トピックはタイ王国に興味を持ち始めた日本人なら誰しも疑問を持つであろうことを選んでいる。従って、すべて質問の形で始まる。これは読者に代わって一人が質問をして、もう一人が答えると言う形でなるべく読みやすいように工夫した結果である。またこの本の特色はオムニバス形式で書かれた(トピックごとに著者が異なる)ものではなく、二人の者によってすべて書かれていることである。このタイプの本にありがちな各章ごとの関連のなさをなるべく排除して、全体としてつながりを持たせ、必要によっては別の章にもつながっていく形として全体的にまとめてみた。

二人の得意分野によって、聞き手、語り手が交代しているが、読者がスムーズに読み進める配慮から、話者の氏名を逐一掲載するのは省き、全体としてのまとまりを重視した。

私もそれらの話の中でタイ王国で学んだ経験、また大学院教員として現地調査した結果なども取り上げた。これらの現地調査は近年、タイ王国で行われたものばかりで、いくつかの疑問点への回答にもなるからだった。

前記したように、本書は全て二人でやり取りしながら書き上げたものであるが、専門的な部分は当然のことながら文献を参考にさせて頂いたりもした。それらの文献はそれぞれの文末に掲載させて頂いた。心から感謝申し上げる。

この書によって読者のみなさんが更にタイ王国をより身近に感じて下さればいいと願っている。また、そのように意図されて書かれたものである。

私は2006年10月に日本の大学に戻ってきた。まだ帰国して半年しか経っていないが、すでにタイ王国に戻りたい気分である。通りの両側の屋台から流れてくるタイ料理のにおい、ヤワラー中華街の雑踏、敬虔に祈りをささげるタイ人の後姿、街中にそびえる熱帯雨林、すべてが懐かしい。

タイ王国はそれほどに人を引き付ける魅力的な国なのだ。

                                                         平成19年新春 弘前にて 大西 純

 

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 日本とタイとの交流は今から700年以上も前のタイ最初の統一王朝、スコータイ王国にまで遡る。当時、14世紀から16世紀にかけて副都スリサッチャラナイの近郊サワンカローク窯で焼かれたやきものは日本にまでやって来ていた。日本では「すんころく」と呼ばれて、桃山から江戸初期にかけて茶人に大いに愛された。日本のやきものにも、特に鉄絵の小さな蓋物などにその影響が見られる。それらの多くは香合に見立てられ大変珍重されたという。

更に時代は下ったアユタヤ時代、1687年から翌年にかけてアユタヤに滞在したフランス使節はすでに中国人、ポルトガル人、マレー人などの諸国民とともに日本人が居留区を設けていたことをその地図に示している。これらの長い交流史の中において、第二次世界大戦末期の一時期の混乱を除いてタイ王国と日本は敵対関係になったことはなく、常に友好関係を保ってきた。

現在、タイ王国は世界でも有数の日本人社会を抱える国で、短期、長期の日本人滞在者はアジアで最大である。日系企業の進出も目ざましく、最近中国での日系企業の活動が脚光を浴びてはいるが、依然日本企業が進出先と考えている国として常に上位3以内に入っているし、今後もこの傾向は変わらないであろう。

本書はこのようなタイ王国の日本にとっての重要性をかんがみて、書かれた本である。

 きっかけとなったのは「タイの古寺を歩く」の著者、桑野淳一氏と三十年の時空を経て、このバンコクで出会ったことであった。氏は当時からタイ王国の歴史や社会を研究していたが、その研究課題を持って私の大学を訪問してくれたことだった。再会は偶然のことであったが、互いに懐かしい青春時代を思い出し、たちまちのうちに学生時代に戻り旧交を温めることとなった。以後タイのことをあれこれと話す仲になったことは言わずもがなである。

いつしか我々はタイ王国で疑問とされていることなどを平易に解き明かして、タイ王国に興味を持つ多くの人に伝えてみたいと願うようになった。必然的に対談の口調も熱を帯びるようになった。このような二人の交流と友情が土台となって本書が生まれたのだった。

 日本での販売:紀伊国屋書店本店及び各支店、ジュング堂本店及び各支店

タイでの販売:紀伊国屋書店

税込価格: 2310円      (本体価格:2200円)  

2007年 5月20日発売    2008年11月第2刷発行      

 

「タイ駐在のタイ入門」 

 大西 純

 桑野 淳一