〇涼宮ハルヒの憂鬱 第四話 (後編)           キョン ♂:  ハルヒ ♀: みくる ♀:  ユキ ♀:   朝倉 ♀:  谷口&先生&生徒 ♂: _________________________________________________________________                       ユキ:一つ一つのプログラムが甘い。側面部の空間閉鎖も情報封鎖も甘い。 だから私に気づかれる、進入を許す。 朝倉:邪魔する気?この人間が殺されたら、間違いなく涼宮ハルヒは動く。 これ以上の情報を得るにはそれしかないのよ? ユキ:あなたは私のバックアップのはず。 独断専行は許可されていない。私に従うべき・・・。 朝倉:嫌だと言ったら? ユキ:情報結合を解除する。 朝倉:やってみる?ここでは私の方が有利よ。この教室は私の情報制御空間。 ユキ:情報結合の解除を申請する・・・。 (朝倉のナイフが粒子になって消えてゆく) キョン(M):この時、「あぁ、この二人は本当に 人間じゃないみたいだなぁ」と、俺は思った・・・。 (激しい戦闘が繰り広げられる) ユキ:離れないで・・・。 朝倉:この空間では私には勝てないわ! ユキ:パーソナルネーム朝倉涼子を敵性と判定。 当該対象の有機情報連結を解除する。 朝倉:あなたの機能停止の方が早いわ。 (動こうとしたキョンに蹴りをいれる長戸) キョン:な、なにす・・ぐあぁあ! 朝倉:そいつを守りながらいつまでもつかしら? (朝倉が一瞬のスキを突いてキョンを攻撃、体をはって守るユキ) キョン:長門!! ユキ:あなたは動かなくていい・・・。平気・・・。 キョン(M):いや、ちっとも平気には見えねぇって! 朝倉:それだけダメージを受けたら、他の情報に 干渉する余裕はないでしょ?じゃ、止めね。死になさい♪ (朝倉の光の手がユキを貫く。驚愕するキョン) ユキ:・・・終わった。 朝倉:何のこと?あなたの三年余りの人生が? ユキ:違う・・・。情報連結、解除開始。 (みるみるうちに周りが砂漠と化してゆく) 朝倉:・・・そ、そんな。 ユキ:あなたはとても優秀。だからこの空間プログラムを 割り込ませるのに今までかかった。でも、もう終わり。 朝倉:侵入する前に崩壊因子を仕込んでおいたのね。どうりであなたが 弱すぎると思った。あらかじめ構成情報を使い果たしていたわけね。 ・・・あぁ、残念。所詮私はバックアップだったかぁ・・・。 膠着状態をどうにかするいいチャンスだと思ったのになぁ。私の負け。 (キョンに向かって)よかったね、延命できて。でも、気をつけてね? この通り、統合思念体は相反する意識をいくつも持ってるの。 いつかまた、私みたいな急進派が来るかもしれない。 それか、長門さんの操り主が意見を変えるかもしれない。 それまで涼宮さんとお幸せに。じゃあね♪ (そう言うと朝倉は完全に消滅した。倒れこむ長門) キョン:おい!長門!しっかりしろ!今、救急車を! ユキ:いい・・・。肉体の損傷は大したことない・・・。 正常化しないといけないのは、この空間。 不純物を取り除いて、教室を再構成する・・・。 (砂漠の大地が元の教室に戻っていく) キョン:・・・本当に大丈夫なのか? ユキ:処理能力を情報の操作と改変にまわしたから このインターフェイスの再生は後回し。・・・今、やってる。・・・! キョン:・・・どうした? ユキ:(手で顔を探る)メガネの再構成を忘れた・・・。 キョン:ない方が可愛いと思うぞ?俺にはメガネ属性ないし。 ユキ:メガネ属性って、何? キョン:・・・!?なんでもない!ただの妄言だ! ユキ:・・・そう。 (谷口が教室に入ってくる) 谷口:うぃーっす。わ、わ、わ、忘れ物〜♪ぬおぁ!? (長門とキョンが密着しているところを見て時が止まる谷口) すまん・・・・。ごゆっくり!!!! ユキ:・・・面白い人。 キョン:はは・・・。どーっすっかなぁ〜・・・。 ユキ:まかせて、情報操作は得意。朝倉涼子は転校したことにする。 キョン(M):そっちかよ!などと突っ込んでる場合ではない。 よく考えたら俺は、とんでもない体験をしてしまったんじゃないか? この前、長門が永遠と語った電波話、トンチキな妄想語りを 信じるとか信じないとかいう問題ではない。さっきの出来事は 何本気のヤバさとは何かをを俺に実感させてくれた。 マジでくたばる5秒前!これじゃあ、長門が宇宙人か何かの 関係者であることを納得せざるを得ないではないか。 ・・・翌日、クラスに朝倉涼子の姿はなかった。 先生:あ〜、朝倉君がだな。お父さんの都合で・・・。 急な事だと先生も思う。転校する事になった。 生徒:ホワット!? ハルヒ:うわ〜♪キョン!これは事件だわ! キョン(M):すっかり元気を取り戻した涼宮ハルヒが目を輝かせていた。 どうする?本当の事を言うか?・・・言える訳ねぇ。っつーか、俺が 言いたくない。あれは全て俺の幻覚だったと思っていたいくらいなのに。 ハルヒ:謎の転校生が来たと思ったら、今度は理由も告げずに 転校していく女子までいたのよ?これは調査の必要アリね! キョン(M):これ以上余計な仕事を増やさないで欲しい・・・。 そうでなくとも、俺はまたまた懸案事項を抱えているんだからなぁ? ハルヒ:・・・?何それ? キョン:何でもない。(M)その懸案事項は封筒の形をして昨日に引き続き 俺の下駄箱に入っていた。・・・なんだろう?下駄箱に手紙を入れるのが 最近の流行なのか?しかし・・・今度のブツは一味違うぞ〜? (封筒に朝比奈みくるの文字)ほいさっと出かけていって、また生命の 危機に直面するのはごめんこうむりたい。しかし、ここで行かない 訳にもいくまい・・・。誰あろう・・・朝比奈さんの呼び出しである! この手紙の主が朝比奈さんであると断言する根拠はないが 俺はさっぱり疑わなかった。いかにもこんな回りくどい事をしそうな人だし 可愛らしいレターセットにいそいそとペンを走らせている光景は まさしく、彼女に似つかわしいじゃないか?それに昼休みの部室なら 長門もいるだろうし。ま、なんとかなるさ。(部室をノックする) みくる:あ、は〜い。キョン君!久しぶり。 キョン(M):朝比奈さんにとてもよく似ている・・・。 でも、それは朝比奈さんではなかった・・・。 あの・・・。朝比奈さんのお姉さんですか? みくる:・・・・ふふ。私は私。朝比奈みくる本人です。ただし、 あなたが知っている私よりもっと未来から来ました。会いたかった。 ・・・あ、信用してないでしょ?証拠を見せてあげる。ほら、ここに 星型のホクロがあるでしょ?付けボクロじゃないよ?触ってみる? キョン(M):特盛!? みくる:これで信じた? キョン(M):信じるも信じないも、俺は朝比奈さんのホクロの位置なんか 覚えちゃいない・・・。そんなきわどい部分まで見ることが出来たのは バニーガールのコスプレをしていた時と、不可抗力で着替えを 覗いてしまった時ぐらいだが、どっちにしたってそこまで細かい所を 観察などしていない・・・。 みくる:あれ?でも、ここにホクロがあるって言ったの キョン君だったじゃない。私、自分でも気づいてなかったのに・・・。 ・・・!!あ、やだ!今・・・。あ、そっか、この時はまだ・・・。 あぁ・・・どうしよう・・・。私、とんでもない勘違いを! ごめんなさい!今の忘れてください! キョン(M):そう言われてもなぁ・・・。 わ、わかりました!とにかく信じますから!今の俺は大抵の事は 信じてしまえる性格を獲得したので・・・。あれ?そしたら今 二人の朝比奈さんがこの時代にはいるって事ですか? みくる:あ、はい。過去の・・・私から見れば過去の私は 現在、教室でクラスメイト達とお弁当中です。あなたに一つだけ 言いたい事があって、無理を言ってまたこの時間に来させてもらったの。 長門さんには席をはずしてもらいました。 キョン:朝比奈さんは長門の事を知ってるんですか? みくる:すみません、禁則事項です。あ、これ言うのも久しぶりですね。 キョン:俺は、先日聞いたばかりですが。 みくる:あ・・・。あまり、この時間にとどまれないの。 だから、手短に言います。白雪姫って知ってます? キョン:そりゃあ知ってますけど・・・。 みくる:これから、あなたが何か困った状態に置かれた時 その言葉を思い出してほしいんです。 キョン:七人の小人とか、魔女とか毒リンゴのアレですか? みくる:そうです。白雪姫の物語を。 キョン:困った状態なら、昨日あったばかりですが・・・。 みくる:それではないんです。もっと・・・そうですね 詳しくは言えないけど、その時あなたの傍には涼宮さんもいるはずです。 キョン:俺とハルヒが?いつ?どこで!? みくる:涼宮さんは、それを困った状況だとは考えないかもしれませんが。 あなただけじゃなくて、私達全員にとってそれは困る事なんです。 キョン:詳しく教えてもらうわけには・・・いかないんでしょうね。 みくる:でも、ヒントだけでもと思って。これが私の精一杯。 キョン:それが・・・白雪姫なんですか? みくる:・・・えぇ。 キョン:・・・覚えておきますよ。 みくる:(部室のメイド服を見て)ふふ・・・よくこんなの 着れたなぁ、私。今なら絶対無理。 キョン:ハルヒには他にどんな衣装を着せられたんです? みくる:内緒。恥ずかしいもん。それに、そのうちわかるでしょ? じゃ、もう行きます。(キョンに抱きつく)・・・最後にもう一つだけ。 私とは・・・あまり仲良くしないで。(出て行こうとする) キョン:俺にも一つ教えてください! 朝比奈さん・・・。今、年齢(トシ)いくつ? みくる:ふふ・・・。禁則事項です。 キョン(M):それは、まるで見るもの全てを恋に落としそうな笑顔だった。 腹が減った。教室に帰ろう・・・。やれやれだ。 (帰ろうとすると長門が入ってくる) よぉ。来る時、朝比奈さんによく似た人とすれ違わなかったか? ユキ:朝比奈みくるの異時間同位体。朝に会った。 キョン:ひょっとして。お前も時間移動とか出来るのか? その、情報ナントカ体も。 ユキ:私には出来ない。時間移動はそんなに難しい事ではない。 キョン:コツを教えてもらいたいね。 ユキ:言語では概念を説明できないし、理解も出来ない。 キョン:そうかい。 ユキ:・・・そう。 キョン:そりゃ、しょうがないな。 ユキ:・・・ない。 キョン:・・・長門。昨日はありがとよ。 ユキ:お礼ならいい。朝倉涼子の異常動作はこっちの責任。不手際・・・。 キョン:やっぱり、メガネはない方がいいぞ。 (教室に戻るキョン、ハルヒが怒っている) ハルヒ:どこ行ってたのよ!すぐ帰ってくると思って ご飯食べないで待ってたのに! キョン:そのセリフ・・・。幼馴染が照れ隠しで怒ってる感じで頼む。 ハルヒ:アホな事言ってないで、ちょっとこっち来て! さっき、職員室で岡部に聞いたんだけどね、朝倉の転校って朝に なるまで誰も知らなかったみたいなのよ!朝一で朝倉の父を名乗る 男から電話があって、急に引っ越す事になったからって。それも どこだと思う?カナダよ!カナダ!そんなのアリ?胡散臭すぎるわよ! キョン:そうかい? ハルヒ:それでアタシ、カナダの連絡先を教えてくれって言ったのよ。 そしたらどーよ?それすらわからないって言うのよ?普通 引越し先ぐらい伝えるでしょ?これは何かあるに違いないわ! キョン:ねぇよ。 ハルヒ:せっかくだから引越し前の朝倉の住所を聞いてきた。 学校が終わったら、その足で行くことにするわ!何かわかるかもしれない! (ハルヒに引きずられていくキョン) キョン(M):相変わらず人の話を聞かない奴だ・・・。 ま、別に止めない事にする。無駄骨を折るのはハルヒであって俺ではない。 ハルヒ:あんたも行くのよ! キョン:なんで!?どわぁっ! ハルヒ:あんたそれでもSOS団の一員なの? (部室に「SOS団 本日自主休日 ハルヒ」の張り紙) 続く