〇涼宮ハルヒの憂鬱 第三話 (後編)           キョン ♂:  ハルヒ&ユキ ♀:  イツキ ♂: みくる ♀: _________________________________________________________________                       みくる:あたし、こんな風に出歩くの初めてなんです。 キョン:こんな風にとは? みくる:男の人と二人で・・・あっ・・・。 (みくるがキョンにぶつかる。頬を赤らめるみくる) キョン:はなはだしく意外ですね。 今まで誰かと付き合った事はないんですか? みくる:ないんです・・・。 キョン:でも朝比奈さんなら付き合ってくれとか しょっちゅう言われるでしょう? みくる:・・・うん。でも、ダメなんです。あたし、誰とも 付き合うわけにはいかないの・・・。少なくともこの・・・。 ・・・・キョン君!お話ししたい事があります。 キョン(M):なかなか話を切り出せずにいた朝比奈さんは、 やがて・・・言葉を区切るようにしてこう言った・・・。 みくる:信じてもらえないかもしれないけど、あたしは この時代の人間ではありません。もっと、未来から来ました。 いつ、どの時間平面からここに来たのかは言えません。 過去の人に未来の事を伝えるのは厳重に制限されていて・・・。 時間というものは連続性のある流れのようなものでなく その時間ごとに区切られているんです。え〜と・・・そうね。 アニメーションを想像してみて?あれってまるで動いてるように 見えるけど、本体は一枚一枚の静止画で出来ていますよね? 時間と時間との間には断絶があるの。それは、限りなくゼロに近い 断絶だけど、だから時間移動は積み重なった時間平面を三次元方向に 移動すること。未来から来たあたしは、この時代の時間平面上では パラパラマンガの途中に書かれた余計な絵みたいなもの。 キョン(M):・・・今度はなんだ? みくる:三年前・・・。大きな時間振動が検出されたの。 あ、うん今の時間から数えて三年前ね。調査する為に過去に我々は 驚いた。どうやってもそれ以上の過去に遡る事が出来なかったから。 大きな時間の断層が、時間平面同士の間にあるんだろうってのが結論。 原因らしいものがわかったのはつい最近。うん、これはあたしがいた 未来での最近の事だけど。 キョン:その、原因って? みくる:涼宮さん・・・。 キョン(M):またそれか・・・。 みくる:時間の歪みの真ん中に彼女がいたの。それ以上は 禁則事項なので説明できないんだけど。でも、過去への道を 閉ざしたのが涼宮さんなのは確か。 キョン:ハルヒにそんなことが出来るとは思えないんですが・・・。 みくる:我々にも謎なの・・・。涼宮さんも自分が時間振動の源なんて 自覚してない。あたしは涼宮さんの近くで新しい時間の変異が起きないか どうかを監視する為に送られた・・・えっと、監視係みたいなもの。 信じてもらえないでしょうね・・・こんな事。 キョン:いや・・・でも何で俺にこんな事言うんです? みくる:あなたが涼宮さんに選ばれた人だから!詳しくは禁則に かかるから言えない。多分・・・だけど。あなたは涼宮さんにとって 重要な人。彼女の一挙手一投足には全て理由がある。 キョン:なら、長門や古泉は? みくる:あの人達はあたしと極めて近い存在です・・・。まさか 涼宮さんがこれだけ的確に私達を集めてしまうとは思わなかったけど。 キョン:朝比奈さんは、あいつ等が何者か知っているんですか? みくる:禁則事項です。 キョン:・・・これから、ハルヒはどうなるんです? みくる:禁則事項です。 キョン:未来から来たなら、わかりそうなもんですけど・・・。 みくる:禁則事項です・・・。 キョン:っていうか、ハルヒに直接言ったらどうなんです? みくる:・・・禁則事項です。 キョン:・・・・。 みくる:ごめんなさい。今のあたしには言う権限がないの。 信じなくてもいい・・・。ただ、知っておいて欲しかったんです。 あなたには・・・。 キョン(M):似たようなセリフは先日、誰かから聞いたな・・・。 みくる:ごめんね・・・。急にこんなこと言って・・・。 キョン:それは別にいいんですが・・・。 (M)宇宙人の次は未来人の登場ですか・・・。どうなってるんだ? この時点で聞いたことをはいはいと信じられる奴がいたら ぜひ、ご連絡をいただきたい!代わってやるから。 朝比奈さん・・・。 みくる:はい? キョン:全部、保留でいいですか?信じるとか信じないとかは 全部脇に置いといて保留って事で。 みくる:はい! キョン:ただ・・・一個だけ聞いていいですか? みくる:なんでしょう? キョン:あなたの本当の年を教えてください。 みくる:禁則事項です♪ キョン(M):その後、突然ハルヒが携帯に電話をかけてきて 12時に一旦集合となった・・・。 ハルヒ:収穫は? キョン:何も・・・。 ハルヒ:本当に探してた?フラフラしてたんじゃ ないでしょうねぇ?みくるちゃん! みくる:(首を横に振る) キョン:そっちこそ何か見つけたのかよ? (M)昼食を食ってる最中にハルヒはまた班分けしようと言い出した。 イツキ:また、無印ですね。 ハルヒ:4時に駅前で落ち合いましょう! 今度こそ、何かを見つけてきてよね!!(ジューズを一気に飲み干す) キョン(M):と、言い残して。今度は北と南に分かれる事になった。 俺達は南担当・・・。 この前の話だがな。 ユキ:何? キョン:なんとなく、少しは信じてもいいような気分になってきたよ。 ユキ:・・・そう。 キョン(M):長門と暇つぶしするなら、ここくらいしかないだろう (図書館に到着)・・・ふう、やれやれ。 (図書館の椅子で居眠りしているキョン。突然携帯のバイブが鳴る) キョン:うわぁ!!・・・!! ハルヒ:今、何時だと思ってんのよ!このバカ! キョン:すまん、今起きたとこなんだ。 ハルヒ:はぁ!?このアホンダラケ!! キョン:4時集合だったっけ・・・?(時間は4時半) ハルヒ:とっとと戻りなさいよ!30秒以内!! キョン(M):そこからが一苦労。本を読んだまま床に根を生やした様に 動かない長戸の為に貸し出しカードを作ってその本を借りてやり その間かかりまくるハルヒの電話を無視した。 ハルヒ:遅刻!!罰金!! キョン(M):結局、成果もへったくれもなくイタズラに金と時間を無駄に しただけで、この日の野外活動は終わった。ただ、別れ際に朝比奈さんが。 みくる:今日は話を聞いてくれてありがとう。 キョン(M):耳元で囁いてくれたのは、悪い気はしなかったがな。 ハルヒ:アンタ今日、いったい何をしてたの? キョン:そういうお前はどうなんだよ? 何か面白いもんでも発見できたのか? ハルヒ:・・・・。 キョン:ま、一日やそこらで発見できるほど、相手も無防備じゃないだろ? ハルヒ:明後日、学校で反省会だからね! キョン(M):と、言い残し去っていった。はぁ・・・。 (帰ろうとすると自転車が撤去されている)・・・夢だろ!? (学校) キョン(M):週明け、そろそろ梅雨を感じさせる湿気に朝から 汗ばんでいると、珍しく始業の鐘ギリギリにハルヒが入ってきた。 ハルヒ:アタシも扇いでよ・・・。 キョン:自分でやれ・・・。 ハルヒ:・・・・。 キョン:あのさ、涼宮。お前、幸せの青い鳥って話知ってるか? ハルヒ:それが何? キョン:いや、まぁ何でもないけどな・・・。 ハルヒ:じゃあ、聞いてくんな・・・。 キョン(M):この日、一日中ハルヒのダウナァな不機嫌オーラを 背後から浴び続けた俺は、山火事をいち早く察知した野鼠のように 部室棟へ非難した。話をしておきたい相手もいたしな。 古泉、お前も俺に涼宮の事で話があるんじゃないのか? (校舎横の休憩所) イツキ:お前も、と言うからには既にお二方から アプローチを受けているようですね。 キョン:あぁ・・・。 イツキ:どこまでご存知ですか? キョン:涼宮が只者ではないってとこぐらいか。 イツキ:それなら話は簡単です。その通りなのでね。 キョン:まず、お前の正体から聞こうか。 イツキ:お察しの通り、超能力者です。そう、呼んだ方がいいでしょう。 本当はこんな急に転校するつもりはなかったんですが、状況が 変わりましてね。よもや、あの二人がこうも簡単に涼宮ハルヒと 結託するとは予定外でした。詳しいことはまたいずれ、 お話しする機会もあるでしょう。百聞は一見に如かず。 ぜひ、お見せしたいものもありますし。今は掻い摘んでご説明しましょう。 僕が所属する機関にも超能力者がいます。実は、この学校にも何人もの エージェントが潜入済みです。そして我々は三年前の発足から 涼宮さんを監視している。事の発端はその三年前。その時何かがあった。 僕の身に超能力としか思えない力が芽生えたのも、その時です。 キョン:三年前とハルヒが、どう関係あるんだ。 イツキ:実はこの世界は、ある存在が見ている夢のようなもの なのではないか?というのが機関のお偉方の考えです。 そして、それはなにぶん夢ですからその存在にとって我々が 現実と呼ぶこの世界を創造し改変する事は児戯に等しい。 そんな事の出来る存在を、我々は知っています。 キョン:それが、ハルヒかぁ? イツキ:人間はそのような存在の事を、「神」と定義しています。 キョン(M):とうとう神様にまでされちまったぞ・・・ハルヒ。 イツキ:考えてもみてください。我々のような超能力者や 朝比奈みくる、長門ユキのような存在が都合よく一堂に会するかのように 登場するでしょうか?涼宮さんがそう願ったからですよ。 おそらく・・・三年前に。 キョン:三年前に、ハルヒが世界を作り変えたってのか? イツキ:作り変えたと言うよりも三年前に世界は始まった、 とでも言うべきでしょうか?ま、あくまで我々の仮説ですが。 キョン:・・・まぁいい。で、お前等はハルヒをどうするつもりだ? イツキ:この世界が神の不況をかってあっさり破壊され作り直されるのを 防ごうというわけです。僕はこの世界にそれなりの愛着を抱いているのでね。 キョン:ハルヒに直接頼んでみたらどうだ? イツキ:そう主張する者も、確かに機関には存在します。それ以上の 刺激を与えようとする強行派もね。ですが大勢は軽々しく 手を出すべきではないという意見で占められています。 彼女はまだ自分の本来の能力に気づいていない・・・。 ならば、そのまま気づかぬよう生涯を平穏におくってもらうのが ベターだと考えているわけです。 キョン:触らぬ神に祟りなしか・・・。 イツキ:その通りです。 キョン:夢を見続けているのは、お前らの方じゃないのか? イツキ:えぇ、その可能性もなくはない。しかし、我々は今 もっとも危惧すべき可能性を前提に行動しているわけです。 キョン:なら試しに、超能力者とか言ったな?何か力を使って 見せてくれよ。そうしたらお前の言う事を信じてやる。 たとえば、このコーヒーを元の熱さに戻すとか。 イツキ:そういうわかりやすい能力とはちょっと違うんです。 それに、普段の僕には何の力もありません。いくつかの条件が 重なって、初めて力が使えるんです。最初申し上げた通り、 いずれお見せする機会もあるでしょう。長々と話したりしてすみません。 今日はこれで、失礼させていただきます。 キョン:・・・・。 イツキ:そうそう。一番の謎はあなたです。失礼ながらあなたについて 色々調べさせてもらいましたが・・・保障します。あなたは普通の人間です。 (部室に戻るキョン。中でみくるが着替えている) みくる:・・・え?・・・!!! キョン:・・へ?・・・あぁああ失礼しましたぁ! (M)そんなに愚直にハルヒの命令を守らなくても・・・。 結局その日・・・ハルヒは部室に姿を現さなかった・・・。 続く