、
“花様年華”ファンにはどうにも複雑なのではないだろうか。
その後の話を垣間見みられた喜びはあるけど、
チャウの現実を猥雑にかつ複雑にみてしまったという混乱。
私は楽しめたのだけど、とても長い映画だった、という気がしている。
オープニング・クレジットはぞくぞくする出来上がり。