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WEBSITE 糸張人魂
■TIPS(ちょっとしたコツ)
たくさん張っていると自然と色々なコツがつかめてきます。
これらは一つ一つは大した事ではありませんが、ちょっとしたトラブルにあった時にすごく助かったり、糸の張りあがりにすごく差が出たり、フレームにダメージが少なくできたりするのですが、ホームストリンガーの方々はなかなか知ることができないかもしれません。
このページではそうした糸張りの「TIPS」をご紹介します。
1.プレレーシング
クロスを編んでいく時に使うTIPSです。普通は1本通してテンションを掛け、リリースして次の糸をまた編んでいくのですが、あらかじめもう1本も通してしまう事でメイン糸に傷をつきにくくすることができます。
やり方はとってもカンタン。まず普通にクロスを通し、その下の糸をテンションを掛けないでそのまま通します。全部引っ張ってしまうと先に通したクロスにテンションを掛けられなくなりますので、テンションチャックに届く分をU字にして余らせておきます。U字に残した糸にテンションを掛けた後、下の糸を最後まで引きその下の糸をテンションを掛けずに途中まで引く、この繰り返しです。ポリ糸やスピンガットなど摩擦が強い糸に有効なテクニックです。
2.クロスのレーシング
クロスを編むのをレーシングと言います。初心者の方は時間短縮にやっきになることが多く、どうやったらクロスを早くレーシングできるかを過剰に考えすぎる傾向があると思います。時間短縮よりも重視しなくてはならないのは、ストリングスをねじらずに編む事です。特にナチュラルの場合は何も考えずに編んでしまうと縄のように編んであるのがほどけて壊滅的なダメージを被る事になります。これを解決するのが通称「ピック」という編み方と引っ張る左手の動きです。
ピックは糸の先端のせいぜい5センチぐらいしか折り曲げないので糸のダメージを軽減する事が出来るのです。
ピックに対して習得もやさしくスピードも向上するのが「プッシュ」という編み方です。これは糸を上下で挟んで上下させながら押していく編み方ですが、どうしても途中でクロスの摩擦に負けて持ち替える必要があります。この持ち替え動作の時にねじれが生じます。より良い仕上がりをお望みなら最初は時間がかかるかもしれませんがピックを覚えてしまう事をお勧めします。

実際にクロスをレーシングしている動画(1.3MB)です。
私は左手で糸を引くことが多いのですが、その場合時計と逆周り方向にねじりながら引くようにしています。これはコイルの記憶と糸を編む事で起きるキンクを解消するためです。よくねじれているU字を無理やり戻しているのを見ますがこれはよくありません。やはりねじれが逃げる事が出来る先端で解消すべきです。ねじりながら引いていくと反対側のねじれがみるみる取れていくのがわかると思います。これをするとしないのではナチュラルの張りあがりがまったく違います。
3.緩み取り
糸自体の緩みを取るのではなく、グロメットに残っている余裕を取り去ることが目的です。この余裕が残っていると張りあがりはそれなりですが、負荷がかかった時(実際にボールを打った時)に急激に緩んでしまいます。メインはテンションを掛けたまま、指で上や左右に向かって負荷を掛けてあげます。目安としては1.5センチぐらいを2回ほど行います。グロメット部の緩みを取ることが目的なので、力を掛ける部分はテンションチャックと反対側の中央よりフレームよりです。

クロスはセッティングオウルを使って行います。
メインの時と違い、メイン糸の摩擦が負荷になって正しいテンションが出ないのでこちらは必ず行っています。(表面摩擦が強い糸ほど入念に行います。)
上の画像では右側にテンションユニットがありますので、左側に負荷を掛けます。目安としては1センチ弱を2回から3回でしょうか。スペースが開いている方向にむかってシゴきたくなりますが、力を入れやすい分だけ不確定要素が増えて張りあがりにバラつきが出ますので、張ってきた方向、(すでにクロスがある方向)に向けて行います。これをやる事で張りあがりにハッキリ差が出ますが、力の入れすぎは角切れの原因です。ポリエステル系の糸は特に慎重に。
4.当て皮
最近のラケットはサイドグロメットの一番下側にRがついているものが多いのですが、ちょっと前のラケットや昔から継続しているグラファイトなどはRがありません。折り返し角度が急な場所なので、私はちょっと厚めの皮を当てるようにしています。つけないと切れやすいって事ではないのですが、グラファイトを使っている方はガットが切れたときにこの部分をよく見て下さい。長く使っているものならへこんでいるのではないですか?こうしたダメージを少しでも少なくするためにつけています。私はストリンギングのために特別に作られた皮を某有名ストリンガーから分けてもらっていますが、ホームストリンガーの方はスポーツ店に売っているグローブの皮ひもで充分です。(安いです)見た目もちょっとプロっぽくなってカッコいいですよ。

5.穴に入らなーーーい!
クロスを張っている時に先にはった糸が邪魔をして穴がふさがってしまうことがあります。張っている糸がマルチやナチュラルなど柔らかい素材の時は本当にイライラしますよね。ツールのページでご紹介したストリングスルーという道具はこういう時に便利なのですが、これがない時にはこうします。
A. 最初からふさがるのが分かっていた場合
邪魔をする糸を張る時にいらないストリングの切れ端を塞がれてしまう穴の近くに縦に差し込んでおきます。こうする事によってまたぐ糸が少し浮いた状態になり、後でクロスが通りやすくなります。通してしまった後、差し込んであったストリングスを抜けばOKです。最近のラケットではウイルソンのTOUR90を1本張りした時に使っています。
B. その場所まで張り進んできたら塞がっていた。
まずは通す糸の先端をなるべく鋭利に斜めにカットして試してみましょう。塞いでいる糸の上からと下から、両方試してみてください。それがダメならなるべく細いオウルをフレーム外側から差し込み、(無理して傷をつけないように注意)糸をプライヤーではさんでスタンバイします。左手でオウルを徐々に抜いていき、右手で持った糸は逆に徐々に押し込んでいきます。複雑な動きですがキレずに頑張って下さい。(^-^
フレーム内側から外に出す時も同じように応用できます。