自虐の詩 自虐の詩
原作:業田良家
全2巻 (文庫版)

■私的評価

4コマ漫画というジャンルにおいて、こだま学の『ひとえちゃん恋日記』や『ナオミだもん』のように ほのぼのと幸せを感じさせる作品はあったが、ここまで心の底から感動できる作品は無かった。
別に泣きたくて漫画を読むワケではないが、泣ける4コマギャグ漫画という正に奇跡の作品である本作を 読まずして日本のマンガを語ってはいけないと思った

元ヤクザの三下で無職&酒乱&短気&ギャンブル好きの亭主を愛しぬく妻の物語・・・と思いきや、その妻も 酒乱で妻に逃げられギャンプル好きで借金を重ね遂には銀行強盗をする父を持ち、子供の頃から新聞配達や内職に 励んでいたものの故郷を捨て、ついにはシャブ中の立ちんぼになった過去を持つ女だった。(←長い)

リアルタイムで読んでいないため、そんなドン底の人間の生き様をギャグにしただけの作品だったと予想するが、 後半に一変、怒涛の展開で一気に人生論にまで発展してしまう。
「なんでこんな男に執着し続けるの?」と思うほどの幸江の献身さの裏側を知ってからの心の震えは筆舌し難く、 熊田さんのひとり泣きや送別の弁当、「人は母から生まれる」と悟る瞬間にはもはや涙が止まらない

モラルの低下著しい現在の日本において、個人的には「人に言われて更生できるならば、とっくに自発的に更生できる。 ダメ人間は所詮ダメ(躾をしていない子供は別)」と救済の手立ては無いと考えている。
そんな状態でも、本作の読書を義務つければ、少なくとも「勉強しろと怒られたから親を殺した」とか「泣き止まないから 子供を殺した」などというバカな事件は皆無になるのではないか?とまで思える
 ※私が市長とか県知事ならば成人式に配布してみたい。

大上段に構えた人生論ではなく、「誰にでも理由があって存在している」事を優しく面白く気付かせてくれる本作。 大人ならば一度は読むべき作品である

■データ
・1985年「週刊宝石」誌にて連載開始。
・連載当初は複数の主人公によるオムニバス形式の作品だったが、後に
 「幸江とイサオ」シリーズに一本化された。
・2007年10月に実写映画化。
 →幸江:中谷美紀、イサオ:阿部寛。
 ※私としては、日本一の薄幸女優である木村多江に幸江を演じて欲しかった。

■関連作品
・ゴーダ君
・男の操
・武士の魂
・百年川柳
・執念の刑事
・シアターアッパレ
・世直し源さん
・源さん刑事
・百人物語
・空気人形
・独裁君
・LOVE男
・女はつらいよ




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